人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第60回 セガサミーホールディングス株式会社

Profile

藤原 威氏(写真左)

人財開発本部 人事部
採用課(2023年入社)

2023年、新卒でセガサミーホールディングス株式会社に入社。新人研修を経て採用課の配属となり、新卒採用に従事する。

矢野 奏氏(写真右)

人財開発本部 人事部
採用課(2021年入社)

2021年、新卒でセガサミーホールディングス株式会社に入社。サミー株式会社の新卒採用に従事した後、グループ間の出向に関する業務、副業管理業務、多様性を活かす働き方制度の企画・運用に携わる。現在はセガサミーホールディングスの新卒採用を担っている。


セガサミーグループは、エンタテインメントコンテンツ事業を展開するセガと遊技機事業を展開するサミーが経営統合して誕生した総合エンタテインメント企業だ。「感動体験を創造し続ける~社会をもっと元気に、カラフルに。~」をGroup Mission/Purposeに掲げ、製品・サービスを通じて「感動」や「共感」が溢れる社会を創造し、世界中の人々の生活に「彩り」を提供し続けることをグループの存在意義としている。また、社員の自発的なキャリア形成と未来のセガサミーグループを牽引する人財の育成に取り組んでいるほか、多様な価値観を持つ人財同士の「共感」をテーマに、サステナビリティ推進活動も積極的に行っている。人事部の矢野氏と藤原氏に、セガサミーホールディングスの多様な人財や採用方針、人事制度、福利厚生についてうかがった。

大切なのは全社員が共通認識する「5つの力」

──セガサミーグループ(以下、セガサミー)は、世界中に喜びや感動を与えるエンタテインメント企業として広く知られています。最初にセガサミーホールディングスについてご紹介いただけますか。

矢野 セガサミーホールディングスは、2004年にセガとサミーが経営統合したセガサミーグループの誕生に伴い、総合エンタテインメント企業グループの持株会社として設立されました。当社の主な機能は、セガとサミーを始めとするグループ会社の経営管理やコーポレートサービスの提供です。ゲーム/遊技機の企画・開発といったクリエイティブな仕事は個社が担い、経理、人事、総務、ライセンス管理といった幅広いコーポレート業務は当社が担います。セガサミーに所属するすべての社員が日々ミッションを実現できる環境を提供するため、グループ各社を牽引し、ときに伴走することが私たちの役目です。

──セガサミーホールディングスではどのような人財を求めていますか。

藤原 採用活動におけるテーマは「共感」と「尖り」です。そして多様・多彩な社員全員が持っているべき共通の人間力として、突破力、共感力、決断力、自制力、徹底力の「SEGA SAMMY 5つの力」があります。採用活動ではこの価値観や5つの力にどれだけ合致している人財かを重視しています。

矢野 当社は新卒入社の人財に加え、セガ出身、サミー出身、グループ外から入社された方等、多様な価値観とバックグラウンドを持った社員で組織を構成しています。ですから、皆と共感し合いながらシナジーを生み出していける人財が求められます。5つの力の中でも、採用で特に重視するのが「共感力」です。「相手の心に思いを馳せる」という辞書的な意味だけでなく、「自分の思いを伝える」「共に感動する」という意味も込められています。
 もう1つの「尖り」には、誰しもが必ず1つは持っている「がんばってきたこと」「誇れること」を伸ばし、大切にしていこうという思いが込められています。

職種別採用で学生の“やりたい”を叶える

──新卒採用の選考フローを教えてください。

矢野 まずは当社の採用マイページにエントリーし、Web企業説明会動画を視聴いただきます。その後エントリーシートを提出し、1次面接、適性検査、2次面接、最終面接を経て内々定となります。1次・2次面接はオンラインで実施し、最終面接は対面での実施です。海外在住等、事情によっては最終面接もオンラインで対応します。面接は1人ずつ行い、一人ひとりに向き合って話をうかがいます。
 2025年入社に向けた採用では、ライセンス職、IT職、経理職、人事職、総務職、広報職、サステナビリティ職の7職種で職種別採用を実施します。志望職種は第2志望までエントリーシートに記入でき、人事部門との1次面接で2職種のうちどちらにより適性があるかを見極めます。2次面接以降は対象職種の部門長クラスと面接し、最終面接では対象職種の本部長、人事部門長、ファシリテーターとして人事担当者が同席します。

