社会人経験を活かして民間から公務員へ転職! 民間経験者採用(社会人採用)試験で公務員になるには?

民間経験者採用(社会人採用)とは

安定していて長く続けられる仕事に転職したい・・・。そんな時、気になるのが「公務員の社会人採用」。特別な経験がないと受験できない?この年齢じゃ無理?試験勉強は難しくて時間がかかる?このページでは、公務員の社会人採用(民間経験者採用)試験について、概要から対策のポイントまで詳しくご紹介します。
※地方上級・市役所行政職の一般的な経験者採用試験について解説しています。

公務員への転職について詳しく知りたい方は!

民間経験者採用(社会人採用)試験とは?

公務員の民間経験者採用(社会人採用)試験とは、複雑化する行政課題に対応するために幅広い経験や多角的な視点を持った人材を採用するために、民間企業等での職務経験を一定年数有する人を対象とした採用試験で、「社会人採用試験」「民間企業等職務経験者採用試験」など名称はさまざまです。

ここがポイント

  • 近年では、都道府県や政令市の多くが民間企業等での経験者の採用を強化しており、受験可能な年齢の上限も引き上げられる傾向にあります。これまでの社会人経験を活かした公務員への転職のチャンスがどんどん拡大しています。

社会人が公務員になる2つの方法!

社会人枠の採用試験 一般枠の大卒程度試験
対象者名称は様々だが、民間企業等での職務経験がある方を対象とした試験。一般枠の大卒程度試験にくらべると、募集される試験区分・募集人数は限定されるが、新卒者ではなく専門知識・技能を備えた即戦力がもとめられている。 一般枠の大卒程度試験は大学の新卒者だけでなく、年齢要件を満たす新卒者・既卒者・社会人を対象とした公務員試験。近年、年齢要件を引き上げる試験が増加傾向にあり、幅広く様々な経験を持つ人材が求められている。
受験資格 年齢要件+社会人経験年数+α
社会人経験年数は、5年前後の試験が多い。

例:昭和○○年4月2日~平成××年4月1日までに生まれた人で、民間経験等における業務従事歴が、○年以上(令和△△年○月○日現在)ある人
概ね年齢要件のみ。
年齢上限は27歳~35歳が多く、59歳まで受験可能な試験も存在する。

例:昭和○○年4月2日~平成××年4月1日までに生まれた人
試験形式 【1次試験】
教養択一・論文(課題式・職務経歴・経験論文)など
【2次試験】
個別面接 など
【1次試験実施時期】
自治体により異なるが、9月実施が多い
【1次試験】
教養択一・専門択一・論文(課題式)など
【2次試験】
個別面接・集団面接・集団討論 など
【1次試験実施時期】
例年、5月~9月の日曜日 など
メリット ●社会人経験があることを前提にしているので、一般枠と比べると筆記試験のウエートが軽い
●自分の職務経験で採用担当者にアピールできる機会が多い
●試験が秋頃に設定されていることが多いので、対策を講じやすい
●ほとんどの自治体で実施あり
●同じ自治体で比較すると、経験者採用試験より採用予定数は多い
●新卒も受験対象に含んだ採用試験のため、面接等では社会人経験があると対策は講じやすい
デメリット ●実施なしの自治体が存在する
●同じ自治体で比較すると、一般枠の方が採用数が多いため、倍率は高くなりやすい
●筆記試験対策に十分な時間を要する
●専門試験を課させる試験種が存在する

ここがポイント

  • 経験者採用試験 = 教養試験と論文の対策で受験可能だが、試験の結果+αの評価次第
  • 一般枠の大卒程度試験 = 専門試験も含めた対策が必要だが、計算のできる公務員試験

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決して高くない受験資格のハードル

公務員と民間の採用試験の最も大きな違いは、「門前払いをされない」という点かもしれません。民間企業への転職活動では、応募しても書類選考になかなか通らず、「年齢?性別?職務経歴のせい?」などと原因も分からずやもやすることも。
民間経験者採用(社会人採用)試験では、年齢要件以外に一定の業務従事年数が受験資格として必要になりますが、受験資格があれば誰でも平等に選考の土俵に乗ることができます。
受験資格も決してハードルの高いものではなく、自治体によってはアルバイトやパートタイマーとしての業務従事年数を合算できる場合もあります。また、受験できる年齢の上限も緩和傾向にあり、なんと59歳まで受験できる自治体も。
まずは人事院や気になる自治体の試験案内をチェックしてみましょう。

