読めばモチベーションUP?ビジネスや会計の気になる「あの本」を紹介 萌さんとカッキーの読書室 #38

 

仕事と資格マガジン『TACNEWS』から生まれた会計小説『女子大生会計士の事件簿』のメインキャラクター、公認会計士・藤原萌実(萌さん)と新人スタッフ・柿本一麻(カッキー)のふたりが、気になる本について激論を交わす…?!ゆったり、まったり、時に激しい、「楽しく、ためになる読書室」です。

『収入の9割はマネースクリプトで決まる』


『収入の9割はマネースクリプトで決まる』

 著者  :メンタリストDaiGo(著)
 出版社 :KADOKAWA
 初版  :2023年


カッキー 萌さん、僕、お金持ちになりたいんですけど、何かいい方法知りませんか?

萌さん 仕事中に何バカなことを言っているのよ。まずはブーブー言わずに仕事をしなさい。楽しく働いたほうがお金持ちになれるのよ。

カッキー え~、本当ですか?

萌さん お金持ちとそうでない人には、次のような違いがあるそうよ。
 ・いつも連絡が取れる確率は、お金持ちのほうが5倍高い。
 ・夜勤や残業をする確率は、お金持ちのほうが4倍高い。
 ・休日に「ビジネスの場」にいる確率は、お金持ちのほうが3倍高い。
らしいわ。

カッキー そうなんですか! でもこれってブラック企業臭がしませんか?

萌さん そうね、勤め人が無理矢理やらされているとしたらね。この話は、自分で裁量権を持って主体的に仕事をしていることが前提なの。

カッキー 主体的に楽しく仕事をすれば、一生懸命働くことが苦にならず、お金持ちになりやすいってことですよね。

萌さん そう。だから、無理矢理やらされているとしたら転職の準備をしたほうがいいってことになるんだけど、ともかく、「楽しく働く」は『富をもたらすマネースクリプト』の重要なポイントのひとつなのよ。

カッキー マネースクリプト?

萌さん 『お金に対する「思い込み」や「考え方」のこと』よ。歪んだマネースクリプトを持っている人は、穴が空いているバケツに水を汲んでいるようなもので、働いても、働いても、お金は貯まらず、貧乏体質から抜け出せないの。一方、正しいマネースクリプトを持っていたら、健康的な生活をしながら、コツコツお金を増やし続けることができる。詳しいことはこの本に書いているわ。

カッキー ――『収入の9割はマネースクリプトで決まる』

【目次】

第1章 TEST マネースクリプト診断テスト
 自分のマネースクリプトを知ろう
 マネースクリプト4分類
 金銭忌避の傾向が強い人は「お金を使いすぎる」
 金銭警戒の傾向が強いと「お金を貯めることが目的になる」  ほか

第2章 INPUT 富をもたらす8つのマネースクリプト
 金持ち体質の土台を作る
 「自己投資」より「節約」が大事
 価値判断の基準値が他人:同調バイアス
 物事を長期的に考えられるスキル  ほか

第3章 REWRITING 貧乏マネースクリプトを金持ちマネースクリプトに書き換える
 歪んだマネースクリプトを書き換える
 お金の援助は求めていない人のほうが多い
 協調性が高い人は、貯金が少ない!?
 ギャンブルで老化が進む  ほか

特典 WORK マネースクリプトワーク6
 ワークでマネースクリプトを深掘りする  ほか

(目次より一部抜粋)


カッキー まずは、第2章の『富をもたらす8つのマネースクリプト』を全部教えてください!

萌さん ええ~、せっかちねえ。本当は、自分が“金銭忌避”“金銭崇拝”“金銭地位”“金銭警戒”のどのマネースクリプトの傾向が強いのかを診断して、自分のマネースクリプトを知ってから、『富をもたらすマネースクリプト』をインプットしたほうがいいんだけど……。しょうがないわねえ。

富をもたらすマネースクリプト

1. 貯金は大切だ
2. 困っている人たちにギブする
3. お金は自由を買うためのツール
4. 楽しく働く
5. 私はお金を持つことに値する人間だ
6. 人生は自分でコントロールできる
7. 困ったときは人に頼る
8. 利益につなげることが重要


カッキー 4番目はさっき萌さんが言っていたものですね。ちょっと気になるんですけど、2番目の「困っている人たちにギブする」って、一体どういうことですか?

