将来の夢、見つけた!〈成城大学編〉
将来の選択に、学んだ「簿記の知識」を活かしたい

今回は、 TACとの提携のもと、簿記検定試験、行政書士試験、宅地建物取引士試験、秘書検定試験などの資格取得講座を実施し、高い合格実績を上げている成城大学。経済学部の1年生で、実際に簿記検定講座を受講している4人の学生の皆さんに、簿記を勉強しようと思ったきっかけ、勉強をしてみた感想、そして将来の夢を伺った。また、学生の就職支援に取り組んでいる成城大学キャリアセンターの湯本志朗氏に、資格取得講座の趣旨と目的、学生たちの夢をどのように支えているかについてお聞きした。

左から
湯本志朗(ゆもとしろう)氏
成城大学キャリアセンター主任

星野七海(ほしのなつみ)さん
経済学部 1年生

府川薫子(ふかわかおるこ)さん
経済学部 1年生

宍戸未菜(ししどみな)さん
経済学部 1年生

笹川智里(ささがわちさと)さん
経済学部 1年生

簿記とは

会社や商店などのお金の流れを帳簿に記録し、経営成績や財政状態を明らかにするためのルールを定めたものです。学習することで日々のビジネスの現場で活かせるスキル、考え方を習得できます。公認会計士や税理士等の資格を目指す方はもちろん、他資格と合わせてキャリアアップを考えている方にも人気です。

簿記の勉強をはじめたきっかけは?

──皆さんは2016年4月に大学に入学し、早々に簿記検定講座を受講されていますが、簿記の勉強をはじめたきっかけについて教えてください。

笹川 父も母も姉も、私以外の家族全員が日商簿記3級を取得していましたので、話を聞いて簿記に興味を持ったのがきっかけです。父と母は金融機関で働いていますので、仕事における簿記についての話を聞く機会があったこともきっかけにつながりました。

星野 高校時代から簿記をやりたいな、と思っていました。簿記を知ったきっかけは伯父が税理士をしているからで、仕事ぶりを見てカッコイイなと思い興味を持ちました。大学に入ったら簿記の勉強をと思っていたのですが、大学の授業としては他学部にしかありませんでしたので、大学が実施している簿記検定講座に申し込みました。できれば1年生の時に3級を取って、2級を4年間のうちに取れたらいいなと考えています。

宍戸 私の両親は簿記1級を持っています。両親から簿記ってこういうものだよ、と話を聞いた時に面白そうだな、簿記の数合せでパズルみたいな感じは自分の性格にあっているのではないかなと感じました。ですから、大学に入ったら簿記の勉強を始めようと思っていました。

府川 私は3人みたいに明確な目標を持っていたわけではありませんでした。大学が始まって、仲がいい3人が簿記検定講座を受けるというので、じゃあ私も受けようかな、と。大学1年生の時に何もしないで過ごすのもいやだなと思っていましたので、家族に相談したら、簿記を持っていたら将来役に立つ、と薦められて勉強を始めました。

──大学に入ったばかりで他のこともあり、1年生の後期や2年生位からはじめようとは考えなかったのですか。

笹川 例えばファイナンシャル・プランニング技能検定3級とか、他にもいろいろやってみたいなというものがあるので、できるものからやっておきたいと考えて、1年生の前期から始めました。

星野 2年生になると大学の授業などが忙しくなると聞いていましたので、私も早めに受講しておこうと思いました。

宍戸 私は在学中に日商簿記1級の取得をめざしています。さすがに1級を1回で合格することは難しいと思いますので、早めに3級、そして2級を取得しておきたいと考えました。

府川 私も2年生は忙しくなると聞いていますので、時間があるときに取っておきたいと思いました。

──簿記検定講座を受講しているのは何年生が多いのですか。就職活動対策として受講される方もいるのでしょうか。

笹川 今年は1年生の受講生が多いと聞いています。男女は半々だと思います。

星野 3級を1年生で、2級を2年生で取得するという方もいます。3年生ともなると、皆さん就職活動を意識して、その準備の一環で受講されているようです。

宍戸 1年生は就職活動も意識しているとは思いますが、学びたいことを学んでいる人が多いと思います。

府川 そうですね。就職をまったく意識していないわけではありませんが、3年生ほど差し迫った感じはありませんね。

仲間がいたから、合格できた

──皆さんは、2016年6月の日商簿記検定試験で、見事3級に合格されました。実際に簿記を勉強してみた感想をお聞かせください。

府川 3級を勉強していた時は、みんなで教え合ったり相談しながらやって、何とか合格できました。

宍戸 私も3級はやりやすかったし、勉強しながら楽しいなと感じていました。3級を勉強している頃、大学の授業が4限終わりの時、簿記の講義は6限からなので時間が空きました。そんなときは学生フロアで、みんなで教え合ったりしながら復習をしたり、宿題をやったりして勉強していました。

