3分で読めるコラム職務経験論文のポイント①
~経験を「行政で活かせる力」として伝える~

実績の羅列だけではもったいない!
採用に向けてアピールになる職務経歴論文の書き方を解説します。今までの職歴を客観的な視点から整理して、公務員の現場でどのように活かすことができるかを考えてみましょう。
今回のテーマは、「職務経験論文」です。
経験者採用試験では、これまでの職務経験をもとにした論文が課されることが多いです。
職務経験論文と聞くと、
「すごい実績を書かなければならない」
「特別な経験がないと書けない」
「自分の仕事は行政と関係が薄いのではないか」
と不安に感じる方もいるかもしれません。
職務経験論文に必要な要素とは
しかし、職務経験論文で大切なのは、単に華やかな実績を書くことではありません。
重要なのは、これまでの経験について、
- どのように整理し、そこから何を学んだのか
- その経験を公務員としてどのように活かせるのか
を、筋道立てて伝えることです。
これまでのコラムでは、経験者採用に向けて、職務経験の整理について段階的に扱ってきました。
具体的には、Vol.7〜Vol.12において、経験を構造で捉えること、行政の文脈に翻訳すること、事実と解釈を分けること、業務と役割を整理すること、自己PRや志望動機へつなげることを扱ってきました。

これらは、すべて職務経験論文にもつながります。
職務経験論文は、これまで整理してきた職務経験を、文章として一つの流れにまとめるものであり、単に過去の仕事を説明するためのものではありません。
これまでの経験を、これから公務員として働くうえで活かせる力として示すためのものです。
では、職務経験論文では、どのような点が見られているのでしょうか。
どんな経験が公務員の仕事のどこに活きるのかを整理する
第一に、これまでの職務経験を客観的に整理できているかです。
自分がどのような業務を担当し、どのような立場で関わり、どのような課題に直面したのかを整理すること。そして、そこから何を学んだのかを示すことです。
ここで大切なのは、自分の仕事を知っている人だけに通じる書き方にしないことです。
業界や職種によっては、専門用語や社内独自の表現が多くなりがちです。
しかし、採点者は必ずしもその業界の専門家ではありません。
そのため、仕事内容をそのまま細かく並べるのではなく、
- どのような課題があり、
- 自分がどのような役割を果たし、
- どのように解決に関わったのか
を整理して書くことが重要です。
第二に、その経験を公務員の仕事にどう活かせるかです。
経験者採用では、これまでの職務経験そのものだけでなく、その経験を公務の現場でどう活かせるのかが問われます。
たとえば、民間企業での営業経験であれば、単に売上を上げた経験として書くのではなく、相手の課題を把握し、関係者と調整しながら解決策を提案した経験として整理できます。

システム開発やネットワーク構築の経験であれば、単に技術的な業務として書くのではなく、利用者目線で業務を改善した経験、関係者と調整しながら期限内にプロジェクトを進めた経験として整理できます。
管理部門や事務職の経験であれば、正確な事務処理、制度やルールに基づく運用、組織を支える調整力として整理できます。
大切なのは、自分の経験をそのまま公務員の仕事に当てはめようとするのではなく、そこに含まれる力を取り出すことです。
これは、Vol.8 で扱った「行政の文脈で翻訳する」という考え方と同じです。
経験を整理し、道筋立てて説明する
そして、以上の二つについて、文章として筋道立てて説明できているかも重要です。
職務経験論文では、内容だけでなく、文章の組み立ても見られます。
どれだけ良い経験があっても、話の流れが分かりにくければ、十分に伝わりません。
よくあるのは、
- 経験の説明が長くなりすぎる
- 自分の役割が見えにくい
- 結果だけを書いて過程が分からない
- 公務員としてどう活かすのかが最後に急に出てくる
といった書き方です。
職務経験論文では、経験、課題、自分の行動、結果、学び、今後の活用が、一つの流れでつながっていることが重要です。
これは、志望動機で扱った「過去・現在・未来」をつなぐ考え方とも共通します。
- 過去にどのような経験をしたのか。
- 現在、その経験からどのような問題意識や強みを持っているのか。
- 未来に、その経験を公務員としてどう活かしたいのか。
この流れが見えると、職務経験論文は単なる経験談ではなく、経験者採用の論文として伝わりやすくなります。

以上のように、職務経験論文は、過去の実績を飾るための文章ではありません。
また、自分の職務経歴を細かく説明するだけの文章でもありません。
これまでの経験を振り返り、その中で得た力を整理し、公務員としてどのように活かせるのかを示す文章です。
そのためには、まず自分の経験を整理する必要があります。
- どのような業務を担当してきたのか。
- その中で、どのような課題に向き合ったのか。
- 自分はどのような役割を果たしたのか。
- どのように考え、どのように行動したのか。
- その結果、何を学んだのか。
- そして、それを志望先でどう活かせるのか。
これらを一つずつ確認することが、職務経験論文の第一歩です。
次回は、今回確認した考え方を踏まえ、実際に職務経験論文をどのように書くか、どのように練習すればよいかについて、具体的な組み立て方を扱います。
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加藤 雅史(かとう まさし)講師

国家から政令市への転職経験あり
国家公務員として、予算経理、団体指導、金融政策等、幅広い業務に従事。その後、社会人経験者として政令市へ転職。施設管理や福祉、不動産管理等に従事しながら、マネジメントも行う。その傍ら、公共政策を学ぶため大学院を修了。あわせて、カウンセラー資格を取得し、人材育成やメンタルケアを学ぶ。 国家・政令市での経験と、公共政策を学んだまさに公務員のエキスパート。



