人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第85回 コムチュア株式会社

君和田 裕(きみわだ ゆたか)氏(写真左)
経営統括 人事部 採用開発グループ長
国家資格キャリアコンサルタント
鈴木 康幸(すずき やすゆき)氏(写真右)
経営統括 人事部 採用開発グループ スペシャリスト
国家資格キャリアコンサルタント
コムチュアは年功序列ではなく、実力主義。
社員が実力を発揮するための自律的成長の支援を
第一に考えています。
1985年創立のコムチュア株式会社は、40年の歴史を持つ独立系システムインテグレーター(SIer/エスアイヤー)。絶え間ないイノベーションで時代の潮流をいち早く捉え、新しい技術を採り入れ蓄積することで、デジタル時代に付加価値の高いサービスを提供している。「お客様には “感動” を、社員には “夢” を」を経営理念とするコムチュアでは、どのような人材観を持って教育・採用を行っているのだろうか。人事部採用開発グループの君和田裕氏と鈴木康幸氏にお話をうかがった。
創立40年を迎えた独立系のSIer
──最初にコムチュア株式会社について教えてください。
君和田 コムチュアは1985年に創立した独立系のシステムインテグレーターとして40年の歴史を積み重ね、プライム市場に上場しています。
事業内容は、クラウドソリューション、デジタルソリューション、ビジネスソリューション、プラットフォーム・運用サービス、デジタルラーニングの各事業を展開しており、ITを活用した幅広い分野にわたります。「デジタルソリューションパートナー」として、生成AIをはじめとする最新技術の活用によりお客様の経営課題の解決とイノベーション推進を積極的に進めています。
2025年に40周年を迎え、4月にはパシフィコ横浜で全社イベントを開催し、中期経営計画で掲げる「2032年売上高1,000億円」という目標を全社員で改めて共有しました。
2026年4月は約150名の新卒を採用
──新卒採用とキャリア採用について教えてください。
君和田 当社の採用活動は新卒とキャリアの両輪で進めています。新卒採用は直近3年間、毎年200名規模の採用を順調に進めてきました。2026年4月は約150名の新入社員を迎える予定です。
キャリア採用は、2024年度は60名以上を採用しましたが、「2032年売上高1,000億円」をめざして、今後は採用数をさらに引き上げていきたいと考えています。
──コムチュアの「求める人物像」とはどのような人材ですか。
君和田 新卒採用は自律自走に重きを置いており、主体的に動き、学び続けることのできる方を積極採用しています。学生の皆さんには、コムチュアで活躍する人材像(COMTURE VALUE)として以下5つの要件をお伝えしています。キャリア採用については即戦力性やスキルが重視される面がありますが、成長・活躍意欲がある方を求めるのは新卒と同様です。

──新卒採用の選考フローについて教えてください。
君和田 当社は、1Day・2Days型の仕事体験(インターンシップ)に力を入れており、2026年度採用では延べ400名以上の参加がありました。選考前の会社説明会への参加を必須としており、当社の事業や社風について理解を深めてもらいます。その後、適性検査と2回の面接を経てマッチングした方は内定に至ります。
採用は大部分がエンジニアです。クラウドエンジニアとデータサイエンティストという一部の職種に限って、初任配属を確約する採用を実施しています。
──新卒採用の選考でミスマッチを防ぐための工夫を教えてください。
君和田 当社の面接は人事担当ではなくエンジニアが面接官を務め、現場の視点から適性を見極めることを特徴としています。面接を通じて「エンジニアとして学び続けられるか」という観点でかなり深掘りしてお聞きします。エンジニアとしての心構えや意気込み、働く姿を具体的に想像できるかなど、学生の皆さんと面接官双方でマッチングを確認しています。
新卒内定者は入社前の対面勉強会で不安を払拭、社会人としてのマインドセットも身につける
──内定者へのフォロー内容を教えてください。
君和田 4月の入社までに12月、1月、2月の3回、本社にて対面の勉強会を実施しており、エンジニアの業務体験や社会人に求められるビジネスマインドを習得するためのプログラムを用意しています。また、エンジニアとしての基礎知識を習得できるよう自力で学習するためのe-learning教材や、資格取得支援も実施しています。
