行きたい会社・欲しい人財 第13回 株式会社コスモスイニシア

Profile

石川 博基氏

株式会社コスモスイニシア
経営管理本部 総務人事部門 人事部 人材開発課 課長
宅地建物取引士

大学卒業後の2008年4月、「早くから裁量を与えられて、仕事ができるフィールドを選びたい」という理由で株式会社コスモスイニシアに入社。不動産仲介業務を経て、2011年10月、希望して総務人事部に異動。人事課、人材開発課で採用業務や働き方改革、制度設計などに取り組む。また、子会社の株式会社コスモスホテルマネジメントの管理本部管理部部長も兼務している。

 

 株式会社コスモスイニシアはミッションとして「『Next GOOD』お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。」を掲げ、常に新しい価値創造に真摯に取り組んできた。「今までとはちょっと違う」「次の時代に求められる」価値を、お客さまや社会に対して一歩先んじて、期待以上の安心や喜びを提供することを意識し、行動していくことが何よりも大切だと考えている。このミッションは採用活動にも通底。「あなたはなぜ就職活動をするのか」から「この会社でどのように成長したいのか」までを徹底的に内省する機会を設け、「日本の就活生を元気にする」採用を行っているという。コスモスイニシアの人材採用について、人事部人材開発課課長の石川博基氏にうかがった。

価値創造を大切にする事業展開

──株式会社コスモスイニシアについてご紹介ください。

石川 マンションデベロッパーとして1974年に創業した当社は、2019年で創業45周年を迎えます。マンション開発をメインに展開してきましたが、今日では、マンション、一戸建やリノベーションマンションなど住まいを提供するレジデンシャル事業と、投資用不動産の開発、賃貸管理、不動産コンサルティングを行うソリューション事業が2つの柱となっています。
 当社は「『Next GOOD』お客さまへ。社会へ。一歩先の発想で、一歩先の価値を。」というミッションを掲げ、社会に新しい価値を生み出していくことを大切にしています。マンション領域でもこれまでになかった価値を提案する商品づくりをするなど、当社の事業リソースを活用しながら幅広くサービス提供していくことを大切にしているのが特徴です。

──現在、注力しているのはどのような分野ですか。

石川 2017年10月にインバウンド向け事業の子会社、株式会社コスモスホテルマネジメントを設立し、「暮らすように滞在する」をコンセプトとしたグループで滞在できる都市型アパートメントホテルの運営事業を始めました。2018年2月に第1号をオープンし、2019年8月時点で11施設が稼働。2020年度までに東京・大阪・京都などアクセスに優れた立地に1,500室を提供する計画を掲げています。
 その他、定年退職後のアクティブシニア向けに駅前の利便性が高い分譲マンション開発を進めるほか、主要都市近辺では住宅立地型のレンタルオフィス事業にも取り組んでいます。

1人当たり20時間の個別面談

──価値創造を大切にされるコスモスイニシアではどのような採用を行っていますか。

石川 当社では、総合職社員と、事務・営業・アフターサービスの各領域を専門職として担当するプロフェッショナル社員の採用を行っています。採用は、毎年新卒総合職社員30名程度を予定しており、中途採用でも年間で総合職社員15名、プロフェッショナル社員35名程度(事務系専門職25名、営業系専門職10名)を採用していく方針です。

──求める人物像についてお聞かせください。

石川 当社では、求める人物像として、「ビジネスプロデューサー(成長意欲が高く、周囲に働きかけ、巻き込み、主体的に物事に取り組み、諦めずに最後まで走りきれる人材)」を掲げています。新卒・中途採用ともに、その「ビジネスプロデューサー」たり得る人材の採用に力を入れています。

──新卒採用について教えてください。

石川 私たちが学生に対して提供できる価値という点に、かなりこだわっています。昨今、何の疑問もなく、大学3年になったらとりあえず就職活動をするものだ、と思い込んでいる学生がすごく多いと感じています。そのため面談では「そもそもなぜ就職するの?」という質問を必ず投げかけています。加えて「選ばれるために就活するのではなく、選ぶ就活をしてほしい」と伝えています。そうすることで、日本の就活生をもっと元気にして、主体的に会社選びができるようにしていくことが、私たちが採用の過程で大切にしていることであり、学生に対して提供できる価値であると考えています。
 このような採用方針ですから、採用には非常に時間がかかります。1人の学生と出会ってから内定を出すまでに長ければ20時間の個別面談を重ねながら、「どう成長したいのか」「それには何が足りないのか」をともに考え、面談の過程でも成長・変化を促しながら進めていきます。

──20時間の個別面談はかなり長いですね。

石川 そうですね。その中では、人事担当者だけでなくいろいろな社員と個別に面談していきます。採用面接然とした面談ではなく、私服でも金髪でもOKなので、いつも通りの自然体で来社する学生も大勢います。