──選考や面接を通して、応募者とのミスマッチを防ぐための工夫はされていますか。

藤原 8月から定期的に開催するインターンシップで、全職種の先輩社員と話せる座談会を実施します。応募者はどの職種に適性があるかわからないと思いますので、各職種で活躍する社員と話をして、実際に働くイメージを持ってもらえるようにしています。
 私も就職活動中にはインターンシップに参加して、各職種の先輩と話しました。当時は人事職とライセンス職で迷っていましたが、その職種ならではの強みやその職種でしかできないことをお聞きして、志望職種を決めるきっかけになりました。

「ようこそセガサミーグループへ!」、お祝いムード満載の入社式

──2023年4月は、何名の新卒が入社しましたか。

矢野 2023年はセガサミー全体で約250名の新卒社員が入社し、当社には13名が入社しました。セガやサミーの入社人数はかなり多いのですが、他のグループ会社も10名前後がほとんどで、当社の新卒採用人数も例年15名程度です。

──入社式はどのように実施されましたか。

藤原 全新入社員が一堂に会して午前中に式典を行い、午後からはグループ会社混交のチームに分かれ、謎解きによるチームビルディングなどエンタメ性に富んだ研修を行いました。どれも「ようこそセガサミーグループへ!」というお祝いムード満載のプログラムで、心からエンタメを感じられる入社式でした。会社全体から歓迎の気持ちが伝わってきて、「この会社に決めてよかった」と思いました。入社式は新入社員を歓迎するために毎年プログラムを変えるので、来年はまた違った形式で実施される予定です。

──新入社員研修はどのように行われましたか。

藤原 新入社員研修は1ヵ月程度で、入社式後の1週間は全新入社員が集まる研修を実施しました。ビジネスマナー研修等の座学もありますが、元お笑い芸人を講師に迎えて「仕事をする上で“笑い”があるとどれほどコミュニケーションに有意義か」を、グループワーク中心に学ぶ研修もありました。
 その後は個社に分かれて1~2週間の研修を行い、自社への理解を深めます。各部署に配属後も、入社3年目まではフォロー研修として若手社員には定期的に研修を実施しています。

──3年目までのフォロー研修はどのように実施するのでしょうか。

矢野 年に数回実施しています。研修内容は毎年ブラッシュアップしているので、同じ名前の研修でも内容は違うものになっています。
 3年間の研修後も、昇進・昇格などキャリアアップに伴って問題解決力研修や論理思考力研修等、職位レベルに合った力を養う様々な研修を用意しています。
 また「セガサミーらしいリーダーとしての成長の機会を作ること」「誰でも学びたいときに学べる場を提供すること」を目的に、企業内大学「セガサミーカレッジ」を設置し、社員は自由に多様な講座を受けられるようになっています。

藤原 入社1年目の私は、プレゼンテーション研修やアサーティブコミュニケーション研修という「自分の思いをしっかり伝えるための研修」を受講し、大変勉強になりました。

中途採用では通年で約50名が入社

──2024年入社の内定者に内定者フォローはしていますか。

矢野 内定者限定のコミュニケーションサイトで交流しながら、内定者懇親会の開催など、当グループへの愛着を高めてもらえるよう、様々な事業を体感できるイベントに定期的に招待しています。

──課題図書やeラーニングといった必須の学習はありますか。

矢野 必須課題はありません。入社後はエンタメを届ける側になりますから、様々なインプットが大切だと思います。学生のうちしかできない遊びや学びをたくさん経験してほしいと考えています。
 一方で、何も提供されないと不安でしょうから、希望者は社員に提供中の英会話プログラムを無償で受講できます。