新卒の約7割が文系であり出身学部も様々です。「文系・未経験」でも活躍できる支援体制を整えていることが特長です。内定者が安心して4月の入社を迎えられるように、内定者期間にエンジニアとして最初のステップになる基本情報技術者の資格取得をめざしていただきますが、基礎固めとしてITパスポートの取得から始める方も多数います。基本情報技術者資格をすでに取得している方は応用情報技術者資格取得へとステップアップしてもらいます。
ひとりで資格の学習に励むのはなかなか困難ですから、会社から押し付けるのではなく、内定者同士でグループを作り、メンバー間で切磋琢磨しながら資格取得につなげられるように工夫しています。
2ヵ月間の全体集合研修後、配属部門で1ヵ月間基礎研修を実施
──入社後の新入社員研修について教えてください。
鈴木 当社では、人事部とラーニング事業を担うグループ会社のエディフィストラーニング株式会社が連携し、グループ全体で新入社員研修を体系的に設計・運営しています。IT系およびビジネス・ヒューマン系研修を中心とした人材育成分野のサービス提供企業であるエディフィストラーニングの強みを活かし、現場のニーズを踏まえた実践的なプログラムを通じて、新入社員が安心して成長できる環境を整えています。
4月からの2ヵ月間は、新入社員が一堂に会して集合研修を受講します。ビジネスマナーをはじめ、エンジニアの基礎知識を習得した上で、5月末にはエンジニアとしてお客様にどのような提案ができるのか、それぞれ役割を持ってロールプレイング形式の発表会を開き、配属先の上司に見てもらう機会を設けています。
そして、6月に本配属となり、まずは各部門にて基本スキルを学ぶ研修を1ヵ月ほど実施します。部門により扱う製品・ソリューションが異なりますので、各ベンダーのスキルや知識を深堀りして学ぶのはこの部門研修からとなります。そのあとすぐにお客様の案件に入るケースもありますが、そのタイミングは部門や個人により様々なケースがあります。
──配属後、同期が集まる研修はありますか。
鈴木 新入社員に対しては、入社から1年以内にフォローアップ研修を実施しています。また、そのあとも2年次、3年次、5年次のタイミングで同期同士が集まる年次研修を実施しています。そのほか、階層別や課題別の研修を年間100回以上開催しています。
──新卒社員の入社後のフォロー体制を教えてください。
君和田 1年間、新入社員一人ひとりにメンターがつき、日々のコミュニケーションや悩み相談を行うなど、早期に職場になじみ、活躍できる体制づくりに取り組んでいます。この「メンター制度」において活動内容を月1回、上司・人事に報告するしくみが確立されており、徹底して新入社員の育成支援・サポートを行っています。その効果もあり、2024年度は新入社員196名中(第二新卒含む)、1年目の退職者はゼロでした。
──入社の決め手については、どのような声がありますか。
君和田 「若いうちから成長できる」という声がもっとも多いです。一般的な就活生のアンケートでは、「学びや成長」よりも「働きやすさ」を重視する傾向を伝える結果を目にしますが、その両方を求めていくことが大事だと考えています。また、就活生向けのイベントで「社員の人柄に惹かれた」という声も多くいただいており、こうした評価は大変うれしいことです。面接を対話型で丁寧に行っていますので、「面接官がエンジニアなのでじっくり話せてよかった」「自分をよく見てくれた」という声が「成長できる」とともに、当社内定者のアンケート結果では上位にランクされています。
これまで、当社の採用後の課題としては、採用活動と入社後の育成が一部分断されてしまっている状況がありました。そこで、2025年4月、人事部内の採用グループと人材開発グループを統合し、採用から人材開発まで一気通貫で担う体制を強化しています。
君和田 裕 氏
2002年、新卒で食品メーカーに入社。営業畑を歩み、途中4年間の労働組合専従、人事労務部門、経営企画部門を経て、2024年8月、コムチュア株式会社にジョイン。新卒・中途・ユニバーサル(障がい者)採用、オンボーディング施策および人材開発領域を担当。
キャリア採用は「バディ制度」を導入
──キャリア採用は、事業計画と各事業部門のニーズに応じて採用していくイメージですか。
