人事担当者に聞く「今、欲しい人財」 第51回 SCSKサービスウェア株式会社

Profile

岩渕 夕稀氏(写真左)

人事部 採用課 新卒採用担当

後藤 学氏(写真右)

一事業本部 第三事業部(多摩センター 金融)事業部長

酒井 幸太氏(オンライン参加)

人事部 採用課 課長


SCSKサービスウェア株式会社は、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)サービスベンダーとして、ITを活用したソリューションを提供している企業だ。昨今の金融業界では、銀行・証券・保険の3分野にまたがった複合的な金融サービスのニーズが高まっている。こうした状況を踏まえ、SCSKサービスウェアは2022年に金融サービス仲介業の登録を果たした。金融サービスが今後一層複雑化・多様化することが予想される中、SCSKサービスウェアではどのような人材を求めているのか。第一事業本部第三事業部長・後藤学氏、人事部採用課長・酒井幸太氏、人事部採用課新卒採用担当・岩渕夕稀氏にお話をうかがった。

BPO業界で国内初の金融サービス仲介業に登録

──最初に、SCSKサービスウェアについてご紹介ください。

岩渕 SCSKサービスウェアは、1983年の設立以来BPOサービスを専門で担ってきました。ITサービスをフルラインアップで提供しているSCSKグループの一員で、唯一のBPO企業です。
 BPOに馴染みがない方も多いかもしれませんが、私たちはあらゆる業種業態のクライアントから多様な業務を請け負い、IT活用によるソリューションでクライアントの課題解決に貢献しています。

後藤 SCSKサービスウェア全体としてはIT系情報通信業、流通サービス業、製造業といった様々な業種業界のクライアントとお取引きさせていただいています。現在特に注力している業界の一つが金融業界です。金融業界には多くの法規制がありますが、2022年に当社が金融サービス仲介業としての認可を取得したことで、これまで金融機関内でしかできなかった業務の一部分を、私たちが対応できるようになりました。金融サービス仲介業の登録は、BPOサービスベンダーの中で当社が国内初です。
 特筆すべき点は、金融サービス仲介業の登録によって、金融サービスの契約媒介を含む有資格業務を受託できるようになったことです。証券外務員一種、ファイナンシャルプランナー、証券アナリストといった、TACでも取り扱っている資格が大いに活かせる環境になっています。

多様な雇用形態の現場で、リーダー的存在に

──SCSKサービスウェアの採用方針をお聞かせください。

酒井 当社は新卒と中途、どちらも重視した採用を行っています。新卒採用はリーマンショック以降一時停止していましたが、2017年卒から再開し、2023年春を含めると100名近い方が入社しています。会社として新卒採用の重要性を踏まえ、年々採用数を増やしている状況です。
 一方中途採用は、年間約60名の採用数です。特に金融業界(銀行、証券、生損保など)からの転職者も増えており、具体的には、銀行系資格、証券外務員一種、生保系資格などの金融系資格を保持されている方が、BPOの新たなフィールドにチャレンジされています。若手から中堅まで、外部から入ってこられる方が非常に増えています。

──「求める人物像」は、新卒採用と中途採用で共通していますか。

酒井 そうですね。私たちはチームでクライアントの課題を改善していくので、チームを引っ張っていけるリーダー的素養のある方を求めています。また、新しい情報を敏感にキャッチし、主体的に発信できる方は、当社でご活躍いただけると思います。
 加えて、正社員はプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーとしてクライアントに運用改善を提案していく役割を担っていますので、クライアントとの折衝を含めたコミュニケーション力も大切な素養の一つだと考えています。

後藤 他にも、当社では正社員、月給制契約社員、直接契約の時給制契約社員、派遣社員と、多様な雇用形態の方が働いています。そのため、いかに気持ちよく働いてもらうかという部分も非常に大事ですから、コミュニケーション力やマネジメント力も仕事上では重要になります。

岩渕 夕稀氏
2018年に新卒でSCSKサービスウェア入社。東京PrimeDesk事業でのスーパーバイザーの経験を経て、2022年に人事部に異動。新卒採用担当として活動中。

2024年4月は2023年の1.5倍の新卒採用を予定

──2022年と2023年の新卒入社はそれぞれ何名でしょうか。また、募集職種についてはいかがでしょうか。

岩渕 2022年は21名、2023年4月は28名の新入社員が入社予定です。募集職種は、総合職とエリア職の2職種で、2023年入社内訳は総合職23名、エリア職5名となっています。総合職は大学・大学院卒の方がメインで、エリア職は専門学校卒以上の方を応募対象としています。

──新卒採用の選考フローや、選考で工夫されている点がありましたらお聞かせください。

岩渕 まずは事業理解を深めていただくために、必ず会社説明会にご参加いただいています。基本的にはオンライン実施で、参加後にエントリーシートを提出していただきます。当社の選考は、書類選考・適性検査(SPI)・一次面接・最終面接の4ステップになります。
 採用の特徴は応募者との対話を大切にしているという点です。面接時間も1名1時間とかなり長めに設定していて、じっくりお話しする中で、お互いのミスマッチを防げるように配慮しています。

