特集 「働き方改革」でニーズが高まる社会保険労務士の仕事

堀  拓磨氏
Profile

堀 拓磨氏

千代田社労士事務センター代表
特定社会保険労務士

堀 拓磨(ほり たくま)
1997年、東洋大学法学部卒業。卒業後は自動車部品メーカーへ入社、営業職として勤務する。2005年退社し、同年社会保険労務士の資格を取得。都内の大手社会保険労務士法人で実務経験を積んだ後、2013年に独立開業。現在は社会保険労務士業務の傍ら、産業カウンセラー養成講座や職業紹介責任者講習などで講師も務める。

 「10年後、20年後も、今の会社で同じように働いていられるだろうか」――。現在、社会保険労務士として活躍中の堀 拓磨氏は、そんな疑問から資格取得を考えたという。会社を辞めて試験勉強に専念し、社会保険労務士の資格を取得。大手の社会保険労務士事務所へ入り役員待遇にまでなるが、社労士として現場で働くことにこだわり、独立開業の道を選んだ。「働き方改革が叫ばれるなど、労働環境が目まぐるしく変化する今、社会保険労務士はニーズが高まっている資格です」という堀氏に、社会保険労務士という仕事の魅力とやりがいを聞いた。

どこに行っても使える知識を身につけたい

──堀先生は企業勤務を経たのちに社会保険労務士(以下、社労士)をめざされたそうですが、キャリアプランとして最初から資格取得を考えていたのでしょうか。

 大学を卒業して自動車部品メーカーへ入社しましたが、入社当初はその会社でずっと働くつもりでいました。自動車部品メーカーというのは、自動車メーカーから「こういう部品を作ってほしい」と依頼されて部品を製造します。開発という企業秘密に関わることですから、この自動車メーカーの部品を作るのはこの部品メーカー、と系列ができている世界です。ところが当時は、各自動車メーカーが技術提携や合併をする再編が盛んに行われていた時期。A社がB社を吸収したら、もともとB社の部品を作っていたメーカーがその後も使われるかどうかは全くわからない状況でした。さらに日本の自動車メーカーがこぞって中国、タイ、ベトナムなど海外へ工場を移転していました。そんな状況だったので、「10年後、20年後もこの会社で同じように働いていられるのだろうか」という不安がありました。

──その不安から「資格を取る」という選択になったのですね。

 クライアントの都合によって自分が左右されるのではなく、自分自身がどの会社に行っても使えるような知識を身につけて、それを活かした仕事に就きたいと思いました。20代の頃に漠然と資格取得を考え始めて、30代になって実際に行動に移した感じです。

──さまざまな資格がある中で、社労士を選んだのはなぜですか。

 自動車部品メーカーの営業職は、現場に入る機会も少なくありません。その中で、作業効率を考えた人員配置や、コストを計算したワークスケジュールの組み方に興味を感じるようになったことが理由です。製造業の中でも自動車部品というのは、コストにとても厳しいのです。1個のパーツをどれだけ安く作れるか、「円」単位ではなく「銭」単位で価格交渉をする世界です。既製の部品を売るのではなく、クライアント側の仕様が決まっていて、その規定の性能を備えた部品をいくらで売るか、という商談になりますから、営業担当は「どうしてこの価格になるのか」という話を、部品の作り方を含めた原価から説明できないと話にならない。工場を回って製造過程を見ると、現場の方々は本当に良くやっていました。ベテラン社員、パートタイマー、外国人などを適材適所に配置して、3交代勤務で現場は回っています。その人員配置が、コストを左右する重要なポイントになるのです。
 個人の能力によってできる作業に差があるし、資格を持っている人でないとできない作業もある。多様な作業と人員を効率良く組み合わせて、いかに低コストで良い製品を作るかを考える。そういう「人」の動かし方をおもしろく感じていました。だから資格を取ろうと思った時も、「人」の働き方に関する仕事をしたいと考えました。そして一番ベストだと思ったのが、社労士の資格だったのです。

