簿記3級ってどんな問題が出るの?過去問は? 実際に問題を解いてみよう!詳しい解説付き!

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「資格試験勉強といえば、過去問!」「できればネットから無料で過去問をゲットしたいけど、全然ヒットしない!」そうお思いの方は多いのではないでしょうか?

残念ながら、2021年度以降簿記検定3級 統一試験の本試験問題は公開されていません。また、CBT方式の場合、受験者によって問題が異なっており、出題された問題が公開されることはありません。

さらに、統一試験含め、試験問題など試験に関して知りえたことをインターネットやSNSなどへの開示・漏洩することも禁止されているため、受験希望者が試験情報を得づらい状況になっています。

そこで、TAC講師が本試験を受験するなどで、公開されている出題区分と現在の出題傾向を分析し、模擬問題を作成しました!実際の試験問題と同じくらいの難易度ですので、試験前の腕試しや学習前の情報収集にもお使いください!

参考: 【重要】新たな日商簿記検定の受験に関してお願い

簿記3級について

  • レベル

    ・ 企業で働く者に必須の基礎知識が身につき、商店や中小企業の経理実務に役立つ。
    ・ 経理関連書類を読むことができ、青色申告などの書類作成もある程度できる。

  • 合格率

    平均35~40%程度

  • 必要な学習時間

    80~100時間程度が目安

出題範囲

  • 出題範囲

    商業簿記(制限時間60分)
     基本的な商業簿記の修得、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえた知識が問われる

  • 重要性が高い分野

    第1問では仕訳15題を早く解答していくスキルが必要になります。第2問では総勘定元帳勘定記入補助簿の作成が問われることが多く、これらは受験生にとって対策が薄くなりがちで、注意が必要です。

    第3問では財務諸表の作成精算表に関する出題が多いため、簿記の最終目的でもある決算整理を中心とした総合問題は当然ではありますが、きちんと解けるように演習トレーニングを積む必要があります。

第一問

問題

下記の各取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は、各取引の下の勘定科目から最も適当と思われるものを選び、答案用紙の( )に記号で解答すること。

  1. 期首に取得原価¥300,000、帳簿価額¥180,000 の備品を¥200,000 で売却し、代金のうち¥60,000 は先方振り出しの小切手で受け取り、残りは月末に受け取ることとした。なお、減価償却の記帳は間接法によ ってい る。

    ア 現金 イ 未収入金 ウ 備品 エ 減価償却累計額 オ 固定資産売却益 カ 固定資産売却損


  2. 当期に発生 した売掛金¥75,000 が回収不能となった。なお、貸倒引当金残高が¥30,000 ある。

    ア 売掛金 イ 買掛金 ウ 貸倒引当金 エ 償却債権取立益 オ 貸倒損失 カ 貸倒引当金繰入


  3. 福井㈱が現金を支払ったさいに、滋賀㈱から受け取った下記領収書にもとづいて福井㈱の仕訳を示しなさい。

    金額¥143,000_但書:掛代金として



    ア 現金 イ 仮払金 ウ 売掛金 エ 買掛金 オ 売上 カ 仕入

解答

第一問

解説

3級の第1問では、仕訳問題が出題されます。様々な期中取引のみならず、決算事項も出題されます。

全15問を正味15~20分程度で解かなければならず、正しい知識を必要とするのはもちろんのこと、スピードも要求されます。

1.減価償却を間接法で記帳している場合は、売却した固定資産の取得原価を固定資産勘定(資産)の貸方に記入するとともに、売却した固定資産に対する期首の減価償却累計額を減価償却累計額勘定(資産の評価勘定)の借方に記入します。なお、本問では「帳簿価額」が与えられています。

帳簿価額とは、取得原価から減価償却累計額(既償却額)を控除した金額です。よって、取得原価から帳簿価額を差し引いた金額を減価償却累計額とします。

また、売却した固定資産の帳簿価額と売却価額との差額を固定資産売却益勘定(収益)の貸方、または固定資産売却損勘定(費用)の借方に記入します。なお、固定資産の売却代金を後日受け取る権利は、未収入金勘定(資産)の借方に記入します。

(減価償却累計)*120,000 (備品)300,000
(現金)60,000 (固定資産売却)**20,000
(未収入金)140,000   

*減価償却累計額 取得原価¥300,000 - 帳簿価額¥180,000 =¥120,000
**固定資産売却益 売却価額¥200,000 -帳簿価額¥180,000 =¥20,000

2.当期発生の売掛金を貸倒れとする場合は、貸倒引当金勘定残高があっても取り崩さず、全額を貸倒損失勘定(費用)の借方に記入します。

(貸倒損失)75,000 (売掛金)75,000

3 領収書に記されている「掛代金として」より、福井㈱が買掛金を支払ったときに受け取った領収書であること がわかります。買掛金を支払ったときは、あとで支払う義務(債務)が消滅するので 買掛金勘定(負債)の借方 に記入します。

