タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第56回テーマ 家族経営の士業事務所はうまくいくのか?

田久巣 4回連続ですが、今回もゲストの登場です。テーマは「士業の家族経営」!最近よく受験生から「家族経営の事務所ってどんな感じなのか?」と聞かれるので、リアルな声をお聞きしたいと思います。


税 太 ゲストが最近多いですね!家族経営といえば、もしかして…?(所長には聞こえないよう小声で:襟糸先輩、なんで所長は最近ゲストを呼んでばかりいるんでしょうね?)


襟 糸 (所長には聞こえないよう小声で:ふん、この連載ももう5年目だから、どうせ僕らは読者にも田久巣所長にも飽きられてしまったってことさ。士業家族経営のゲスト?そんなのたかが知れている。僕らのほうが気の利いたこと言えるのにな)


監 子 (所長には聞こえないよう小声で:襟糸先輩、いじけないの!脇役こそ大事よ。そもそも士業だって、オーナーや経営者の脇役として支援する役割のはずよ!)


田久巣 鋭いな税太君、そう、その「もしかして」だ。では発表します。今回の特別ゲストは、なんと2人!税理士法人レガシィの天野隆さんと天野大輔さんです!ついに顔出しもOKになりました。パチパチパチ!


天野隆 前々回もお邪魔しちゃいましたが、またお招き頂きありがとうございます。


天野大輔 私は3回目です。本当にいい事務所ですね。メンバーもみんなゲストをもてなしてくれて、素晴らしすぎます!(所長には聞こえないよう襟糸に:相変わらずひとりを除いては…。そう言うからには、最後に気の利いたセリフ、頼みますよ!)


襟 糸 (所長には聞こえないよう天野へ:今回も聞こえていましたか、大変失礼しました!最後に気の利いたセリフ…。プ、プレッシャ~!)


田久巣 まずは天野隆さん。士業の家族経営は、ズバリうまくいきますか?


天野隆 身も蓋もないのですが、結局はその経営者次第ですよね。私も父から事務所を継いだ2代目なので、当時は世間でよくある親子間での考え方の違いでぶつかったものでした。ただそれでも、事務所を継ぐ前に亡くなった母に「お父さんとうまくやってね」と言われていたこともあって、父の立場もしっかり考えて一緒に経営をしていました。そのことで人間的に成長できたように感じています。


田久巣 なるほど。天野大輔さんは3代目ですが、どう思いますか?


天野大輔 以前はネガティブでしたが、今はポジティブです。というのも、実は以前『TACNEWS』のインタビュー特集でもお話ししたんですが、当初は事務所を継いで経営者になろうとは思わなかったんです。文学だったりSEだったり、やりたいことが他にあったし、同族経営の印象も悪かった。でもある時、母が経営に加わることになり、事務所の改革・改善のために生き生きと充実して働く姿を見て、おもしろそうだと思ったんです。ちょうどその頃『スパイキッズ』というアメリカの映画が流行っていて、子どもたちが両親と同じスパイになって家族で大活躍する姿を見たこともあって、「両親の知恵や伝統を大事にしつつも、自分の経験を活かしてデジタル化などの大胆な改革をしよう。そして士業における同族経営の偏ったイメージを払拭していこう」という思いが生まれたんです。


田久巣 なるほど!天野隆さんも大輔さんも、それぞれお母さまがキーパーソンになった、と。まさに家族の力ですね!


天野隆 言われてみれば!


天野大輔 確かに!


田久巣 では最後に、家族経営の士業事務所で働いている方や応募する方に一言!


天野隆 「家族(かぞく)経営(けいえい)」の略語と掛けて、「変なイメージにとらわれずに自分の頭で考えること」と解く。その心は「かっけー!」


天野大輔 長期的な経営目線があることは強みですね。仕事のけじめはしっかりとつけながらも、アットホーム感があって物事の許容度が高いという良さもあるように感じます。さて、それでは最後に襟糸さん、約束通りオチをどうぞ!


襟 糸 うわぁ、来た~!えーっと、「家族なら 許してください オチだけは」

【今回のポイント】

家族経営や同族経営というと、完全には公平でないイメージがつきまとったりして印象が良くない面も確かにある。しかし家族で経営するからこそ、働く人の能力だけでなく考え方や人間性を重視できたり、長期性や安定性といった安心感を与えたりできるメリットがある。天野隆さんのお話の通り、経営者次第ではあるのだが、うまくいっていることも多そうなイメージは持てた。え?この文章も天野大輔という家族経営をしている立場の人間が書いているという点で、偏りがあるかもしれないって?そこは襟糸君の最後のセリフではないが、「許してください」!


[『TACNEWS』 2023年4月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でSEとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人等で会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続専門約60年の税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年に士業事務所間で仕事を授受するWebサービス「Mochi-ya」、2020年にシニア世代向けの専門家とやりとりするWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『「生前贈与」のやってはいけない』(2022年、青春出版)。2023年、YouTubeチャンネル「相続と文学」配信開始。

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