君和田 そうですね。ポジション数がかなり多く、IT業界はニーズの移り変わりが早いため、新しい技術に合わせタイムリーに必要な人材を採用しています。
キャリア採用は若手よりも中堅以降の社員が多いので、「自分のスキルを活かせる」「裁量を持たせてもらえる」「自分が取り組みたい最新技術のサービスを扱える」といった、キャリアアップやスキルアップの理由が入社の決め手になっています。
──キャリア入社者向けの教育研修やフォローアップ制度はありますか。
君和田 まず、会社に慣れてもらうため、オンボーディング施策として「バディ制度」を採り入れています。入社者全員にバディがつき、一次相談窓口として機能しています。入社1ヵ月後には人事との1on1面談を行い、入社前とのギャップや困りごと解消のきっかけを提供しています。また、本人と上司、バディそれぞれに定期的にアンケートを取り、異変や職場での問題がないかチェックしています。階層別研修やスキル別研修は、既存社員同様に実施します。
キャリア採用した社員のいわゆる「中途意識」をなくすために、部門横断的にわいわいお酒を飲みながら親睦を深めるキャリア採用者交流会を開催しています。さらに、アルムナイ(退職者)ネットワークの取り組みを最近開始しました。当社で過去にご活躍いただいた皆さんとの縁を大切に、変革し続けている今のコムチュアを知ってもらう機会として交流イベントも開催しました。イベント名は「カムチュア!」と名付け、「Come Home」と社名の「COMTURE」を掛け合わせて、おかえり感を演出しています。
2024年度に人事制度を大幅リニューアル
──人事制度の特徴を教えてください。
君和田 社員の大半がエンジニアなので、エンジニアのキャリアアップ支援に力を入れています。人事制度は2024年度に大幅にリニューアルし、等級、評価、報酬制度を一気にブラッシュアップすると同時に、人材育成制度も新しく組み直しました。
鈴木 以前は、新入社員研修を経たあとの社員の育成は、配属部門におまかせしている部分が多くありましたが、人事制度の刷新に合わせて人材育成方針を新たに設定し、若手からベテランまで幅広く学び続けられる環境を全社で整備しています。
また、あえて集合形式の研修を増やしており、研修の中身が身につきやすく、仲間同士が交流できる機会を増やしています。2024年度からキャリアスキルとライフスキルを学べるe-learningを導入し、自分で必要となるスキルを自己研鑽できるようにしました。e-learningは個人端末からもアクセス可能で、もちろん自主裁量となりますが土日や移動中のすきま時間に学習できます。
──福利厚生での特徴を教えてください。
君和田 健康経営に注力しており、2024年1月に「コムチュアグループ健康経営宣言」を制定し、「健康経営優良法人2025」の認定を取得しました。その他、月2回、昼休みに体操講師経験者によるストレッチを実施し、不定期でヨガイベントも開催しています。最近は遊び心を持ちながら食の健康意識を高める取り組みとして、味噌作りイベントを全国拠点でオンライン中継しながら実施しました。また、クラブ活動も活発で、バスケットボール、サッカー、フットサル、テニス、ゴルフ、将棋の6つの部活で社員同士の交流を深めています。2025年11月からは福利厚生サービス(ベネフィット・ステーション)を導入し、各人のニーズに合わせたサービスを利用しています。
働き方の選択肢も広く用意しており、在宅勤務は就業規則上の回数制限を設けず、職場の運営に委ねています。お客様先に常駐する社員もいるため、働き方は部門によって異なります。制度面では、入社時に有給休暇を付与しており、時間単位での使用も可能です。また、自分で日程を選べる夏季休暇やフレックス勤務の活用もしています。IT企業というと在宅やリモートワーク中心というイメージを持たれがちですが、私たちが重視しているのは、「どこで働くか」ではなく、「いかに高いパフォーマンスを発揮できるか」という観点です。
鈴木 康幸 氏
1996年、新卒で開発エンジニアとしてキャリアをスタートし、インフラエンジニアや研修講師などの業務に従事。2016年、M&Aによりコムチュアグループに加わり、社内外向け教育サービスを提供するデジタルラーニング事業に携わる。2023年、人事部へ異動、人材育成施策の企画・立案を担当。
