日本のプロフェッショナル 日本の会計人|2017年9月号

  
元村 康人氏
Profile

元村 康人氏

税理士法人青色会計
税理士

元村 康人(もとむら やすひと)
1976年生まれ、三重県津市出身。日本大学経済学部卒業。大学4年在学中から会計事務所入所。別の会計事務所で7年間、月次、決算、巡回監査業務に従事。2006年、SEO資格であるCSMS取得。2007年、都内の会計事務所入所、マーケティング担当として従事。2008年、事務所が法人化するタイミングで税理士登録。2013年、税理士法人を退社し、青色会計を設立。2016年、税理士法人化し、税理士法人青色会計を設立。

「会計事務所ほどいい業界はない」
人件費率70%で急成長する、新しい時代の税理士法人です!

 設立4年目で売上高3億円、スタッフ数30名超と、急成長している税理士法人がある。何か裏技があるのかと思えば、創業以来の事務所の理念が「スタッフさんが一番偉い!一番お給料をもらうべき!」というもの。代表自らが敬いの意味を込めて「スタッフさん」と呼ぶ。しかもスタッフのほうが代表よりも給料が高い。人件費率は売上の70%、業界平均の2倍というから驚く。この税理士法人青色会計の代表、元村康人氏は一体どんな人物なのか。異彩を放つ税理士法人のトップを追ってみたい。