星野 3級のときは模擬テストでもきちんと得点が取れました。また、みんなで勉強すると、自分が分からないところがあって、誰かわかる人がいるので教えてもらうことができました。

笹川 私は3人と違って要領が悪いので、3級もてこずっていました。違うとは聞いていたんですが、数学っぽいのかな、と思っていたところ、国語の文章問題みたいで、国語のような設問が全然理解できませんでした。でも3人に教えてもらって何とか3級に合格できました。きっと私1人では3級には受かっていなかった、仲間がいたから合格できたんだと思います。

──簿記3級を受験した後、簿記2級に進まれたと思いますが、2級はいかがですか。

府川 2級の勉強が始まると急に難易度が上がった、という印象ですね。

宍戸 そうですね。私も2級になると難しくて、まだ自信がありません。

星野 2級も、3級をやっていた時と同じつもりでやろうと思ったのですが、やっぱり全然違いました。2級は最初の講義から難しいなと思いましたし、工業簿記も出てきたので、まだわからないところがありますね。

笹川 2級になると、商業簿記も3級の基礎的な内容に比べるとすごく発展していて、とても難しく感じています。勘定科目も増えるので、その違いを理解することも大変で、うまく意味を理解しきれていないところがたくさんあります。

勉強した簿記の知識を将来の夢に活かしたい

──簿記検定講座を受講したことで、大学生活や学部の授業への影響はありませんでしたか。

笹川 私たちは4人ともボート部のマネージャーをしていますが、実際に競技をするわけではありませんので、両立することができました。

星野 大学の授業で出てくる単語の中には、簿記検定講座で勉強しているものもあり、周囲のみんなが想像しにくい言葉で、これってなんだろうというような言葉も、先に勉強していたのですんなりと理解できたことがあります。2年生の授業でもそうしたものがあると聞いています。

宍戸 私たちは4人でやっていたので、1人でやるよりはやりやすかったと思います。

星野 そうそう、誰かがわからないことは、誰かがわかるから。

笹川 私はアルバイトもしていましたが、みんなに教えてもらったので何とかなりました。

──簿記を勉強されたことで、他の資格を勉強してみたいと感じることはありますか。

府川 自分は他の資格をいろいろと勉強するのは向いていないと思うので、できるなら深いところまで勉強してみたいです。1級までできればいいなと思います。

宍戸 私は1級まで取得することを目標にしています。今のところ、他の資格をやるつもりはなくて、1級まできちんと勉強していきます。

星野 1級はできたらいいなと思いますが、まずは2級まで取得して、そこでもう一度考えてみたいと思います。

笹川 私は先にお話ししたようにファイナンシャル・プランニング技能検定3級の勉強もしてみたいと思っています。また姉が秘書検定を持っているので、それもいいなと考えています。

──将来の夢はなんでしょうか、卒業後の進路などはもう考えていますか。

笹川 まだ明確ではないですが、金融系の会社に就職できればいいと思っています。

星野 私もできれば金融系の会社に就職できればと思っています。せっかく勉強した簿記の知識を使えればいいなと。

府川 私は決まっていないんですが、簿記を勉強したので、それを活かせればいいですし、簿記とは関係がない別な仕事でもいいと思っています。

宍戸 私もまだ決まっていないんですが、簿記の知識が活かせる仕事に就ければいいなと思っています。

──本日はありがとうございました。将来の夢に向けてがんばってください。本日はありがとうございました。

学生の夢を支える、大学の取り組み

成城大学 キャリアセンター主任 湯本志朗氏

「独立独行」の人材を育成

──成城大学について教えてください。

湯本 成城大学は1950年に開設され、現在では経済学部、文芸学部、法学部、社会イノベーション学部の4学部11学科から構成される人文社会科学系の総合大学で、学生数は5,919名(2016年5月1日現。在)です
 本学の教育ビジョンは、「所求第一義」の精神に則り、真理を究める研究を行うとともに、一人ひとりのもつ「天分」を伸ばす教育によって、グローバル社会を生き抜く「独立独行」の人材の育成にあります。
 本学の学生たちの特徴としては、グループになった時、お互いに協力し合って一つになってやっていくことができる学生が多いですね。また、全学部でゼミナール(演習)が必須となっています。ゼミナールでは発表や議論をすることが多く、話すこと、コミュニケーション能力が培われると感じています。

