東京で公務員になる!東京都庁の仕事、試験、対策について解説

東京都

東京都は日本の首都であり、広域的な行政課題や社会問題に取り組んでいます。
日本の首都として、様々な施策に取り組んでおり、東京都庁独自の部局も少なくありません。

そこで本記事では、東京都庁の仕事やめざす職員像、さらに平均年収や東京都庁職員採用試験の内容、試験対策について解説します。

1.東京都庁職員の仕事、キャリア

東京都庁は、市区町村単位で解決できないような広域的な行政サービスや行政課題、社会問題について担っています。
主なものとしては都市づくり、教育・文化、防災、財政・税務、産業、労働、福祉医療、環境、デジタルなどがあげられます。

主な部局 業務内容
子供政策連携室 国内外の先進事例調査等をもとい、企画立案機能を担うとともに、関係局との連携体制を構築し、子供に関わる複合的課題に対応します。
政策企画局 全庁を挙げて東京が直面する困難な課題に対して積極的にチャレンジし、今までにない新しい政策を生み出していくため、知事と現場を司る所管局をつなげ、各局のさまざまな取組を有機的に連携させていきます。
デジタルサービス局 デジタルを活用した都政のQOSを飛躍的に向上させる旗振り役として、各局・区市町村のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を技術面からサポートしています。
生活文化スポーツ局 都民の日常生活に密着した事業を行う局として、安全安心で豊かな都民生活の実現に向けた取組を行っています。

また、3年程度を目安に異動があり、異なる分野の仕事をしていくため、異動はまさに転職のようなイメージです。公務員の仕事はつまらないのではと思っている方がいるかもしれませんが、そんなことは全くありません。社会貢献しつつ、幅広いキャリアを通じて自己成長も実現できる魅力的な仕事なのです。

2.東京都庁の「めざす職員像」

東京都庁では、以下のような職員像が目標とされています。

1

高い志と豊かな感性を持った人材


2

進取の気性に富み、自ら課題を見つけ、進んで行動する力を持った人材


3

都民から信頼され、協力して仕事を進める力を持った人材


4

困難な状況に立ち向かい、自ら道を切り拓く力を持った人材


3.東京都庁職員の平均年収

東京都庁職員の平均年収は約740万円!?

公務員は法律により身分を強力に保障されており、短期的な業績や経済動向に左右されることなく、長期的な視点に立ってじっくりと職務にあたることができます。
東京都の場合、平均年収737万円(平均年齢41.9歳)※1で、民間企業の平均443万円(男性545万円/女性302万円)※2と比べて高い水準となっています。

※1 東京都庁職員の平均年収はTACが独自に算出した行政事務職の推定額です。 平均年収=「月額支給される給料及び手当」×12+「年額支給される手当(期末手当・勤勉手当(ボーナス等)」/「月額支給される給料及び手当」=給料+各種手当(扶養手当、通勤手当等)
[参考資料]総務省 地方公務員の給与実態調査(令和3年度)
※2 [参考資料]国税庁民間給与実態統計調査(令和3年度)

4.東京都庁職員採用試験

東京都庁職員採用試験は、年齢によって採用区分が変わります。ここでは大学生、大学院生の方で事務を受験する場合について解説していきます。

Ⅰ類B(事務、一般方式) 受験資格・試験内容・スケジュール

1類Bは大卒レベルの事務職を想定した試験です。受験資格、試験について詳しくみていきましょう。

例 令和5年度

受験資格:日本国籍を有する人で、採用年度の4月1日において、22~29歳の人
※Ⅰ類Aの試験と併願することができます。

内容 実施時期 詳細
出願 4月上旬
第1次試験

4月下旬~5月上旬

・教養試験(択一式、130分、40問解答)

…一般教養についての五肢択一式


・論文試験(記述式、90分、1000字以上1500字程度)
…課題式(1題必須解答)


・専門試験(記述式、120分、10題中3題選択解答)

