特集 2022年度国家総合職試験合格者にインタビュー

 

現実をしっかり見据えながら、
理想の社会を作るために働きたい

 国家総合職とは、国家行政の中枢を担う幹部候補。政策の企画立案、法案の作成、予算編成などで活躍することが期待されます。今回は、2022年度国家総合職試験に合格したTAC・Wセミナーの内定者3名に、官僚をめざしたきっかけや、TAC・Wセミナーの活用方法、これから実現したいことなどをお聞きしました。※WセミナーはTACのブランドです。

※WセミナーはTACのブランドです。

左から

■谷口 元軌(たにぐち げんき)さん
埼玉県出身
法政大学法学部(在学中合格)
受講コース:法律本科生
(教室+Web講座・早稲田校)
受験区分:法律
内定先:消費者庁

■野里 夏彩(のざと かあや)さん
岩手県出身
慶應義塾大学法学部(在学中合格)
受講コース:政治・国際本科生
(教室+Web講座・新宿校)
受験区分:政治・国際
内定先:防衛省

■髙宮 康大(たかみや こうた)さん
埼玉県出身
東京大学文学部(在学中合格)
受講コース:秋試験教養区分本科生
(Web通信講座)
受験区分:教養
内定先:環境省

「みんなのために働きたい」と幼い頃から思っていた

── 国家総合職への内定、おめでとうございます。はじめに、皆さんが国家総合職をめざしたきっかけについて教えてください。

谷口 小学生の頃から『週刊少年ジャンプ』に連載されている漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』を愛読していました。人のために駆け回るお巡りさんの「両さん」に憧れて、漠然と「公務員になりたい」と感じていましたね。そして大学生になり、社会に出てどのようなことをしたいか考えたときに、少しでも多くの人々を支えられるような仕事をしたいと思ったのです。民間企業も社会に貢献する役割を担ってはいますが、より本質的な問題解決や支援ができるのは公務員だと考えました。また、既存の枠組みでは流動性の高い昨今の社会情勢に対応することは難しいことを踏まえ、「政策実行のプロ」ではなく「政策作成のプロ」になろうと考えて、官僚を志しました。

髙宮 私も、何か特定の事業を通じてというよりは、より広くみんなのために働きたいという気持ちが昔からありました。公務員という仕事を初めて意識したのは、中学生のときです。社会科の授業で市役所の見学に行った際、こんなに身近に社会の問題解決のために働いている人たちがいるのか、と実感したのです。大学生になって始めたアルバイトでの経験から、会社の利益を優先するよりも、困った人に手を差し伸べることのできる仕事、より直接的に社会貢献できる仕事をしたいと思ったのも公務員を選んだ理由のひとつです。また、コロナ禍による世の中の変化を通じて、国全体を揺るがすような大きな出来事が起きたとき、その影響に振り回される側になるのではなく、打開策を見つけて困っている人を少しでも減らす立場になりたいと強く実感したことも影響しています。

野里 私は高校時代に1年間、核兵器廃絶を世界に訴える高校生平和大使として活動していました。小さい頃に読んだ『ひろしまのピカ』という原爆を描いた絵本が強く印象に残っていたからです。活動の中で被爆者の方から直接話を聞くなどして、広島・長崎での原爆の被害を目の当たりにしたことで、戦争の惨禍を繰り返さず平和を守るために自衛隊が何をできるのかを考えるきっかけとなりました。それと同時にミサイル警戒のJアラートを実際に聞いたことで、日本を取り巻く安全保障環境の厳しさと、国際情勢を考慮しない一方的な主張や、平和を希求する気持ちだけでは平和は達成できないと感じました。そこで、普段から誰もが幸福追求できる安定的な社会の実現のため、日本の意思と能力を世界に示す様々な活動を行い、有事の際は最後の砦として日本を守る防衛省に魅力を感じるようになりました。急速に変化する国際社会の中で、常に最善策を探し続ける防衛省の一員となり、人生をかけて「平和とは何か」を問い続けたいと考えて官僚を志望しました。

TAC・Wセミナーなら正しい情報を得ながら最短ルートを進める

── 受験勉強を始めた時期と、TAC・Wセミナーを選んだ理由を教えてください。

谷口 大学3年生の春にTAC・Wセミナーに入学しましたが、サークル活動やアルバイトをしていた関係で、本格的に勉強を始めたのは夏休みに入った頃からでした。正直、試験合格をめざすだけであれば、独学でも何とかなるかもしれません。しかし内々定をいただくことを考えるなら、受験指導校を利用するほうが圧倒的に有利です。なぜなら受験指導校には、「合格のために必要で効率的な講義」や「面接や官庁訪問に有用な情報」が何年分も蓄積されているからです。TAC・Wセミナーは、いわゆる文系の試験区分にはすべて対応しているので、官庁訪問前の自主ゼミ等でも他の受講生と様々な意見を交わすことができます。この点は、他の受験指導校に比べて特に優れている点だと思います。

