日常生活にも役立つ「数字力」を鍛える10分間トレーニング ティーチャー鈴木の数的センスアップ塾 Vol.8

Point-考え方-

まず【図3】から検討していきましょう。これは上の【図3★】のように分解することができます。❶~❺の順に正常に動く確率を計算していきましょう。

❶は「AとBの直列接続」、❷は「BとCの直列接続」ですから、【図1】の計算で求められます。
❶…0.9×0.8=0.72
❷…0.8×0.7=0.56
続いて❸ですが、これはAとBをひとつのカタマリとみなすことで、「❶とCの並列接続」と考えることができます。
❹も同様に「Aと❷の並列接続」と考えられますね。【 図2】の計算で求めてみましょう。
 ❸…1-{(1-0.72)×(1-0.7)}=1-(0.28×0.3)=0.916
 ❹…1-{(1-0.9)×(1-0.56)}=1-(0.1×0.44)=0.956
最後に❺です。これは「❸と❹の直列接続」と考えられますね!
 ❺…0.916×0.956=0.875696 <約87.6%>


同じ要領で今度は【図4】に挑戦してみましょう。これは右の【図4★】のように分解できます。
❶は「BとCの並列接続」、❷は「BとCの直列接続」ですね。
 ❶…1-{(1-0.8)×(1-0.7)}=1-(0.2×0.3)=0.94
 ❷…0.8×.0.7=0.56
❸は「❶とAの直列接続」です。
 ❸…0.94×0.9=0.846
❹は「❷と❸の並列接続」です。
 ❹…1-{(1-0.56)×(1-0.846)}=1-(0.44×0.154)=0.93224
❺は「❹とAの直列接続」です。
 ❺…0.93224×0.9=0.839016 <約83.9%>
以上より、全体が正常に作動する確率は、【図3】が約87.6%、【図4】が約83.9%なので、答えは【図3】ですね!

Answer

【答え:図3】

今回の問題はビジネス数学検定の「システムの信頼度」と呼ばれる分野から出題しました。計算の要素とパズルの要素が両方含まれており、頭のトレーニングにちょうど良い題材ではないでしょうか?興味のある方は、いろいろ調べてみてくださいね!


[『TACNEWS』 2022年8月号|連載|ティーチャー鈴木の数的センスアップ塾]  


Profile

筆者 鈴木 伸介(すずき しんすけ)

TAC統計検定®・ビジネス数学検定 ・中小企業診断士講座講師
株式会社数学アカデミー代表取締役

各種数学セミナーで講師活動を行いながら、社会人向け数学教室「おとなのENJOY!数学クラブ」「おとな数学オンライン」を主宰、ビジネスパーソンの数学リテラシー向上に尽力している。

保有資格:中小企業診断士・統計調査士・ ビジネス数学検定1級AAA
著 書 : 『もう一度解いてみる入試数学』(すばる舎)