──職場での経験から社務士に目標を定めたのですね。営業職として働きながらの勉強は大変だったのではないですか。

 2004年8月に一度社労士の試験に挑戦したのですが、この時は不合格になっています。学習時間を確保するのが本当に大変でしたね。営業職ですから得意先ありきのスケジュールになりますし、飲みに行く機会も多い。それも「今日行くぞ」と言われたら行く、みたいな世界ですから。
 学校を卒業してすぐ社労士の資格を取るという人は少ないと思います。何らかの仕事に就いて、働きながら資格をめざす方が多い。そうなると、いかに勉強時間を確保するかが大きな問題になると思います。私の場合は両立が難しかったので、会社を辞めて試験勉強に専念することにしました。

──当時すでに結婚なさっていますが、奥様には反対されませんでしたか。

 反対はなかったですね。妻には「いいんじゃない? がんばれば」と言ってもらえました。ありがたかったけれど、それが逆にプレッシャーで(笑)。これは絶対合格しなければいけないと思いました。

編み出した独自の勉強法

──会社を辞めて「背水の陣」で勉強に専念した堀先生は、どのように勉強を進めたのでしょうか。

 2004年の時に受験指導校へ通って講義はひと通り受けていたので、その時のテキストを使って勉強しました。毎日近所の図書館へ通い、朝から晩まで勉強しましたね。
 知識を頭に入れるには、「暗記」と「理解」の両方が必要ですよね。とにかく私は覚えるべきことは全部覚えてしまおうと、市販されている赤と緑の暗記ペンを使ってテキストの文章を穴埋めの形にしました。選択式の試験を常にやっているような状態ですね。穴埋めをチェックしながらテキストを頭からひと通り読んでいくということを繰り返して、知識が頭に入ってきたと感じられたのは、テキストを全部読み始めてから5周目ですね。
 5周目まではやってもやっても内容が頭に入らず、「自分はどんだけバカなんだ」と思う状態でした(苦笑)。それが5周目位から、「あ、知っている」「わかる」と思えるようになりました。それを繰り返して、最終的には10周までやりましたね。テキストの内容を覚えては問題集を解く、という学習方法をする人も多いと思うのですが、私はテキストと問題集の両方に取り組むのは大変だと思ったので、暗記ペンでテキストを問題集としても使えるようにしてしまいました。
 科目数も多いので、テキストだけでもかなりのボリュームです。それらを全部チェックしながら読んで1周。読むときはページの端に日付を入れておくのですが、最初は全科目のテキストを読み通すのに3ヵ月位かかりました。もう、覚えられないしわからない。でも最終的には同じ分量を3~4日で読み通すことができるようになりましたね。このやり方が効率良かったかどうかはわかりませんが、テキストに書いてあることはほぼ100%覚えました。

──独自の勉強法ですね。大学受験も同じ方法でしたか。

 いえ、社労士試験の勉強をする中で考えついた方法ですね。漫然とテキストの文章を読んでも頭に入らないので、問題集を解く時にテキストの内容を思い出そうとするのと同じことを、読みながらやっていた感じです。
 社労士試験では各科目に合格基準点があります。出題方法は択一式と選択式の2つがありますが、中でも選択式は1科目1問しか出題されません。基準点は年によって変動するものの、基本的には1科目5点満点中3点取れないと、いくら他の科目で満点を取ったとしても不合格になってしまいます。だからどの科目もまんべんなく、ひと通りの文言は覚えておかないといけない。その訓練として私はこの方法を編み出しました。資格試験の勉強では、自分に合った学習方法を見つけることが大事だと思います。