──内定後から入社までの内定者フォローや内定者研修は行っていますか。

岩渕 2023年4月入社の方を対象に、10月に内定式後懇親会を実施しました。オンライン開催ではありましたが、内定者同士が交流できるよう座談会のコンテンツを中心に運営しております。また、内定者研修も受講していただきます。実施方法は、1日の集合研修とeラーニングの2パターンです。そのほか、入社前に必要なビジネスマナーやビジネススキルの基礎を学べるeラーニングコンテンツをご用意する予定です。

──2023年4月の入社式は、対面で実施する予定ですか。

岩渕 はい。10月の内定式はオンライン開催だったので、入社式は豊洲本社で対面での実施を検討しています。

──新入社員研修ではどのような内容の研修を実施される計画ですか。

岩渕 意識を社会人へ切り替えてもらうために、ビジネススキルやビジネスマナーといった基本行動、組織行動ができる状態になることを目的に実施します。またそれ以外のITの基礎スキルを学ぶためITパスポートの取得をめざした教育が行われます。ITに関するスキルは非常に重要ですので、入社1年目にITパスポートの取得を必須としています。他には、当社の組織体制や会社理解を深める研修を実施します。2ヵ月間の研修後、6月から正式な配属になります。
 また、新入社員研修だけではなく、入社1年目のフォローアップ研修、新卒2年目・3年目の社員に対して行われる年次研修もあります。その後はそれぞれの業務内容とステップアップに合わせた役割研修に移行していきます。

──2024年4月入社では何名の採用を考えていますか。

岩渕 2024年4月入社は総合職32名、エリア職13名を予定しています。45名と、2023年の約1.5倍になるイメージです。金融サービスを扱う部門はもちろん、そのほかの部門においても「一緒に会社を盛り上げていける方」を多くお迎えしたいと考えています。今後の事業拡大に向け、たくさんの方とお会いしたいですね。
 2024年入社の流れとしては、2022年6月からインターンシップをスタートして、年明けから説明会に移行しています。

──インターンシップはどのような内容ですか。

岩渕 初級・中級・上級の3段階のプログラムを実施しています。BPOビジネスがどのようなものなのかよくわからないという学生は多いので、初級編はセミナー形式で気軽に受講していただき、中級・上級編ではグループワークを通して実際にどのようなビジネスなのかを学んでいく流れにしています。具体的には、クライアントに提案するワークを通して、BPOの仕事を実際に体験し、理解していただくコンテンツになっています。

ラーニングマネジメントシステムを導入・展開

──研修制度についてご紹介をお願いします。

岩渕 入社初日から利用できるラーニングマネジメントシステムを導入し、活用しています。このシステムは、どこでも好きな場所・好きな時間に研修を受講できる点が一番の特徴です。気軽にいろいろなコンテンツを受講できるので、社員には大変好評です。内容も、コンタクトセンターで業務を行う上で必要なスキルを学ぶものからロジカルシンキングや課題解決方法、また産業医による健康セミナーまで、幅広いラインナップが揃っています。

酒井 全社員が好きなときに受けられる環境にあることが一番大きなメリットで、そこが社員からも人気がある理由ですね。導入してまだ2年目ですが、すでに140以上のコンテンツがあります。外部から購入するコンテンツもあれば、内製したオリジナルコンテンツもあります。
 「わかりやすい資料の作り方講座」や「ダラダラ会議をなくすファシリテーション講座」といったものから「ソーシャルメディアを利用する際のポイント」といったコンプライアンスにも関わるもの、ITの基礎まで、幅広く網羅されています。
 もう1つの特徴は、各拠点に教育推進チーム担当者が在籍し、各地区の従業員の受講管理を一括で行っている点です。リーダー、スーパーバイザー、マネージャーといった役職に就いた際に必ず受けるべき研修を体系的に揃えた、レベル別の研修カリキュラムが整備されています。
 クライアントから見て「どのような教育体制を持つ企業であるか」という点も、発注いただく際の検討ポイントになると捉えています。「安心して業務を任せられる、確かなスキルを持つメンバーが揃っている」と感じていただけるように、教育体制は手厚くしっかりと作り上げています。

──社内制度や福利厚生で独自の制度があればご紹介いただけますか。

岩渕 教育体制に付随して、社内の表彰制度があります。ノウハウを共有する目的のもと、新たなサービスや業務モデルの創出事例、人材マネジメントへの取り組みなどに際して社内表彰を行うイベントも年1回行っています。

後藤 学氏
家具小売店を経て、2001年、SCSKサービスウェア入社。サポート業務における担当課長、金融系(銀行・証券業務)担当課長、金融専門事業部副事業部長を経て、2022年より金融専門事業部事業部長に就任。

