行政書士試験の勉強法
合格に向けた3つのポイントを解説
コンプライアンスの強化が叫ばれる現代社会では、法律系の国家資格として「行政書士」への注目度が年ごとに高まってきています。
近年の傾向では合格率が10~12%台で推移している難関試験だけに、行政書士試験には入念な学習スケジュールと効果的な勉強方法で臨むことが重要です。
本記事では行政書士試験の勉強法について、合格に向けた3つのポイントをわかりやすく解説しています。受験を検討している人はぜひ参考にしてください。
行政書士になるための3つのルート
行政書士になるためのルートとして広く知られているのは、資格試験に合格することです。しかし、行政書士になるルートは全部で3つあります。
ここでは、行政書士になるための3つのルートを紹介し、それらの内容を解説します。
1.行政書士試験を受験し合格する
行政書士の資格を取るための一般的なルートは、年1回、各都道府県の会場で実施される「行政書士試験」を受験して合格することです。
年齢や国籍・学歴などによる受験制限がなく、誰でも挑戦できるため、幅広い年齢層の人が受験しています。受験者の年齢層は20歳代から40歳代が主流です。
なお、令和3年度の行政書士試験では14歳の中学生が合格しました。令和4年度においても下は15歳、上は78歳の合格者が出ています
。
このように、行政書士試験に合格することが、行政書士の資格を取るルートとして一般的といえるようです。
2.公務員の「特認制度」を利用する
試験を受けなくても行政書士になれるルートとして、公務員の「特認制度」を利用する方法があります。特認制度とは、行政業務またはそれに相当する事務を17年または20年以上担当した公務員であれば、申請によって行政書士の資格を得られる制度です。
ただし、長い経験年数を求められることなどから、特認制度を利用して行政書士の資格を得る人はそれほど多くありません。
3.他士業の資格を取得した後、行政書士として登録する
行政書士になれるもうひとつの方法は、国家資格である他士業の有資格者が、行政書士会に登録すれば行政書士を名乗れる制度です。行政書士法第2条に「弁護士」「弁理士」「公認会計士」「税理士」の資格者は、「行政書士となる資格を有する。」と書かれています。
弁護士や税理士などが行政書士として登録するのは、受託した業務に関連する行政書士業務も行えるようにするためです。他士業と行政書士の資格を合わせることで、仕事の幅を広げられます。
合格率は10~12%│行政書士試験の概要
一般財団法人行政書士試験研究センターが公表した2023(令和5)年度の行政書士試験の受験者数は、46,991人で合格者は6,571人となっています。試験合格率は13.98%でした。
最近の試験結果を見ると、合格率は10~12%前後であるといえるでしょう。
行政書士試験の構成内容は「憲法・行政法・民法・商法・基礎法学」の法令等科目46問と、「政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解」の一般知識等科目14問です。なお、令和6年度試験より、一般知識等科目が、基礎知識科目(「一般知識」「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」)に変更となる旨が試験センターより発表されています。
行政書士試験は各都道府県において毎年11月、第2日曜日の13~16時に実施されます。
行政書士試験│3つの勉強法のメリットとデメリット
行政書士試験に合格するためには、様々な勉強方法があります。それぞれに特徴があるため、自分に適した勉強法を選びましょう。
ここでは、一般的な方法の中でも代表的な勉強法の3つを紹介し、それらのメリットとデメリットを解説します。
1.独学で学ぶ
第1の勉強法は「独学」です。独学で行政書士試験の勉強をする最大のメリットは、大幅に費用を抑えられることにあります。テキストや過去問といった教材の費用のみで済むためです。
自分の生活リズムに合わせて勉強時間を決められるので、時間に縛られない分、自由度が高いことも大きなメリットでしょう。
一方独学には、疑問点があったとき質問しても回答してくれる人がいない、重要なポイントを取りこぼしやすいなどのデメリットがあります。よほど根気よく計画的に勉強を進めなければ、集中力が持続せずに効率も落ちる可能性があるため、注意しなければなりません。
