簿記2級の合格率の推移と合格率が低い理由、ネット試験の特徴を解説

簿記2級の合格率の推移と合格率が低い理由、ネット試験の特徴を解説

簿記2級の試験では経理のスキルや中小企業の株式会社における財務諸表の作成の仕方などを習得できます。合格しにくいうえに合格率の変動が大きい資格です。

この記事では簿記2級の合格基準と合格率の推移などを解説します。合格率が低い理由と新しく始まったネット試験(CBT方式)の3つの特徴まであわせてチェックしていきましょう。

簿記2級の合格基準と合格率の推移

簿記2級の合格基準と合格率の推移

簿記検定の勉強をすると、ビジネスシーンで役に立つ知識が学べます。簿記検定3級は比較的難易度が低く合格率が40~50%ほどありますが、2級は難易度が高くなり、合格率は10~30%ほどです。

それでは、簿記2級の合格基準や近年の合格率の推移、2級が難しい理由をチェックしていきましょう。

簿記2級の合格基準

簿記2級の合格基準は100点満点のうち70点以上が取れるかどうかで決まる方式です。簿記3級で出題された商業簿記のほかに工業簿記も出題されるようになり、難易度が上がります。商業簿記の問題が60点と工業簿記の問題が40点の配点です。

簿記2級の合格率の推移

簿記検定は、相対評価ではなく、100点満点中70点以上が取れるか否かという絶対評価の試験であり、実施回により多少の違いはあるものの、合格率は10~30%前後で推移しています。
ここ最近の合格率は以下の通りです。

参考:2級受験者データ|日本商工会議所

統一試験 ネット試験
第165回
(2023.11)
11.9% 2023年度
※4月~12月
37.0%
第164回
(2023.6)
21.1%
第163回
(2023.2)
24.8% 2022年度 37.1%
第162回
(2022.11)
20.9%
第161回
(2022.6)
26.9%
第160回
(2022.2)
17.5% 2021年度 38.1%
第159回
(2021.11)
30.6%
第158回
(2021.6)
24.0%

簿記2級は回によって合格率の変動が大きい

過去のデータを見ていてもわかるように、簿記2級は回によって合格率の変動が大きい試験です。近年、最も合格率が高い第159回は約3割が合格しているのに対して、最も合格率が低い第165回は約1割しか合格できていません。合格率が高い回と低い回とで約3倍もの差が開いています。

このように合格率の変動が大きい理由は、合格基準が100点満点のうち70点以上が取れるかどうかとなっているためです。比較的難易度が低めの問題が多く出た回は合格率が高くなり、難易度が高く解ける人が少ない問題が多かった回は合格率が低くなってしまいます。

簿記2級の合格率が低い3つの理由

簿記2級の合格率が低い4つの理由

近年の合格率をチェックすると、簿記3級の平均合格率が約5割と半数ほど合格しているのに対し、簿記2級の平均合格率は約2割程度と、10人中2人しか合格できていません。ちなみに、簿記1級の平均合格率は約1割です。

簿記2級の合格率が低い理由は、以下のとおりです。

1.工業簿記の問題が加わるため
2.問題数が多いため
3.簿記1級の範囲が試験範囲に加わったため

それぞれの理由を詳しくチェックしていきましょう。

1.工業簿記の問題が加わるため

簿記2級の合格率が低い1つ目の理由は、簿記3級にはなかった工業簿記の問題が加わるためです。工業簿記とは製造業の原価管理に使われるような知識です。とくに製造業ではない人にとっては全体像を具体的にイメージしにくくなるため、取りかかりにくいでしょう。

工業簿記は全体像を把握し、そのうえで原価計算の流れを考えなければいけません。処理の方法を覚えてさえいれば解ける商業簿記とは異なるものであり、それぞれの簿記の種類に合わせて考え方を変える必要があるのです。

