行きたい会社 欲しい人財 第6回 株式会社オークファン

Profile

藤 豊氏

株式会社オークファン
執行役員 組織開発室 室長 兼 営業統括室 室長

金融系に特化したシステム会社にSI(システムインテグレーション)として勤務の後、2012年12月、オークファンに入社。5年間メディア事業部にてマネージャーを務める。その後、社長室付けを経て2018年2月に執行役員に就任、併せて営業統括室室長となる。2018年10月より組織開発室室長に就任し、前述の職とともに兼務。

私たちは当たり前のように、インターネットで欲しいモノを好きなときに購入している。その取引が、いつ、いくらで成立したのか。その情報を集めて分析・比較し、ビッグデータとして提供することからスタートしたのが株式会社オークファンだ。その後、M&Aを通じて事業領域を拡大しながら成長を続けている。伸び盛りのベンチャー企業には、一体どのような人材が必要なのか。オークファンの人事を統括する組織開発室室長 藤 豊氏に、オークファンの事業展開と人材採用、評価制度、資格に対する考え方など魅力あふれるお話をうかがった。

M&Aで事業領域を拡大するベンチャー企業。 「スピーディな事業展開」で会社も社員も急成長しています。

「Trade is No BORDER!」

──オークファンはどのような事業を展開していますか。

 株式会社オークファンは、代表である武永修一の「世界中の誰もが誰とでも自由に取引ができる世界を実現したい」という思いから、2007年6月、国内最大級のネットオークション価格比較・相場検索サイト「aucfan.com(オークファンドットコム)」を運用する会社として誕生しました。当初は社員数も27名で、課金ビジネスとインターネット広告ビジネスからなるメディア事業者として、2013年4月、東証マザーズに上場しました。上場してから現在まで多くのM&Aを行い、現在は「メディア事業」「マーケットプレイス事業」「ソリューション・インキュベーション事業」の3つに事業領域を広げています。2018年9月末時点で、社員数172人と創業時の6~7倍になりました。

──M&Aで次々と事業領域を広げてこられた理由をお聞かせください。

 弊社は「眠っている価値(モノ)を必要な場所(人)へつなぎ続けていける企業」を標榜し、「Trade is No BORDER!(取引に境界はいらない)」をコンセプトに掲げてきました。世の中には、メーカーやブランドから廃棄されるものが年間22兆円分もあります。これは日本のGDPの4.1%にも当たります。私たちが取り組む課題は、この22兆円に対してどのようなソリューションがあるのかを解決すべく、いくつかの事業モデルを構築していくことです。
 今日では680億件を超える独自の商品実売データの強みを活かし、データを中心に互いに絡み合いながら、先ほどの3つの事業領域を展開しています。商品実売データをユーザーに提供する「メディア事業」、そのデータを利用してビジネスを展開するユーザーに仕入商材を提供したり、データを元に最適な価格でエンドユーザーに直接商品を販売する「マーケットプレイス事業」、EC周辺事業者にツールを提供する「ソリューション事業」と、異なるサービスを運営しているように見えるのですが、すべてのサービスがデータを元につながっており、多くのシナジーを生み出す形態となっています。

──この1年でM&Aをした会社はありますか。

 2017年12月に株式会社ネットプライス(社員数約50人)を、2018年3月に株式会社ゼロディブ(社員数約50人)という会社をM&Aしました。現在は、オークファングループ傘下にこの2社が加わり、既存の株式会社シナビズ、株式会社スマートソーシングと共に、合計5社でグループは構成されています。運用するサイトも、創業時からの「オークファン」の他、通販サイトの「ネットプライス」、在庫処分の「ReValue(リバリュー)」、ネットショップやECサイトの在庫・顧客一括管理システムの「タテンポガイド」、卸売・仕入サイト「NETSEA(ネッシー)」と、事業拡大にあたっての重要なサービスが、一気通貫となって展開しています。

繰り返すM&Aの中で変わる採用

──幅広い事業モデルに対応した採用は大変そうですね。オークファンの採用方法をお聞かせください。

 次々とM&Aを繰り返しているので、採用方針も半期ごとにアップデートされていきます。採用については5社でそれぞれ事業モデルも違いますし、必要とされる人材も違います。それぞれの事業ステージによって私たちは採用の仕方から採用基準、その後の教育に至るまでの環境を変えています。
 2018年10月に組織開発室が作られ、グループ各社で行っていた採用を最適化しながら、グループとして統一していくことになりました。バラバラに行ってきたものをまとめるのは大変です。一番重要なのは、その事業に取り組んでいるトップから中堅、新人までのパーソナルな部分の特徴を捉えなければ採用はうまくいかないということです。5社それぞれ事業内容も違いますし、求める人材も違う状況なので、新卒採用を強めるところもあれば、中途採用を強めるところもあります。

