特集 さらばストレス!
集中力を高めるためのリラックス方法はコレだ

質の良いリラックスを求めるならまず“ストレス”と向き合うことが大事

 日々の生活で誰しもが感じるストレス。通学や通勤の満員電車、学校や職場での人間関係、将来のことを考えたときなど、現代人はさまざまな場面でストレスにさらされている。厚生労働省の国民生活基礎調査(下表参照)では、日本人のストレスの原因で最も多いのはお金に関すること。次いで病気、人間関係と続いている。もちろん年齢や性別によってストレスの内容は違ってくるが、大きく分けると、お金、病気、人間関係が日本人が最もストレスを感じる原因のようだ。
 ストレスを減らすためには、これらの原因と向き合い、解決策を見つけることが大事だが、なかなかすぐに解決というわけにはいかない。それでもストレスを感じ続けていては精神的にも身体的にも良くないので、日々の生活の中で、少しでもリラックスすることが重要だ。根本的な問題の解決とはいかなくても、リラックスすることで物事はいい方向に進んでいくはず。
 日々の生活の中で、ストレスを感じているなと思ったら、イライラしながら無理して突っ走らずに、少し立ち止まりたい。そしてこの特集で紹介しているようなリラックス方法を試してみよう。自分に合った方法を見つけて、リラックスできるパターンを作れば、集中力も高まって、勉強や仕事もはかどるはずだ。

日本人の悩みやストレスの原因

ストレスは人間になくてはならないもので、すべてが有害というわけではない。適度に感じるストレスは、気が引き締まって、心地良い緊張感となり、勉強や仕事の効率が上がる場合も多い。だが、ストレスがたまってしまうと、自律神経が影響を受け、脳や身体はベストの動きができなくなってしまう。リラックスして自律神経を整え、気持ちを落ち着かせることが、集中力を高めるためには重要なのだ。

ストレスがたまると…
・記憶力が低下する
・体調が悪くなる
・イライラしてしまう

リラックスできると…
・頭がスッキリする
・気持ちが落ち着いている
・思考力が高まる

ストレスの影響を受ける自律神経は交感神経と副交感神経のバランスが大事
自律神経とは呼吸器、循環器など、生きるために必要な機能を無意識に調整してくれる神経。そのうちの交感神経は活動時に働き、副交感神経は安静時に働く。ストレスを受けるとこのバランスが崩れるので、リラックスして自律神経を整えることが大事だ。

オンとオフを切り替えてバランスの良い生活を送ろう!

一般的に交感神経は運動など、興奮状態にあるときに活性化する。逆に副交感神経は食事や睡眠など、心身が落ち着いているときに働き、身体のメンテナンスをしてくれる。交感神経が活発化したあとは、副交感神経が優位になってバランスをとっている。ストレスによって、このバランスを崩さないためにはオンとオフの切り替えが必要だ。集中して勉強や仕事をしたら適度に休憩をとる、疲れた日はゆっくり睡眠をとるなどしよう。できるだけメリハリのある生活を送るように心がけたい。

自分に合ったリラックス方法を見つけよう!
PART1 職場や学校で気軽にトライ

●体を動かしてリラックス●

仕事や勉強に集中しすぎて、いつの間にか思ったより時間が経っていたり、逆になかなかやる気が起きずに、だらだらと時間が過ぎてしまったりという経験は誰にもあるはず。机にずっと同じ姿勢で座っていると、なかなか効率的な仕事や勉強はできないので、少し体を動かしてリラックスしよう。ここでは学校や職場の座席でも簡単にできる軽いストレッチなどを紹介。

肩を上げ下げし、首を回す
両肩を上下に動かす。リズム良く何度も繰り返したり、肩を上げてから少し止めて、息を吐きながら力を抜いてストンと落とす動作を取り入れるのも効果的だ。また、首を回すときはグルグル何度も回すのは良くない。呼吸しながら、力を抜いてゆっくりと、左右に数回だけ回そう。

背筋を伸ばして、深呼吸
背筋を伸ばすときは、頭の上で両手を組んで、上に伸ばしながら、胸を張る。伸ばした状態で、左右に体を傾けたり、ゆっくりと回すと、体がほぐれる。また、深呼吸は、鼻から大きくゆっくり吸って、口からゆっくり吐き出すのが基本。吸い込んだとき、少し息を止めるのがポイントだ。

●飲み物や食べ物でリラックス●
自分の好きな飲み物や食べ物でひと息つくのは、最も手軽で効果的なリラックス方法。適度に熱いものや冷たいものは、胃腸に良くないので、適度な温度のものをとるようにしよう。飲み過ぎや食べ過ぎは逆効果なので、適量にすることも重要だ。学校や職場の環境によっては、ペットボトルや水筒、お菓子などをカバンに入れておき、いつでも取り出せるようにしておくと良い。

ハーブティの香りはリラックス効果が高い
緑茶、コーヒーなどがリラックスタイムの定番だが、おすすめはハーブティーだ。ハーブの香りには癒し効果がある。また、ラベンダーやカモミールなど多くのハーブには鎮静作用があり、緊張やイライラを鎮めてくれる効果が期待できるのだ。温かいハーブティーでリフレッシュしよう。

ガムを噛むと集中力がアップしやすい
スポーツ選手などでよく見かけるが、ガムを噛むと集中力がアップすると言われている。噛むことが刺激となり脳への血流が増え、頭の回転が良くなり、勉強や仕事もはかどるのだ。ただ、場所や状況によっては、不謹慎と見られる場合もあるので、ガムを噛む際はTPOをわきまえよう。

