日本のプロフェッショナル 日本の行政書士|2017年4月号

鈴木 徹司氏
Profile

鈴木 徹司氏

サポート行政書士法人
代表 行政書士

鈴木 徹司(すずき てつじ)
1969年生まれ。大阪府堺市出身。名古屋大学農学部卒業。新卒で損害保険会社に3年間勤務した後、損保代理店及び経営コンサルティング会社を設立。2000年、行政書士試験合格、2001年に行政書士登録し、鈴木行政書士事務所を開業。2008年、サポート行政書士法人として法人化。現在、東京、大阪、名古屋の3拠点で展開。

女性と外国人を活用。
働きやすさでスタッフのモチベーションアップを図っています。

2001年に開業し、2008年、法人化。東京・大阪・名古屋と国内3拠点、総勢約30名のスタッフが全国を網羅するサポート行政書士法人。異彩を放っているのは「3分の2が女性、3分の1が外国人」という人員構成にある。女性と外国人が多く在籍していることで「働きやすい環境と社風が育つ」と話すのは代表行政書士の鈴木徹司氏。鈴木氏が行政書士となり、大型法人のトップとしてマネジメントに勤しむようになったのには、どのような背景があったのか。自然体を貫く鈴木氏の素朴な言葉には、成長企業の極意があった。

「よろず相談屋」転じて行政書士になる

 東京・新宿に本社を構え、大阪、名古屋と3拠点を展開するサポート行政書士法人はスタッフ約30名。個人事務所が多い行政書士事務所の中にあっては大型と呼べる規模だ。しかも、スタッフ30名中、3分の2が女性スタッフ、3分の1が外国人スタッフというかなり異色の法人でもある。代表行政書士の鈴木徹司氏は、あえて女性を採用しているわけではないのに有能な女性が自然と集まるし、優秀な外国人スタッフが自然と定着してくれるという。
 現在47歳の鈴木氏は大阪府堺市の出身。会話の端々に心地よくまぎれる大阪弁が、柔らかい印象を与える。「なるほど、これが浪速の敏腕経営者の語り口か」と思わせるが、本人はいたって自然体で思ったことを素直に表現している。
「学生時代から持病の慢性腎炎で、体調を崩すこともあるから一般的なオフィスワークは体に良くないだろうと医者に言われていました。それなら営業でスキルを身につけられたらいいなあと思って、一番厳しいと言われていた損害保険(以下、損保)会社の営業になりました」と、新卒で大手損保会社に入社した経緯を話す。
 事務職は仕事の拘束時間が長く、終日デスクにいなければならないが、営業なら成績を上げればある程度自分でタイムマネジメントできる。こうして堺市の支店で営業職として自動車保険や火災保険の営業をしたり、事故の処理をしたりして地元の顧客先を訪問する毎日を送っていた。3年後、損保会社の独立支援制度を利用して損保代理店として独立開業。仕事内容はそれまでとほぼ変わらず、毎日顧客先を回って困ったことがあれば手助けをしていた。すると紹介に継ぐ紹介で地元の顧客数が増え、その関係も深くなっていった。相談内容も「会社を作りたい」「レストランを開きたい」「娘の見合い相手を探してほしい」「息子の就職先を探してほしい」「事業許認可を取りたい」「契約書を確認してほしい」…と、保険の範囲を超えて多岐に渡るようになった。いわゆる地元の「よろず相談屋」である。
「こんなにいろいろな頼みごとをされるなら、ちゃんと業務としてお金を取っていこうかな」と考えるようになって、「会社を作るところから手伝うのに必要な資格は何か」と調べたのが行政書士資格との出会いだった。 「行政書士という資格があるのを知った時、まず面白そうだなと思いました。会社を作るとかレストランを開くとか、何か新しいことをスタートするのは夢がある。その夢を聞くのは楽しそうに思えたんです。損保代理店の仕事は交通事故の際、病院に行って状況確認をする事故処理。すごく感謝はされるけれど、お客様のつらいタイミングに出ていって、病院に行って相手と示談交渉し、退院して元に戻ってオッケー。マイナスにドーンと落ち込んだところからゼロに戻す仕事だったんです。でも会社を作るのはゼロから1を作る仕事。夢を実現する仕事はすごくやりがいを感じられたし、明るくて楽しいイメージがあった。『やってみよう!』と思ったのはそれが大きかったんです」
 鈴木氏は夢と大きなやりがいを求めて行政書士になろうと決意した。

士業って、こんなに信用されているんだ!

