LET'S GO TO THE NEXT STAGE 資格で開いた「未来への扉」 #07

  
Profile

小島 隆文(こじま たかふみ)氏

有限責任監査法人トーマツ
公認会計士

1992年2月生まれ。東京都出身。私立法政大学第二高等学校卒業。法政大学法学部法律学科卒業。2014年11月、公認会計士試験に合格。2015年2月、有限責任監査法人トーマツに入社。小売業、情報通信業をはじめとした国内企業の監査に携わる。2018年4月、修了考査に合格し、公認会計士に登録。現在は同社のシニアスタッフとして、監査現場の責任者として手腕を発揮する。

【小島氏の経歴】

2010年 18歳 大学1年時、日商簿記2級に合格。
2012年 20歳 大学3年時、日商簿記1級に合格。
2014年 22歳 11月、公認会計士試験に合格。
2015年 22歳 2月、有限責任監査法人トーマツに入社。
2018年 26歳 4月、修了考査に合格し、公認会計士に登録。
        10月、シニアスタッフに昇格。

入社4年目でシニアスタッフに昇格した若き公認会計士。
飛躍的な成長を遂げながら、信頼される公認会計士をめざす。

公認会計士試験に、二度目の挑戦で合格を果たした小島さん。現在は、有限責任監査法人トーマツ(以下、トーマツ)に勤務し、主に国内企業の監査業務を担当しています。2018年秋には、入社4年目でシニアスタッフに昇格し、順調にキャリアを重ねてきました。26歳の若き公認会計士に、資格の取得をめざしたきっかけや、仕事の魅力をうかがいました。

本質の理解に努め、二度目の挑戦で合格

 税理士として働く両親の影響で、小島さんが公認会計士になろうと心に決めたのは、高校から大学に進学する時期でした。大学の付属校で時間に余裕があったこともあり、高校卒業の間近に日商簿記3級の勉強を始め、大学1年の6月には2級に合格。その後は1級を勉強するとともに、大学2年の夏から本格的に公認会計士の勉強を始めました。

 当初は、大学4年の11月に合格し、新卒の大学生と同様に、翌年から監査法人で働く――そのようなキャリアプランを描いていました。そのためには、大学3年の12月または大学4年の5月に受ける短答式試験に合格したのち、8月の論文式試験を1回でパスしなければなりません。しかし結果は、短答式試験に通れず、論文式試験には進めませんでした。

 「5月の試験後、解答速報も出るので、合否は感触でわかるんです。ダメだったかな、と。学生の場合、ここで一般の就職活動に切り替えるために、資格の勉強をやめる人もいます。私も悩みました。でも、それまで公認会計士をめざして資格の勉強に打ち込んできたので、諦めるわけにはいきませんでした」

 この時、改めてテキストを読み返すと、表面的な理解に留まっていたことに気づいたと小島さんは言います。「本質の部分を理解しきれていなかったから、アウトプットできなかったんですね。不本意な結果には落ち込みましたが、理解が不十分だということは、言い換えれば、伸びしろが大きい、ということ! 両親の後押しもあって、もう一度頑張ろうと思いました」
 その後はTACで粘り強く勉強を続けた結果、当初の計画から1年遅れとなったものの、2014年11月に公認会計士試験に合格。翌年2月にトーマツに入社しました。

 「就職活動での面接の雰囲気やオフィスツアーなどを通じて、毎日通うならトーマツがいいなと決めました。実際に入社してみて、個人の適性や希望を踏まえて任されており、働きやすい環境だと感じています」

現場の責任者として日々奮闘

 入社以来、小島さんは国内の小売業や情報通信系の企業を中心に、監査業務やIPO(上場支援)業務などに携わってきました。現在は、上場企業・非上場企業を含め、5社を受け持っています。公認会計士の独占業務である「財務諸表監査」は、企業が作成した財務諸表が適正かどうかをチェックする仕事です。

 1企業に対して5~6人のチームであたる監査の仕事は、メンバー同士の一体感が大事。「トーマツのメンバーは、みんなが同じ目標に向かって、熱意をもって仕事をしています」。仕事をこなし、慣れていく中で、やりがいを感じる瞬間があり、またおもしろさにも気づきました。

 「公認会計士として当たり前のことではありますが、書類の間違いをきちんと指摘できた時は、求められる役割を果たせたなという実感があります。また監査の一環で、取締役会の議事録など、普通の会社員ではまず見られないような資料を目にする機会があります。20代のうちから、経営トップ層の考えやものの見方に触れることができるのは、この仕事の大きな魅力ですね」

 そして、小島さんは2018年4月、新たな一歩を踏み出しました。ある上場企業の子会社の監査で、現場を指揮する主査に抜擢されたのです。また、時期を同じくして、公認会計士の修了考査合格の吉報も届きました。これで名実ともに「公認会計士」と名乗れるようになったのです。

 さらに、半年後の10月にはシニアスタッフに昇格し、現在は主査としての業務が中心です。「現場の責任者としてチームのまとめ役となり、仕事がうまくまわるよう常に考えています。また、業務の効率化も求められ、業務時間内でうまく仕事を進めなくてはなりません」と語ります。

近年、会計監査に人工知能(AI)やロボティクス(RPA)などの最先端技術を活用する動きもあり、一部の業務には既に取り入れられています。
 「例えば、監査手続のひとつに、前期との仕訳の増減確認というものがあります。こうした仕事は単純作業とはいえ大変で、従来は新人が手作業で行う業務でした。ところがテクノロジーの発達により、現場での単純作業は減っています。その代わりに、公認会計士としての『判断』を求められる場面が増えています」

 つまり、それだけ成長できる環境下にあり、やる気に満ちた若い公認会計士にはチャンスとなる。そのひとりである小島さんはどのような公認会計士でありたいか――。

 「仕事には慣れましたが、主査としての経験は浅く、監査業務の全体像もまだ把握しきれていません。まずは、目の前の仕事に着実に取り組みたい。そして、持てる専門知識を駆使して価値を提供し、クライアントの方々に『小島さんがいてよかった』と信頼していただける存在でありたいです」

[TACNEWS 2019年3月号|連載|資格で開いた「未来への扉」]