●ツボを押してリラックス●
科学的な実証がすべてされたわけではないが、東洋医学のツボ押しはリラックス効果があると言わている。ツボの場所がわからない人も多いと思うが、下記を参考にして、リラックス効果のあるツボ押しにチャレンジしてほしい。ツボは体中のいたるところにあるが、手や顔、頭などのツボは、職場や学校でも手軽に押すことができる。ツボは、あまり力を入れてグイグイ押すと、痛くなってしまう場合もあるので、適度な力で、ゆっくりと押そう。きっと、どこかに自分がリラックスできるツボがあるはずだ。

手のツボ(手のひら)
手首の内側、横じわの小指側の少しくぼんだ場所にある「神門(しんもん)」は、神経の高ぶりや興奮を抑えてくれる働きがある。中指の指先に近い方の関節中央に位置する「心穴(しんけつ)」、手のひらの中央にある「手心(しゅしん)」は、イライラした気分を鎮めてくれる効果がある。

手のツボ(手の甲)
中指爪の生え際の人差し指側にある「中衝(ちゅうしょう)」は、心臓の働きと密接な関係があるツボで、刺激すると血液の循環がよくなり、心が安定する。小指爪の生え際の薬指側にある「少衝(しょうしょう)」もイライラ解消に効果的で、親指の付け根下にある「合谷(ごうこく)」は万能ツボと呼ばれる。

頭のツボ
頭の頂上で、左右の耳の上の先端を結んだ線の中央にある
「百会(ひゃくえ)」は、気分が落ち着き、安眠効果もある。眉毛の上2センチほどの、瞳孔のライン上にある「陽白(ようはく)」は、眼精疲労に効き、目がすっきりすることで、頭の中がパッと明るくなり、気分転換に最適。

足のツボ
土踏まずのやや上の中央、足の指を曲げてへこんだところにある「湧泉(ゆうせん)」は、疲労回復効果が高い。疲れてすっきりしたいときにおすすめで、やる気が湧いてくる。自分で押しにくい場合は、ゴルフボールや青竹を踏んで押しても同様の効果がある。

自分に合ったリラックス方法を見つけよう!
PART2 自宅でじっくりトライ

音楽でリラックス
■ 落ち着いた曲を聴いて癒されよう
自分の好きな曲では興奮してしまう場合もあるので、クラシックやヒーリングミュージックを聴いて落ち着くことも試してみよう。マルコニ・ユニオン作曲の「Weightless(無重力)」という曲は、マインドラボ研究機関により、世界一リラックスできる曲と認定されている。

CHECK!
・モーツァルトは癒し効果の定番
・世界一リラックスできる曲は「Weightless」
・川のせせらぎなど自然音も効果あり

アロマでリラックス
■ 目的別に香りを選んで楽しもう
アロマオイルの香りは、心身ともにリラックスさせてくれる。ラベンダーは鎮静作用に優れており、緊張がほぐれる。オレンジは心が落ち着き、前向きな気持ちになれる。集中力を高めたいときは、ペパーミントやローズマリーなど刺激的な香りがおすすめ。

CHECK!
・緊張をほぐしたいときはラベンダーなど
・気持ちを落ち着かせたいときはオレンジなど
・集中力を高めたいときはペパーミントなど

入浴でリラックス
■ ぬるめのお湯で至福のひと時を
一日の終わりに入浴するのは至福のリラックスタイム。38~40℃くらいの少しぬるめのお湯に、ゆっくり浸かれば疲労回復効果も高い。入浴剤やアロマオイルなどを入れて香りでもリラックス効果を高めれば、入浴後はぐっすり眠れてリフレッシュできる。

CHECK!
・38~40℃のぬるめのお湯が効果的
・入浴剤やアロマオイルなどを入れて香りでもリラックス
・半身浴なら長い時間の入浴も可能で効果が高い

自分の『ルーティン』を持とう!
■ 勉強や仕事などをする前の一連の流れや動作を決めておこう
近年スポーツ選手で話題となり注目を集めているルーティンは、決められた一連の動作をすることでリラックスし、集中力を高める効果があるので、自分でも何かをする前に、決まったルーティンを持っておきたい。勉強や仕事をする前に、「筆記用具を決まった場所に置く」、「決まった飲み物を飲む」など、自分のルーティンを決めておけば、忙しいときでもリラックスして集中力が高まり、勉強や仕事の成果も上がりそうだ。

スポーツ選手の主なルーティン
・イチロー(メジャーリーガー)
打席に入る前に、屈伸運動をし、バットを回し、ユニフォームの袖を引っ張り、バットを立てて投手との距離感を測るなど、十数種のルーティンを毎打席繰り返し、日米通算4300安打以上を積み重ねた。
・五郎丸 歩(ラグビー選手)
ボールを蹴る前に、かがむようにお尻を突き出し、両手を合わせて人差し指を立てる、いわゆる「五郎丸ポーズ」と呼ばれるルーティンは、昨年のワールドカップで有名になり、真似をする人が続出した。
・内村 航平(体操選手)
リオ五輪で団体と個人総合の金メダルに輝いた内村航平。跳馬を跳ぶ前に行う、両手を前方に伸ばして、上下に数回クロスさせるルーティンは、跳馬の正面に正確に向いているかを確認していると言われている。

リラックスパターンを確立し年末の忙しさを乗り切ろう!
今回の特集では、簡単にできる軽い運動から、自分で一連の動作を決めるルーティンまで、さまざまなリラックス方法を紹介。自分に合ったリラックス方法を見つけ、時と場所によってパターンを確立できれば、ストレスもやわらぎ、日々の生活も豊かになるはず。いろいろと忙しくなってくる師走こそ、勉強や仕事に集中して臨めるように、リラックスする時間も大切にしよう!