タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第65回テーマ 士業も仕事で失敗していいの?


襟 糸 監子君、単刀直入に聞くが、最近何かに「失敗」したかい?たとえば婚活とか。


監 子 襟糸先輩、何よ、いきなり今回の本題?普通最初はソフトな話から入るものなのに!しかも婚活とかナーバスな問題出して!ハラスメントって知ってますか?


襟 糸 だから「単刀直入に言うが」と前置きしたじゃないか。なるほどな、監子君、君の今の過剰な反応こそ「失敗」だな。フフフ。


監 子 きぃ~!襟糸先輩の不躾な質問と開き直った態度こそ「失敗」じゃないですか!


税 太 まあまあお二人とも落ち着いて。二人とも冒頭からお見事な会話の「失敗」ぶりですね…。今日は「士業も仕事で失敗していいのか」をテーマに筆者は語りたいみたいですし、協力しましょうよ。


監 子 筆者はいつも変なYouTubeとか変なシステムとか実験しては失敗してるから、自分のことを書けばいいのにね!まあいいわ、私は確かに会計士試験に受かった時は人生成功?って思ったけど、その後は仕事でミスばっかりで失敗だらけ。もちろん婚活でも変に力が入りすぎて引かれちゃうんだけどね。


税 太 監子さんって経歴だけ見ると堅実に人生を歩んできたのかと思っていましたが、意外と失敗も多いのですね。襟糸先輩は?


襟 糸 『私、失敗しないので。』


税 太 何かのドラマで聞いたことあるセリフなんですが、これは突っ込んであげたほうがいいのでしょうか?


監 子 これに突っ込むとマジで「失敗」するのでやめておいたほうがいいわよ。私から見ると襟糸先輩こそマジで失敗の帝王。エリートだけどエチケットが全くないから良好な人間関係が全く築けない。あ、今のダジャレね。完成度どう?


襟 糸 申し訳ないが、筆者の天野さんに比べると出来がイマイチだ。


監 子 襟糸先輩には聞いてないし!しかも何をいまさら筆者に忖度してるのよ!


税 太 えーっと話を仕事に絡めたいのですが、監子さんはなぜ仕事でミスして失敗ばかりなんですか?


監 子 うーん、自分ではよくわからないけど、性格かな。ひらめいたらどんどん前のめりに動いちゃうことが多いのよね。監査って、事前に監査計画を立てて重要なリスクがある項目にアタリをつけてから重点的にやることが多いんだけど、私は頭ではわかっていても直感で進めてしまいがちなのよね。それで余計に時間がかかっちゃうこともあるんだけど、成功することも結構あるのよ。「その攻める姿勢を見ていると元気が出る」って言ってくれる上司もいるしね。


襟 糸 真面目な話をすれば、吾輩も失敗は多い。あえて失敗することでエリートになっているのだ。確かに税務で挑戦的なことをすれば失敗はしやすい。しかし挑戦を避けて穏便にやろうとすることも、一見失敗していないように思えるが「無難すぎて顧客満足度を高められていない」という意味では大いなる失敗なんだ。


税 太 なるほど!襟糸先輩、いつもそういう真面目な話をすればいいのに。失敗は成功のもと、「失敗はいっぱいすべし」ってことですね。


監 子 うーん、今のダジャレはだいぶありきたりすぎるし、筆者の天野さんに比べるとイマイチだけど、ナイスファイト。その失敗、次回に活きるわよ!


【今回のポイント】

失敗するのは誰でも怖い。私も怖いし、筆者の天野さんも実は子供の頃から慎重派で「石橋を叩いても渡らない子だねぇ」と言われるほどだったらしい。しかし失敗は誰もが経験する。そして年を重ねるごとに「失敗」ではなく「人生の糧」だと思うようになるらしい。サッカー元日本代表監督のオシムさんも「リスクを冒して攻めろ」という名言を残したが、「リスクをきちんと計算した上で」ということもしっかり言っている。選手がリスクを計算しないと怒るし、リスクを計算して安全だとわかっているのに攻めないとさらに怒ったという。士業は正確性と信頼性が必要なので失敗は許されないように感じる人も多いだろう。しかしそんなことはなく他の仕事と同様にみな失敗をするし、それをバネに成長している。勉強も仕事も遊びも日々の生活も、失敗をおそれずにしっかり事前に見積もりながらも勇敢にチャレンジしていこうじゃないか!


[『TACNEWS』 2024年1月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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