 行政書士受験をするといっても、鈴木氏は相変わらずよろず相談と保険の営業で忙しい。それでも問題集を購入し、仕事の合間をぬって独学で勉強した結果、わずか2ヵ月で行政書士試験にスピード合格を果たした。
 2001年には行政書士登録を済ませ、保険代理店の一部として開業。事務所は相談があると会社設立案件だけ受けるかたちでスタートした。当時は特に営業もしていなかったが、相談があれば受けていた行政書士業務が自然に増えていった時、鈴木氏は保険代理店より行政書士のほうが面白いと感じるようになっていた。
「保険の営業はガリガリやらないと仕事が取れないので、増やしていこうとするとかなり力がいります。行政書士のほうは、開業しただけで知り合いからポツポツと紹介が来て仕事が増えていくので、営業をしなくてよかった。士業には手伝ってほしいというニーズがたくさんあるし、マーケットに余裕がある。そこが大きな違いですね。
 もうひとつ大きな相違点があります。私は保険代理店としては、不断の努力で積み上げてきた実績があり、年収も高く充分稼いでいました。そんな『保険代理店社長』と大きく銘打った名刺を出したときと、たった1行『行政書士』と書いてある名刺、資格を取って登録しただけの名刺を出した時のお客様の反応がまったく違ったんです。『保険代理店です』と会いに行っても会ってもらえない時はあっても、『行政書士です』と言うと必ず会ってくれる。それだけでなく玄関先まで見送ってくれて『先生』と呼んでくれる。行政書士の社会的な位置づけがこれほど高いとは知らなかった。士業って、こんなに信用されているんだ!とびっくりしました。自分の思っている価値観と世間の評価は全然違うんだなと深く驚いた瞬間でした」
 当時の保険代理店の売上は若干26歳で独立してすぐ年収1,000万円を超えており、全国の同系列の代理店の中でも上位に食い込む位置にあった。しかし、行政書士として開業してからの仕事の増え方はそれよりはるかに大きく、刈り取って維持し増やしていく保険営業と違って、「楽しいし、やりやすいな」と感じるようになっていった。

法人化によって本格的に行政書士へ

 2008年、鈴木氏は軸足を保険代理店から行政書士業務に移し、行政書士事務所を法人化し、現在の「サポート行政書士法人」となった。本社を東京に据え、大阪との2拠点体制にして、本格的にやっていこうと決めたのである。
「当時、行政書士は法人化しているところがあまりなかったので、手探りで設立した感じですね。法人化の一番大きな理由は、許認可申請や会社設立案件数が多く、大手企業の案件となるとやはり東京が中心だったことです。行政書士としてやっていくなら本社は東京にしたいというチャレンジ精神がありました」
 法人化した当時、行政書士2名、スタッフ総勢5名だった大阪事務所は、東京進出にともなって代表の鈴木氏が東京で登録し移住。大阪で営業する保険代理店は徐々に規模を縮小していった。
 こうしてスタートしたサポート行政書士法人は当初はほとんどが会社設立案件だったが、少しずつビジネスの許認可申請が増え、そこから許認可関係が最も大きな柱となる業務となっていった。また外国人のビザ申請・帰化関係が増えて、今では許認可とビザ・帰化関係が2本柱となっている。列挙すると「許認可・ビザ・帰化・入札参加資格・補助金・後遺障害・法人設立」が、現在の業務内容となっている。
「例えば、建設業の許認可のような一般的な業務はやらないで、それまで行政書士がやってこなかった分野でやろうと思っていました。建設業は実に多くの先輩方がやってこられたので、そこに参入するより新しい領域を開拓していこうとしたのです」
 言葉通り、鈴木氏の事務所はちょっと毛並みの変わった案件を受けている。例えば「許認可取得」では、海外ではすでに出回っている最先端の薬や医療機器、化粧品などで日本ではまだ承認されいてないものを日本に輸入するレール作りをしている。
「長い長い時間と手間をかけて、ようやく海外の薬が日本で認められた時、新聞に大々的に掲載されたり店頭に並んだ商品を手に取った時の快感…ものすごいです。この薬で、何人の人生が変わったんだろう。そう思うと『これ、私が日本に持ってきたんだよー!』と叫びたくなります」と、ホームページにもその感動をつづる。やりがいこそ求める仕事。鈴木氏は行政書士をめざした時の熱い思いを抱いていた。

