読めばモチベーションUP?ビジネスや会計の気になる「あの本」を紹介 萌さんとカッキーの読書室 #29

仕事と資格マガジン『TACNEWS』から生まれた会計小説『女子大生会計士の事件簿』のメインキャラクター、公認会計士・藤原萌実(萌さん)と新人スタッフ・柿本一麻(カッキー)のふたりが、気になる本について激論を交わす…?!ゆったり、まったり、時に激しい、「楽しく、ためになる読書室」です。

時間最短化、成果最大化の法則


『時間最短化、成果最大化の法則』

 著者  :木下勝寿
 出版社 :ダイヤモンド社
 初版  :2022年


カッキー あー、忙しい、忙しい。

萌さん なんだか忙しいフリをしているけどどうしたの?

カッキー フリって、なんてことを言うんですか! 本当に忙しいんですって。監査法人の仕事もたくさん押しつけられてますし、修了考査※の勉強もしないといけないし、会計士協会準会員会の幹事もやってますし、大学時代の同窓会の幹事もやっているんで、毎日がてんやわんやなんです!

※修了考査……公認会計士資格を取得するための最終試験で、2年間の実務経験と3年間の実務補習制度を経た後に受験する。

萌さん ふーん。

カッキー 何ですか、そのあっさりした感想は。

萌さん ただ要領が悪いんだなぁ、って思っただけよ。気にしないで。

カッキー 気にしますって! そんなことを言われたら。要領が悪い僕は一体どうしたらいいんですか? あーっ、僕はこのまま死ぬまで忙しい沼に沈んでしまうんだー!

萌さん そんなに深刻になること? 要領が悪ければ、要領をよくすればいいだけじゃない。この本なんて、参考になるんじゃない。

カッキー 『時間最短化、成果最大化の法則』ですか?

萌さん たった一人で資本金1万円で創業し、東証一部(現東証プライム)に上場させ、最高時価総額が1000億円を突破した著者が、「最短時間で最大の成果を出す方法」をまとめた本よ。

【目次】

★プロローグ──短時間で成果を上げ続けるための黄金法則
   
★第1章──すぐやる人の思考アルゴリズム
    1.行動量が10倍アップする【ピッパの法則】
    2.仕事が速い人に共通する【後でじっくり考えない】法則
    3.“重要度×緊急度×すぐ終わる”で考える【優先順位のダブルマトリックス】の法則
    4.一目でデキる人と思われる 【期限に絶対遅れない人】の法則

★第2章──必ず目標達成する人の思考アルゴリズム
    11.物事を実現する考え方【原因解消思考と最終目的逆算思考】の法則
    12.なぜ人類は月面に着陸できたのか?【ゴールがあるからゴールする】法則
    13.戦いを“略す”のが戦略!【ボールペンより鉛筆を探す】法則
    14.もっと大きな価値を提供できる呪文【ゼロリセット思考】の法則

★第3章──ノーミス人間になる思考アルゴリズム
    20.成果を一夜にして台無しにする【3大欠落的欠点】の法則
    21.「欠落的欠点」を克服する秘密の研修【ジョハリの窓】の法則
    22.人のせいにしない人に変わる【この世に仕方のないことは存在しない】法則
    23.やるかやらないかで生産性5倍!【最強チェックシート】の法則

★第4章──自分で考え行動する人の思考アルゴリズム
    26.ブームに踊らされないマインドセット【アイデアだけでは無意味】の法則
    27.成長の新・常識【リモートワーク=アマゾン】の法則
    28.新・キャリアアップ術 リモートの欠点を補う【社内人脈資産】の法則
    29.前人未到のチャレンジと勉強不足を混同しない【アルキメデス経営】の法則

★第5章──成功者の思考回路をコピーする
    42.つるむ人と同じ年収になる【価値観で結ばれた友達】の法則
    43.人の感情にふりまわされなくなる【好き嫌いは7:3】の法則
    44.お金は「額」よりも使い方!【お金で幸せを買う】法則
    45.お金と時間を得た人が最後にたどり着く【幸せは足元にある】の法則>

