タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第61回テーマ 士業はYouTuberに向いているのか?

税 太 監子さん、今日はさすがに緊張します!


監 子 あら、税太君。どうしたの?あ、そうか試験直前だもんね。


税 太 違うんです監子さん。ちょっと今日は憧れの人がいらしてて。


監 子 えっ、この試験直前の大事な時期に?まさか、浮気?それはゼッタイダメよ!…って、なんかこのセリフ先月号と一緒のような…。


襟 糸 監子君。税太君だって一人の伊達な男なんだ。浮気の1つや2つ、大目に見たまえ。ん?この吾輩のセリフも先月号と一緒のような…。


田久巣 なんだ、君たち大事な特別ゲストがいらしているというのに先月号の繰り返しの発言ばかりして。なんと今日はYouTuberとして大活躍中の山田真哉先生がいらしてくれた。みんな拍手!


山 田 こんにちは、『オタク会計士ch』の山田です。なんだかとってもにぎやかな事務所でいい雰囲気ですね。みなさんとても優しい方な気がします。


田久巣 いえいえ、ゲストがいらしているというのに気づいていないばかりか怠惰なことに先月号と繰り返しのセリフを言い出す始末で、大変失礼いたしました。


山 田 田久巣さん、むしろ逆ですよ。「オタク会計士」と名乗る私のアニメ好きに敬意を払ってくれたのでしょう。繰り返しのネタは、おそらくアニメ『うる星やつら』の劇場版で押井守監督の画期的な名作「ビューティフル・ドリーマー」を意識してくれたのかと。学園祭の前日が無限ループして同じ行動やセリフを言い続けるシーンはアニメ好きには有名ですからね。もしくは、『涼宮ハルヒの憂鬱』の「エンドレスエイト」か。優しい方でないと、こうした配慮はできないものです。


監 子 山田先生!さすがです!私は以前『TACNEWS』で連載していた『女子大生会計士の事件簿』の大ファンで、会計士の萌ちゃんをいつも応援していました。萌ちゃんがいたから私も会計士になれたような気がしているんです。それくらい大ファンなので無限ループネタをやってみました。


田久巣 山田先生!我がメンバーの無礼に大人に対応して頂き恐縮です。さて先生、今日はそのYouTubeについて教えて頂きたいのです。YouTubeがこれだけ盛り上がりを見せる現在、士業はどう向き合っていけばいいのでしょうか?ずばり、士業はYouTuberという仕事に向いているのでしょうか?


山 田 単刀直入な質問、大好きです。そうですね、TikTokなどと比べるとYouTubeは全盛期を過ぎた印象もありますが、長尺動画ではまだ圧倒的に強いプラットフォームです。そして、ビジネス・教育系は長尺動画のほうが合っているので、士業は十分活用すべきですし、ズバリ、士業はYouTuberに向いています!


襟 糸 山田先生!私も先生の大ベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』に感銘を受けてから大ファ、ファ、ファンなのでありますが…。ど、ど、どういった、…プスン…!


税 太 襟糸先輩が珍しく緊張しすぎて潰れてしまったので私が質問を代わります!どういった点がYouTuberに向いているのでしょうか?


山 田 YouTubeは華やかでノリさえあればなんとかなると思われがちですが、調査や勉強といった下調べ・台本作りがかなり重要です。その点、士業は若い頃から資格取得や顧客対応のための勉強を継続的にしているので、下準備に対して努力する素養があります。そして、YouTubeで再生数やチャンネル登録者数を増やすには、初心者に対してわかりやすい説明をすることが鉄則ですが、士業はまさに、日々わかりやすい説明が求められている仕事。つまり、士業とYouTuberは、ほぼ同じ仕事だと言っても過言ではないのです!


監 子 山田先生、今の説明すごくわかりやすいです!


山 田 質問されると思って昨日「深夜」まで考えてきたんです。


監 子 この連載で恒例のダジャレも用意してくれて、「真哉」先生、下準備がスゴすぎます!!


【今回のポイント】

YouTubeは士業にとって強力な味方になるが、親和性がどこまであるのか疑問の読者も多かったはずだ。山田真哉先生が明確にその答えと理由を説明してくれたのでここで改めて伝える必要はないだろうが、もちろん士業だからといってYouTubeで成功するとは限らない。いやむしろ成功する確率の方が低い。この連載の作者の天野さんもだいぶ苦戦をしているようにな。しかしそれだけに挑戦し甲斐がある。多くの士業がYouTuberになって成功できれば、世の中にイノベーションが起きるような気がするのだ。


[『TACNEWS』 2023年9月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学・同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『相続でモメる人、モメない人』(2023年、講談社/日刊現代)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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