元公務員のTAC講師によるコラム 元東京都職員(技術職)が語る!
理系(技術職)公務員の業務

元東京都職員(技術職)語る!理系(技術職)公務員の業務

矢島講師写真

◎講師紹介
矢島 講師

元東京都職員。Ⅰ類採用試験(技術職)にて入都。
技術職員として、事務所では主に設計業務、本庁では国や他自治体等との調整業務等を経験。 現在は、TAC理系(技術職)公務員講座にて、専門科目の講義、公務員試験の受験相談などを中心に講師として活躍中。

 今回は、技術職員の業務内容について具体的にご紹介致します。 “技術職員の日常”をイメージして頂く一助となれば幸いです。

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≪一日の流れ≫
(例:とある都道府県庁の若手土木職員)

1.出先事務所

出先事務所での一日の流れ

軽バン(庁有車)

 ※事務所勤務では、若手が設計、ベテランが現場での工事の進捗管理という割り振りになることも多いですが、設計業務といっても毎日事務所内でPCに向かっているだけでなく、実際に現場を確認しに行くことも日常的にあります。
※日常的な現場確認には、事務所所有の車を職員自らが運転して行く事が多いです。
 (どこの自治体でも、現場に携わる技術職員は、運転免許を持っているに越したことはないかと)

2.本庁

本庁での一日の流れ

※事務所に比べ、他自治体や関係民間会社とのやり取りや会議資料作成業務が増える一方で、現場に出る機会は減ることが多いです。

※事務所、本庁問わず、定時で退庁していく事務職員さんも多い一方、技術職員はそこから残業となることも…

※ただ、毎日毎日残業があるわけではなく、定時で切り上げ他の部署の職員さんたちと交流する日も!
 (もちろん私用があるときも、早めに切り上げます)

≪起案、起工、決裁って…≫

1.知らない言葉が飛び交う環境…


 前回のコラムでも『新しく学ぶことばかり』というお話をしましたが、配属された事務所で、技術職員としての仕事がスタートすると、早速、それまでの人生で聞いたことのない言葉が飛び交う環境となります。
 周りの先輩技術職員さんたちが当たり前のように話している言葉がとにかく分からない…ここは外国なのか…とさえ感じるそんな環境でした。

 技術専門用語も勿論ですが、それ以前に、公務員として必要な用語も知らないことばかりでした。あとから考えれば、『起工』なんて、設計を担当する技術職員の超目玉となる仕事!
(むしろ、この起工のために、普段の業務を行っていると言っても過言ではない?!)
 しかし、私はその起工という言葉も勿論知らなかったのです。

2.『起工』って

 「工事を起こすということだよ」先輩職員にそのように教えて貰いました。(まぁ、なんとなく漢字から想像つくわけですが…)

具体的には、
 『○○という工事を行います。施工場所、工期、かかる費用、工事内容の詳細はこちらです』
というように、費用の積算資料や構造物の図面などと共に、上司に説明してまわるのです。
上司はOKの場合、ハンコを押してくださるのです。(これが『決裁』です)

 事務所内で完結する場合は、
自分→係内の先輩職員→係長→課長補佐→課長→経理担当→経理係長→経理課長→事務所長
というようにまわり、それら全ての職員からハンコを貰えれば、そこで初めてその工事にGOサインが出た(起工OK!)ということになります。

 大きい規模の工事となると、決裁は事務所長がゴールとはならず、更に本庁へと渡り、今度は本庁内で
本庁担当者→その係長→課長→経理関係部署→ ……
と続きます。

 トータル20個以上のハンコが押されることもあります。その間、ひとりひとりに工事内容などを説明してまわるのですから、この決裁というものには意外と時間を要します。
 世間から、『お役所仕事』と言われてしまうのも正直納得できます…

起工にハンコが沢山必要なイメージ

3.『起案』の多さも公務員あるある


 ちなみに、この工事を起こす『起工』以外にも、何か上司による決定が必要な時は都度『起案』という形でこの決裁作業が必要となります(起工よりは簡潔な場合が多い)
 公務員は、この起案も行う場面が多々あります。この起案の多さもまた民間との違いかもしれません。

 ただ、すこし前から、電子決裁というものも導入されてきました。簡易な起案内容の決裁は、自分で上司の席まで行って説明してまわる事なく、自席のPCにて完結するというものです。
 このコラムを読んでくださっている皆さんが公務員としてご活躍される頃には、この『お役所仕事』も、もう少しやり易くなっているかもしれません。

≪経験工学の凄さと『技術の継承』≫


 正直、私も大学で専門科目を座学でそれなりに学び、実験にも参加し、公務員試験に向けても専門科目を再度ガリガリ勉強したという自負が多少ありました。

 …が、この道を数十年に渡り経験されてきたベテラン技術職員さん達の勘には完敗でした。
完敗なんてものではありません。私が机上でガリガリ勉強してきたこと等は、もはやベテラン職員さんたちの前では、全く同じ土俵にすら立てていない程度のものでした。

 設計の委託先であるコンサルも緻密な計算であらゆる角度から構造計算や施工方法を検討してくれます。
若手の私はそれらを「へぇ~」と思って聞いているしかありませんでした。
 しかし、上の職員さんたちは何の資料も見ずに、「いや、この施工方法はムリだろ、○○が難しいんだよ」や「△△の機械を使った方が工期を短縮できるんじゃないの」等とおっしゃるのです。
 すべて、ご自身のこれまでの経験から感覚でおっしゃっているのです。しかもほとんどの場合、本当にその通りになるのです。これには、ただただ驚くばかりでした。

 しかもベテラン職員さんは若手職員に、それらの知識を惜しみなく分け与えてくださるのです。技術職公務員の世界では、後輩職員への『技術の継承』をとても大事にされています。

 ですので、学生時代に机上でどんなにガリガリ勉強してきたとしても、公務員の世界では、先輩職員の経験を謙虚に聞き、自分のモノにし、さらにはそれらを自分の下の世代の職員に伝えていくことも、大事な仕事の一つだと言えますね。

今回のまとめ

1

事務所は現場に出る機会が多く、本庁は打ち合わせや会議資料作成が多い傾向がある

2

「起案、起工、決裁」など、技術専門用語や公務員として必要な用語を知らないところからスタート

3

ベテラン職員から後輩職員への『技術の継承』は大事な仕事の一つ

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