★エピローグ──今日から「できる人」へ変身するあなたへ

(目次より主な部分を抜粋)


カッキー 全部で45個も法則があるんですね。

萌さん ベースの考え方は「成果=スキル×思考アルゴリズム」という算式よ。スキルは頑張って身につけるしかないけど、“思考アルゴリズム”つまり考え方を変えたら、ガラッとスピードと成果が上がるの。

カッキー それは凄そうですが、45個もやらなきゃいけないなんて……。

萌さん 自分に合いそうなものだけやれば良いのよ。たとえば、「2.仕事が速い人に共通する【後でじっくり考えない】法則」、なんてどうかしら?

カッキー 仕事をじっくりと考えないのは、社会人としてどうかと思いますけど。

萌さん 著者によると、1日で成果を10出す人と2しか出せない人のと違いは、“アイドルタイム”(実業務をしていない時間)にあるそうよ。成果2の人は調べたり、確認したり、考えたり、準備したりというアイドルタイムが異常に長いんだって。



時間最短化、成果最大化の法則


カッキー どうしてそんなことになるんですか?

萌さん それは必要なことをすぐにやらないからよ。後でやろうと思うから、いざ仕事を再開したときに思い出すのに時間がかかったりするわけ。記憶も不鮮明だから、仕事の精度も低くなる。

カッキー じゃあ、打合せや仕事の指示を受けた段階でもう準備は済ませておく、ということですか?

萌さん そうね。相手から言われた時点ですべてが明確になるまで詰めて、わからないことはその場で確認する。そして、その直後に仕事を始めたらいいのよ。つまり、【後でじっくり考えよう】という考え方のクセ、“思考のアルゴリズム”を撲滅するの。“この後すぐ、何をどうすべきか”を意識して打合せに出たり指示を受けたりすれば、思い悩んだりするアイドルタイムはなくなる、っていうわけ。

カッキー だから、「【後でじっくり考えない】法則」なんですね。

萌さん あと、他に私が好きなのは「13.戦いを“略す”のが戦略!【ボールペンより鉛筆を探す】法則」かなぁ。

カッキー ボールペンより鉛筆?

萌さん こういう宇宙開発の寓話があるそうなの。

ボールペンは無重力状態ではインクがペン先まで届かず、宇宙空間では書けない。そこでNASAの優秀な科学者が10年の歳月と120億ドルをかけ研究を重ね、無重力でも、上下逆にしても、水の中でも、氷点下でも、高温の状態でも書けるボールペンを開発した。
一方、ロシア(ソ連)は鉛筆を使ったという。

(P117より抜粋)


カッキー アメリカとソ連とが宇宙開発競争をしていたとき、アメリカがムダな研究をしてたという話なんですね。

萌さん これは諸説ある話で真偽のほどは不明なんだけど、自分が今やっている仕事がNASAのボールペン開発になってはいないか、どこかに鉛筆があるんじゃないかと意識することが必要なの。

カッキー 代替え手段を常に探せ、ということですか。

萌さん 有能だけど成果が出ていない人は、ボールペン開発をしていることが多いんだって。「戦略」というのは、本来、文字通り「戦いを略す」こと。もっと効率の良い略し方を考えるのも、時間最短化・成果最大化には欠かせないことよ。

カッキー こうやって考え方のクセを直していくんですね。それにしても45個も法則を読むのは大変だなぁ。萌さん、もっとこの本のこと、僕に簡潔に教えてください!

萌さん 本を読む努力ぐらい、略すなー!

[『TACNEWS』2023年2月号│連載│萌さんとカッキーの読書室]

著者プロフィール

山田真哉(やまだしんや)

公認会計士・税理士。TAC梅田校出身。中央青山監査法人(当時)を経て、現在、芸能文化税理士法人会長。株式会社ブシロード等の社外監査役。著書に『女子大生会計士の事件簿』シリーズ、『世界一やさしい会計の本です』『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』等。

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