(買掛金)143,000 (現金)143,000

第二問

問題

次の<資料>にもとづいて、答案用紙の商品有高帳を記入し、5月の売上総利益の計算を示しなさい。なお、商品の払出金額の計算は「移動平均法」を適用する。

<資料> 5月の商品売買に関する諸取引

当社は単一種類の商品を取り扱っている。A社が得意先、B社およびC社が仕入先である。

5月1日:前月繰越80個(@¥1,250)
10日:A社より 160 個の注文を受けた。
11日:B社より 80 個(@¥1,350 )を 仕入れ、代金は掛とした。
12日:C社より 160 個(@¥1,330 )を仕入れ、代金は掛とした。なお、引取運賃¥3,200 を現金で支払った。
15日:A社に対し 160 個を売り渡し、代金は掛とした。販売単価は@¥1,770 とする。
21日:A社より 260 個の注文を 受けた。
25日:C社より 160 個(@¥1,150 )を仕入れ、代金は掛とした。なお、引取運賃¥800 を現金で支払った。
28日:A社に対し 260 個を売り渡し、代金は掛とした。販売単価は@¥1,750 とする。

解答

解答

解説

・3級の第2問では、補助簿の作成勘定記入など、他の範囲と比べると対策が手薄になりがちではありますが、合格へのキーとなる問題と言えます。

1.商品有高帳の記入

移動平均法は、同じ種類の商品を異なる単価で仕入れた時、その都度、平均単価を計算し、その単価を次の払出単価とする方法です。

(5月の 商品売買に関する諸取引)
5月1日:前期繰越80個(80個×@¥1,250=¥100,000より取引開始)
10日:A社より160個の販売注文(注文について仕訳はありません)
11日:B社より80個仕入(80個×@¥1,350=¥108,000

(仕入)108,000(買掛金)108,000

*元の在庫と異なる単価で仕入れたため、商品有高帳の残高欄で平均単価を求めます。

前期繰越¥100,000+11日仕入¥108,000/160個+160個=@¥1,300(平均単価

12日:C社より160個仕入(160個×@¥1,330+引取運賃¥3,200=¥216,000

(仕入)216,000(買掛金)212,800
(現金)3,200

*引取運賃は取得原価として仕入(商品金額)に含めます。仕入単価@¥1,350(¥216,0 00 ÷160 個)

直前残高¥208,000+12日仕入¥216,000/160個+160個=@¥1,325(平均単価

15日:A社に商品160個売上(160個×販売単価@¥1,770=¥283,200

(売掛金)283,200(売上)283,200

*商品有高帳の払出欄の記入は直前の残高欄にある平均単価@¥1,325で計算します。
売上原価:160個×@¥1,325=¥212,000

21日:A社より260個の販売注文(注文について仕訳はありません)

25日:C社より160個仕入(160個×@¥1,150+引取運賃¥800=¥184,800

(仕入)184,800(買掛金)184,000
(現金)800

直前残高¥212,000+25日仕入¥184,800/160個+160個=@¥1,240(平均単価

28日:A社に商品260個売上(260個×販売単価@¥1,750=¥455,000)

(売掛金)455,000(売上)455,000

*商品有高帳の払出欄の記入は直前の残高欄にある平均単価@¥1,240で計算します。 売上原価:260個×@¥1,240=¥322,400

2.5月の売上総利益の計算

(1)売 上 高:15日¥283,200+28日¥455,000=¥738,200
(2)売上原価商品有高帳の払出欄の合計:15日¥212,000+28日¥322,400=¥534,400
(3)売上総利益:(1)売上高¥738,200-(2)売上原価¥534,400=¥203,800

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試験改正について

日商簿記検定では近年様々な変化が起こっています。 今までとは何が違うのか、これから起こる変化とその対応策をまとめましたので、参考にしてください。

試験方法の変化

CBT試験の登場

2020年12月からネット試験(CBT試験方式)が導入され、従来のペーパー方式で実施をする統一試験と並行して実施されています。 2021年度の受験者数は延べ10万人を超え、導入初年度から利用者を着実に増やしていると言えます。

それに対し、統一試験の受験者は2021年度で14万人程度。2019年度と比較すると8万人程減らしている状態です。ネット試験はいつでも受験ができるメリット(一部、実施されない期間もあります)があり、受験生はそのメリットをうまく利用することをおすすめします。

3級は約2ヵ月を学習期間として設定し、ネット試験もしくは統一試験での受験を選択することがおすすめです(2ヵ月という学習期間は1週間で10時間程度が目安です)。

統一試験解答用紙の変化

 2021年度より、ネット試験での出題形式に合わせるため、問題と解答用紙が見開きで並ぶ形式に変更されています
(従来は問題用紙と解答用紙は別々の形式)。

こちらでもネット試験(CBT試験方式)について解説しています。併せてご覧ください
ネット試験開始で簿記検定試験はどうかわる?違いなどを徹底解説!

試験範囲の変化

2022年度より「収益認識に関する会計基準」の試験範囲追加により、「売上諸掛」に変更があります。
収益認識基準自体についての出題は予定されていません。

今後の変化

2023年6月試験以降、従来、東京商工会議所管轄で施行していた大学などの試験会場の統一試験は実施されなくなります(TACの同エリアの一部校舎では実施する方向で調整中)。

統一試験の実施有無については、事前に最寄りの商工会議所のホームページなどをご確認いただきますようお願いいたします。

まとめ

問題を解いてみていかがでしたか?実際の試験でも同じような難易度の問題が出題されると予想されます。 解けなかった部分は繰り返し復習をして、本番までに解けるようにしておきましょう!

また、目まぐるしく変化する簿記検定に独学で合格できるか大丈夫か不安な方は、「予備校に通う」という方法もあります!
TACでは試験の変化に対応したカリキュラムを用意しているため、勉強だけに専念でき、最短距離で合格を目指すことができます!ぜひ一度ご検討ください!

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