野里 私は大学3年生になるタイミングの2021年3月にTACに入学しました。ですがサークルやゼミ活動が忙しく、本格的に受験勉強を開始したのは1年近く経った2021年12月頃です。初めは独学で勉強しようと思い、対策本を買って読んでみたのですが、解説がわかりにくくてすぐに限界を感じました。「講義形式で、随時質問ができる環境で学習したい」と思い、受験指導校を利用することに決めました。「校舎に通えば、同じ志を持つ友人とも出会えるはず」という期待もありましたね。TAC・Wセミナーを選んだ一番の決め手は、政治・国際区分を開講しているのがTAC・Wセミナーだけだったことです。他に開講している受験指導校がないぶん、情報が集約・蓄積されていると考えました。

髙宮 私は大学卒業後の進路をどうするかでかなり悩み、大学4年生で留年することを選択しました。2度目の4年生の春を迎え、5、6月頃から民間企業の就職活動にも挑戦してみたものの、やはり自分は公務員になりたいのだとあらためて思い直し、教養区分試験の3ヵ月前の7月から受験勉強を始めました。TAC・Wセミナーを選んだのは、オンラインで教養区分の対策ができる点と、以前友人が通っていたという安心感からです。短期間で受験対策をしなければならなかったので、正しい情報を得て最短ルートで勉強を進められる点や、相談相手や受験仲間がいないと対策が難しい2次試験についてもサポートしてもらえる点に魅力を感じました。

── 秋の教養区分で髙宮さんが先行して合格を果たし、春の試験では谷口さんが法律区分、野里さんが政治・国際区分で合格されました。受験区分はどのように選びましたか。

髙宮 大学では文学部に所属していたため、学んでいる内容を直接活かせる専門試験の区分がありませんでした。専門性で勝負するよりも教養区分で受験したほうが合格の可能性は高そうだと考え、教養区分を選択しました。また、冬の官庁訪問に参加したいと考えていたため、そこに挑戦可能だったことも大きいです。

谷口 法学部に所属していたことと、実際に官僚となったら法律の知識なしに働くことはできないだろうと考えたことから、法律区分受験を選択しました。ただ教養区分についても、合格の可能性を高めるため、数的処理の模擬試験的な意味合いとして、受験しました。

野里 政治・国際区分の科目を見て、「この科目なら楽しく勉強できそうだ」と直感的に思いました。大学でも法学部政治学科に所属して、国際政治を中心に勉強していたため、政治・国際区分の必須科目である政治学や国際関係は大学で学んだ内容と親和性があり、選んで正解でした。

── 受験勉強を進める上で心がけていた点や工夫していたことはありますか。

谷口 「今取り組んでいることが何につながるのか」を常に意識して勉強していました。単にテキストの内容を暗記するのではなく、時事問題と関連づけて覚えるのがおすすめです。私は、各省庁の白書や自身の興味がある政策に関する論文をGoogle Scholarで探していました。また、受験勉強中はひとり暮らしをしていたのですが、部屋の中には寝具、机、法律関係の本のみを入れた本棚、スマートフォンとパソコンしか置かず、「勉強しかできない環境」にしていました。

野里 私は学習スタートが遅く、本試験まで時間がなかったため、とにかく効率重視で学習するしかありませんでした。そこで、自分の得意分野だけに絞り、点が取れそうな問題を確実に正答できるように意識して学習していました。他にも、担任の山本講師のアドバイスのもと、問題集は過去数年分のものだけに絞って解きました。間違った問題に印をつけて2周目からはその印をつけた問題だけ解くことを繰り返すという方法です。勉強の負荷が大きかったぶん、生活面では極力ストレスを溜めないように心掛けていました。時間がもったいないので自炊はせず、家事は最低限。外で勉強をして、家は寝に帰るだけにして、掃除ができていなくても「天井はキレイだから大丈夫」と割り切っていました(笑)。

髙宮 まずは過去の試験問題を解いてみて、実際の難易度や問題量を体感した上で勉強するようにしていました。また、数的処理などは常に時間を計って解答にかかった時間を記録していましたし、暗記科目は自分で簡易なまとめノートを作りながら、隙間時間で何度も反復することを意識しました。暗記する項目については「自分が出題する側だったらどこを選ぶか?」という視点で優先順位をつけました。気分転換をしたいと思ったときは、特に行き先を決めず自転車や電車に乗って気が向くままに出かけたり、近くの温泉に行ったりしていました。


(左上から時計回りに)
髙宮さんのノートには、解答にかかった時間や厳選された暗記項目がびっしり。
谷口さんのテキストとノート。ノートには官庁訪問中の気づきがたくさんメモ。
野里さんのノートとお守り。お守りは電話で励まし合っていた受験仲間から。

官僚になったつもりで、困りごとの解決策を考える

── コロナ禍での学習で、やりづらかった点などはありましたか。

谷口 Web講義を利用することで移動時間が省けたので、効率的に学習できたと思います。ただ、教室での受講を控える人も多くて、受講生同士のつながりを官庁訪問前の自主ゼミ頃まで構築できなかったのは少し残念でした。

