Vol.9 3分で読めるコラム 「事実」と「解釈」を分けて整理する

今回のテーマは、『「事実」と「解釈」を分けて整理する』です。

これまで、経験を構造で捉え、さらに行政の文脈で翻訳する方法についてお伝えしてきました。
しかし、いざ自分の経験を書こうとすると、「うまく言葉にならない」「内容がぼやけてしまう」と感じる方も少なくありません。

まず整理すべきは、“評価”ではなく“事実”

その原因の一つが、「事実」と「解釈」が混ざっていることにあります。

ここでいう「事実」とは、誰が見ても同じ内容として認識できる出来事のことです。
一方、「解釈」とは、その出来事に対する自分なりの評価や意味づけを指します。

例えば、次のような表現です。

【そのままの表現】
調整力を発揮し、柔軟に対応した。

一見するとよくまとまっていますが、この中には「事実」と「解釈」が混ざっています。

これを分けてみると、次のようになります。

【事実】
関係部署から出された複数の意見を整理のうえ、調整案を提示し、合意を得た。

【解釈】
調整力を発揮し、柔軟に対応した。

「まずは、第7回で扱ったSTARの考え方に沿って事実を整理してください。

  • どのような状況で(Situation)
  • どのような課題があり(Task)
  • 自分は何をしたのか(Action)
  • その結果(Result)

このように事実を整理することで、経験の輪郭がはっきりしてきます。
そのうえで重要になるのが、「解釈」の扱い方です。

事実と解釈が混ざっていること

解釈は、単に自分を評価するためのものではなく、事実に意味を与え、読み手にどのような力があるのかを伝えるためのものです。

STARで整理すると、経験は“評価される形”になる

例えば、先ほどの経験をSTARで整理し、解釈を加えると次のようになります。

【事実(STAR)】
納期直前にトラブルが発生した(Situation)。
想定外の事態であり、対応方針の整理が必要であった(Task)。
関係部署の意見を整理し、対応方針を調整した(Action)。
その結果、関係者の合意を得て業務を進めることができた(Result)。

【解釈】
関係者の意見を整理し、合意形成を図りながら業務を前に進める力がある。
このように、事実に基づいて解釈を示すことで、読み手が自然に評価できる形になります。

解釈は、事実の後に置くことで初めて意味を持ちます。

人物試験においてまず求められるのは、「何が起きたのか」「自分は何をしたのか」という事実です。
そのうえで、適切な解釈を加えることで、経験は初めて評価につながります。

解釈だけが先に出てしまうと、「本当にそうなのか」という疑問を持たれてしまうこともあります。
したがって、「事実 → 解釈」という順序を意識することが重要です。

まずは、自分の経験を一つ取り上げ、「事実」だけで書いてみてください。
最初は簡潔でも構いません。
重要なのは、「評価の言葉」をいったん脇に置き、「何が起きたか」「何をしたか」を切り分けることです。

そのうえで、後から解釈を加えてみましょう。

この作業を通じて、経験に一貫した意味を持たせることができるようになります。

次回は、この整理した事実をもとに、行政の「業務」と「役割」にどう結びつけるかを考えていきます。


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加藤 雅史(かとう まさし)講師

国家から政令市への転職経験あり

国家公務員として、予算経理、団体指導、金融政策等、幅広い業務に従事。その後、社会人経験者として政令市へ転職。施設管理や福祉、不動産管理等に従事しながら、マネジメントも行う。その傍ら、公共政策を学ぶため大学院を修了。あわせて、カウンセラー資格を取得し、人材育成やメンタルケアを学ぶ。 国家・政令市での経験と、公共政策を学んだまさに公務員のエキスパート。