藤原 私も毎日30分間必ず受講しています。英語を自分の強みのひとつとして伸ばしていきたいですね。

──中途採用のフローをお聞かせください。

矢野 年間の事業計画に基づいて、毎年約50名を通年採用しています。入社後2日間はオリエンテーションを実施し、その後は3ヵ月に1回、社長講話の時間を設けて会社のビジョンと社長の思いを伝えています。社長に聞きたいことを直接質問することもできるので、毎回盛り上がるイベントのひとつです。

──職種別採用をしておられますが、入社後のキャリアパスとして、多様な職種の経験を積む機会はありますか。

矢野 毎年1回キャリアアンケートを実施して、異動希望や今の部署に対する意見と相談を受けています。本人の希望と異動先部署の意向が合致した場合はどんどんジョブローテーションを進め、志と実力のある社員が挑戦・活躍できる環境をめざしています。さらに、社内公募制度もあり、中途採用案件を社内に公開し、社内の異動希望者がいればマッチングして選考を進めます。

充実した働きやすさをサポートする制度

──人事制度や福利厚生などで「セガサミーらしいもの」をご紹介いただけますか。

藤原 当社ではLGBTQ+への理解を促進させる取り組みが盛んです。その一環として、アライ(LGBTQ+について理解し、当事者を支援すること)への賛同を表明した社員を対象にIDカード用のレインボーストラップを用意したところ、グループ全体から多くの応募があり、今では1,000名を超える社員が着用しています。

矢野 セガサミーは2019年より東京レインボープライドに協賛しています。こうした外部の活動に参加する一方で、内部的にも積極的にLGBTQ+への理解を促進しようと始まったのがレインボーストラップです。

アライ(LGBTQ+について理解し、当事者を支援すること)への賛同を表すIDカード用レインボーストラップ

矢野 他にもダイバーシティ推進の基礎知識を学ぶためのeラーニングや外部相談窓口の設置、同性パートナーを配偶者と同じ扱いとする各種制度を設けています。その結果、性的マイノリティの方々への企業の取り組みに対する評価指標「PRIDE指標」において、2019年より5年連続で最高位となる「ゴールド認定」を獲得。2023年はLGBTQ+の人々が自分らしく働ける職場・社会づくりの実現に中長期的にコミットメントする企業を後押しする「レインボー認定」を初めて獲得しました。

藤原 「セレクトタイム/セレクトロケーション制度」も、当社らしい制度です。働く時間や場所を自分で決められる制度で、子育てや介護のために労働時間の調整が必要な社員や地元に帰らなければならない社員のためにできました。私自身も実家が遠方なので、将来的な両親の介護を考えたとき、この制度はとてもありがたいと思いました。こうした制度で社員の多様な働き方を尊重していることも、入社を決める大きな理由になりました。

矢野 勤務時間はフレックスタイム制度を導入しており、コアタイムと呼ばれる「必ず出勤する時間」もないので、朝6時から夜10時までのフレキシブルタイム内で出勤・退勤時間を柔軟に決めて働けます。
 年間休日は毎年130日前後あり、様々な休暇制度を用意しています。当社ならではの制度が「感動体験休暇」で、社員自身が「感動体験をすること」を目的とした特別休暇を年3日まで取得できます。自分がそれを感動だと思えるものなら何でもOKなので、旅行に行ったり、映画を見たり、資格の勉強をしたりと、様々な用途で利用されています。私は2023年に2日間感動休暇を取得して、セガサミーのリゾート事業の一環である宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾートに家族を招待しました。
 「JOB+(ジョブプラス)」という副業制度も導入しており、現在当社単体で30名以上が利用しています。例えば大学時代まで卓球を続けてきて週末は卓球教室を開いている社員や、社会保険労務士事務所を開業して休日に相談業務をしている社員もいます。本業以外の個人の能力向上や自己実現によって、結果的にグループの企業価値向上や新たなイノベーション創出を推進できるのは素晴らしいことです。

