タックスファンタスティック Tax Fantastic!!第31回テーマ 税理士トランスフォーメーション=ZX

監 子 税太君、Web会議で聞くのもなんだけど、人間ってどうすれば変われると思う?


税 太 その質問をするということは、また失恋したんですね。ははーん、さてはまたダメ男に貢いでしまったんですね。


監 子 さすが、税太君、察しがいいわね。そうなのよ、ダメ男はダメだとわかっていてもハマってしまう自分のダメさに嫌気がさすのよね。


襟 糸 「もし意志の力が十分に養成されているならば、すべてに克てるはずだ」byダンテ。


監 子 ゲゲっ!襟糸先輩による文豪の名言を使っての乱入、定番と化してきたわね。ええ、そうよ、意志が足りないって言いたいんでしょ?はいはい、その通りよ。他に言いたいことは?


襟 糸 「デジタル(D)によってビジネスや組織を変革するのがDX。ダメ男(D)によって自分をダメなほうに変革するのもDX」by襟糸。


監 子 ◎△$♪×¥●$&%!?!


税 太 襟糸先輩、言いすぎですよ。監子先輩、まるでマンガみたいに怒り心頭でとうとう言語を超越してしまったじゃないですか!


襟 糸 おふざけがすぎた。申し訳ない。しかし君たちには重要なことを教えないといけないと思って引き合いに出したのだ。税太君、僕たち税理士の使命って何だい?


税 太 えっと、それは税理士法の第1条に規定されていますよね。「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ること」です。


襟 糸 そうだ。税太君は以前システム業界にいたよね?この使命を読んで何か感じることはないかい?さっきの僕の名言も参考にして答えたまえ。


監 子 まぁ、偉そうに!DZ(ダークネス税理士)なんかに答えることなんてないわよ!


税 太 まぁまぁ。そう言いつつDの頭文字使うのマネしちゃってるじゃないですか!襟糸先輩の質問に答えますが、僕はこの使命を改めて読んでみて、何だか「税理士」は「デジタル」と似ている気がしてきました。「デジタル」も独立・公正な立場で、信頼にこたえてくれるものですもんね。


襟 糸 Great!そうなんだよ。まさにこれからはビジネスも組織も「デジタル」と同様、「税理士」を利用して変革していくべきだ。税理士は記帳代行や税務申告やそれに関連するアドバイスだけでなく、人々の財産や人生を変革してしまうような重大な役割を持ち得るし、変革させたいときは是非頼ってほしいと思うんだよね。DX(デジタルトランスフォーメーション)ならぬZX(税理士トランスフォーメーション)だ。


監 子 あら、最後はかっこいいこと言うわね、DZ。私たち税理士は、「Z(ゼット)」であるからには、絶えず変わりながら「ずっと」価値ある人でいたいからね。


【今回のポイント】

「デジタル」によって、手紙がメールやチャットに、レンタルショップでのCD・ビデオの貸し出しがストリーミング配信に移行していったように、「税理士」が既存の常識を打ち破ることによって世界を変革していく姿を想像してみよう。P・F・ドラッカーは「変化はコントロールできない。この変化の時代を乗り越える唯一の方法は、あえて変化の先頭に立ち、自ら変化の担い手になることだ」と名言を残している。コロナ禍になってまさに変化が求められていることは皆実感していると思う。税理士自身も、税理士を利用する人も変わらないといけない時代になった。まだまだ「税理士」を使って変革を起こすという考えは浸透していないが、この考えを普及させるためには、「デジタル」化がそうだったように、「税理士」が持つポテンシャルを十分に発揮し、それを多くの人たちに知ってもらうことが大切だ。そのためには多様なバックグランドを持った税理士が集まり、変革を拒まない精神を「ずっと」持って「先頭に立つ」ことが必要なのだろう。


[TACNEWS 2021年3月号|連載|タックスファンタスティック]

Profile

筆者 天野 大輔(あまの だいすけ)

1979年生まれ。公認会計士・税理士。税理士法人レガシィ代表社員パートナー、株式会社レガシィ常務取締役。慶應義塾大学卒業、同大学院修了(フランス文学を研究)。情報システム会社でシステムエンジニアとして勤務。その後公認会計士試験に合格、監査法人兼コンサルティング会社に入り、会計監査、事業再生、M&A支援等を行う。その後日本で最大級の相続税申告数実績のある税理士法人レガシィへ。相続・事業承継対策の実務を経て、プラットフォームの構築を担当。2019年7月には会計事務所向けWebサービス「Mochi-ya」をリリース。2020年8月にはシニア世代向けWebサービス「相続のせんせい」をリリース。主な著書『改訂版 はじめての相続・遺言100問100答』(2017年、明日香出版、共著)。