3分で読めるコラム面接対策② 「官民ギャップ」を踏まえた伝え方
~民間での経験を行政の仕事につなげて伝える~

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前回に引き続き、今回も面接についてお話します。
今回は、「官民ギャップ」を踏まえた伝え方についてです。面接官に、この人なら民間の経験を活かして行政で働いていける!と思ってもらうために必要な話し方のコツを学びましょう。


前回のVol.15では、面接で「何を伝えるか」を整理したうえで、それを相手に的確に伝えるための話し方について取り上げました。

今回はその続きとして、経験者採用で特に重要となる、
「これまでの民間での経験を、行政の仕事にどうつなげて話すか」
について考えてみます。

これまでのコラムでは、



という流れで、経験の整理方法を取り上げてきました。 面接では、これまで整理してきた材料を、今度は自分の言葉で話せる形にすることが必要になります。

1.「経験があります」だけでは十分ではない


「法人営業を5年間経験しました」「関係者との調整経験があります」だけでは、職歴は分かっても、その人が実際に何をしてきたのかまでは分かりません。

Vol.7で取り上げたSTARも参考に、


  • どのような状況だったのか(Situation)
  • どのような課題があったのか(Task)
  • 自分がどう行動したのか(Action)
  • どのような結果につながったのか(Result)


を整理しておきましょう。

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    そのうえで、「その経験を行政でどう生かせるか」まで考えておきます。

    2.民間経験を「行政の文脈」に翻訳する

    Vol.8では、民間経験を行政の仕事につなげる「翻訳」を取り上げました。

    例えば「顧客満足度を高めた」という経験も、
    「相手のニーズを把握し、サービス改善につなげた」
    と捉え直せば、行政でも生かせる行動が見えてきます。

    大切なのは、行政らしい言葉に置き換えることではなく、自分の経験の中から、行政という組織・業務でも生かせる部分を見つけることです。

    3.「事実」と「解釈」を分ける


    Vol.9で取り上げた「事実」と「解釈」の区別も、面接では重要です。

    「私は調整力があります」と言うだけでなく、
    「顧客の要望について社内の関係部門と調整し、実施可能な案をまとめた」
    という事実を示したうえで、

    「そこから関係者の意見を整理して仕事を進める力を身につけた」
    と説明します。

    事実→ そこから得た力や学び の順番を意識してみてください。

    4.「何をしたか」だけでなく「何を担ったか」

    Vol.10では、「業務」と「役割」を分けて考えました。

    「プロジェクトに参加した」だけでなく、
    その中で自分はどのような立場で、何を任され、何を担ったのか
    まで整理すると、自分の経験がより伝わりやすくなります。

    行政でも、多くの関係者と役割を分担しながら仕事を進めます。
    だからこそ、面接でも「何をしたか」だけでなく、「その中で自分は何を担ったのか」
    を説明できるようにしておきましょう。


    ここまでは、これまでのコラムの振り返りです。

    以下では、実際に面接で伝える際に意識したい点を考えてみます。

    5.官民をステレオタイプに単純比較しない


    経験者採用の面接では、
    「民間企業は意思決定が速い」
    「行政は手続きが多く、意思決定が遅い」
    「民間は効率重視、行政は公平性重視」
    といった説明をしたくなることがあります。

    ただし、こうした官民の違いを、ステレオタイプに単純比較するのは避けた方がよいでしょう。

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      官民で仕事の基本的な進め方がまったく異なるわけではありません。課題を把握し、関係者と調整し、期限を意識しながら仕事を進める点は共通しています。

      一方で、行政では公平性や説明責任、法令・予算・議会との関係など、また別に意識すべき判断要素があります。

      大切なのは、官民の違いを決めつけることではなく、新しい職場や組織の仕事の進め方や判断基準を理解し、その中で自分の経験を生かしていく姿勢です。

      例えば、
      「民間で培った、期限やコストを意識して仕事を進める姿勢は生かしたい。一方で、行政では公平性や説明責任なども重要になるため、新しい職場の仕事の進め方や判断基準を理解し、必要な手続きを的確に踏まえながら効率的に仕事を進めたい」

      とすれば、より自然です。

      官民のどちらが優れているかを説明する必要はありません。


      6.華やかな言葉にしすぎなくてもよい


      経験を行政につなげようとすると、
      「多様なステークホルダーとの合意形成」
      「組織横断的なプロジェクトマネジメント」
      など、華やかな表現を使いたくなることがあります。

      本当にそのような経験であれば問題ありません。
      ただし、言葉だけが大きくなると、面接で深掘りされた際に説明できなくなることがあります。

      「多様なステークホルダーと合意形成しました」
      と言うより、
      「顧客からの要望について、社内の営業部門と技術部門の意見を整理し、実施方法を調整しました」
      と具体的に話した方が、その人が実際に何をしたのかは伝わります。

      面接では、華やかな言葉を使うことより、
      「自分が実際に経験したことを、自分の言葉で説明できること」
      の方が重要です。


      7.最後は「行政でどう生かしたいか」につなげる


      ここまで整理できたら、最後に行政での仕事につなげます。

      例えば、
      「民間企業では、お客様の要望を聞きながら社内の関係部署と調整する仕事をしてきました。その経験を通じて、相手の話を聞き、課題を整理し、関係者と調整しながら仕事を進める力を身につけました。 行政でも、住民や事業者の声を丁寧に把握しながら、庁内の関係部署と連携して課題解決に取り組みたいと考えています」

      という流れです。

      これは、

      経験したこと→ そこで身につけたこと→ 行政でどう生かすか

      という構成になっています。

      これまでのコラムで整理してきた内容を、面接ではこのくらいのシンプルな形にして話せれば十分です。


      おわりに

      Vol.7以降のコラムでは、

      経験を構造で整理し、
      行政の文脈で意味づけ、
      事実と解釈を分け、
      行政の業務や役割につなげる、

      という作業を続けてきました。

      ここまで経験を整理できていれば、大丈夫です。

      面接になったからといって、まったく新しい材料を用意する必要はありません。



      これまで整理してきた経験をベースに、質問に応じて必要な部分を選びながら話していきましょう。

      これまで整理してきた経験について、

      「自分は何をしたのか」
      「その中で何を担ったのか」
      「そこから何を得たのか」
      「行政でどう生かしたいのか」

      を、自分の言葉で話せるようにしてみてください。


      ここで注意したいのは、準備した文章を一言一句そのまま覚えて話そうとしないことです。

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        面接は、用意した原稿を再現する場ではありません。
        また、想定質問についても、一つひとつ回答を作り込みすぎる必要はありません。
        あらかじめ考えておくことは大切ですが、「この質問にはこの答え」と決めすぎると、少し聞き方が変わっただけで答えにくくなることもあります。
        大切なのは、回答を暗記することではなく、自分の経験や考えを材料として持っておくことです。

        その場の質問を聞き、必要な材料を選び、自分の言葉で答える。

        これまで準備した文章や想定問答は、「台本」ではなく、あくまで話すための材料として使ってみてください。

        次回も引き続き、面接での具体的な対応について考えていきます。






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        加藤 雅史(かとう まさし)講師

        国家から政令市への転職経験あり

        国家公務員として、予算経理、団体指導、金融政策等、幅広い業務に従事。その後、社会人経験者として政令市へ転職。施設管理や福祉、不動産管理等に従事しながら、マネジメントも行う。その傍ら、公共政策を学ぶため大学院を修了。あわせて、カウンセラー資格を取得し、人材育成やメンタルケアを学ぶ。 国家・政令市での経験と、公共政策を学んだまさに公務員のエキスパート。