オールスター経営とワークライフバランス

 サポート行政書士法人が他所と違う点は業務内容だけではない。「マネジメント・ポイント」にも現れている。
 まず、鈴木氏が代表として強く意識しているのが「手足を作るな、エースになれ」を合言葉に社員それぞれが個性にあった専門分野を持って仕事にあたる「オールスター経営」。そして外に対しても社員のありのままの情報を開示する「オープンな社風」だ。
 ふたつ目のポイントは「ワークライフバランス」。
「急に理想的な会社を作ろうと舵を取ってもダメです。ワークライフバランスは中長期で考え、しぶとくやる。トップダウンではなく、みんなが理解し、むしろ社風として定着して初めてうまくいく」と鈴木氏。
 例えば、19時以降残業禁止ルールの「リミット7」も、「7時になったらただ電気を消すのでは無理。社風になってしまえば自然に良い環境が作れる」と、無理強いするより社風にしていくことにこだわり、結果、社内に自然に浸透していった。社内には他にもこうした制度がたくさんあり、そうした努力と実績が評価されて、2012年度には「女性、外国人、高齢者、障害者等を含め、多様な人材を活用して、イノベーションの創出、生産性向上等の成果を挙げている企業」を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選(経済産業省)」に選定された。さらに翌年度には「東京ワークライフバランス認定企業(長時間労働削減取組部門)」、そして経済産業省監修による書籍『ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社』(文藝春秋)の「優良25社」のひとつにも選ばれた。
 選定には、社内にいる約30名の社員のうち3分の2が女性、3分の1が外国人スタッフという背景があるだろう。これらの受賞に対して「女性と外国人はうまく力を引き出せば期待以上の働きをしてくれる」と鈴木氏は指摘する。
 特筆すべきなのは、採用であえて女性を採ろうとしているのではない点だ。それでも優秀な女性が集まってくるのはなぜだろう。まず産休・育休に関しては制度が大変充実しているし、一般的な育休以外の育児休暇制度もあるがこれも杓子定規に決められているわけではない。産休・育休から復帰した女性社員が多く、通常は8時間勤務がベースのところを、それぞれの状況に応じて最短4時間からスタートして徐々に勤務時間を話し合いで増やせる。産休明けの女性はパートに切り替えて時短勤務にする企業が多い中、サポート行政書士法人は社員としてそのまま時短勤務をすることができる制度となっている。
 その他にも女性が強みを発揮できる事業やユニークな人事評価制度、妊娠中の女性は30分遅れで出勤できること、届け出制で取りやすい有給と、やはり制度や社風が女性にとって魅力があるようだ。
 鈴木氏はこうした制度も、「制度があるから権利を主張するではダメ。それより『おたがいさま』の精神がとても大事」と強調する。産休・育休を取った女性は「支えてくれる人がいるからできるんだ」という意識を持ち、他の社員たちは「その人たちをしっかりと支えていこう」という自覚を持つことが大事だという。おたがいさまという気持ち。同時にありがとうの気持ちを忘れない。それがあってこそ、長い間支え合うモチベーションになる。
 女性の育児などに対するずば抜けた理解の高さは、鈴木氏が自ら父親となった体験に根ざしている。出産時、奥様は里帰りせずに自宅で過ごした。子どもが病気になったり、妻がストレスを感じたりする度に、鈴木氏は女性が子どもをひとりで育てることの大変さを痛感したという。そこで出産後の家事のかなりの部分を分担し、育児にも大いに協力した。「自分が力になれたこともうれしかったし、妻から後々まで感謝された」と当時を思い返す。この経験を社員に対しても活かしたい。そんな思いが法人の隅々まで行き渡っているのである。