──苦労した科目はありますか。

 年金関係は難しいと思います。特に厚生年金は難しい。でも年金関係にはひねった問題がないので、覚えてしまうのがいいと思います。たいていの人は、年金のことには詳しくないですよね。年金受給でもしない限り気にしていない人が多い。知識がゼロだから、勉強する時にとっつきにくく感じるのです。さらに経過措置が時代によって変わるのも煩雑です。大変ですが、一度しっかり覚えてしまえば得点源になります。私も年金が苦手だったのですが、模擬試験ではいつも年金のほうが良い点数を取っていました。
 それに対して労働基準法は一見わかりやすいのですが、試験では判例や指針など見たこともないような問題が出ました。会社勤めをした人なら誰でも少しは労働基準法を知っていますよね。「半年勤めれば有給休暇が取れる」とか、権利に関することはどこかで聞いているので、わかったような気になるのです。簡単そうに思えて試験が難しいのは、労働基準法だったと思います。

──そこを乗り越えて2005年11月に資格を取得したのですね。

 退職後半年は勉強に専念して無収入でした。失業保険の受給も終わり、退職金と妻の収入で家計を支えていたので、資格を取れて本当にほっとしました。合格の通知が来たのが自分の誕生日だったのも良い思い出です。

大手社会保険労務士法人で実務経験を積む

──資格取得後、社会保険労務士法人へ就職した理由は何でしょうか。

 社労士としての実務経験がないので、実践的な仕事を覚えるため社労士事務所へ入ろうと思いました。最近は社労士の求人も結構ありますが、私が資格を取った12~13年前は、社労士の募集など全然ありませんでした。社労士事務所の人材募集というと、企業の人事部などで給与計算を得意としていた女性などの募集がほとんど。32歳男性、実務経験なしの社労士を欲しがる事務所はなかったですね。当時住んでいた宇都宮には大きな社労士事務所もなかったので、インターネットで探したところ、たまたま新規案件を抱えて社労士を募集していた都内の大手社労士法人を見つけて、就職と同時に宇都宮から都内へ転居しました。

──前事務所ではどんな業務をしましたか。

 社労士の王道業務というか、社労士が一般的に行う仕事はひと通り担当させてもらいました。社会保険や労働保険の手続き、助成金の申請手続き、労務トラブルに関する相談業務、それに給与計算ですね。労働保険事務組合を併設し、中小企業のクライアントも多い事務所だったのですが、社労士法人の組織のほうは大企業相手にアウトソーシングとして給与計算や各種手続き業務に特化していたので、今も給与計算や各種手続き業務は自分の得意分野になっています。大きな社労士事務所なので案件も大きく、クライアントには航空会社や製薬会社など、従業員が1,000人以上いるような大手企業が並んでいました。

──独立は最初から考えていたのでしょうか。

 もともとは3年位で独立開業するつもりでした。それくらいやれば、実務で必要なことはひと通り身につくだろうと思っていました。でも入ってみたら20人以上の社労士がいる大手事務所で、他の皆さんはベテラン揃いでいろいろな事を教えてくれる。良い刺激がたくさんあって、居心地が良かったのです。そのまま5年目になり「そろそろ…」と思っていた頃に、法人社員にならないかという話をいただきました。
 法人社員とは一般企業でいう役員待遇のようなもので、給料ではなく役員報酬になります。実務を離れ、職員をどう束ねるかというマネジメント業務に携わることになり、直接的なクライアントとのやり取りがなくなってしまったのです。それもあって、やっぱり自分で実務をやりたい、社労士としての知識を活かした仕事がしたい、という思いに回帰して、独立する決心をしました。

約6年越しの独立開業

──大手事務所を退社後、開業はどちらでされたのですか。

 最初に事務所を構えたのは板橋区です。自宅のある北区から歩いて行ける場所に板橋区の「起業活性化センター」があり、比較的低料金で事務所を借りることができました。開業当初は「東京北社会保険労務士事務所」という事務所名で仕事をしていました。起業活性化センターには約1~2年いたでしょうか。それから一旦自宅をオフィスにして、2018年から現事務所へ移転。その際に事務所名も「千代田社労士事務センター」へ改名しています。