第1次合格発表

6月上旬


第2次試験 6月下旬~7月上旬

・口述試験

…主として人物についての個別面接

最終合格発表 7月中旬

(注) 試験日程等の詳細については必ず「東京都職員採用サイト」をご確認ください。

試験内容
  • 第1次試験
    教養試験

    130分40問の択一式問題を解答する形の試験です。主に高校までで学習した知識について出題されます。出題分野は以下の通りです。
    【出題分野】
    ・知能分野…文章理解、英文理解、判断推理、数的処理、資料解釈、空間概念
    ・知識分野…人文科学系(文化・歴史・地理)、社会科学系(法律・政治・経済)、自然科学系(物理・化学・生物・地学)、社会事情

  • 第1次試験
    論文試験

    90分1000~1500字程度の記述式問題を解答する形式です。過去には以下のような問題が出題されています。

  • 令和5年度 (1) 別添の資料より、正しい情報をタイムリーに伝える「伝わる広報」を展開するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
    (2) (1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。
    令和4年度 (1) 別添の資料より、首都直下地震から命と財産を守るとともに、社会経済活動の麻痺による甚大な影響を回避するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
    (2) (1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。
  • 第1次試験
    専門試験

    120分で、10題中3題を選択して論述する形式です。大学で学習するような専門的な知識が要求されます。出題科目は以下の通りです。
    【出題科目】
    憲法、行政法、民法、経済学、財政学、政治学、行政学、社会学、会計学、経営学

  • 第2次試験
    口述試験

    事前に作成した面接シートに基づき、職務に関連する専門知識及び人物についての個別面接を行います。
    自己PR、志望動機などが質問されます。

Ⅰ類B(事務、新方式) 受験資格・試験内容・スケジュール

1類Bの新方式は大卒レベルを想定した試験で、事務とICTの2つの職種のみを対象に行われています。
このうち事務での受験を前提に受験資格、試験についてみていきましょう。

例 令和5年度

受験資格:日本国籍を有する人で、採用年度の4月1日において、22~29歳の人
※Ⅰ類Aの試験と併願することができます。

内容 実施時期 詳細
出願 4月上旬
第1次試験

4月下旬~5月上旬

・教養試験(択一式、130分、40問中35問解答)

…一般教養についての五肢択一式
(知能分野) 30問必須解答
(知識分野) 10問中5問選択解答


・プレゼンテーションシート作成(90分、1題必須解答)
…都政課題に関するプレゼンテーション・シート作成

第1次合格発表

6月上旬


第2次試験 6月中旬

・口述試験

…プレゼンテーション及び人物についての個別面接

第2次合格発表 6月下旬
第3次試験 7月中旬

・口述試験

…グループワーク及び人物についての個別面接

最終合格発表 7月下旬

(注) 試験日程等の詳細については必ず「東京都職員採用サイト」をご確認ください。

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試験内容
  • 第1次試験
    教養試験

    130分40問中35問の択一式問題を解答する形の試験です。主に高校までで学習した知識について出題されます。出題分野は以下の通りです。
    【出題分野】
    ・知能分野…文章理解、英文理解、判断推理、数的処理、資料解釈、空間概念
    ・知識分野…人文科学系(文化・歴史・地理)、社会科学系(法律・政治・経済)、自然科学系(物理・化学・生物・地学)、社会事情(都政における重要施策を含む)

  • 第1次試験
    プレゼンシート

    90分で東京都が抱える課題について、提示された複数の資料(新聞記事や統計資料)をもとにプレゼンテーションシートを作成します。
    過去には以下のような問題が出題されています。