萌さん これは、相手に役立つ知見や情報を提供する、相手に役立ちそうな人を紹介する、相手が困っているときに助ける、といった意味よ。自分が持っているリソース(情報、労力、時間、人脈など)を相手にギブし、相手を幸せにする、というマネースクリプト。

カッキー でもそれって、きれいごとじゃないですか?それで本当にお金持ちになれるんですか?

萌さん 甘いわね。お金を稼ぐことの本質は「困っている人を助けること」よ。大きな富を得ている人はみんな「誰かに何かを与えている」が前提にあるわ。そういう視点に立てば、たとえばこんな新ビジネスを思い付くわよ。

■ChatGTPを仕事に取り入れたいけど、試す時間がないビジネスパーソンがいる
 →代わりにChatGTPを使い倒し、電子書籍にまとめる

■経理処理が苦手なフリーランスの友人がいる
 →元経理事務のスキルを活かし、代行業務を行う

■忙しくて書籍や論文を読む時間がない
 →代わりに読んで情報を提供する

(P69・70より抜粋)


カッキー 3つめの例は、著者であるメンタリストDaiGoさん自身がビジネスにしてますよね。

萌さん そうね。ただ、ここにも注意点があるんだけど、ギブの精神が強すぎる人は負債も増えやすいの。

カッキー えっ、何でですか!?

萌さん ペンシルベニア大学のアダム・グラント教授によれば、人は次の3種類に分類されるそうよ。

■ギバー(誰かに何かを分け与える人)  全体の25%
■マッチャー(恩を受けたら恩を返す。何か嫌なことをされたら嫌なことを返す人) 全体の56%
■テイカー(他人からのギブをもらってばかりで自分からは何も返さない人) 全体の19%

※数字は人口分布

(P71・72より抜粋)


萌さん でね、最も成功するのはギバーだけど、最も失敗するのもギバーだそうよ。

カッキー どうしてですか? いいことをしているのに。

萌さん たとえば、カッキーとAさんが共同で立ち上げたプロジェクトが成功して100万円の利益が出たとしましょう。カッキーがギバーだったら、その100万円をどうする?

カッキー 僕がギバーなら「僕は30万円でいいから、頑張ったAさんに70万円あげる」とか言いますね。

萌さん あー、最悪ね。正当な理由がないのに過剰に分け与えるのが、失敗するギバーの特徴よ。もしAさんがテイカーなら、恩も感じずに搾取されて終わり。下手したら、この後Aさんにつきまとわれる可能性すらあるわよ。

カッキー たしかにそれではお金持ちになれませんね……。

萌さん 成功するギバーは「この100万円で、一緒に新たなプロジェクトを立ち上げて、利益を300万円に増やそう。この話に乗ってくれたら、利益が300万円に増えたときはAさんに200万円をあげる」とか言うのよ。

カッキー なるほど。上手くいったらAさんに200万円、自分も100万円ですから、お金持ちにもなれそうです!

萌さん こんな感じで、富をもたらすマネースクリプトもある一方、貧乏になるマネースクリプトもたくさんあるの。情報量は半端ないけど、本気でお金持ちになりたいんなら、この本、ちゃんと読むのよ。

カッキー えー、でも読むのはちょっと面倒くさいかなぁ。

萌さん バカね。綿密にリサーチする、というのも大事なマネースクリプトなのに――。

[『TACNEWS』2024年1月号│連載│萌さんとカッキーの読書室]

著者プロフィール

山田真哉(やまだしんや)

公認会計士・税理士。TAC梅田校出身。中央青山監査法人(当時)を経て、現在、芸能文化税理士法人会長。株式会社ブシロード等の社外監査役。著書に『女子大生会計士の事件簿』シリーズ、『世界一やさしい会計の本です』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』等。

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