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公認会計士の論文式試験とは?合格率や試験対策を解説!

公認会計士の論文式試験とは?

公認会計士試験は、「短答式試験」「論文式試験」の2段階に分かれています。 そのうち二次試験の位置づけである「論文式試験」は、短答式試験に合格した人が受験可能で、1年に1回実施されます。

本記事では論文式試験の概要や合格率、対策法など、公認会計士の論文式試験に関して知っておいて欲しいことを解説するので、これから公認会計士試験を受験しようとお考えの方は是非こちらの記事を参考にしてみてください。

公認会計士の論文式試験とは?

公認会計士の論文式試験とは?

論文式試験とは例年8月に行われる記述方式の試験です。
それでは論文式試験の概要について詳しく見ていきましょう。

試験の役割と重要性

公認会計士の論文式試験は、短答式試験合格者が受験することができます。

専門的知識を体系的に理解していることを前提として、特に、受験者が思考力、判断力、応用能力、論述力等を有するかどうかに評価の重点を置き、学識及び応用能力を判定します。

実務能力の評価
論文式試験は、公認会計士としての実務適性を評価します。実際の企業事例や会計処理に関する複雑な問題が出題され、受験者はそれらを分析して論述する必要があります。公認会計士の実務に結びついた問題設定がなされていて、これにより理論だけでなく、実際の業務に適用する能力が試されます。

思考力と解決能力の評価
論文式試験は、公認会計士に必要な高度な思考力や問題解決能力を測る手段でもあります。問題文に対して、適切な法規や会計制度を適用し、解決策を考えることが求められます。

論文式試験は、公認会計士としての高度なスキルと知識を総合的に評価し、実務における問題解決能力や判断力を養うことを目的としています。
これにより、単なる知識の詰め込みではなく、実際の業務に適応するための幅広い視野と深い専門知識を身につけることが求められます。

試験の形式・受験料

公認会計士の論文式試験の試験日程は以下の通りです。
受験料は19,500円です。ただし、その年の短答式試験を受験して合格した場合は、改めて論文式試験の受験料を追加で支払う必要はありません。
(短答式試験の受験時に支払う受験料のみで良い)

(令和6年公認会計士試験の例)

論文式試験
・試験期日: 2024年8月16日~18日
・受験願書配布期間: 2024年1月12日 ~ 2月16日※
・書面による出願期限:2024年2月16日※
・インターネット出願期限: 2024年2月26日※
・合格発表: 2024年11月15日

※上記は、過去(直近2年以内)に短答式試験を合格し、論文式試験から受験する場合の出願スケジュールです。短答式試験から受験する場合は、別途、短答式試験の出願スケジュールがありますので、そちらを参照ください。

試験は年に1回実施され、論文式試験に合格することで、公認会計士試験の最終合格となります。なお、論文式試験には一部科目合格制度や科目免除制度(司法試験合格者など)も認められています。
詳細は試験実施団体(公認会計士・監査審査会)のHPで確認できます。

論文式試験の内容と過去問

論文式試験の内容と過去問

それでは論文式試験ではどのような問題が出題されるのでしょうか。
出題科目と出題形式、過去に出題された問題の傾向を確認しましょう。

試験科目と出題形式

論文式試験では、一次試験である短答式試験の受験科目(財務会計論・管理会計論・監査論・企業法)が引き続き出題されます。そして論文式試験から追加される科目として、「租税法」と「選択科目」の2科目があります。

  • 租税法

    公認会計士業務を行うために必要な、法人税法・所得税法・消費税法の計算・理論を中心に、構造的な理解が問われます。

  • 選択科目

    経営学・経済学・民法・統計学の4科目から、自分の希望する科目を選択します。9割以上の受験生は、最もボリュームの少ない経営学を選択しています。

出題形式

試験は記述式で行われ、例年は金土日の3日間ですべての科目を受験します。配点と試験時間は次の通りです。

会計学:300点(300分)※内容は財務会計論・管理会計論
監査論:100点(120分)
企業法:100点(120分)
租税法:100点(120分)
選択科目:100点(120分)

合格基準

合格基準は52%の得点比率(≒偏差値52)を基準として公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率です。ただし、1科目でも得点比率が40%に満たない科目がある場合には、不合格となることがあります(いわゆる足切り)。

過去問の例と傾向

公認会計士の論文式試験では、実務に即した問題や実際のケースを基にした論述が出題される傾向があります。
論文式試験の過去問は、試験対策において貴重な資料です。過去問を解くことで試験の出題傾向や求められるスキルを把握し、実践に備えることができます。

例えば「企業法」では、実際のケースを想定した取締役会の決議の効力や、契約書の解釈に関する論証が出題されることが多いです。
論文式試験の過去問は、試験実施団体のHPで閲覧することができます。ご興味がある方は、参考になさってください。

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論文式試験の合格率と勉強時間は?

論文式試験の合格率と勉強時間は?