──グループ全体で採用した人材は、オークファン社員としての採用になるのですか。

 新卒は入口として、オークファングループでの採用となります。中途採用に関しては専門性が高いので、グループ各社でエージェント経由または社内でリファラル採用(社員紹介制度)をしています。新卒と中途採用では求める人物像も違ってくるわけです。ただし、新卒においては事業のバリエーションが広がったので、5年前の上場時とは求める人物像が違ってきています。

──新卒に求める、5年前と変わった部分と変わらない部分とは何ですか。

 5年前の上場時と今とで変わらないところは、弊社はベンチャー企業なので、受け身でなく能動的で、自ら行動できる人材を求めるということです。そして、今必要とされる資質は、我々の事業展開スピードを鑑みて、基本的に柔軟な人間であることです。普遍的人物像に、今必要とする人物像をプラスして新卒採用しています。

──具体的な新卒採用方法を教えていただけますか。

 弊社では特殊なプログラムを採用していて、まず1次選考は一般的な面接ですが、2次選考では1〜3日間のインターンとして社内で働いてもらいます。そして3次選考が社長面接です。

──選考の間にインターンを挟むのは珍しいですね。

 インターンを経験することで「半年後にここに入ってくるイメージが湧く。どのような人が働いているかわかる」ため、会社側と学生側の両者の合意とギャップをなくすことができるのが狙いです。
 弊社の場合、事業モデルが実に複雑でわかりにくく、なかなか理解できない方が多いんです。大学生ではIR情報を読み切ることも難しいので、インターンを通じてより弊社への理解を深めてもらいたいと考えました。実際、インターンを経験すると志望度が上がる実績はあります。

──インターンによって、学生たちはどんな魅力を見つけているのでしょうか。

 いろいろな会社が風通しのいい会社だとアピールしていますが、風通しがいいかどうかは実際に働いてみなくてはわかりません。弊社で新卒を一番多く採用するメディア事業部では、事業企画とディスカッションにおいては「誰が何を言ったか」ではなく、「何が一番重要か」を重視して決定します。そこでは、23歳や24歳の若手社員も裁量権を持って他の社員と一緒にプロジェクトを動かしています。部長と若手社員がお互いの意見を言い合いコミュニケーションしている場面を目の当たりにして、「本当に風通しがいいんだ」と実感できると思います。
 ベンチャー企業を志望する学生たちは、基本的に成長スピードや裁量権を目的として就職活動をしていると思います。弊社は「本当にそういう会社なんだよ」ということを見せるために、インターン制度をうまく活用していく方針です。

多くの部署を経験でき、成長できる環境

──新入社員教育はどのようにされていますか。

 新入社員教育ではOJT主体で行っています。しかも、半年に1回ペースで部署や担当業務を変えていきます。例えば、最初はメディア事業部のネット広告に配属され、半年後にはマーケットプレイス事業部の営業へ、その後は同部の数値分析部門でマーケッターになったりします。これを1〜3年間行うことでスキルの幅を広げ、会社の中核となる人材へと成長させていきます。これは隔たりのない、それぞれに柔軟に対応できる人材を求めているからです。本人の希望もありますが、グループでの最適化と本人のスキルを広げていくためにやっています。

──新卒入社の方の中には20代後半や30代で起業を希望する方もいるのでしょうか。

 起業したい方はウェルカムです。弊社では若手社員に対しても裁量権を与えているため、ビジネススキルも一気に上がります。転職市場でも価値ある人材に成長するため、オークファンを飛び出し他企業に行って、何年かしてまたカムバックする人がとても多いんです。隣の芝生は青く見えるものですよね。そして、カムバックしてくれる会社になれるのはとても喜ばしいことです。言い換えれば、それだけの魅力を持っていなければならないと考えています。
 そのためにも私たちは成長していかなければなりません。彼らが飛び出していったときはこれだけの事業だったのに、「今は事業が増えて業績もこんなに上がりました」と言える、数値も事業展開もスピーディにやっているからこそのカムバックです。
 弊社には、社員を飽きさせないだけのスピードとバリエーションと伸びがあります。カムバックしてくるのは、どんどん新しいものを提供されて飽きることがないからでしょう。今の若い人は、給料もそうですが何をやるかという『意味合い』をすごく求める人が多い。豊かな時代に生まれ、かつ売り手市場で働くことの意味合いがすごく重要なのです。  弊社の魅力をもう1つ言うと、外国人新卒採用がとても多く、新卒入社のほぼ半数は外国人だという点です。外国人の新卒が「これだけ優秀なんだ」ときちんと知った上で、最初から一緒に働けば意識が高まると考えたのです。
 海外展開では、現在シンガポールに拠点を置いています。若い子たちが率先して行きたがりますし、事業展開に併せて経営側もグローバルに広げていく上で、外国人採用につながっています。