  • 令和5年度 次の資料1~4は、デジタルガバメントに関するものである。これらの資料を見て、都政のQOS(Quality of Service)向上のために、都はどのような取組を行っていくべきか、プレゼンテーション・シートを作成せよ。
    作成に当たっては、東京都職員として職場の上司に5分間でプレゼンテーションすることを想定して、あなたが考える表題を記載し、重要な課題、解決に向けた具体的な取組、期待する効果などについて要点をまとめること。なお、図を用いるなど表現方法は問わない。
    令和4年度 次の資料1や資料2は、地震発生時における帰宅困難者等に関するものである。これらの資料を見て、発災時における都民の安全・安心な避難を確保するために、都はどのような取組を行っていくべきか、プレゼンテーション・シートを作成せよ。
    作成に当たっては、東京都職員として職場の上司に5分間でプレゼンテーションすることを想定して、あなたが考える表題を記載し、重要な課題、解決に向けた具体的な取組、期待する効果などについて要点をまとめること。なお、図を用いるなど表現方法は問わない。
  • 第2次試験
    口述試験

    プレゼンテーションと個別面接が行われます。1次試験で提出したプレゼンテーションシートと当日に持参する面接シートに沿って面接が行われます。

  • 第3次試験
    口述試験

    グループワークと個別面接が行われます。出題テーマは都政全般にかかわるもので、グループがプロジェクトチームとなった設定で行われます。

Ⅰ類A(事務) 受験資格・試験内容・スケジュール

1類Aは院卒レベルを想定した試験です。受験資格、試験についてみていきましょう。

例 令和5年度

受験資格:日本国籍を有する人で、採用年度の4月1日において、24~31歳の人
※Ⅰ類Bの試験と併願することができます。

内容 実施時期 詳細
出願 4月上旬
第1次試験

5月上旬

・教養試験(択一式、130分、40問解答)

…一般教養についての五肢択一式


・論文試験(記述式、90分、1000字以上1500字程度)
…課題式(1題必須解答)


・専門試験(記述式、150分、5題中1題選択解答)
…高度な専門知識についての記述式

第1次合格発表

6月上旬


第2次試験 6月下旬

・口述試験

…職務に関連する専門知識及び人物についての個別面接

最終合格発表 7月中旬

(注) 試験日程等の詳細については必ず「東京都職員採用サイト」をご確認ください。

試験内容
  • 第1次試験
    教養試験

    130分40問の択一式問題を解答する形の試験です。主に高校までで学習した知識について出題されます。出題分野は以下の通りです。
    【出題分野】
    ・知能分野…文章理解、英文理解、判断推理、数的処理、資料解釈、空間概念
    ・知識分野…人文科学系(文化・歴史・地理)、社会科学系(法律・政治・経済)、自然科学系(物理・化学・生物・地学)、社会事情

  • 第1次試験
    論文試験

    90分1000~1500字程度の記述式問題を解答する形式です。過去には以下のような問題が出題されています。

  • 令和5年度 (1) 別添の資料から、強靭で持続可能な社会の実現に向けた取組として、サーキュラーエコノミー(循環経済)への転換を図るために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
    (2) (1)で述べた課題に対して、都を含む行政は具体的にどのような取組を進めるべきか、都の現行の施策に言及した上で、あなたの考えを述べよ。
    令和4年度 (1) 別添の資料から、文化振興により、人々の日常に楽しみを取り戻し、暮らしに潤いや活力をもたらすために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。
    (2) (1)で述べた課題に対して、都はどのような取組を進めるべきか、あなたの考えを述べよ。
  • 第1次試験
    専門試験

    150分で、5題中1題を選択して論述する形式です。高度な専門知識が要求されます。出題区分は以下の通りです。
    【出題区分】
    公法(憲法、行政法)、民事法(民法、民事訴訟法)、経済原論(ミクロ経済学、マクロ経済学)、財政学、公共政策

  • 第2次試験
    口述試験

    事前に作成した面接シートに基づき、職務に関連する専門知識及び人物についての個別面接を行います。
    自己PR、志望動機などが質問されます。

5.東京都庁職員採用試験の倍率、難易度

公務員試験の難易度を図る指標として倍率があります。全都道府県の事務系の試験倍率と比較することで東京都庁職員採用試験の難易度を知ることができます。

2021年は極端に倍率が上がっていますが、オリンピックが終わったことで組織委員会に出向していた職員が戻ることを想定して採用人数を減らしました。2022年になってからまた従来通りの合格者数を出すように戻っています。