合格率データ

直近3年度分の合格率は次の通りです。

論文式試験(2次試験)は合格率40%弱 ~偏差値52レベル~

答案提出者ベースの実質合格率は40%前後で、短答式試験に比べると高い合格率です。ただし、試験内容が平易である訳ではありません。受験者は短答式試験の合格者であるため、合格するためには適切な試験対策が必要です。

過去10年以上に遡って見る、論文式試験の合格率の推移は次の通りです。

                   
年度 論文式試験
合格率(実質合格率)
2010年 38.4%(未公表)
2011年 34.0%(未公表)
2012年 39.9%(未公表)
2013年 37.4%(40.0%)
2014年 37.9%(40.9%)
2015年 34.8%(38.1%)
2016年 36.3%(39.7%)
2017年 37.8%(41.4%)
2018年 35.9%(39.4%)
2019年 35.8%(39.4%)
2020年 35.9%(40.3%)
2021年 34.1%(38.7%)
2022年 35.8%(40.3%)
2023年 36.8%(41.0%)
2024年 2024年11月発表

※旧2次試験合格者(旧公認会計士試験制度等の短答式試験みなし合格者)を除いた合格率(2020年以降は含む)。
※カッコ内の合格率は、旧2次試験合格者を含む合格率で、かつ願書提出者数から欠席者数を引いた答案提出者数を母数に合格率を算出したもの。

合格までの平均勉強時間

公認会計士の論文式試験に合格するためには、一般的に1,000〜1,500時間の勉強が必要です。実際の勉強時間は個人差がありますが、過去の合格者のデータから推測される値です。この時間は、講義・問題演習・模擬試験の受験などを含みます。

相対評価の試験であるため、絶対的な勉強量に加え、受験生の中での自分の位置を把握することが重要となります。

論文式試験の効果的な勉強法・役立つ教材

論文式試験の効果的な勉強法・役立つ教材

勉強計画の立て方

公認会計士の論文式試験の勉強計画を立てる際には、効率的なスケジュールと重点的なアプローチが重要です。下記は勉強計画の立て方の一例です。ぜひ参考にしてみてください。

1.科目の優先順位を設定する:
各科目の重要度や自身の理解度に基づいて、優先順位をつけることが大切です。例えば、「会計学」や「租税法」など、受験生の実力差が付きやすい重要科目から着実に取り組みます。
他にもTACの分析データや合格者の経験談を参考に、自身の得意・不得意なども考慮して優先順位を決定しても良いでしょう。

2.定期的な復習と演習を組み込む:
学習した内容を忘れる前に、定期的な復習を取り入れましょう。例えば、週に1度の復習日を設けて答案練習や問題集を解き、各科目バランス良く知識を定着させましょう。
模擬試験を使って実際の試験と同じような状況で演習を行い、時間配分や対策を練ることも効果的です。TACが提供する模試では過去の出題傾向を反映し、実際の試験と同様の難易度の模試を提供しています。

公認会計士論文式試験の勉強計画は個々の状況に合わせて柔軟に調整することが肝要です。
予備校や資格対策スクールが提供するカリキュラムや学習サポートを活用し、効果的な勉強計画を立てましょう。

教材の選び方

公認会計士の論文式試験に備える際に、適切な教材の選定が重要です。以下は一つの参考例です。

テキスト:インプットが不足している場合、まず優先的に取り組むべき教材です。論文式試験では、論点の体系的な理解が必要となるため、学習内容に不安な論点がある場合は、まずはじめに取り組むべき教材となります。

問題集:テキストに対応する練習問題です。テキストの内容が理解できていれば、優先度は高くありません。インプット不足の論点があった場合、テキストの補完教材として活用すると良いでしょう。

答案練習:非常に重要な教材です。論文式試験は短答式試験のマークシートとは異なり、自身で解答構成を考え、答案に反映させるスキルが必要です。そのため、論文答案を書く練習を行える答練は、優先的に取り組みたい教材です。

過去問題:過去の試験問題や模擬試験の問題集は、試験の出題傾向を理解し、解答作成スキルを向上させるのに役立ちます。

論文式試験後の動き

論文式試験後の動き

合格した場合の次のステップと今後のキャリア

公認会計士論文式試験に合格した際、すぐ公認会計士を名乗れるわけではありません。公認会計士試験合格者が公認会計士として登録するには下記が必要です。

①業務補助(実務経験)3年以上
②実務補習の修了
③修了考査の合格

在学中に合格した人や監査法人で勤務経験が無い人は、まず試験合格後に監査法人に就職し、業務補助の要件を満たします。同時並行で実務補習所に3年間通い、3年目に修了考査を受験し合格することで公認会計士として登録することができます。そのため、基本的に試験合格から登録までは3年かかる計算になります。
既に監査法人等で実務経験がある人は実務補習を短縮することができます。詳しくは、会計教育研修機構のHPをご確認ください。

不合格の場合

不合格だった場合、短答式試験合格から2年以内であれば、短答式試験をパスして翌年の論文試験を受験することができます。短答式合格から2年が経過していても、再度短答式試験を受験して合格すれば、再び論文式試験を受験することができます。

前述の通り、論文式試験の合格率は約40%です。短答式試験に合格すれば、3回の論文式試験の受験チャンスが得られます。まずは1回目の論文式試験で合格を目指し、残念な結果となった場合でも諦めずに、2回目・3回目のチャンスを活かして合格を目指しましょう。

公認会計士は難関資格ではありますが、毎年1,500人前後の合格者を輩出する試験でもあります。公認会計士になりたいという強い気持ちがあるのであれば、ぜひ受験を検討してみてください。

まとめ

まとめ

公認会計士の論文式試験は、会計士資格を取得するための最終関門です。合格に向けては、計画的な勉強スケジュールの設定、適切な教材の活用、模擬試験の受験などが重要です。また、試験合格後に公認会計士として登録するにはいくつかの要件が必要です。

公認会計士資格を目指す方々にとって、TAC公認会計士講座は最適なパートナーとなります。TACは公認会計士試験のスクールとして、豊富な経験と専門知識を提供し、合格へのサポートを行っています。TACで輝かしいキャリアを築く第一歩を踏み出しましょう。

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