金融系、IT系をメインに幅広い資格取得を支援

──入社1年目の必須であるITパスポート以外で、推奨や取得支援をしている資格はありますか。

後藤 必須資格はありませんが、当社はIT系がベースなので、ITパスポート以外にもMOSやドットコムマスターなどを推奨しています。
 加えて金融サービスを特徴として打ち出しているので、「その資格を持っていなければお客様対応ができない」といった金融系資格も増えてきています。その代表的なものが証券外務員一種です。この資格がなければできない業務が増えているので、取得のための内部研修制度を独自で作っています。
 その他、ファイナンシャルプランナーや証券アナリストなどは、金融サービスで大いに活かせる資格の代表例です。全社的にも資格取得を推奨する制度があり、合格時に受験料を全額支給している資格が、現在119種類あります。

酒井 その中には、証券外務員一種を筆頭に、証券アナリスト、ファイナンシャルプランナーなどの金融系資格や、MOS、ドットコムマスター、基本情報処理技術者といったIT系やコンプライアンス系が多く、さらに社会保険労務士、キャリアコンサルタントなどの資格もあります。
 最近のトレンドでは、クライアントの顧客データを見ながら実務を行う際に必要な情報セキュリティマネジメントや、現場でデータベースを扱うためのデータベーススペシャリストといった資格も入ってきており、かなり幅広いです。
 それ以外の資格でも、業務上あるいは人材的に必要であれば、部門ごとに補助を出すこともあります。

後藤 会社として取得してもらいたい資格については、受験料に加え学習費用も全額会社負担するものもあります。

──では、例えば新卒応募者の履歴書に何らかの保持資格が書いてあった場合は、どのように判断されますか。

岩渕 単に資格の有無だけで合否の判断はしていません。あくまでご自身の経験などを踏まえて、人物重視で選考しています。

──中途採用の場合は、国家資格を応募条件にしている職種もありますか。

後藤 金融サービス部門はまさにそうですね。要件資格がなければ仕事ができない職種もあるので、他部署よりも資格にこだわった採用をしています。特に、先ほどもお話しした証券外務員一種をお持ちの方は、履歴書に書いていただければ積極的に面接でお会いできるようにしています。

「IT×BPO」の世界で資格が活かせる

──社内の男女比率はどのようになっていますか。女性の働き方を応援する制度や配慮している点はいかがでしょうか。

岩渕 当社の正社員数は1,634名(2022年3月末時点)で、男女比率は男性6割・女性4割です。契約社員を含めると、男性4割・女性6割と逆転しますね。女性の執行役員や役職者、マネージャー・スーパーバイザーと、活躍している女性は大勢います。
 産前・産後休暇や育児休業、育児短時間勤務などの子育てをサポートする制度も整っており、2021年度の育児休業取得率は97.1%でした。育休に入る前の面談や、復職する際の面談、休み期間中にも人事担当者と随時チャット機能で連絡がとれるフォロー体制もあり、制度自体を利用しやすい工夫が凝らされています。昨今は男性の育休取得者も増えてきています。
 「夢ある未来を、共に創る」というSCSKグループの経営理念のもと、社員のワーク・ライフ・バランスを考えた働き方改革には早くから取り組んできました。新しく国の制度ができると、まずトップと役員クラスが積極的に導入するので、残業時間も圧倒的に減りました。

──最後に、資格取得やキャリアアップをめざしている読者に向けてメッセージをお願いします。

後藤 「金融系資格やIT系資格を活かせる場所はどこか」と聞かれたとき、多くの方は金融業界やIT業界を思い浮かべると思います。でも、私たちのような「BPO」という業種の中にも活かせる場があることを、ぜひ知っていただきたいですね。固定観念に縛られずに業界研究をして、BPOの世界に興味を持っていただけたらと思います。

岩渕 BPOは今後も業界成長が見込まれる世界です。私が入社した理由も、業界の成長性が魅力だったからです。幅広い業種業界のクライアントと取引があり、いろいろなキャリアが積める点も、BPOならではの魅力です。そんな業界で資格取得を含めて自己研鑽し、いろいろなキャリアを見つけていただきたいと願っています。

酒井 異業種から転職して9年目の私だからこそ感じるのは、資格というのはまず取得して、知識を業務に活かして、活かせていることをしっかり実感できて、さらにその実績を周りに知ってもらうというプロセスがとても大事だと思います。資格を取得すること自体がゴールではありません。SCSKサービスウェアには、資格を活かして活躍できる環境が整っています。ぜひチャレンジしていただけたらうれしいです。

[『TACNEWS』2023年4月号|連載|人事担当者に聞く「今、欲しい人財」]

会社概要

社名     SCSKサービスウェア株式会社
設立     1983年3月
代表者    代表取締役社長 渡辺篤史
本社所在地  東京都江東区豊洲3-2-24 豊洲フォレシア12階

事業内容

「IT」と「業務」を組み合わせたコンタクトセンター・テクニカルサポート・ヘルプデスク・バックオフィス業務などの、BPOサービス

従業員数

正社員1,634名、契約社員などを含む従業員数5,521名(2022年3月末現在)

URL

https://www.scskserviceware.co.jp/


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