税理士はベリーダンサー

 昔ながらの税理士のイメージと言えば、さしずめ「ソロバン片手に、帳簿とにらめっこ」だろうか。時代が変わり、ソロバンと帳簿がパソコンに代わっても、「パソコンを前に入力作業」する、細かい数字を追う真面目なイメージは変わらないだろう。
 そんな税理士像とは真逆の税理士がいる。ある意味「型破り」で「非常識」。何年か前は税理士としてより、ハイテンションなダンスを披露するベリーダンサー「ポンタ」として有名だった。ユニークでフリーダム。そんな税理士が開いた事務所は、勤務時間はもちろん、出勤や休暇も自由で副業もOK。しかも人件費率は売上の70%だ。簡単に言えば、スタッフは自分で稼いだ金額の70%をもらえる。年収1,000万円は単なる通過点という「業界一給料の高い会計事務所」らしい。当然スタッフ数は年々増えて、開業4年目にして30名を超えるようになった。
 代表は税理士の元村康人氏、41歳。明るく人なつっこい笑顔が印象的だ。人との距離感が近いので、友だちと話しているような気分になる。そんな、人を惹きつけるオーラ全開の元村氏は千葉県八千代市に生まれ、転勤族の親に連れられ静岡県静岡市、静岡県浜松市、三重県津市と引っ越していた。幼い頃から「何か事業をやってみたい」と思っていたところ、大学受験予備校で同宿だった仲間のひとりが「大学へ行って、受験資格を取って税理士になるんだ!」と言うのを聞いて、「なるほど!」と自分もめざすことにした。
 通っていた日本大学経済学部は当時のTAC水道橋校のまさに隣にあった。大学へ行くよりTACに通うほうが多かった元村氏は、大学1年で日商簿記1級を取得。大学2年から税理士をめざし、在学中に簿記論、財務諸表論とクリアした。とんとん拍子の元村氏は、「人生で努力した記憶ってないですね」と余裕の表情を見せる。
 大学4年からは会計事務所でアルバイトを始め、実務の道に入ったのも人より一歩早かった。未経験者を採用してくれる事務所を探すのは至難の業だったので、とにかくまずは業界に滑り込もうという作戦だ。
「時給1,000円で、朝9時から夜9時まで働いてました。給料は朝9時から夕方5時までの分のみ、残業代はありませんでした。みんなが帰ったあと、最後にサーバーのバックアップをして帰るんです。でも、勤められるだけで幸せでした。すべてを自分でやったおかげで、営業もITインフラの保守・管理も全部できるようになりましたから」
 その事務所を1年で退所し、次に入った事務所には7年間勤務。2代目の所長のもと、お客様を毎月巡回し月次をまとめ、そして決算・申告。粛々と業務を遂行する事務所だった。元村氏はこの事務所に勤務中に税理士資格を取得し税理士登録を考えたが、「登録すると辞めにくくなるんじゃないか」と懸念し踏みとどまったという。
 着実に業務をこなしていく毎日を過ごしながら、いつしかから元村氏の頭には「売上を拡大するにはどうしたらいいんだろう」という思いが去来していた。
 2007年、まだホームページを開設する会計事務所が少なかった中で、あるページが目に留まった。集客をインターネットに特化し、入力作業は上海など海外を活用して安価に行い、1万円を割る顧問料の安さを売りにしていた。
 「これからの時代はITだ」と考えて、2006年にSEO関連の資格を取得していた元村氏は、「この事務所は今後伸びるだろうな」と直感。勤務先を退職し、さっそくその事務所に応募した。
「応募した時、すでにキャリアがあり有資格者の私はそれなりの給料でした。そのせいか、結果は不採用。そこで、もう一度話をしに行って、『私を不採用にするなんて、間違ってます。ちゃんと正しいかたちにしてください』と話しました。そうしたら、『じゃあいいですよ』と採用してくれたんです」
 「ちゃんと正しいかたち」とは、どんなかたちなんだろう。漠然とした理屈でも、堂々と言い返す。しかも一度不採用と言われているのにだ。普通、そんなことを言う人はいない。そこに元村氏のハートの強さが表れている。
 入所後は、猛然と営業とマーケティングに力を発揮していった。そして2008年、事務所が法人化するタイミングで税理士登録を果たしている。
 5年後、当時東京で最も急拡大していると言われていた大手税理士法人と合併することになった。元村氏自身は「一緒になれば強くなるだろうけど、ならなくてもいいんじゃないかな。何かカルチャーが違うな」と感じながらも、合流し営業として働いた。やってみると、そのやり方はあまりにも衝撃的だった。
 「これはもう、東京の会計事務所はどこも勝てないな」というのが、その時の感想だ。 「インターネット集客だけでやってきたお上品な手法の会計事務所には絶対真似できない営業力とコミュニケーション力がありました。これはすごいなぁと思いました」
 衝撃の洗礼を受けた元村氏は、この営業手法をすべて身体で覚えようと心に決めた。しかし2ヵ月後に退社。自分で開業しようと思ったからなのか、それともこれ以上学ぶことはないと判断したのか。
「そのどちらも違います。実は、当時ベリーダンスに一生懸命で、夕方以降のスケジュールをほとんどダンスの予定で埋めていたんです。そうしたら代表に呼ばれて『元村さん、このダンスというのは何ですか?』と聞かれまして(笑)。返事に困ってしまって、『すみません。申し訳ありません。私にはもうこれ以上続けられません』と、退職願を提出しました」
 元村氏は、30歳からベリーダンスを始め、ベリーダンスの講師だった女性と結婚している。「ショーに出る時のステージ衣装だけで10万円。チケットも30万円分ぐらい自腹で買い取って席を埋めていた」というほどの力の入れようだったのである。
 独立しようと思った理由はもうひとつある。それは、月の契約10件というノルマだった。
「月給40万円で、それはきついなと思ったんです。それなら自分でやったほうが儲かるんじゃないか。それだけで充分暮らしていけるかもしれない。だったら自分でやっちゃえ。死ぬ気でやればそれくらいいけるだろうって」
 2013年、税理士法人を退社した元村氏は、個人事業主として青色会計を立ち上げ、独立開業に踏み切った。

開業4年で売上高3億円

 青色会計のスタートは7坪のレンタルオフィスだった。開業に当たっては、以前勤めていた事務所でやっていたように、会社設立0円を売りに、フリーダイヤルの番号も取得した。
 それまで、集客はインターネットの時代とばかりに、SEO対策の資格も取得していたので、ありとあらゆる手法を駆使して、「会計事務所」で検索すると検索順位1位になるように仕込んでいた。その手法について、北海道から沖縄まで会計事務所向けのセミナーを開き、「これからはインターネットの時代だ!」と行脚したこともあった。
「でも、自分で事務所を始めてしばらくしてから、それを全部やめたんです。家賃の安い古くて狭い事務所で、ホームページにはお金をかけない。フリーダイヤルもやめて、コピー機も置かない。顧問料月1万円も会社設立0円もやめて、その分をすべて人件費にかけることにしました。
 考えてもみてください。月の顧問料1万円、会社設立0円でやって、事務所の家賃を払って、広告費を払ったら、スタッフさんに一体いくら払えますか?計算すると申し訳ないですよ。だからその分をスタッフさんに回すことにしたんです」
 開業から3ヵ所目の現在のオフィスは駅から徒歩5分の好立地ではあるが、オフィスビルとしてはかなり古い建物だ。「以前のオフィスは坪単価35,000円だったのに、ここは坪単価8,000円」と元村氏は自慢げだ。
 経費を圧縮したコストは、すべて人件費に回す。スタッフの年収は1,000万円以上が平均。それができる会計事務所業界は「すごくいい業界」だと元村氏は主張する。
「なぜ毎年受験生が1割減るような業界になってしまったのか。逆に、毎年2割くらい受験生が増えていかないといけない業界だと思うんです。
 だってこんなにいい業界ないじゃないですか。お客様と毎月お会いできて、決算書が見られて、不動産だって車だって保険だって、売りたいものが何でも売れる。こんなに稼げる商売はありません。みんな、それに気がついてないんです。だから会計事務所のスタッフさんの給料は1,000万円でも低いと思っています」
 開業3年目の2016年に税理士法人化し税理士法人青色会計となり、開業4年目の現在、顧問数400社、売上高3億円。青色会計は、破竹の勢いで延びる急成長の法人となった。営業やマネジメント手法は経験済み。そこに元村氏のひらめきがプラスされている。