──その他、新卒採用で注力しているのはどのような部分ですか。

石川 インターンシップにかなり注力していて、夏季に1Dayの、冬季に5Daysのインターンシップを実施しています。夏季は「働く意義・意味を考える」というコンテンツと不動産開発事業を体験するコンテンツを提供しています。冬季は、例えば2018年はコスモスホテルマネジメントの利用者であるインバウンド旅行者に向けて「当社として何か新しい事業を提案できないか」という課題を出しました。

どのフィールドで、どんな成長をしたいのか

──内定後から入社までのフォローアップ体制についてお聞かせください。

石川 2019年度の新卒内定者の例を挙げると、内定者が一堂に会し、アクティビティをしながら、自主性や自分はどうなりたくてこの会社に入ったかを見つめ直す企画などを実施しています。そして入社前に改めて各事業を担当する役員が登場し、事業概要やその事業が社会に成す意義を伝えるガイダンスを行い、それを受けて新入社員が配属先の希望を提出し、人事部との配属希望面談を経て配属先を決めていきます。
 ただし、2020年度入社予定者についてはガラッと変えようと思っています。まず、初めて顔合わせをする研修や内定式から自分たちでプロデュースしてもらい、「入社式も自分たちで作ってごらん」という流れで任せていこうと考えています。それがひとつの成長機会になりますし、楽しい内定式、入社式ができるのではないでしょうか。

──新入社員研修はどのように進めていかれますか。

石川 4月の入社後、2週間ほど人事部でビジネスマナーや会社概要、就業規則などを伝えるガイダンスや、社会人としてのスタンスを学ぶ研修などを用意しています。改めて自分のキャリアを内省し、配属される部署でどのような成長をしたいのかということをコミットした状態で現場に本配属となります。実践開始はかなり早く、4月中旬から5月初旬にはOJTに入る新入社員が多いです。
 実は4月上旬に実施される全社総会で、新入社員には毎年ダンスや劇などのパフォーマンスを披露してもらいます。何をするのかを含めて新入社員に任せるこの企画の練習時間が、本当は一番多いかもしれませんね(笑)。

──新入社員のその後の研修はどのようになっていますか。

石川 入社半年後には360度サーベイ(様々な立場の人からの多面評価)を活用した研修を実施します。ビジネスパーソンとして求められる項目に対し、同じ部署の同僚と上司と自分の三者がサーベイをして、周囲からの評価と自己評価にギャップがあれば徹底的に向き合う場です。その他、スキルアップのための研修や内省を促す研修、アセスメント研修なども定期的に実施します。

──研修制度で特徴的なものがあればお聞かせください。

石川  30代、40代、50代と節目のタイミングでキャリア研修を設けています。自分のこれまでのキャリアを棚卸しして今後のキャリアをどう考えていくか、世代によってはビジネスだけでなくプライベートライフも含めて深く内省してもらう研修を定期的に実施しているのです。
 スキルアップに向けた自発的学びの部分では、社内にCUP制度(Career Up Programを略した選択型教育研修プログラム制度)があり、約160の外部の研修プログラムの中から学びたい研修を選択し、年間1人20万円を上限として研修費用の80%を会社が負担します。ビジネススキルや資格の取得など、選べる研修は様々で、ビジネススクールの通学などにも使えます。

仕事上必要で、難易度が高い資格には合格報奨金を支給

──中途採用は例年何名ですか。

石川 総合職社員で15名、プロフェッショナル社員で35名程度を採用しています。こちらは現状、人材紹介会社経由の採用がほとんどで、残りはイベント出展やリファラル採用です。選考フローは、一次面談、SPI適性検査、二次面談、三次面談です。事務領域のプロフェッショナル社員は幅広く募集しており、営業サポートや経理事務など一定程度のスペシャリティを求める部門もあります。
 中途採用のスキル特性については、課題形成力、課題処理力、課題遂行力とその部門に求められる専門性の4項目を評価基準に「社内でビジネスプロデューサーに求める能力要件」を設定しています。新卒採用同様、ポテンシャルの特性は注視しますが、中途採用面談においては、加えて社会人経験に相応のビジネススキルをその4項目に照らして採用しています。
 入社後の流れは、入社初日に当社の概要と就業規則のガイダンスを行い、翌日から配属となります。中途採用の総合職社員には、新入社員の360度サーベイと同じしくみでビジネスパーソンに求められる資質を問うプログラムを実施しています。

──資格取得の支援制度にはどのようなものがありますか。

石川 不動産業を行う上で必須の宅地建物取引士はもちろんですが、仕事上必要な資格で、かつ難易度が高いものについては合格報奨金が支給されます。具体的には、宅地建物取引士、一級建築士、二級建築士、不動産鑑定士、マンション管理士、管理業務主任者、再開発プランナー、1級施工管理技士、その他ファイナンシャル・プランナー、社会保険労務士、日商簿記検定などです。
 宅地建物取引士に関しては支援プログラムを用意していて、外部に委託して社内講座を開設し、テキストの無料配付や定期的な模擬試験の開催を行い、成績は全社公開しています。内定者にもこのプログラムを実施していて、内定期間中に合格すれば25万円を支給します。そのため、卒業旅行資金として一生懸命勉強している内定者が多いですね。

