元公務員のTAC講師によるコラム 元外交官が解説④

◎講師紹介
横生 健(よこお けん) 講師

元官僚。外交官として、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカ他で活躍。外務、防衛の他、経済産業省、国際機関、地方自治体などの職務を経験。
現在はTAC・Wセミナーの国家総合職、外務専門職講座で面接、官庁訪問対策を中心に講師として活躍中。

 外務省に入って外交官になるのは、高度な専門家になることでもあります。具体的に見てみましょう。

言語の専門家

 総合職で入省した場合は、汎用性の高い言語を研修します。英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語です。年により朝鮮語やポルトガル語が含まれることもあります。専門職は、それらを含む40数言語から一つを習得します。自分の研修言語は、国内での研修と数年の海外研修で集中的に学び、外交官のキャリアで常に使用していきます。外国語を勉強しても使う機会がない、なんてことは外交官にはありません。


 さらに、特定言語について第一人者になるチャンスがあります。日本で最もベトナム語が出来る人になるなど。研鑽して言語能力を高めれば、首脳会談や外相会談の通訳を行うこともあります。外交の職務に従事する中で、並行して「通訳官」を任されます。
 一つの言語には限りません。外交官はいろいろな勤務地に赴任します。同じ言語の国に頻繁に行く人がいる一方で、異なる言語の国に赴任することもあります。その機会を逃さずに勉強すれば、マルチの言語能力をもつチャンスがあります。実際に、一人の外交官が、英語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語などを使いこなしている例もあります。国際会議、国際機関などでも、幅広い国の外交官と意思疎通が容易であり、力を発揮するでしょう。

国/地域の専門家

 特定言葉に精通すると、その言語の国/地域の専門家にもなります。例えば、タイ語を研修すると、タイで研修、在タイ日本国大使館で勤務、東京では在京タイ大使館の外交官と付き合うなど。その過程で、タイの政治・経済・文化などに精通することになります。こうして、有数のタイ専門家となります。

国際交渉の現場であるNYの国連ビル

 さらに、海外研修の際に知り合った同級生がタイ外務省に入り、外交の現場で出会うなど、時を越えて人的なつながりができます。同級生が、大統領や大臣になることもあるでしょう。あなたが、ある国の大統領と親しい日本の外交官になる可能性もあります。

様々な経済交渉が行われるジュネーブの国連欧州本部

 汎用性の高い言語を習得すると、専門地域が広がります。例えば、スペイン語であると、スペイン、中南米の諸国です。スペインで研修、中南米のスペイン語国に頻繁に赴任、在京のラ米大使館員と付き合う等を通じて、スペインの専門家、中南米の専門家などになる道が開けます。フランス語であれば、フランス、ベルギー、ルクセンブルク、カナダのケベック州、アフリカのフランス語圏など幅広いです。国際機関での公用語の一つとしても汎用性が高いです。


 専門性が高まると、「専門官」として認定される制度があります。アフリカ専門官、南東アジア専門官、ロシア・CIS地域専門官などとして正式に認められます。

■写真:<出典>外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/staff/expert/int03.html

事項の専門家

WTO(世界貿易機関)の協定条文(日英対訳)

 外務省には、語学や地域の専門家だけでなく、様々な事項分野を専門とする「専門官」に認定される場合もあります。

■写真:<出典>外務省HP
hhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/index.html

① 経済ルールの専門家である「経済専門官」は、貿易交渉で力を発揮します。交渉の相手は、やはり各国生え抜きの専門家たちです。それぞれが、自国の経済的利益のために真剣に交渉に望みます。普段から情報収集に努め、時には見る方向が違う国内の関係省庁の調整を行い、交渉の最前線で日本の立場を最大化するように激論を交わします。

② 「軍縮・不拡散専門官」は、核を含む軍縮分野の専門家として活躍します。例えば、研修先の大学で不拡散を研究し、長く軍縮不拡散に関した業務に従事するなどの経験を踏まえ、知見と能力が認められて専門官として認定されます。この分野で、日本は現実的アプローチをとっています。理想的アプローチをとる国家群とも連携しながら、理想を唱えるだけでなく、実質的に軍縮不拡散を進めるべく世界をリードするわけです。

③ ロシアのウクライナ侵攻は食糧とエネルギーの価格高騰を招きました。「エネルギー安全保障専門官」もいますので、今は大活躍の時期でしょう。

④ それ以外にも、海外の邦人援護の知見に富んだ「領事専門官」が認定されている例もあります。海外で活躍する日本の方を保護して支援するのは極めて重要な仕事です。

 専門官に至るために、夫々が努力と経験を積み重ねています。大学時代の学業、研究の経験を生かす人もいます。各分野の専門的な組織に勤務した後で、外務省に中途入省した人もいます。引き続いて、外務省で研鑽に励み、外交の現場を経験して「専門官」になっています。入省前の専門を生かすのもよし、入省後に研鑽を積むのもよし、様々な専門家になる道は常に開けています。

リスボン旧市街

 研修制度が充実している、専門の仕事を任される機会が多い、その分野の最前線に立つことになる等の多様なチャンスがあります。皆さんには、これらのチャンスを生かして、日本有数の専門家になっていただきたいです。

■写真:<出典>外務省HP
https://www.mofa.go.jp/mofaj/p_pd/dpr/page22_001234.html

外交官になるためには国家総合職と
外務省専門職の2つの道があります。
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