事務所は「みんなでやっていこう」

 では、どうやって営業し、顧客獲得をするのだろう。肝心のその手法は、実に驚くべきものだった。元村氏は開業時、携帯電話に保存してある電話帳の「あ」から、それこそ「青山さん」から順番に電話帳の全員に電話したのである。
「やってみたら一気にお客様が増えて、会社設立0円なんてやらなくてよくなったし、フリーダイヤルもいらないのですぐに返しました。そしてお客様になってくださった方たちとお会いしたり、お茶をしたり、おしゃべりしたりしているうちに、もっとたくさんの仕事が決まっていきました。そこからは自然と紹介が続いています。
 その時気がついたんです。『みんな「あ」から順番に電話できないんだな』と。この業界に入ってくる人は真面目だから、ちゃんと勉強して稼ごうという人が多い。逆に勧誘の電話ができないんです。一方、私はハートが強いので何でもできる。こんないい業界はない。どんどんやっていこうと思いました」
 事務所は、最初から「みんなでやっていこう」というスタンスで、2〜3名のスタッフを採用した。
「私、結構さみしがりやで、スタートしてひとりでやっていたら、午前中で頭がおかしくなってきちゃったんです。しゃべる人がいないし、寂しい。ひとりでやっていらっしゃる皆さんは、ものすごい精神力ですよね。私にはとてもできない。というわけで最初からスタッフさんを採用していました。というか、最初からスタッフという意識がなくて『スタッフさん』と呼んでいますし、給料も私より高いんです」
 開業当初からスタッフの基本的な給料の決め方は、入金額の70%。平均的な会計事務所の労働分配率は35%と言われている金額の2倍だ。年間顧問料70万円の顧客20社を担当していれば、売上は1,400万円、すると給料は必然的に1,000万円近くになる。他に不動産や保険を販売できれば、そのコミッションの入金額の70%が収入になる。そちらだけでも多いと1,500〜2,000万円になるので、給料の総額は2,500〜3,000万円というわけだ。「会計事務所業界一、給料が高いかもしれない」と言うのも、まんざら冗談でもない。
 さらに勤務時間、出勤・退社時間、休暇も自由で副業もOK。あまりにもフリーダムなので耳を疑うばかりだ。それを元村氏は、「会計事務所業界のおかしなところを解決した事務所」と表現する。
 「スタッフさんの事情をクリアしながら、大きな裁量を持って活躍の場を拡げてほしい。お金も時間も自らコントロールする。そんな方を応援し、共に歩みたい」と、元村氏は嬉しそうに話している。

