簿記2級の合格率の推移と合格率が低い理由、ネット試験の特徴を解説

簿記2級の合格率の推移と合格率が低い理由、ネット試験の特徴を解説

簿記2級の試験では経理のスキルや中小企業の株式会社における財務諸表の作成の仕方などを習得できます。合格しにくいうえに合格率の変動が大きい資格です。

この記事では簿記2級の合格基準と合格率の推移などを解説します。合格率が低い理由と新しく始まったネット試験(CBT方式)の3つの特徴まであわせてチェックしていきましょう。

簿記2級の合格基準と合格率の推移

簿記2級の合格基準と合格率の推移

簿記検定の勉強をすると、ビジネスシーンで役に立つ知識が学べます。簿記検定3級は比較的難易度が低く合格率が40~50%ほどありますが、2級は難易度が高くなり、合格率は15~30%ほどです。

それでは、簿記2級の合格基準や近年の合格率の推移、2021年度におこなわれた第157回と第158回の合格率などをチェックしていきましょう。

簿記2級の合格基準

簿記2級の合格基準は100点満点のうち70点以上が取れるかどうかで決まる方式です。簿記3級で出題された商業簿記のほかに工業簿記も出題されるようになり、難易度が上がります。商業簿記の問題が60点と工業簿記の問題が40点の配点です。

試験時間は従来120分でしたが、2021年度の試験からは90分に変わっています。

簿記2級の合格率の推移

近年の簿記2級の合格率の推移は、以下のとおりです。

2020年11月15日 第156回 18.2%
2020年06月14日 第155回 中止
2020年02月23日 第154回 28.6%
2019年11月17日 第153回 27.1%
2019年06月09日 第152回 25.4%
2019年02月24日 第151回 12.7%
2018年11月18日 第150回 14.7%
2018年06月10日 第149回 15.6%
2018年02月25日 第148回 29.6%

2021年度(157回158回)の合格率

2021年度に実施された第157回と第158回の合格率は、以下のとおりです。

2021年06月13日 第158回 24.0%
2021年02月28日 第157回 8.6%

2021年02月28日に実施された第157回試験については過去10回のなかでも合格率が最低で10%いかず、とくに難易度が高い試験となりました。なお、2020年12月からはネット試験も実施されるように変わっています。ネット試験について詳しくは後述します。

簿記2級は回によって合格率の変動が大きい

過去のデータを見ていてもわかるように、簿記2級は回によって合格率の変動が大きい試験です。過去10回のうち、最も合格率が高い第148回は29.6%が合格しているのに対して、最も合格率が低い第157回は8.6%しか合格できていません。合格率が高い回と低い回とで約3倍もの差が開いています。

このように合格率の変動が大きい理由は、合格基準が100点満点のうち70点以上が取れるかどうかとなっているためです。比較的難易度が低めの問題が多く出た回は合格率が高くなり、難易度が高く解ける人が少ない問題が多かった回は合格率が低くなってしまいます。

簿記2級の合格率が低い4つの理由

簿記2級の合格率が低い4つの理由

過去10回の合格率をチェックすると、簿記3級の平均合格率が約48.4%と半数ほど合格しているのに対し、簿記2級の平均合格率は約20.5%と、10人中2人しか合格できていません。ちなみに、簿記1級の平均合格率は約9.6%でした。

簿記2級の合格率が低い4つの理由は、以下のとおりです。

1.工業簿記の問題が加わるため
2.問題数が多いため
3.年3回あり意気込みが足りなくなりがちなため
4.2015年に決定した試験範囲の改定のため

それぞれの理由を詳しくチェックしていきましょう。

1.工業簿記の問題が加わるため

簿記2級の合格率が低い1つ目の理由は、簿記3級にはなかった工業簿記の問題が加わるためです。工業簿記とは製造業の原価管理に使われるような知識です。とくに製造業ではない人にとっては全体像を具体的にイメージしにくくなるため、取りかかりにくいでしょう。

工業簿記は全体像を把握し、そのうえで原価計算の流れを考えなければいけません。処理の方法を覚えてさえいれば解ける商業簿記とは異なるものであり、それぞれの簿記の種類に合わせて考え方を変える必要があるのです。

2.問題数が多いため

合格率が低い2つ目の理由は、問題数が多いためです。簿記検定は記述式で解答しなければいけないため、1問1問を解くのにかかる時間がどうしても長くなってしまいます。たくさん計算しなければならない問題があり、複雑な内容を計算し続けているとそれだけで時間をとられてしまって、ほかの問題が解けなくなってしまうこともあります。

