タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第57回テーマ なぜYouTube『相続と文学』をはじめたのか?

田久巣 なんと5回連続ですが、今回もゲストの登場です。一体誰が登場するか、当てられるかな?


税 太 えー、誰なんですか?毎回ドキドキします!あ、もしかして!?(所長には聞こえないよう小声で:襟糸先輩、さすがに僕も毎回驚く演技に疲れてきました!)


襟 糸 (君もいい子ちゃんぶるのはもう止めたまえ。どうせゲストは1月号からこの事務所に居残り続けているあいつだろ?暇なのかな?)


監 子 (所長には聞こえないよう小声で:しっ!あのゲストが地獄耳なの、知ってるでしょ?)


田久巣 勘の鋭い税太君の「もしかして」は当たっているかな?では発表します。今回の特別ゲストは、またもや税理士法人レガシィの天野大輔さんです!前回編集者さんにハンサムなイラストを作ってもらったもんだから、また見せたくなって登場したんだな、コノヤロウ!


監 子 所長までなんて言葉遣いを!ゲストに向かって失礼ですよ!


天野大輔 こんにちは。いやいや監子さん、いいんですよ。いやあ図星です。所長がそうやってからかってくれるのは親近感がある証拠。本当にいい事務所ですね!(所長には聞こえないよう襟糸に:さっきの発言聞こえたぞ。暇で悪かったね!さて、今回も最後にオチ頼むよ)


襟 糸 (所長には聞こえないよう天野へ:ゲゲゲっ!今回も聞こえていましたか、大変失礼しました!最後にオチ…。またまた、プレッシャ~!)


田久巣 天野さんは2月17日にYouTubeチャンネル『相続と文学』をはじめましたね。なぜ相続だけをテーマにしなかったのですか?ターゲットを絞るのはマーケティングの鉄則ですし、実際そのほうが再生回数は稼げるのに。


天野大輔 確かに再生回数を稼ぐことを最優先に考えるのなら、対象は今まさに相続が気になっている方々に絞って、お得な節税情報であったり税制改正の見解であったりを載せていたと思います。でも、カッコつけて言えば…いや、かえってカッコ悪いのかもしれませんが、再生回数を稼ぐよりも、イノベーションを起こしたかったんです。


田久巣 と、おっしゃいますと?


天野大輔 イノベーションを起こすには「掛け算」が必要だと言われています。たとえば起業当初のAmazon。本屋とインターネットを組み合わせて、誰もやったことのないサービスを作った。また、1970年代後半から1980年代に大流行した音楽グループのYMO。結成にあたりテクノとエキゾチカという2つのジャンルの掛け算をして、誰も聞いたことのない音楽を作った。


襟 糸 YMOはだから聞いていて飽きないのですね!でも、なぜ掛け算がいいのですか?


天野大輔 それぞれの良さが反応し合って、新しい魅力が生まれやすいですよね。たとえばカレーライスは、カレールーだけでも、ライスだけでも美味しい。でもほどよくミックスして食べると全く違う美味しさが生まれる。ひと口ずつスプーンですくう度に違う配分になって、5:5には5:5の良さが、10:0には10:0の魅力がある。


監 子 一皿でいろいろ楽しめるから、私、カレー大好き!『相続と文学』は、どんな風に進めているのですか?


天野大輔 『リア王』で2本、『犬神家の一族』で2本収録しました。こういった文学の中では相続の重要テーマが取り扱われています。それを解説すると、良いカレーライスになるんです。ディレクターの方から「今のパートはGoodカレーライス!」と言われたときは嬉しかったです。あと、相続を専門にしてからのほうが、文学だけを研究していた頃よりも作品を理解できるようになったので、視聴者の方々の興味の幅を広げるお手伝いができているのではと感じます。今度は弁護士であり歌人の竹内亮さんと『相続と文学』短歌編を対談でやる予定です。おっと、もうエンディングですね。さて、それでは最後に襟糸さん、約束通りオチをどうぞ!


襟 糸 うわぁ、来た~!えーっと、では謎かけで。YouTubeの反応が気になる天野大輔さんとかけて、オチを求められた私の本音と解く。その心は、『オチつかない(落ち着かない)』。


【今回のポイント】

イノベーションとは異なる2つの組み合わせ(掛け算)であるとよく言われている。新しいものをゼロから生み出さずとも、既存の知を組み合わせることで全く新しいものが生まれるというわけだ。士業の世界も、「税務×コンサルティング」「相続×DX」などいろいろな組み合わせによって新たな活躍の場が広がっている。既存の知同士が近くても遠くても、組み合わせ次第でイノベーションが起きると思うとワクワクしないだろうか?さて、早速私もイノベーションを起こすために今晩から「お酒×おつまみ」をミックスしてみようかな(笑)?


[『TACNEWS』 2023年5月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『「生前贈与」のやってはいけない』(2022年、青春出版)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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