仕事とプライベートを支える充実した制度

──社内制度や働き方改革、福利厚生面でユニークなものはありますか。

石川 男性が多い不動産業界にあって、当社は女性従業員が半数以上を占めているのが大きな特徴です。現在、育休中と時短勤務を合わせると従業員の約10%は育児をしながら働いていることになります。2014年には、子育て中や介護中の従業員が働きやすい会社にするためにはどうすべきかを考えるプロジェクトが組成されました。仕事と育児を両立する時短勤務の方が増えてくれば、時間当たりで発揮できるパフォーマンスを高めて生産性を上げなければ会社として成長できません。その観点で、2015年4月から働き方改革を実践しています。

──働き方改革について具体的に教えてください。

石川 「時間当たりパフォーマンス」を向上させ、生まれた時間を「価値創造」や「自己研鑽」「プライベートな時間」に使う、つまり時間の質を変えること、また多様な働き方を推進することを目的に、ワークスタイルイノベーション(WSI)と呼ぶ働き方改革を推進しています。これは「ヒト・マネジメント」「ワークプレイス」「ビジネスデバイス」の大きく3つの領域で改革を実行しようというものです。
 まず「ヒト・マネジメント」では、「多様な働き方」を支援する制度を設けることに加え、「アウトプットの質は変えずに働く時間を短くする」という厳しいことを要求しています。業務効率化を促し、教育研修等の支援を進め、「20時以降の残業と休日出勤は禁止、残業や休日出勤をするなら上長に許可を取ること」にしました。その結果、2018年度は2014年度と比較して、残業時間が42%減り、休日出勤が99%減る一方で、会社の売上・利益は増加しています。さらに夏期・冬期休暇とは別に有給休暇3日を含めた5日間以上の連続休暇取得で3万円の手当を支給するWSI休暇制度を設けました。半期に1回取れるので、1年間で5連休を2回取得すれば、合計6万円支給されます。時間当たりのパフォーマンスを上げ、100のことを1時間でしていた人が同じ成果を30分で上げられるようになると、30分の時間が生まれます。この30分は自分を充実させる時間にあててもいいし、家族のためにあててもいいし、会社の価値創造にあててもいいと考えています。
 「ワークプレイス」に関しては、価値創造が生まれやすいオフィスにしようというのが狙いです。オフィス内をフリーアドレスに変え、いろいろな人と交流しながら働ける、ちょっとカッコいい、創造性が喚起されるスペースにしたり、さくっと会議ができるようなスペースを作ったりといった改革を行っています。
 「ビジネスデバイス」は、時空間にしばられない「いつでもどこでも働ける」状態をつくろうということで、タブレットPCとスマートフォンでどこでも仕事ができる環境を整えました。生産性の向上や多様な働き方を促進することが目的です。

──ユニークな制度がたくさんあるのですね。

石川 子育てや介護に対応できる多くの制度がありますが、産休・育休取得後に利用する方の多い時短勤務制度については、もともと小学校4年生までの子どもをもつ従業員が対象だったのを小学校6年生まで延ばしました。加えて、保育園の延長保育料がかかる場合、その費用を月間2万円まで会社が補助する制度があります。また育休から復帰する前にはお子さん連れでママ社員たちが集まる「先輩ママとの交流会」を開き、働きながら子育てするコツを学んだりしています。
 介護休職については期限をなくし、半日有給も導入しました。年次有給休暇は2年間で失効しますが、失効する年次有給休暇を40日分までストックし、介護や看護・自身の傷病など突発的な場面で使用できるストック休暇もあります。その他、誕生月の有給取得で1万円の手当が支給されるメモリアル休暇や、ボランティア休暇、勤続3年ごとに最大28日間の長期休暇と3万円の手当が支給されるステップ休暇などがあります。  

──最後に、スキルアップをめざしている方々に向けてメッセージをお願いします。

石川 人が学ぶときは、成長に対する渇望があるときです。当社も研修によって渇きを促す機会をたくさん作っています。渇きがあるのはとてもよいことなので、その渇きの欲求のままに、ぜひ成長を追い求めてください。 

[TACNEWS 2019年9月号|連載|行きたい会社・欲しい人財]

会社概要

社名    株式会社コスモスイニシア
設立    1969年6月20日
代表者   代表取締役社長 高木 嘉幸
本社    東京都港区芝5-34-6 新田町ビル

事業内容

不動産販売事業、不動産賃貸事業、不動産流通事業

従業員数

548名(2019年3月31日現在)

URL: https://www.cigr.co.jp/