──どのように顧客開拓をしたのでしょうか。

 最初はいろいろ試してみましたね。電話営業もやったし1日だけ飛び込み営業もやってみましたが、「これはダメだな」と思ってやめました。ビラを作ってDMで送ったり、ポスティングしたりと試しましたが、私の場合一番効果があったのは、異業種交流会です。中でもビジネスにつながったのは、同じ士業である司法書士、行政書士、税理士などの方々との交流会ですね。こういった方々からの紹介が一番仕事につながりました。司法書士の方であれば、会社設立時に登記関係を請け負います。すると当然社会保険の手続きという需要が出てきます。そこで「社会保険の手続きをしてください」という依頼になるのです。行政書士の方の場合は、クライアントが建築業者というケースも少なくありません。建築業免許の許可や更新では、社会保険に入っているとか労働保険をきちんと納めているといった要件が必要になるので、保険手続き業務が発生します。税理士の方の場合は、顧問契約を結んでいる会社で労務トラブルが起こったりすると声がかかります。そうした士業同士の紹介で仕事をしてきた部分はありますね。
 また、私の場合はホームページも有効でした。今は忙しくて更新できていないのですが、開業当初半年位はホームページをいじる余裕があって。ホームページからの問合せや申込みも結構ありました。他にも、起業家へ情報提供などのサポートを行っている創業支援の会社や、いわゆるポータルサイト(社労士紹介サイト)でコラムを担当させていただいたことなども集客には役立ちましたね。そういったサイトにコラムを載せるきっかけになったのも、異業種交流会の人脈がきっかけでした。

──インターネット経由の依頼が多いというのは珍しいのではないでしょうか。

 私は地名を事務所名に入れたのですが、それが効いたのかもしれません。税理士の方などは事務所名に自分の名前を入れなければいけない規則があると思うのですが、社労士の場合そこまで厳しくはないのです。「社会保険労務士」と入っていれば、事務所名は割と自由につけられます。最初の事務所は板橋区にあったので「東京北社会保険労務士事務所」という名称にしました。インターネットで調べる方というのは、「地域」をキーワードにして検索されることが多いようです。やはりある程度自社に近くて、何かあったらすぐ来てくれる社労士を求めるのではないでしょうか。その頃のクライアントさんとは、今もおつき合いさせていただいています。
 他にも成果の出る方法はいろいろあると思います。私は1日でやめてしまいましたが、飛び込み営業で話を聞いてくれた社長さんから半年以上経って相談が来ましたから、結果的に無駄ではなかったですね。

──クライアントはどのような企業が多いですか。

 従業員100人以下の中小企業が多いですね。業種は本当にバラバラです。製造業もありますし、保育園、印刷業、コンサルタント、建設業もあります。顧問契約がメインですが、単発で就業規則の作成を頼まれることもあります。
 どのクライアントも、入退社に伴う各種保険手続きや助成金の申請手続きなどの手続き業務があります。労務関係の相談にも乗りますし、特に今は就業規則の作成や改訂に対するニーズが大きくなっています。社会的にコンプライアンスが厳しくなっていますから、問題のある従業員を懲戒したいと思っても、就業規則にはっきりとした懲戒の記載がない場合は、その懲戒が無効となってしまう可能性があります。トラブルにならないように就業規則できちんと定めておくことが、年々重要になっています。
 それから、会社が問題のある従業員と面談する際やどうしても仕方のない理由で退職を勧奨する際の同席もします。経営者の方はそうした面談に慣れていないことが多いので、コンプライアンス的に支障のある話し方をしてしまってパワハラや不当解雇で訴えられることのないように、私が同席してフォローすることもあります。

──中小企業の場合、1つの労使トラブルが会社の業績に関わってきますね。

 対応を間違えると大きな問題になりますから細心の注意が必要です。でも、社労士が同席することで、辞める方にとっても良い形にできることがあります。例えば最近はメンタル的な理由で働けなくなる方が多いのですが、うつ病になっても「今やめたら生活できない」と思い込んで無理に働き続ける方がいます。そういう方へ、「退職に関しやむを得ない事情があれば、これくらいの金額が雇用保険からもらえるし、傷病手当金制度もあります。今は治療を優先したらどうですか?」と提案し納得していただいた結果、会社と従業員双方に良い退社となるケースもあります。