東京都Ⅰ類A(事務)/試験結果

- 採用予定数 受験者数 最終合格者数 倍率
2021年 20 370 24 15.4
2022年 60 359 82 4.4
2023年 40 288 51 5.6

東京都Ⅰ類B行政(一般方式)/試験結果

- 採用予定数 受験者数 最終合格者数 倍率
2021年 85 1,507 110 13.7
2022年 360 1,677 540 3.1
2023年 455 1,525 626 2.4

東京都Ⅰ類B行政(新方式)/試験結果

- 採用予定数 受験者数 最終合格者数 倍率
2021年 25 443 31 14.3
2022年 105 521 139 3.7
2023年 174433 230 1.9

参考/2021年 都道府県・政令市 大卒事務系試験 実施状況

- 受験者数 最終合格者数 倍率
2021年合計 39,821 8,460 4.7

このように年によって倍率が異なることもありますが、過去の試験結果からおおよその「目安」は把握できます。一般的に公務員試験の合格ラインは、教養科目が約6割、専門科目が約6割とされています。

もちろん、この数字はあくまで目安です。受験者のレベルが高い年には、合格ラインがこれよりも高くなる可能性があります。しかし、このように目安の点数や合格ラインばかりを気にして、勉強に集中できないことは避けるべきです。

まずは集中して勉強を進めたうえで「あとどのくらい得点できれば合格の見込みがあるのか」などの目安にしてください。

6.東京都庁職員採用試験の対策

ここまで試験について解説してきました。「やることが多いな」という印象を持たれた方は多いのではないでしょうか。

公務員試験はまさにその通りで、他の就職試験や資格試験と比べて科目が多いというところに特徴があります。しかし、科目によって出題数や配点ウエイトが異なることから学習にメリハリをつけることで効率的に合格を目指すことができます。

ここでは東京都、都庁の試験対策について解説していきます。

筆記試験

択一

教養択一試験

教養択一試験は出題科目が多いため、出題数の多い科目から優先的に勉強を始めていきましょう。高校までに全く習ったことのない科目で出題数の少ないものについては勉強をせず、他の勉強に力を入れていくというもの一つのポイントです。

論述

専門試験

Ⅰ類Bの専門試験(記述式)は、いわゆる一行問題が出題され、「●●について説明せよ」という形で論点そのものをまるまる説明させる問題が出ます。特に珍しいテーマは出題されないため、各科目の重要論点について文章が書けるようにしておきましょう。

論述

論文試験

論文試験は提示された複数の資料(新聞記事や統計資料)をもとに、都政が抱える課題についてどのような取り組みを進めるべきかを1,000以上1,500字程度で書いていく必要があります。ご自身の書いた論文を客観的に見てもらえるような環境を用意することが重要です。

人物試験

面接

口述面接

口述試験は面接が中心になりますのでガクチカと都庁の政策研究はしっかりと進めるようにしていきましょう。

7.まとめ 東京都庁職員になるには?

いかがでしたか?東京都の職員になるための試験は、筆記試験対策、面接対策などいろいろなことを準備していく必要があります。その反面、他の公務員試験と重複する部分が多いことや教養試験対策は民間就活のSPI対策にもなり、将来の選択肢を広げることができますので、東京都の採用試験を受験してみませんか。

本記事を担当させていただいた私どもTAC公務員講座は、東京都Ⅰ類B(行政、一般方式)であれば合格者の2.3人に1人が私どもTACに通っており他の試験種を含め高い合格実績を誇っています。なぜこれだけ高い合格実績が出せるのか一度無料講座説明会や無料体験入学にご参加ください。しつこい勧誘など一切しませんのでお気軽にご参加いただけたらと思っています。

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