──多様な活躍ができるように制度設計されているのですね。

矢野 はい。女性活躍支援にも力を入れていて、2022年9月から卵子凍結支援制度を開始しました。「今はキャリアを充実させたいけれど、将来的には子育てしながら働きたい」といったキャリアアップを望む気持ちとお子様を持ちたい気持ち、双方に応えるためにできた制度です。
 子育て支援では、社員にお子様が生まれた際には第一子から何人でも、1人当たり100万円の祝い金を支給します。その後、お子様の小学校入学、中学校入学、18歳到達という3回の節目にも、30万円ずつ祝い金をお渡しています。これはセガサミーグループの仲間が増えたことを心からお祝いしたいという、企業の思いの表れです。

セガサミーカレッジと資格取得支援制度で資格取得を推進

──社内で必須の資格や推奨資格はありますか。

矢野 中途採用では職種によって保有資格を応募条件にすることはありますが、会社として全社員に取得を必須とする資格はありません。強いて言えば事業のグローバル展開や人財の多様化に向けて社員の語学スキルの底上げに力を入れているため、TOEIC®TEST等の英語力の指標となるものは積極的に推奨しています。

──社員が業務に関係する資格の取得を希望した場合、何か支援はありますか。

矢野 セガサミーカレッジでは簿記講座やITパスポート講座のように資格取得を支援する研修を多数用意しています。また資格取得支援制度もあり、制度で定めている資格試験に合格すると受験費用を一部会社負担としています。
 さらに弁護士、弁理士、公認会計士等、業務に役立つ難易度の高い資格には、資格保有手当を支給します。法務・知的財産部門では国内外の弁護士や弁理士、財務経理や経営企画部門には国内外の公認会計士、人事部門には社会保険労務士等、どの部署にも専門性が高い資格を持つ社員が複数名在籍しています。

──新卒応募者が学生時代に取得した資格をエントリーシートに記載していた場合、どう判断されますか。

矢野 前提として、新卒はどの職種にも必須資格はありません。ただライセンス職やサステナビリティ職は業務上英語を使う機会が特に多いので、TOEIC®TESTやTOEFL®、IELTS等の英語力を示すスコアを持っている方はアドバンテージがあると判断させていただきます。

──資格取得やキャリアアップをめざしている読者へのメッセージをお願いします。

藤原 学生の方も社会人の方も、資格取得をめざす際には、結果よりも過程を大切にしてください。資格試験には結果が伴います。取得できたときは称賛されるべきですが、もし取得できなくても、ぜひがんばった過程をご自身の中で大切にしてください。この時に得た経験は、必ず糧になるはずです。そして、資格取得をめざして勉強する間も、楽しむ姿勢を忘れないでほしいと思います。

矢野 大学生の皆さんには、学生のうちにしかできないことをたくさん経験して、たくさん学んでほしいと思います。身の回りの様々なことに興味関心を持って、「好き」を突き詰めていただきたいですね。それが資格取得であれば、そのための知識を徹底的に追求していただければと思います。その知識が皆さんの素晴らしい「尖り」となって、今後のキャリアに役立つときが必ず来るはずです。

[『TACNEWS 』2024年2月号|連載|人事担当者に聞く「今、欲しい人財」]

会社概要

社名     セガサミーホールディングス株式会社
設立     2004年(平成16年)10月1日
代表者    代表執行役会長 里見 治
       代表執行役社長 グループCEO 里見 治紀
本社所在地  東京都品川区西品川一丁目1-1
       住友不動産大崎ガーデンタワー

事業内容

総合エンタテインメント企業グループの持株会社として、グループの経営管理及びそれに附帯する業務

従業員数

498名(単体)、7,760名(連結)(2023年3月末日現在)

URL

https://www.segasammy.co.jp/ja/