「成果のみ」の評価制度を採用

──成長スピードが速い御社では、社員のための福利厚生や人事制度をどのように工夫されていますか。

 当社には「成果を出せば評価する」という制度があります。成果を出した人にはどのようなステージであろうと評価してフィーを出しています。年功序列ではありません。この考えを浸透させるために、2018年10月に新たな評価制度を作りました。「決められた目標に対してどのようにするか」というKPI(重要業績評価指標)が設定され、そのKPIを達成したかどうかで評価します。結果を残した人は、そこに至るプロセスについても結果を残すプロセスであったという考えのもとに、成果でしか評価しません。厳しいという意見もあれば、分かりやすいという声もあります。そこは社員の納得感さえあれば、問題ないのではないかと考えています。

──ユニークな評価制度ですね。社員の納得感をどのようにして得ているのですか。

 評価は直属の上司から直属の部下にしかしないのが鉄則です。そこで、常日頃私はリーダーである部長陣に「成果を出した人が評価される」と徹底的に伝えています。部長陣はマネージャーにそれを教育し、マネージャーからリーダーへと降りていく。飛び越えてはいけないんです。社員にその考えをきちんと明示して、社員に納得感を持ってもらえることが重要だと思っています。

──社員の男女比はいかがですか。

 おもしろいことに、男女比はM&Aする度にどんどん変わってきています。2017年11月のM&A時は、相手企業の女性比率が高かったので男女6対4になったのですが、その後開発会社をM&Aしたところ、7対3で男性が増えました。新卒ではバランスよく男女を採用しているのですが、M&Aをすることで一気に比率が変わりますね。

──女性社員に配慮した制度などはありますか。

 女性の産後の復帰率はほぼ100%です。産休明けの復帰がしやすいように時短勤務の採用にも積極的で、実際に時短勤務の女性はかなり多いです。2018年9月には、女性が働きやすい環境をめざすための規定変更を行いました。具体的には、男女とも子どもがいる家庭には児童一人に対して高学年になるまで、社歴にもよりますが、月1万円を支給します。3人子どもがいる家庭は月3万円になります。育児休暇は男女関係なく増やしていて、もちろん突然の病気などでの早退や休みにも、社内は温かく理解のある状況です。男性の育児休暇の実績もありますし、不妊治療のための休暇制度もあります。結婚祝い金はもちろん、誕生日休暇もあります。そして社内で一番人気の福利厚生は、何といってもマッサージです。週に一度、会社にマッサージ師を呼んで、誰でも利用できるようにしています。とにかく好評でずっと満席で予約が取れない状況です(笑)。

資格は必ずしも必要がないベンチャー企業

──資格取得に対してはどのようにお考えですか。

 例えば不動産業なら宅地建物取引士というように直結する資格があると思いますが、弊社には業務に直結する資格はありませんので、特別な配慮はしていません。IT系の国家資格も現在は特に必要としていませんので、各人の判断で必要に応じて取得してもらいたいと考えています。福利厚生として英語学習の環境を提供していて、一定基準以上出席すると会社が全額負担という制度はありますね。
 採用時に履歴書を拝見する際も、管理部門であれば「連結決算をやっていました」、「上場企業で一個の事業の決算をやっていました」、事業部門であれば「インターネット広告部門で月何千万円の利益を出すために分析をしていました」といった部分を見ます。ここでも重要なのは「成果」なんです。
 ただし、SES(システムエンジニアリングサービス)事業の開発会社をM&Aしたので、今後はSES事業ポートフォリオの大枠の予算が「採用=売上」になってきます。そこで大量採用することになれば、基準値として資格に着目するようになるかもしれませんね。

──『TACNEWS』の読者にメッセージをお願いします。

 AIの時代になると、取って代わられる仕事もでてきます。だからこそ、資格取得後の「その先」をきちんと考えることです。資格取得だけをゴールにしてはいけません。何のために資格を取るのか。そこをきちんと考えることが重要だと思います。

[TACNEWS 2019年2月号|連載|行きたい会社・欲しい人務]

会社概要

社名  株式会社オークファン
創業  2007年6月
代表者 代表取締役 社長 武永 修一
所在地 東京都品川区上大崎2-13-30 oak meguro 3階

事業内容

メディア事業、マーケットプレイス事業、 ソリューション/インキュベーション事業

従業員数

172名 (2018年9月末現在 ※連結)

URL: https://aucfan.co.jp/