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3.年3回あり意気込みが足りなくなりがちなため

合格率が低い3つ目の理由は、年3回試験があることに甘えてしまって意気込みが足りなくなりがちなためです。簿記検定は試験をおこなう回数が年3回あり、もしも今回の試験がうまくいかなかった場合でもまた次の試験にチャレンジしやすい検定だといえます。

4ヶ月に1回は挽回できるチャンスがあるため、「狙っている回の試験までに絶対に受からなくてはいけない」という意気込みが足りなくなりがちです。

4.2015年に決定した試験範囲の改定のため

合格率が低い4つ目の理由は、2015年に決定した試験範囲の改定の影響です。簿記2級の試験範囲の改定により、2016年度から3年かけて試験の出題される範囲が広がっていきました。

2019年2月には複数子会社を持つ連結会計の処理に関する問題が出題されています。以前は簿記1級の範囲だったところも出題範囲になったため、暗記しなければならない量が増え、以前よりも簿記2級の難易度が高くなっているようです。 。

新しく開始したネット試験(CBT方式)の3つの特徴

新しく開始したネット試験(CBT方式)の3つの特徴

簿記検定では、2020年12月からネット試験(CBT方式)が新しく開始しました。ネット試験が持っている3つの特徴は、以下のとおりです。

1.ほぼ毎日受験でき、すぐに結果がわかること
2.過去問や予想問題でヤマをかけにくいこと
3.ネット試験(CBT方式)は合格率が高いかもしれないこと

それぞれの特徴を詳しくチェックしていきましょう。

1.ほぼ毎日受験でき、すぐに結果がわかる

ネット試験の1つ目の特徴は、ほぼ毎日受験できて、すぐに結果を確認できることです。今までは年3回ある試験日のうちのいつかに受験しなくてはいけませんでした。しかし、簿記2級や3級に関しては統一試験前後の日以外であればたいていネット試験が受けられるようになったのです。

ネット試験は申し込みの3日後以降から受験ができます。試験日にスケジュールをあわせなくてもよくなり受験しやすくなったうえ、結果もすぐにわかるのでモチベーションをあげたままの状態でまたチャレンジができます。

2.予想問題でヤマをかけにくい

ネット試験の2つ目の特徴は、予想問題でヤマをかけにくいことです。試験範囲自体はネット試験も通常の試験も同じなので、そのままの問題集が使えます。

しかし、ネット試験の場合は同じ会場で受験をしていても問題が異なっているほど、問題のバリエーションが豊富です。毎回ランダムな問題が出題されるため、ヤマをかけにくくなっています。たまたま知っていた、などとまぐれでの加点を狙うのではなく、幅広い内容の基礎をしっかりと理解したうえで受験するといいでしょう。

3.ネット試験(CBT方式)は合格率が高い!?

3つ目の特徴は、ネット試験は合格率が高いかもしれないといわれていることです。2021年度に実施された統一試験の合格率は、第157回が8.6%、第158回が24.0%でした。しかし、同時期におこなわれていたネット試験の合格率は、もっと高かったのです。

2020年12月~2021年3月に実施されたネット試験の合格率はなんと46.6%もありました。2021年4月~6月に実施されたネット試験も、44.8%と高い合格率です。

当初は従来の120分の統一試験を経験した人の再受験の利用者が多いとも考えられることと、出題形式が従来の完全記述による解答から選択式の解答になるなどの変化も影響したと考えられます。ネット試験と統一試験の内容の均一化を進めている最中で、今後はさらにそれぞれの試験での違いがなくなるでしょう。。

簿記試験のCBT方式とは? 試験の概要と注意点や疑問点を解説

簿記の試験では、近年CBT方式が導入されました。この記事では、簿記試験のCBT方式を解説します。関連する注意点や疑問点など、知っておきたいポイントまでチェックしましょう。

簿記2級の合格率にひるまず挑戦してみよう

 簿記2級の合格率にひるまず挑戦してみよう=

簿記2級の合格率は過去10回の試験の平均で約20.5%であり、10人中2人しか合格できていませんでした。合格率が低くて難易度が高い試験ではありますが、受験しやすい分しっかりとモチベーションを保てずに勉強できていない人も割合に含まれています。簿記2級の合格率にひるまないで、まずは挑戦してみましょう。

近年ではネット試験が始まり、ほぼ毎日受験できるようになりました。モチベーションを落とさないまま学習を進め、より便利になった検定で結果が残せるよう、講座を受講するなどでサポートしてもらえるようにしておくといいでしょう。

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