サポート行政書士法人をサポートする外国人スタッフ

 サポート行政書士法人のもうひとつの強み、それは外国人スタッフだ。スタッフの3分の1が外国人という士業の組織自体、かなり珍しく、外国人スタッフの国籍は中国、韓国、ミャンマー、イギリスと4ヵ国におよぶ。
「日本で医療機器を売りたい医療機器メーカーが海外から来る時は日本の許認可が必要で、本社が海外だと日本語はそれほど堪能ではなかったりします。そうした場合に対応するのが外国人スタッフです」と鈴木氏は外国人スタッフが増えた理由を説明する。
 実はサポート行政書士法人の許認可案件は海外の顧客比率がかなり高い。
「海外の顧客が増えた理由は、海外からの日本の許認可案件にきちんと対応できる行政書士が少なかったということが背景にあると思います。狙ったわけではないのに海外法人の許認可が増えていったんですね。今でも海外法人の会社設立や許認可に進出する行政書士が少ないのか、実はほとんど競合しません」
 サポート行政書士法人では英語、中国語、韓国語、インドネシア語、ポルトガル語に対応できるスタッフが担当につくので、クライアントは日本語が得意でなくてもきちんとしたサービスを受けられる。これだけ幅広い言語で対応するサービスを支えているのが外国人スタッフなのである。
 外国人スタッフが3分の1いることで、逆にマネジメントの部分でも意思表示がしやすくなったと鈴木氏は話す。
「日本人特有のあうんの呼吸、察する文化は通用しないので、明確に文書にしてきちんと伝わるようにしています。外国人スタッフがいなかった時よりかえって明確にメッセージが伝わるようになって、コミュニケーションがうまくいくようになりました。やりとりはメールで行い、伝え方も小学生でもわかるような文章にして伝えています。と言うとまだ日本語に関しては未熟なのかと受け取られかねませんが、外国人スタッフは完璧に日本語を理解しています。そのうちひとりは行政書士資格まで取得している。みんな優秀でレベルの高いスタッフです」
 そんな優秀な外国人を採用するにはもちろん「日本語でのコミュニケーションを取れること」が基本。しかし鈴木氏はさらに上のステージを求めている。
「日本語ができるだけではただ通訳の役割になってしまう。おそらく日本の行政書士法人で働いている多くの外国人は、通訳として採用されているのではないかと思います。それでは外国人に求めるあり方として正しくはないし、通訳だけならアルバイトでも可能です。何よりそうした雇い方では本人が成長しないし、業務の幅も広がりません。
 うちは外国人スタッフも日本人スタッフと同様の扱いをしています。外国人と日本人のスタッフに垣根はありません。チーム編成でも外国人と日本人が組むことはもちろん、外国人同士で組むこともあります。書類の作成も役所に書類を提出に行くのにも当然日本語なので、日本語ができないと業務は回りません。だから彼らは外国語をほぼ使わずに日本語だけで業務を行っています。本人たちがあえてそうする道を選ぶのも、ただの通訳になりたくないからです。通訳だけになってしまうと、そこだけ使われて終わってしまう。得意分野は残しながら、まずベースの許認可申請を理解し、しっかりやっていこうというスタンスで仕事に臨んでいます。
 これはすごく良い入り方だと思いますね。うちの外国人スタッフはものすごいパワーがある。私たち日本人が違う国に行って外国語でバリバリ仕事しているのと同じで、レベルがものすごく高いし理解度も高い。ネイティブでやっている私たちが抜かれてしまうんではないかと危機感を持つくらいの勢いなので、逆に日本人スタッフの良い刺激になっています。みんな手続きの書類作成が難しいなんて言えないですよ。隣で外国人スタッフがパソコンでサクサクと日本語の書類を作っているんですから(笑)」
 外国人スタッフのワークライフバランスもきちんと考えた社風が、外国法人の許認可マーケットに強い事務所にしいているようだ。