2.問題数が多いため

合格率が低い2つ目の理由は、問題数が多いためです。簿記検定は記述式で解答しなければいけないため、1問1問を解くのにかかる時間がどうしても長くなってしまいます。たくさん計算しなければならない問題があり、複雑な内容を計算し続けているとそれだけで時間をとられてしまって、ほかの問題が解けなくなってしまうこともあります。

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3.簿記1級の範囲が試験範囲に加わったため

合格率が低い4つ目の理由は、2015年に決定した試験範囲の改定の影響です。簿記2級の試験範囲の改定により、2016年度から3年かけて試験の出題される範囲が広がっていきました。

2019年以降の試験では、ほぼ毎回複数子会社を持つ連結会計の処理に関する問題が出題されています。以前は簿記1級の範囲だったところも出題範囲になったため、暗記しなければならない量が増え、以前よりも簿記2級の難易度が高くなっているようです。

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新しく開始したネット試験(CBT方式)の3つの特徴

新しく開始したネット試験(CBT方式)の3つの特徴

簿記検定では、2020年12月からネット試験(CBT方式)が新しく開始しました。ネット試験が持っている特徴は、以下のとおりです。

1.ほぼ毎日受験でき、すぐに結果がわかること
2.過去問や予想問題でヤマをかけにくいこと

それぞれの特徴を詳しくチェックしていきましょう。

1.ほぼ毎日受験でき、すぐに結果がわかる

ネット試験の1つ目の特徴は、ほぼ毎日受験できて、すぐに結果を確認できることです。今までは年3回ある試験日のうちのいつかに受験しなくてはいけませんでした。しかし、簿記2級や3級に関しては統一試験前後の日以外であればたいていネット試験が受けられるようになったのです。

ネット試験は申し込みの3日後以降から受験ができます。試験日にスケジュールをあわせなくてもよくなり受験しやすくなったうえ、結果もすぐにわかるのでモチベーションをあげたままの状態でまたチャレンジができます。

2.予想問題でヤマをかけにくい

ネット試験の2つ目の特徴は、予想問題でヤマをかけにくいことです。試験範囲自体はネット試験も通常の試験も同じなので、そのままの問題集が使えます。

しかし、ネット試験の場合は同じ会場で受験をしていても問題が異なっているほど、問題のバリエーションが豊富です。毎回ランダムな問題が出題されるため、ヤマをかけにくくなっています。たまたま知っていた、などとまぐれでの加点を狙うのではなく、幅広い内容の基礎をしっかりと理解したうえで受験するといいでしょう。

簿記試験のCBT方式とは? 試験の概要と注意点や疑問点を解説

簿記の試験では、近年CBT方式が導入されました。この記事では、簿記試験のCBT方式を解説します。関連する注意点や疑問点など、知っておきたいポイントまでチェックしましょう。

簿記2級の合格率にひるまず挑戦してみよう

 簿記2級の合格率にひるまず挑戦してみよう=

簿記2級は合格率が低く難易度が高い試験ではありますが、受験しやすい分しっかりとモチベーションを保てずに勉強できていない人も割合に含まれています。簿記2級の合格率にひるまないで、まずは挑戦してみましょう。

近年ではネット試験が始まり、ほぼ毎日受験できるようになりました。モチベーションを落とさないまま学習を進め、より便利になった検定で結果が残せるよう、講座を受講するなどでサポートしてもらえるようにしておくといいでしょう。

この記事を書いた人

佐藤 浩之 講師 (TAC簿記検定講座専任講師)

2016年度以降の簿記2級出題区分の大改正に伴い、簿記2級はより有用な資格へと変貌を遂げています。
たしかに、合格率だけを見ると難しく思えるかもしれません。ですが、目の前の壁が高ければ高いほど、超えたときの喜びはより大きなものになるはず。
2級で勉強する「連結会計」「外貨建て取引」「収益の認識」「リース」「コスト意識」「利益の計画」、これらは業務を進めるうえで持っておくべき知識であるとともに、3級の学習だけではとても手に入らない知識ともいえます。
3級の取得だけで終わってはもったいないです。ぜひ3級合格の勢いを加速させ、2級合格まで目指してみましょう!

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