Vol.7 3分で読めるコラム 思考を分解する技術
経験を構造で捉える

今回からは人物試験対策について、やや踏み込んだ解説をします。

経験者採用において、「経験はあるのにうまく書けない、伝えられない」という悩みは少なくありません。

その原因の多くは、経験を「そのまま語ろうとする点」にあります。
初対面の面接官や採点者が知りたいのは出来事そのものではなく、その中で何を考え、どう行動し、どのような成果につなげたのかという、全体の「構造」です。

経験は構造で示す

ここでお伝えしたいのが、経験を構造で分解して捉える視点です。
具体的には、1.状況、2.課題、3.行動、4.結果の4つに整理します。

この4つの整理は、いわゆるSTAR(Situation, Task, Action, Result)と呼ばれるフレームにも対応しています。

  1. 状況:どのような背景や環境にあったのかを簡潔に示します。
  2. 課題:何が問題であったのか、何を解決すべきであったのかを明確にします。
  3. 行動:自分がどのような判断をし、どのように動いたのかを具体的に述べます。
  4. 結果:その行動がどのような成果につながったのかを示します。

この分解を行うことで、経験は単なる出来事の羅列ではなく、再現性の高い「思考プロセス」として整理されます。

STAR法

これは経験者採用において極めて重要なポイントです。
なぜなら、行政は個々の事案に対して判断・対応することが求められる仕事であり、その判断の質は思考プロセスに大きく依存するためです。

経験を4要素で整理する

この分解により、自分自身の強みや特徴も見えてきます。
課題設定に強みがあるのか、調整力に優れているのか、あるいは実行力に特徴があるのか、といった点が明確になります。
これにより、単なる経験紹介ではなく、「自分は何ができる人間か」を具体的かつ再現性高く示すことが可能になります。

まずは一つの経験について、この4つの要素に分解してみてください。
以下に例をお示しします。


  1. 状況:納期直前に事業部門でのトラブルが発生した。
  2. 課題:想定外のトラブルであり参考になる対応事例がなかった。
  3. 行動:納期に間に合うもの、間に合わないものを峻別し、納品先に掛け合う。
  4. 結果:一部は納期に間に合わないものの、ロスタイムを最小限にし、納品完了。丁寧に事情を説明したことにより、社内外の信用向上につながった。


この作業を通じて、経験を構造で捉える感覚を身につけることが、次のステップにつながります。

次回以降は、いよいよ具体的な書き方、伝え方をお伝えします。

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加藤 雅史(かとう まさし)講師

国家から政令市への転職経験あり

国家公務員として、予算経理、団体指導、金融政策等、幅広い業務に従事。その後、社会人経験者として政令市へ転職。施設管理や福祉、不動産管理等に従事しながら、マネジメントも行う。その傍ら、公共政策を学ぶため大学院を修了。あわせて、カウンセラー資格を取得し、人材育成やメンタルケアを学ぶ。 国家・政令市での経験と、公共政策を学んだまさに公務員のエキスパート。