会計をプラットフォームにニーズを発掘

 ここまでくると「果たしてちゃんと税務会計をやっているんだろうか」と思うかもしれないが、青色会計のミッションは、青色申告のメリットを最大限に活かして、「正しく適正な納税」「経営者と企業の満足」を共に実現することにある。通常の税務会計に加えて、会社設立・補助金支援はもちろん、資金調達支援、売上拡大支援、相続・事業承継支援、M&A、経営計画策定支援など、悩みを抱える経営者の相談役としてのコンサルティングに軸足を置いている。おもしろいのは、業務の特徴が「会計業務に力を入れていないこと」だ。
「記帳代行だけだったら夢も希望もないじゃないですか。アメリカではクラウド型の会計ソフトのシェアがすでに5割まできています。日本はまだまだですが、今後は増えるでしょう。『電車に乗りました。交通費1万円』とスマホで入力すると帳簿ができてしまう。これなら簿記の知識も何も知らなくてもできますよね」
 だからこそ「会計事務所の存在意義、税理士の存在意義はそんなところにはない」と強調する。むしろお客様が何を望むか。プラットフォームである会計から広がるニーズを拾うことが重要なのである。
「記帳代行や月次顧問にはお金も時間もかけません。それよりも、お客様とお客様をマッチングさせる。あるいは融資や助成金を引っ張ってくる。『お金を貸して』と言えない社長さんと一緒に銀行に行ったり、電話したりすることに時間を割くべきです。銀行は『なんで会計事務所の人間がいきなり電話してきて、お金を貸してくださいと言うの?』と思うでしょうけど、それをやります。本当にお客様が望んでいるのは、そこだからです。丁寧に記帳するなんて、当たり前のことなんです」
 付き合いの長い金融機関と、朝10時から午後4時までオフィスで融資面談を5件こなすこともある。悩みを抱える経営者の「よろず相談所」だからだ。
 そんな経営者の緊急事態に備えて、いかなる場面でも、電話がかかってくれば必ず対応するのも元村流だ。
「電車に乗っていても、売上100億円規模の企業の社長さんと話をしていても、取材中でも、私は必ず電話に出ます。私が出なかった時に、『税務署に踏み込まれました。20人来ました。顧問の元村さんに電話しましたが出ませんでした。』『取材に応じていました』では、返事にならないですよね。
 その時に出てほしいから電話してくるんです。だから絶対に出るし、私からも問答無用でかけるし、つながらなかったらつながるまでかける。そんなこと、何とも思いません。非常識だと思われるでしょうけど、電話に出るから1件の仕事が取れてお客様が増えるんです。だから稼げる。これができる人は、他の税理士さん、受験生でもなかなかいないでしょう。簿記論、財務諸表論よりも重要なのが、このハートの強さです」
 元村氏は、にっこり笑いながらそう言い切った。事実、この取材途中でかかってきた電話に対応した元村氏は、そこで1件の顧客を紹介されているのだ。

人としての素養を、税理士として活かす

 採用では「資格」は一切問わない。ハートの強さとコミュニケーション能力の高さだけがキーポイントになる。その素養を活かして、これまで培ってきた経験を存分に発揮してほしいと、元村氏は話す。
「よく『未経験ですが』と、メールを送ってくる学生がいるんですね。私も定型文で『慎重に検討を重ねた結果、ご期待に沿えないことになりました』と返すんですが、そこで引き下がってちゃダメです。私だったら突撃かけてますよ。何で自分を採用しないの!って(笑)」
 逆に、そこで熱意を見せてくれる人が少ないことに、物足りなさを感じることもある。
 採用された新人は、最初に元村氏が電話するのに立ち会い、担当する先を何軒か一緒に回って見てもらう。それでやり方はほぼ覚えるという。つまり、「見てもらう」が青色会計の人の育て方だ。
「国際税務から相続、医療法人、連結決算まで全部できるようになるのは無理」と話す元村氏は、あくまで「基本業務をメインに、お客様が何をしてほしいか、常に考え、発掘していくことが重要」とぶれない。専門分野を持つより、大切なことがあると説く。スタッフそれぞれが専門家ではないので、協力して案件に当たることによって一体感を持つことに重きが置かれる。
「極端な話、マネージャーの意識を持ってもらう。だから自分の裁量でアルバイトを採用することも許可しています。独立した税理士が同業者同士で仲がいいように、うちのスタッフさんたちも、めちゃくちゃ仲がいいです。会計事務所で一番まずいのは誰かの給料が上がると誰かの給料が下がったり、すごく残業が集中してるのに給料が増えなかったりすること。要するに、同じパイの奪い合いだからです。うちはパイがどんどん増えているから、そうした問題は起こりません」
 元村氏は不動産売買をするために株式会社青色経営コンサルティングを設立し、宅地建物取引業者としても登録している。銀行融資の取り付けもするし、助成金の申請もする。その際、税理士だからこそのメリットがある。
「不動産や保険の営業マンから名刺をもらうと皆さん身構えますよね。営業の電話がかかってくるかもしれないからです。ところが税理士だと、自分たちの側に立っていると思っていただけるんです。お客様に保険を売ってお金を稼ぐのが悪いことだと思っている税理士の方が未だに大勢いるようですが、うちはお金を稼ぐことが正義になっています。
 マッチングに関しても、きちんとやっている会計事務所は少ないと思います。でもマッチングすると、ほとんどのお客様がその後、お客様を紹介してくれます。うちのマッチングはすごいですよ。お客様同士が一緒に事業をやりましょうとなったら、私が立ち会い、目の前で分配方法、分配率まで決めるんです。逆に税理士が立ち合って決めたら、お互い何かあっても解決しやすい。もちろん、こちらも責任を取るくらいの勢いでやっています。そう考えると、税理士はとってもいい職業です」
 見方を変えれば、価値は本当に違ってくる。税理士の利用価値を最大限に引き出すのが、元村氏のスゴ技なのである。