また、令和6年度試験より一般知識等科目が基礎知識科目に変更となります。このような試験改正は独学では対策が取りづらいというデメリットがあります。
2.スクールに通う
第2の勉強法は、行政書士試験の対策コースがある「スクールに通う」ことです。スクールでの勉強による大きなメリットは、すでに組まれている学習カリキュラムに沿って勉強していけばよく、勉強のスケジュールを自分で考える必要がないことです。
充実したサポートによって効率的に勉強を進められるうえ、答練などでどこまで理解できているか客観的に把握でき、やる気を維持しやすいこともメリットです。また、最新の試験傾向を常に分析しているため、改正点もスクールの対策に乗っかって学習していけばよいというメリットもあります。
スクールに通うデメリットは、独学に比べそれなりの費用が必要になることでしょう。通学費用は平均して18~20万円前後が多いですがスクールによって異なりますので、予算に応じたスクールを選びましょう。
3.通信講座を利用する
行政書士試験に合格するための第3の勉強法は「通信講座の受講」です。現代の通信講座は、テキストと平行してスマートフォンを活用しながら学習するスタイルが増えています。
時間や場所を選ばず自分の都合に合わせて勉強できるため、独学と同様に自由度が高いです。しかもカリキュラムを自分で立てる必要がない点では、独学よりも優れているといえるでしょう。
自分のペースで学習することができ、わからない箇所を何度でも繰り返し学べる点も、通信講座のメリットです。
しかし、通信講座は独学に近い面もあるため、モチベーションを保ち続ける努力や工夫が求められます。試験当日までに勉強できなかった科目がないように、ペース配分を自分で行わなければならない点がデメリットです。
行政書士試験問題│過去問の活用法と合格に向けた勉強のコツを解説
行政書士の試験に合格して資格を取得するためには、試験問題の内容や範囲を理解することが必要です。さらに、過去問を解くなど効果的に勉強するのがいいでしょう。
行政書士試験の過去問の活用方法や勉強時間の目安、合格に向けた勉強のコツなどを解説します。
行政書士試験合格に向けた勉強法3つのポイント
年1回の行政書士試験に挑戦するには、次に挙げる3つのポイントが重要です。
- 行政法と民法を重点的に押さえる
- 過去問は理解できるまで反復する
- 効率的な勉強計画を立てる
行政書士試験のポイントを押さえて、できるだけ効率良く勉強しましょう。
1.行政法と民法を重点的におさえる
行政書士試験の問題は、約60%が行政法と民法から出題されます。したがって、法令科目の中でも行政法と民法を重点的にマスターすることが行政書士試験のポイントであり、合格への近道です。
行政法は暗記中心で、民法は理解中心の勉強法を実践しましょう。
2.過去問は理解できるまで反復する
行政書士試験の受験対策では、過去問をマスターすることも重要なポイントです。何度も過去問を解くことで出題傾向がわかるため、問題を解くスピードもアップするでしょう。
過去問に取り組む際は単に問題を解くだけでなく、出題の意図を把握し、内容を深く理解することが重要なポイントです。とくに苦手科目の問題では基礎的な理解を深め、正確な正誤判断ができるようになるまで、各選択肢を反復して解きましょう。
3.効率的な勉強計画を立てる
行政書士試験の合格に向けた勉強における最後のポイントは、初期段階のうちに、時間をうまく使った効率的な勉強計画を立てることです。試験日から勉強開始日を逆算し、その日何を勉強するかまで決めた学習スケジュールを立ててみましょう。
効率的な勉強をするには、独学ではなく通信講座かスクールの利用が望ましいでしょう。スクールのサポートを受けながら、時間を無駄なく効果的に使って勉強していく習慣を持続させることが重要です。
机に向かって勉強することの他、電車やバスなど、交通機関での移動時間といったスキマ時間も有効な勉強時間として活用できます。また、インプットとアウトプットを同時並行して実行することで、更なる勉強効率のアップを図ることができます。
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