意外と高くない受験のハードル

例:横浜市(令和5年度社会人採用試験)の必要業務従事年数

民間企業等における職務経験を平成28年7月1日から令和5年6月30日までの間に5年以上有する人

職務経験について

  • 「民間企業等における職務経験」には、会社員、自営業者、アルバイト、パートタイマー、公務員等としての経験が該当します。また、財団法人、社団法人、NPO法人等の経験も含まれます。
  • 「5年以上」とは、それぞれの企業・団体等で休憩時間を除き、週30時間以上の勤務を2年以上継続し、これらの経験が通算で5年以上であることを要します(同時期に複数の企業・団体等に勤務していた場合は、労働契約の相手方が同一である場合を除き、いずれか一方の勤務期間のみを職務経験とします。)。

高い?低い?民間経験者採用(社会人採用)試験の倍率

民間経験者(社会人)枠の採用は、一般枠の大卒程度試験に比べれば採用人数は多くないため、倍率は高くなる傾向にあります。とはいえ、筆記試験の倍率は5倍前後ですので、適切な対策をすれば充分に合格に手が届く倍率です。
また、試験は教養試験・論文試験・面接試験が中心となり、専門試験が課されるケースは少ないため、比較的短期間の学習でも合格レベルを目指せます。

令和5年度・令和4年度 民間経験者採用試験実施結果

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一般的な民間経験者採用(社会人採用)試験の流れ

出願から最終合格まで

出願

  • 受験資格を満たしていて、試験の実施日程が別であれば、併願も可能です。

同じ自治体の一般枠の大卒程度試験と、経験者試験の両方の受験資格を満たしている場合、試験の実施日程が別であっても併願を禁じていたり、年齢要件でどちらか一方のみが対象となるケースも多いので、出願前に受験要項等でご確認ください。

1次試験(筆記)

  • 教養択一試験

公務員試験特有の一般知能分野(数的処理・文章理解など)と、中学・高校時代の学習内容が中心となる一般知識分野(歴史・生物・化学など)が出題されます。
民間経験者採用(社会人採用)試験では、教養択一試験の配点比率が低いケースもありますが、1次試験突破のカギになるのはもちろん、最終合格者を決める際の総合成績にも影響してきますので、適切な対策が必要となります。出題科目や出題レベルは各自治体の一般枠の大卒程度試験に準じていますが、中には出題レベルを高卒程度と明記している試験もありますので、その場合は高卒程度試験の対策で対応できます。

  • 論文試験

一般的な課題について、受験者の考えを論述します。民間経験者採用試験では、一般的に『職務経験論文』と一般課題式論文の両方またはどちらかが出題されます。

2次試験(人物)

  • 個別面接・集団討論など

約20~30分で主に志望動機や自己PRなどの一般的な質問がなされる個別面接のほかに、プレゼン形式・事例形式の面接、集団討論が実施されるケースもあります。
自治体により、2次試験で論文試験や適性検査が課されるケースや、3次試験でさらに面接が実施されるケースもありますので、必ず最新の受験要項等でご確認ください。

最終合格(採用)

  • 採用候補者名簿登載 ~ 採用内定

筆記試験と人物試験の結果を点数化し、主にその合計点により公平公正に最終合格者が決定され、成績順に採用候補者名簿に登載されます。
合格から採用内定までの流れは自治体や試験区分等により異なります。最新の募集要項等でご確認ください。

勉強法や対策のポイント

教養択一試験

経験者採用試験における筆記試験は、一般枠の試験と比べるとウエートが軽いことが多いですが、倍率の高い経験者採用枠においてはここでしっかりと得点できればライバルに差をつけることも可能です。教養択一試験の対策は、基本的には一般枠の大卒程度試験の対策と同じです。
詳しくは以下のリンクからご確認ください。

リンク先のページは一般枠の大卒程度試験を前提とした内容となっています。

職務経験論文/一般論文(課題式)

職務経験論文テーマ例<特別区(東京23区)>

<令和4年度>
職場の活性化について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。
※採用区分とは、1級職は係員の業務を行う職、2級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、3級職(係長級)は係長、担当係長、 主査又はこれに相当する職とする。
(1,200字~1,500字程度/解答時間90分)

<令和5年度>
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、 あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください
※採用区分とは1級職は係員の業務を行う職、2級職(主任)は係長職への昇任を前提とした係長職を補佐する職、3級職(係長級)は係長、担当係長、主査またはこれに相当する職とする。
(1,200字~1,500字程度/解答時間90分)

課題式論文テーマ例<特別区(東京23区)>

<令和元年度>2題中1題を選択すること。
1 地域コミュニティの活性化について
2 組織力の向上について
(1,200字~1,500字程度/解答時間90分)