「会計事務所業界ほどいい世界はない」

 指示待ち人間やお客様的な人はいない。むしろ「フレンドリーで厚かましい人」が多い。それが青色会計の事務所のカラーだ。
 事務所は基本的な営業時間は朝10時から夕方5時だが、勤務時間は完全フレックス制になっていて、週一日勤務のスタッフもいる。しかも出勤する時に、ペットを連れてくるスタッフもいるという。そうしたスタッフの一切合切について、元村氏はまったく関知していない。どのようなプロセスであれ、「通帳に記帳されたお金がそのまま評価になるだけ」という。これもかなりユニークな点だ。
 過去に青色会計を「独立する」と言って辞めたスタッフはひとりもいないという伝説がある。自分でシステムを入れ、家賃を払うより、手取りが高いのだから、それも当然かもしれない。
 事務所の将来像について聞くと、次のような答えが返ってきた。
「日本の大手税理士法人は顧問数1万件でスタッフ1,000人。でも、その法人がスタートしてからの10年より、うちの4年目のほうが初期のスピードが早い。検索サイト対策といった、広告費は一切使っていないにも関わらずです。だから、うちは新しい形の税理士法人になる。狙うというより、将来は自然と大手税理士法人の規模になっていくでしょうね」
 会計業界については、今後もっと受験生が増えるべきと主張する。
「今、正直言って、会計事務所で税理士になるより一般企業の経理部にいく、といった空気になっていますよね。これはもったいないです。私はすべての業種の中で、税理士が一番稼げると思っています。確かに受験生は電話帳で『あ』から電話する営業なんてドン引きでしょう。『あ』からの電話と同じで、TACの教室講座も後ろから席が埋まっていくはずです。本当は前から埋まっていかないといけない。休憩時間になったら、まず先生のところに飛んでいって質問しなければいけないし、隣の人と名刺交換もしなくちゃいけない。せっかくTACに通っているんだから、クラスにいる全員と名刺交換してほしいですよね。でもやる人はなかなかいないんです。
 だからこそ、皆さんにこんな魅力的な業界は他にないことを知ってほしい。会計事務所に所属しているというだけで、保険だって不動産だって、保険や不動産を専門にする営業よりも売りやすい環境にいられるんですから、ものすごい役得ですよ。その気になってやれば、まだまだブルーオーシャンです。
 それから、私はみなさんに、人に喜ばれることをしてほしい。例えば、自分のお父さんが住民税を払っている。そこで『TACでふるさと納税について勉強してきたけど、お父さん知ってる?これで旅行券もらえるよ』と教えてあげれば喜ばれます。それを今度はお友達にも教えてあげる。といったように、身近な人から幸せにしていく。『こんな制度があって税金が安くなるよ』、あるいは『融資は保証人がいなくても1,000万円借りられるよ』と伝えることで、身近な人を助けることができるんです。
 スタッフさんにも、まずは自分の身近な人に事務所で知った情報を教えてくださいと話しています。すると、それが自然に営業になるんですね。良い情報を与えると向こうからも情報をもらえます」
 現在、スタッフの満足度をさらにアップして、安心・安定して働ける職場環境をめざしているという。「スタッフさんの年収1,000万円は通過点!会計事務所業界のおかしなところを解決した事務所」を謳い文句に引っさげて、元村氏はさらなる躍進を遂げようとしている。
「会計事務所業界ほどいい世界はない」
 もし、税理士受験に二の足を踏んでいるのなら、元村氏のこの言葉を信じて、一歩を踏み出してみてはいかがだろう。

事務所 東京都千代田区神田美土代町5-2 第2日成ビル3階

TEL : 03-5577-3188

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