日常生活にも役立つ「数字力」を鍛える10分間トレーニング ティーチャー鈴木の数的センスアップ塾 Vol.11

Point-考え方-

(1)
ヒント②の通り、「3で割り切れる」とは、その数が「3の倍数」だということですから、まずは1~100の数の中に「3の倍数」がいくつあるか数えてみましょう。1から100までの中にある3で割れる数(3の倍数)は下記のように求められます。
 (ア) 3の倍数:100÷3=33あまり1 ➡︎33個


この計算結果を見て、「3で割れなくなるのは34回目だ!」と答えたくなりますが、実はこれだと間違いです。それはなぜでしょうか?
例えば「9」は3で2回割れますし、ほかにも「18」や「36」も2回割れます。そして、3で2回割れる数とは、言い換えれば「9の倍数」のことです。
では、9の倍数は1から100までの中に何個あるでしょうか?3の倍数の個数を数えるときと考え方は同じです。
 (イ) 9の倍数:100÷9=11あまり1 ➡11個
3で2回割れる数が11個あるとわかりました。3の倍数でカウントしたぶんの重複は除くので、11個を加算します。


さて、これで終わりではありません。3回割れる数はないでしょうか?それは、3×3×3=27です。つまり27の倍数は、3で3回も割れることになります。
 (ウ) 27の倍数:100÷27=3あまり19 ➡3個
3で3回割れる数が3個あるとわかりました。3の倍数・9の倍数でカウントしたぶんの重複は除くので、3個を加算します。


あともう一息!今度は3で4回割れる数、3×3×3×3=81です。この数は、さらにもう1回、3で割ることができます。
 (エ) 81の倍数:100÷81=1あまり19 ➡1回
3で4回割れる数が1個あるとわかりました。3の倍数・9の倍数・27の倍数でカウントしたぶんの重複は除くので、1個を加算します。


100以下には3で5回以上割れる数はありませんので、これでおしまいです。


以上より、1から100までの数の中には、3で1回だけ割れる数が33個、ちょうど2回割れる数が11個、ちょうど3回割れる数が3個、ちょうど4回割れる数が1個あることがわかりました。これらをすべて足した数が、Nを3で割れる回数になります。つまり、33+11+3+1=48です。よって3で割り切れなくなるのは、49回目となります!(解説1)

(2)
次は、Nを42で何回割れるかを考えます。数が大きくなったので戸惑うかもしれません。
ヒント③でも触れた通り、42は42=2×3×7と分解できますので、「42で1回割る」とは、「2と3と7でそれぞれ1回ずつ割る」のと同じ操作です。つまり、2と3と7それぞれで何回割れるかを別々に考えていけば理解しやすくなります。

Nを2で割れる回数と、3で割れる回数と、7で割れる回数の中で一番数が多くなるのは、2の倍数ですね。逆に、割れる回数が一番少ないのは7の倍数です。
また、「2と3と7でそれぞれ1回ずつ割る」ためには、因数に2と3と7がセットで必要です。割れる回数が一番少ないのは7なので、Nが7で何回割れるかを考えればOKです。それがそのまま答えになります。(解説2)

あとは⑴の解き方を思い出して計算してみましょう。
 ・7の倍数:100÷7=14あまり2 ➡14個
 ・49の倍数:100÷49=2あまり2 ➡2個
14+2=16回ですから、割り切れなくなる回数は17回目とわかります。これが求める答えですね!

Answer

【答え 】(1)49回目(2)17回目

 シンプルですが慎重さが求められる問題でした。正解できましたか? 今回のポイントは、「素因数分解」です。素因数分解とは、ある整数を素数の積に分解することです。また素数とは、1とそれ自身以外に約数を持たない数のことで、具体的には2,3,5,7,11,13,17…などのことでしたね。すっかり忘れていたという方は、ぜひ復習してみてください。

今回の問題から、素因数分解の便利さやおもしろさを感じ取ってもらえたらと思います。次回は4月号(3/1発刊)に掲載予定です。お楽しみに!

[『TACNEWS』 2023年2月号|連載|ティーチャー鈴木の数的センスアップ塾]  


Profile

筆者 鈴木 伸介(すずき しんすけ)

TAC統計検定®/ビジネス数学・数学検定・算数検定・中小企業診断士講座講師
株式会社数学アカデミー代表取締役

小学生の算数から難関大学受験まであらゆる層の指導経験を有し、マンツーマン指導した生徒数は380名超、多数の医学部合格者を輩出した実績を持つ。現在は数学検定・統計検定等の対策講座講師、数学リテラシー向上のための企業研修、企業のデータ分析等に従事。数学の意義や価値を世間に伝えるため、精力的に活動している。

保有資格:中小企業診断士・統計調査士・ ビジネス数学検定1級AAA
著 書 : 『もう一度解いてみる入試数学』(すばる舎)

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