<令和5年度>2題中1題を選択すること。
1 図書館機能の充実について
2 これからのイベント実施のあり方について
(1,200字~1,500字程度/解答時間90分)

ポイント

民間経験者採用(社会人採用)試験と特徴である職務経験論文は、『民間での経験を公務にどのように活かせるか』、これをしっかり提案できるかどうかがポイントとなります。
また、特に「経験を踏まえて」と明確に指示されていない課題式論文においても、課題に対するある程度の基礎知識も必要ですが、社会人らしい問題意識や民間の感覚をもとに「職務経験」を織り込んで説得力のある論文を書くことがポイントとなります。
たくさんのテーマについて練習することも大事ですが、論文を書き上げたら必ず添削を受けて書き直し、実力を高めていきましょう。
そして論文を組み立てる際、社会人の方は手書きよりもパソコンを使った方が時間を短縮できるという方が多くいらっしゃいます。学習中はうまく活用して効率的に進めてもかまいませんが、実際の試験では時間内に「手書き」で書く必要がありますので、まとまった時間を確保できる時には、手書きで論文を仕上げる練習もしておきましょう。



他にもこんなテーマで出題されております(出題例)

■横浜市

<令和4年度>
現在、私たちの暮らしのあらゆる場面においてデジタル化が浸透しており、行政手続きにおいても、より快適なサービスが求められています。このような社会情勢の中、デジタル化の推進に向けて横浜市が取り組むべきことは何か、また、これまでの経験をどのように生かせるか、あなたの考えを述べなさい。

<令和5年度>
横浜市では、世帯構造の変化(世帯の縮小化)、地域のつながりの希薄化等により、社会的孤立や様々な課題を複合的に抱える世帯が今後増えていくころが予想されます。支援が必要な人を早期に発見し適切な支援につなげられるよう、生活課題や地域課題の把握・解決の仕組みづくり、体制づくりを一層推進していくことが必要となっています。そこで、この仕組みづくり、体制づくりを推進していくために、行政としてどのような取組が求められているのか、またこれまでのあなたの経験をどのように生かすことができるか、述べなさい。


■千葉市

<令和3年度>
これまでの職務経験の中で、あなた独自の経験だと言えることについて述べるとともに、その経験を通じて得たことを千葉市政にどう活かせるか具体的に述べなさい。

<令和4年度>
あなたが千葉市職員として採用された場合、千葉市のどのような課題の解決に貢献できますか。これまでの職務経験を通し、あなたが培ってきた能力・技術を交えて述べなさい。


■さいたま市

<令和3年度>
多様化する市民のニーズに対応するため、市民サービスや行政の生産性向上に努める必要がある。 あなたの職務経験において生産性を向上させたことを述べ、その経験をさいたま市職員としてどの ように生かすか述べなさい。

<令和4年度>
さいたま市が持続可能な成長・発展を続けていくためには、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念のもとに、直面する課題に迅速かつ的確に対応していく必要があります。本市が直面する課題は何か述べた上で、誰一人取り残さない地域社会の実現のため、あなたの職務経験や知識・能力を生かして、どのような取組ができるか述べなさい。

職務経験面接

民間企業等の経験者を採用する目的は?

各自治体が抱える複雑化する行政課題に対応するために民間企業等での有用な経験を持つ人材を、幅広い年代層において確保したい、というのが民間経験者採用(社会人採用)の基本的な目的です。

ポイント

面接では職務経験論文と同じく、「民間企業等で培ってきた経験やスキルがどういうものであるか」「それを公務員の仕事にどのように活かすことができるのか」を説得力を持って伝えることがポイントとなります。併せて、各自治体が期待する職員像とマッチするか、公務員としての高い倫理観を持っているかということも問われます。

民間経験者採用(社会人採用)試験では、配点が公表されていなくても例外なく面接が重視されています。
志望理由や転職理由は「前向きに」、これまでの経験を活かして「職場で実際に活躍する姿」を面接官に想像させられるか、最終的に「一緒に働きたい」と思ってもらえることが目標であること、など、公務員でなくても転職における面接の基本は同じですが、面接で話す内容をしっかり準備することが必要です。

これまでの職務経験を自分なりにしっかりと掘り下げること、その経験を各自治体が抱える行政課題にどのように活かしていけるのかを考えること、また、「公務員」の仕事や期待される人物像を知ることや、受験先の自治体の政策を研究することも必要となります。
準備ができたら、実際に模擬面接を受けて客観的に評価してもらうことが必要です。人と話すことが得意だとしても、面接試験は別物です。どんなに熱い想いを持っていても、素晴らしい経験を持っていても、伝わらなければ合格できませんので、気を抜かずに対策しておきましょう。

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