読めばモチベーションUP?ビジネスや会計の気になる「あの本」を紹介 萌さんとカッキーの読書室 #5

仕事と資格マガジン『TACNEWS』から生まれた会計小説『女子大生会計士の事件簿』のメインキャラクター、公認会計士・藤原萌実(萌さん)と新人スタッフ・柿本一麻(カッキー)のふたりが、気になる本について激論を交わす…?!ゆったり、まったり、時に激しい、「楽しく、ためになる読書室」です。

『なぜ女はメルカリに、 男はヤフオクに惹かれるのか?』


『なぜ女はメルカリに、 男はヤフオクに惹かれるのか?』/光文社新書

 著者  :田中道昭、牛窪恵
 出版社 :光文社
 初版  :2019年

カッキー 今回紹介する本ですが、まずタイトルが気になります!

萌さん 『なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか?』ね。

カッキー メルカリもヤフオクも同じフリーマーケットサービスなのに、男女で差があるんでしょうか。確かに女性がメルカリを好むイメージはありますが、男性がヤフオク好きって本当ですか? 僕はどっちもやったことがないから、わからないんですけど。

萌さん じゃあ、カッキーは、どうして女性はメルカリが好きだと感じるの?

カッキー だってそれは、アプリがカワイイからじゃないですか?赤くてポップで。

萌さん やったことがない割には詳しいわね。まあ、それもあるかもしれないけど、これがちょっと深イイ話なのよ。メルカリとヤフオクはどちらもフリーマーケットサービスだけど、メルカリは値段を決めて不要品を出すだけ。一方、ヤフオクはオークションで価格が決まるの。

カッキー それが、男女の好みに影響が出ますか?

萌さん 出まくりよ! オークションの醍醐味は競り合いだからね。制限時間ギリギリに高値をつけてライバルに勝つ! ……なんていかにも男性が好きそうじゃない。

カッキー それはあるかも。

萌さん 一方、メルカリはお客さんとの間に『安くなりませんか?』『大きさはどれくらいですか?』といった対話はあるけど、競い合いはないからね。

カッキー つまり、メルカリは対話で、ヤフオクは競争、ということですか。

萌さん そう。メルカリは癒やしで、ヤフオクは戦場なのよ。

カッキー なるほど。男性の持っていそうな狩猟本能が、ヤフオク好きにさせているのかもしれませんね。

萌さん 女性には、周りへの同調・共感しようと努める能力が備わっていると言われているから、そうした男女の本能の違いが、好きなアプリの違いに出ている、といった解説をしているのがこの本の特徴よ。

カッキー マーケティングって、こういったことも考える学問なんですね。

第1章 なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか?

・ 子どもが拾った「どんぐり」が売れた
・ メルカリがもたらしたシェアリング革命

第2章 なぜLINEは日本人の心をつかんだのか?

・ LINEと「東日本大震災」
・ QRコード決済、真の目的はどこにある?

第3章 なぜスタディサプリは月980円という破格なのか?

・ 「学習ビッグデータ」が大きな資産に

第4章 なぜオイシックスはママたちに支持されるのか?

・ オイシックスの「買い物かご」の秘密

第5章 なぜエアークローゼットには返却期限がないのか?

・ なぜ若者は「コスパ」にこだわる?

第6章 なぜエバラの「プチッと鍋」はヒットしたのか?

・ 「鍋は家族みんなで」という先入観

最終章 なぜアマゾンはすべてを破壊しようとするのか?

・ ベゾスがアマゾンプライムに固執する理由

(各章のタイトルと主な小見出しより抜粋)


萌さん この本の特徴は、各章の前半が、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんによる最新の現場リポートやインタビューを含めた『リサーチ編』で、後半が立教大学ビジネススクールの田中道昭教授による『マーケティング分析編』という2段展開になっている点ね。

カッキー 実際の現場と学問的な見地の両方がわかる、ってことですか。LINEとかオイシックスとか身近な企業が多いのは嬉しいです。

萌さん マーケティングの本は海外の企業を扱うものも多いんだけど、この本は全部日本企業だから身近でわかりやすいわね。『サブスクリプション』『プライシング』『イノベーション』『キャズム』といった用語の意味が実例で分かるようになるわよ。

カッキー えーっと、それはつまり、身近なJ-POPをプロ目線で解説しているテレビ番組『関ジャム』みたいな感じってことですか?

萌さん ……その番組は知らないけど、まあそんな感じかしら。

カッキー あと僕は、月980円で授業動画見放題のスタディサプリの話とか気になっています。

萌さん そこでは、マーケティング用語の『4Pと4C』(4P=プロダクト・プライス・プレイス・プロモーション、4C=カスタマーバリュー・カスタマーコスト・コンビニエンス・コミュニケーション)の話や、リクルート社の新規事業開発で使われている『リボンモデル』(企業側とユーザー側をそれぞれ集めて、マッチングさせるモデル)を解説しているわ。

カッキー 初めて聞く言葉ですが、ちょっと興味あります!

萌さん スタディサプリの登場で教育業界は大きな変革が起きているから、もし資格受験業界にも進出してきたらTACのライバルになるでしょうね。TACも大きく変わるかもよ。

カッキー そ、それは、この連載、この『TACNEWS』が続くかどうかということですね……そういう点から見ると、途端に話が身近になってきますね……

[『TACNEWS』2020年1月号│連載│萌さんとカッキーの読書室]

著者プロフィール

山田真哉(やまだしんや)

公認会計士・税理士。TAC梅田校出身。中央青山監査法人(当時)を経て、現在、芸能文化税理士法人会長。株式会社ブシロード等の社外監査役。著書に『女子大生会計士の事件簿』シリーズ、『世界一やさしい会計の本です』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』等。

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