600種以上の推奨資格を設定、社員のスキル習得を積極支援
──資格取得支援制度について教えてください。
鈴木 資格取得については、中期経営計画でも掲げているベンダー連携強化の一環として全社的に積極支援しています。現在、600種以上の推奨資格を社内で定め、取得者には報奨金を支給しています。難易度により金額は異なりますが、高難易度かつ注力している資格の場合は10万円以上の報奨金を設定しています。ベンダー系資格の場合は次々新しい資格が出てくるので、推奨資格は半期ごとにアップデートしています。
──社員自身が取得したい資格やスキルを選んで学べるのですね。
君和田 基本的には本人の主体的な学びを後押ししますが、ベンダー連携強化に向けて組織として取り組む側面もあるため、上司がアドバイスしてコミュニケーションを取りながら進めることも多いです。
鈴木 当社の事業形態がスクラッチ開発、つまりオーダーメイドのソフトウェア開発ではなく、グローバルなプラットフォーマーやベンダーの製品を組み合わせてソリューションを提案していきます。常に新しいものが出てきますし、事業も新しいものをどんどん取り入れていかなければなりません。そうなると社員一人ひとりが学んで身につけてもらわなければ先に進まないので、次々に新しい資格を推奨資格に設定しています。
ただし、資格取得が目的ではなくて、スキルアップになることが目的です。社員は資格取得そのものよりも自分のスキルアップや、新たな領域のソリューションを扱えるようになるためのリスキリングの観点で、資格取得に取り組んでいます。
──新卒応募者のエントリーシートにITパスポートや基本情報技術者といった取得資格が記載されていた場合、どのように評価しますか。
君和田 新卒入社の約7割が文系学部生であり、選考において資格の有無で加点することは一切していません。学生の皆さんには「未経験のゼロスタートで全然問題ない、資格は入社してから取得すればOK」と伝えています。それ以上に本人のやる気や資質、「学び続ける」姿勢、当社とのマッチ度を重視しています。重要なのは、入社後に資格取得を含めて継続的に学ぶことができる環境と本人の意志だと考えています。
資格を取得していること自体は選考結果に反映されませんが、取得していればアドバンテージになりますし、基礎知識があるぶん、面接で話が深まりやすいと思います。
──資格取得やキャリアアップをめざす読者に向けてメッセージをお願いします。
君和田 資格は必ずしも、取得してすぐに何かができるようになるものではありません。ただ、資格を取得する学びの過程で次の学びへの意欲がわいたり、先の目標ができたり、自分を高めるきっかけになると思います。学ぶ仲間ができることは成長の刺激となります。私自身、キャリアコンサルタントの資格取得中に社外に多くの仲間ができて、いまでもたくさんの刺激をもらっています。「勉強する時間が取れないから」「費用がかかるから」という理由で二の足を踏んでいる方、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
鈴木 私は元SEなのでIT系資格を20個以上取得しています。資格取得は、自分のスキルレベルが上がっていることを確認する、あるいは自分自身の成長の実感を得るために行っています。
自分がめざすものに対して、そこに行きつくために身につけなければいけないことがあれば、資格はそのマイルストーンになると思います。なりたい自分に向けた、その進捗を確認するためのものが資格です。「自分がどうなりたいか」を思い描いたうえで、資格取得をめざしてください。
[『TACNEWS』人事担当者に聞く「今、欲しい人財」|2026年2月 ]

会社概要
社名 コムチュア株式会社
設立 1985(昭和60)年1月18日
代表者 代表取締役 社長執行役員 澤田千尋
本社所在地 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー9F・15F
事業内容
クラウドソリューション事業、デジタルソリューション事業、ビジネスソリューション事業、プラットフォーム・運用サービス事業、デジタルラーニング事業
従業員数
2,050名(2025年4月1日時点、役員および派遣社員含む)
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