働き方改革や外国人労働者雇用、仕事は最前線に

──昨今は働き方改革や外国人雇用が話題です。それに伴って、社労士の仕事は増えていると感じますか。

 増えています。一番多いのはやはり就業規則の変更ニーズですね。毎年法律が新しくなっているので、法律を遵守した形に内容を作り変える必要があります。また、残業や未払い残業代が注目されているので、どのように残業を減らせばいいかという相談が結構あります。
 それから、講師の仕事も多くなっています。私は今、産業カウンセラー養成講座、職業紹介責任者講習、外国人技能実習生養成講習などで、労務に関する指導を行う講師をしていますが、週1~2回仕事があります。

──働き方改革の、まさに最前線の仕事ですね。どのような時にやりがいを感じますか。

 やはり自分の知識が人の役に立つというか、「それは知らなかった」と言ってもらえるのが一番うれしいですね。働き方改革によって制度や助成内容も年々変わりますが、良い制度や助成内容があっても調べないとわからないし、申請方法が難しかったりするのです。そこで「こういう制度や助成金が利用できますよ」と伝えるようにしています。
 最近では、まだ男性社員に育休を取らせた実績のない会社に「男性社員に育休を取ってもらってはどうですか」と提案して、両立支援助成金57万円が助成されたケースがありました。57万円あれば会社のPCを何台か新しくできますし、男性社員ご本人も育休が取れて嬉しいですよね。労使両方に喜んでもらえる提案ができるとうれしいです。

──着実に実績を積んで来られて、今後はどのようなビジョンや方向性をお持ちでしょうか。

 今はひとりで事務所をやっていますが、この先は社労士が何人かいる事務所にできればと思っています。税理士や弁護士と同様に、社労士も専門分野が分かれています。私は前事務所で企業相手の相談業務をしてきたので、給与関係や会社の労務関係は対応できるのですが、中小企業の役員の方などから個人の年金に関する相談を受けることが結構あるのです。役員報酬が多いので年金を貰えないといった相談などですね。いくらまで役員報酬を減額すれば年金はいくらになるといったことを調べ、場合によっては年金関係が専門の社労士仲間へお願いしたりしていますが、ゆくゆくは「ここに頼めば何でもやってくれる」という事務所になっていけたらと思っています。人事評価制度、手続きや給与計算のアウトソーシング、生涯年金の手続きなど、専門業務の違う社労士が3~4人。雇用関係でなくジョイントでもいいのですが、社労士業務全般に対応できる事務所になるのが理想です。

職場における「人の問題」は「人が解決」

──ご自身の体験を踏まえて、社労士の資格取得をめざす人、また社労士として独立開業したいと考えている人へアドバイスをお願いします。

 かつては社労士というと「何をする人?保険屋さん?」と言われる時代もありましたが、今は専門性が急速に拡大して需要が年々増している資格だと思っています。働き方も昔のように「入社したら終身雇用」ではなくなり、企業は外国の方もパートタイマーもアルバイトも有効にかつ適正に活用しなければいけない時代です。どういう評価制度で、どういった就業規則でやっていけばいいのか。制度や法律が毎年変化する中で、ますます社労士のような専門家は必要とされています。
 「今後AIが進化していくと士業の仕事が無くなるのでは」と危ぶむ声もあります。業務の内容によっては確かにAIが使える部分もあると思いますが、他の士業に比べても社労士は「人に関わる部分」が多いので、そこはAIでは対応できないだろうと思います。例えば先にお話しした、退職勧奨に同席してアドバイスするような仕事は、単に結論が出せれば良いというものではありません。人として向き合って話し合い、相手に納得してもらうということは、当面AIができることではないと思います。
 社会保険労務士試験は近年合格率が大きく変動したりして、難易度が高いというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。でも社会的な需要は高く、いろいろ使える資格だと思いますので、挑戦する価値は充分あると思います。ぜひチャレンジしてみてください。

[TACNEWS 2019年3月号|特集]