LET'S GO TO THE NEXT STAGE 資格で開いた「未来への扉」 #05

  
Profile

春原 誠氏

大手食品メーカー経理部勤務
中小企業診断士

大学在学中に挑戦した「中小企業診断士」の資格は、就職活動で希望の会社の 内定を得るための大きな強みとなった。
叶えたい目標も抱きつつ、身につけた知識を活かして日々の業務を全うする。

【春原氏の経歴】

2012年 20歳 大学1年時、日商簿記2級・3級、およびビジネス会計検定試験®2級・3級に合格。BATIC(国際会計検定)®Subject1で400点/400点。
2014年 22歳 大学3年時、中小企業診断士1次試験に合格。
2015年 23歳 大学4年時、中小企業診断士2次試験に合格。BATIC(国際会計検定)®Subject2で957点/1000点(※Subject1との合計)。
2016年 24歳 大手食品メーカーの経理部門に配属。
2017年 25歳 実務補習を経て、中小企業診断士に登録を果たす。

大学在学中に挑戦した「中小企業診断士」の資格は、就職活動で希望の会社の内定を得るための大きな強みとなった。
叶えたい目標も抱きつつ、身につけた知識を活かして日々の業務を全うする。

経営コンサルタントの国家資格として、ビジネスパーソンに人気の「中小企業診断士」。
社会人がめざすことが多いこの資格に、春原誠さんは大学在学中に挑戦し、見事に試験を突破しました。資格取得への道のりや思いをうかがいました。

将来は企業経営に携わりたい

 高校生のころから「経営」に興味を持っていた春原さんは、大学で商学部経営学科に入学後、経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」のなかでも「カネ」の分野に着目して、勉強を進めます。大学1年時から、日商簿記2級・3級、ビジネス会計検定試験®2級・3級、BATIC(国際会計検定)🄬などに挑戦しました。
 「会計を入り口として、将来は企業経営に携わりたい、という思いがあったんです。とくに簿記は、どの資格を取得するにしても基本となるので、必須と考えていました。BATIC®については、いずれ国際財務報告基準(IFRS)が日本でもスタンダードになることを見据え、挑戦しました」
 一方では、企業経営に携わりたいという目標を叶えるには、会計以外にどんな知識が必要か考えたと言います。
 「社会の仕組みをもっと知る必要がありました。それならば、社会人がめざすような資格を勉強したらよいのではないか、と。それが、中小企業診断士の資格取得をめざしたきっかけです。社会に認められている国家資格であれば、就職活動に役立つかもしれないとも考えました」
 TACの授業には予習して臨み、帰宅後は復習に時間を割くなど、1日平均3~4時間は資格の勉強にあてました。その結果、大学2年の夏に3科目、大学3年の夏に4科目に合格し、1次試験7科目を突破。しかし、2次試験の対策には十分な勉強時間がとれず、一度目の挑戦は不本意な結果に終わってしまいました。
 その通知を受けたのは、大学3年の12月。まさに、就職活動が始まる時期です。「就職活動前には2次試験に合格する計画で進めてきたので、ここで崩れてしまったのは少し残念でした」。しかし、1次試験に合格したことを人事の担当者に話すと、アピールにつながりました。
 「社会人には認知度の高い資格ですので、1次試験の難易度の高さを知る方からは、評価された印象を受けます。特に高く評価してくれたのが、今勤めている会社です。面接では『将来は企業経営に携わりたい』という目標や、そのために中小企業診断士の資格取得や会計関連の資格に挑戦したことを話したところ、好意的に受け止めてくれて、希望する部署で内定をいただきました。それも、資格のおかげでしょう」
 2次試験にはその後、再び挑戦しました。そして大学4年の12月、見事に合格を手にしたのです。

資格で人生の可能性が拡がった

 春原さんは入社後、大手食品メーカーで経理を担当しています。日々の業務には簿記やBATIC®などの専門的な会計の知識はもちろん、中小企業診断士の勉強で学んだことも生かされています。
 「例えば、会計監査対応で公認会計士の方の質問に答える場面では、工場や営業の担当者への確認が必要となり電話をすると、その部署では当たり前に使っている専門的な言葉で説明されることも多々あります。そんな場合も、中小企業診断士で学んだ知識があれば、どんな用語でもある程度は理解でき、円滑にコミュニケーションがとれる。中小企業診断士の学習で学んだことは、社会人が備えておくべき基礎的な知識も多い。そういうところも、仕事に役立つ点です」
 また、春原さんは「中小企業診断士の勉強は企業経営を体系立てて学べて、経営者の視点を持つことができることも魅力です。社会人の皆さんはぜひ取り組んでみては」と語ります。
 「経営者の視点は、普段の仕事を進めるうえでも役に立ちます。例えば、仕事中に部署間で意見が衝突する場合、お互いの部署や相手の状況がわからないことが原因となって起こることがよくあると思います。でも、経営者の視点を持つと、自分や自分の部署だけでなく、広い視野で物事を考えられるようになる。俯瞰して見るから、相手の置かれている状況や立場を理解し、分かり合える。視野を広げる意味でも、よい勉強になるのではないでしょうか」
 春原さんは「いずれ経営戦略に携わる部署で活躍し、会社に貢献したい」という思いを、今も変わらずに抱き続けています。
 「中小企業診断士に興味を持ち、資格取得に向けてまっしぐらに勉強できたのも、この思いがあったから。現在、社外では東京都中小企業診断士協会に所属て、2つの研究会に入り、毎月の定例会で実務的な勉強を続けています。社内に関しても、希望する部署に配属されるチャンスがあれば、『企業内診断士』として、持てる力を発揮できたらなと思います」
 もっとも、経理の仕事は好きで「今後は仕事に活かせるよう、簿記1級などの資格取得にも挑戦したい」と意気込んでいます。
 「大学在学中に挑戦した資格によって、就職活動でも自分に合った会社に巡り合えたのだと思います。将来のキャリアプランも描きやすくなり、人生の可能性が拡がりました」

[TACNEWS 2019年1月号|連載|資格で開いた「未来への扉」]