至れり尽くせりのサービス体制

 サポート行政書士法人には、その他にも他社との差別化を図る仕組みがいくつもある。そのひとつが「スピード」だ。これは申し込みや新規問い合わせメールへの返信の迅速さを指している。申し込みがあると担当者がすぐに上司と完了までの方針を打ち合わせ、当日中には業務に着手できる体制が整う。しかもスタッフ一人ひとりに直通の携帯電話ですぐに連絡が取れる。確認業務は担当者以外のスタッフのダブルチェックで、社内セカンドオピニオン体制が敷かれている。
 さらに東京・大阪・名古屋の全国3拠点に許認可専門スタッフを配置しているので、エリアごとの対応が可能だ。全国展開の顧客に対しては複数許認可の一括管理サポートもしている。拠点に設置されたオフィスはすべて駅からすぐ近くにあるというメリットもある。土日しか相談できないという顧客のために予約制で夜間、土日・祝日対応もしている。至れり尽くせりのサービス体制である。
 社内環境と同じで、仕事の上でも強制するのではなく自然体を貫く。今後を見据え、外国人を含めて総括的にスタッフ数はもう少し増やしていく方向だ。
 サポート行政書士法人の求める人物像は「行政書士も大きな枠組みでいうとコンサルタントなのでコンサルタントとしての適性がある人。社内だけでなくお客様とも一定期間、非常に密に連絡を取り合うので、コミュニケーション能力が高い人。しかもイエスマンではなくダメなことには専門家として毅然とした態度でダメだと教えられる、お客様とも対等に渡り合っていける人」が理想だ。
 取材中もオフィス内は笑い声が絶えずにぎやかだ。それもサポート行政書士法人の特徴のひとつだと鈴木氏は話す。
「行政書士事務所というと、シーンとした静かな事務所でカチカチとキーボートを打つ音が響くイメージでしょう。うちはものすごくたくさんの依頼が来るしチーム体制で受けることも多いので、人と話をすることがものすごく多いんです。スタスタッと歩いて行って、バーッと打ち合わせして、ワーッと仕事をする。そんなアクティブでにぎやかなイメージがありますね」
 当の鈴木氏は、今はほぼマネジメントに徹しているという。新規案件もすべて担当者任せだが、クレームはここ3年ない。経営に徹することができるのは、こうした優秀なスタッフに支えられてのこと。だからこそ一人ひとりのモチベーションを下げることがないよう、社風やワークライフバランスにものすごく注力している。
 鈴木氏は資格を取って人生が変わったひとり。まったくやるつもりのなかった行政書士にひょんなことからなってみて、その信用力に大いに驚いたひとりでもある。
「この信用は自分の信用ではない。先達が努力してここまで積み重ねてきてくれたことへの信用です。だからこそ自分もそれを積み重ねていかないとダメなんだと強く感じています。保険の営業は自分の腕一本、自分だけを信じる世界でしたが、行政書士はまったく違って。行政書士という世界を担ってきてくれた人たちがいて、信用されることを積み重ねてきた。それが自分たちの力になっているように、今後は自分たちが後人に残していけるようにしていくものです。そうして積み重なっていくと仕事も広がっていくし、すごく楽しい仕事になっていくんですね」
 まるでこの言葉に、鈴木氏の思いのすべてが込められているようだ。
「これから資格を取る方はできるだけ早く取ったほうがいい。頭が柔らかくて覚えの早い時期に取れば対応しやすいし、早く独立したり業務をスタートすることができるようになります。私たちの業務は覚えることがかなり多いので、早くスタートしたほうが取得後の勉強を含めてやりやすいし、スキルが上がります。取った後は『行政書士です。何でもできます』ではなく戦略的に何かに絞って、より特徴を出していったほうがいいですね」とアドバイスする。
 行政書士として、今後参戦できるマーケットの状況はどうだろう。
「私が行っている仕事は、これまで企業が社内でやっていた業務を外に任せたいというニーズを具体化したものです。行政書士に限らず、これまであった経理部、人事部をどんどん縮小して税理士、社会保険労務士に任せるうになっています。専門家に任せて自分たちのコアに特化していくトレンドがあります。
 言い換えると、総務部の経験が浅い社員に許認可申請を任せて、不備などで何度も申請し直すより、行政手続きは専門家に任せる流れが強いということです。トレンドとしてはこちらに動いているのでマーケットは大きくなるでしょう。もちろん戦略は必要ですが、これから行政書士をめざす人にはチャンスが広がっていると言えます」
 プライベートでは社交ダンスで大会優勝レベルの腕前。娘さんと一緒に大会に出場し、周囲からは「うらやましい!」との声が上がっているそうだ。
「プライベートはとても大切にしています。自分が先陣切ってやっていれば、スタッフもワークライフバランスを大切にするようになるんです」
 魅力的な会社というのは、こういうふうにして作られていくのだろう。

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