──所属されるキャリアセンターの役割について教えてください。

湯本 キャリアセンターは、キャリア教育、キャリア支援、就職活動支援の3つの柱を有機的に連携させ、学生のキャリア形成支援を充実させるための組織です。その他にも、学園内各校とのキャリア教育連携、さらに、卒業生や社会(企業)、他大学とも連携をとりながら、総合的な「キャリア形成」支援を行っています。
 その中でもメインとなる活動が「就職活動支援」です。本学の就職活動支援は、単に就職内定をゴールとはしていません。例えば女性であれば、就職し、一度家庭に入り、その後再度社会に出るといったように多様なキャリアがあります。こうしたことを知ってもらい、学生たちが自らの勤労観・就職観を醸成し、社会人としての意識を高めていけるようなガイダンスや講座、キャリアカウンセラーによる徹底した個別相談を実施しています。そして学生一人ひとりが、自らの希望に応じた就職活動スタイルを、自ら形成できるよう支援しています。
 具体的な活動としては、就活総合ガイダンス、各種基礎セミナーやミニ講座、業界・企業セミナー、学内合同企業説明会、内定者懇談会、OB・OG懇談会、筆記試験対策講座、SPI・一般常識模擬試験、資格取得対策講座、特殊業界対策講座・TOEIC(R) L&R TEST対策講座、公務員・教員志望者向けプログラムなどを用意しています。

学生のために資格取得対策講座を開講

──キャリアセンターが行う就職活動支援の一環として開講されている資格取得対策講座について教えてください。

湯本 資格取得対策講座は、TACの協力のもと、
・日商簿記2級(11月目標)・3級(6月・11月目標)講座
・行政書士講座
・宅地建物取引士講座
・ファイナンシャル・プランニング技能検定3級講座
・秘書技能検定準1級・2級講座
・ITパスポート講座
などの講座を実施しています。
 また、TOEIC(R) L&R TEST対策講座につきましては、学部によっては大学の授業として「TOEIC(R) L&R TEST対策」を実施しています。ただ、履修していない学生のために、TACの協力のもとで対策講座を実施し、全学生が受講できるようにしています。
 資格取得対策講座は、全学生が対象で受講する学年を区切っていませんので、入学まもない1年生から受講が可能です。
 2016年の受講学生の特徴としては、1年生の受講者、特に女子学生の受講が多いようです。大学選びの段階で就職難の時代があったことから、就職を意識して早めに行動しているのかもしれません。また、3年生になると就職活動を意識しての受講ですが、1年生の場合は、事始めといいますか、大学生になったから何か始めよう、という気持ちで受講する学生が多いですね。

──資格取得対策講座を学内講座として開講する意図について教えてください。

湯本 資格取得に関しては、資格を取得していると必ず就職に有利になるというものではありませんが、取得した資格は履歴書の資格欄に記載できますし、計画的に勉強をして資格を取得したという、計画性と努力はきちんと評価されると学生には伝えています。とはいえ、やみくもに資格を取得して、資格オタクみたいになると、なぜそれを取得したのかと質問された場合に整合性がある返答ができず、かえってマイナスになる点も指摘しています。

──簿記については、どのようにお考えですか。

湯本 簿記はどんな会社に入ったとしても必要なもので、あって困ることはないと思います。例えば金融機関に入った場合には、貸借対照表が読めることが仕事上で役立つことでしょう。ただ、日商簿記検定を取得したからといって、必ず金融機関や会社の経理部門に入るわけではありませんが、将来的に異動により簿記が必要な部門に移ることも考えられます。ですので、直近の就職活動のためというよりも、長い目で見て自身の将来の役に立つという観点で考えてほしいと思います。これは秘書検定も同じです。
 また、簿記を勉強した学生には、就職活動の企業分析において、財務諸表を見て会社の財務面からの分析にも活かしてほしいと思います。

──資格取得対策講座を受講する学生に対するフォローは行っていますか。

湯本 日商簿記検定の場合、3級と2級は同時申し込みになり、3級が終わると2級の講義が始まります。ただ、昨年に3級を受講して、今年2級を勉強するという学生もいますので、受講の仕方などについては学生の自主性に任せています。キャリアセンターとして、講座の出欠に関するフォローはしていません。むしろこの点については、講義を担当しているTAC講師の方が、講義や質問などを通じてフォローしてくださる部分が大きいと思っています。

後悔が残らない道を選んでほしい

──最後に学生の皆さんにどのような社会人になってほしいとお考えでしょうか。

湯本 キャリアセンターの指導の中心は、必ずしも大企業に就職するのではなく、本人の納得がいくかたちで就職活動を終えてもらえるよう支援することにあると考えています。将来、自分で選んだ道に対して後悔が残らない道を選んでほしいので、そのために事前に調べるものは調べて、必要であれば資格取得対策講座などキャリアセンターを活用し、自分で考えて答えを出してくれることを望んでいます。
 考えて答えを出す過程において、必要な機会や場は私たちが提供しますし、相談にも乗ります。よく1年生や2年生で相談したいけれど何を聞いていいかわからない、こんな初歩的な質問をしてもいいのかとためらう方がいるようです。でも、みんなわからないところからスタートしていますので、何から始めればいいのかという質問でも大歓迎です。

──本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

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