野里 コロナ禍により各省庁主催のイベントもオンライン実施になったので、むしろ参加しやすかったです。会場での実施であれば移動時間も加味して予定を立てなければいけませんが、オンライン開催のおかげで1日に複数の省庁の説明会に参加できました。TAC・Wセミナーのイベントにもオンラインで参加していましたね。官庁訪問対策自主ゼミも全回オンラインで行いましたが、それでも同じ省庁をめざす良き友人と出会え、今でも仲良くしています。

髙宮 私はもともとWeb通信講座を受講していたため、そこまで不都合を感じることはありませんでした。時間のない中、自分のペースで勉強を進め、本試験を迎えられたのはよかったです。

── 勉強中、モチベーションをキープするためにどのようなことを心がけましたか。

谷口 SNSや各省庁のホームページ、新聞などを見て、実際にどのような仕事をしているのかを調べてみたことで「公務員試験の勉強が業務上も必要になる」と実感でき、モチベーションアップにつながりました。SNSで誰かが「こんなことに困っている」などと発信しているのを見つけたら、すでに自分が官僚になったと仮定して、「その困りごとをどう予防するか、どう解決するか」と考えるようにもしていましたね。また、業務説明会は現役の官僚の方と接する貴重な機会なので、参加することで「なぜ自分は官僚をめざすのか」という大元に立ち返って考えることができました。「将来に向け、とにかく一歩踏み出そう!」と気合いを入れるため、就職活動中の仲間たちとバンジージャンプをしたのもいい経験でしたね。

野里 私は山本講師の担任カウンセリングを利用していました。山本講師は私の学習状況を冷静に分析し、いつも的確なアドバイスをくださいました。カウンセリング後は毎回身が引き締まる思いになるので、気持ちが落ち込んだときは担任カウンセリングに行き、山本講師に叱咤激励してもらってから学習に戻るようにしていましたね。他にも、直前期には同じく国家総合職志望の友人と毎朝電話をして励まし合っていました。早起きして毎朝勉強ができるようにと本試験3ヵ月前くらいから始めたルーティンでしたが、その日の目標を伝え合う程度で終わることもあれば、政策や最近参加した説明会についての情報交換で30分くらい話すこともありました。電話を切ったあとはいつも「今日もがんばろう」と思えましたね。

髙宮 短期間の受験勉強だったのでとにかく走り抜けた感じではありますが、毎日必ずやるべき勉強を事前に決めて実行していたのと、新しく覚えたことは何かを意識することで、モチベーションを維持していました。また、自主ゼミで知り合った仲間と交流できるのが励みになりました。新しい情報を入れたり、自分の意見や考えをブラッシュアップしたりしていないと、怠けていたことがすぐにわかってしまうので、「みんなに負けていられない!」と発奮材料になっていましたね。

コンパクトにまとまったテキストと講師の冷静なアドバイスに助けられた

── TAC・Wセミナーを選んでよかった点や、講師とのやりとりで印象に残ったエピソードなどを教えてください。

谷口 非常に効率を重視した講義内容で、初学者であっても充分に合格できると感じました。また、講師との面談や自主ゼミは、内々定をいただくために必要な情報が盛りだくさんでした。対面講義とWeb講義を使い分けられたのも非常に役立ったと思います。また、記述試験用の講義を受けている際に、憲法・行政法の渡辺講師と、解答に用いる条文・結論について率直に意見を交わし合ったことが印象に残っています。なぜそのような結論に至ったのかについて、より論理立った解答の作成ができるようになったのは、その会話があったからだと思います。

野里 TAC・Wセミナーの教材は素晴らしかったです。私は勉強スタート時期が遅く、広範囲を対策する時間がありませんでしたが、必要な情報がコンパクトにまとまったテキストのおかげで効率よく合格できたと思います。他にも人事院面接・官庁訪問対策テキストは大いに役立ちました。それまで、官庁訪問などの話は聞いてきましたが、このテキストを読んだことでイメージトレーニングができました。教材以外にも、TAC・Wセミナーに通ったことで同じ志を持つ友人と出会えたことは勉強のモチベーション維持に役立ちました。もしひとりきりで勉強していたら、不安に襲われ限界を迎えていたと思いますが、友人が近くにいたことで受験勉強を乗り切ることができました。講師とのやりとりでは、山本講師がいつもスパッと悩みに応えてくださるのに助けられました。

髙宮 2次試験の対策をしっかりしてもらえたことや、豊富な知識と経験を持った講師との面談を気軽にさせてもらえたことは非常に助かりました。特に模擬面接で、「実行力がない」という私自身も自覚していた弱点をすぐに見抜いて的確なアドバイスをくださったことが印象に残っています。そのアドバイスのおかげで、官庁職員の方に自分からメールをするなど、積極的に行動できるようになりました。

官庁訪問では「自分が何をしたいか」、具体性を持って語ることが重要

── 官庁訪問攻略のポイントはどのようなところにありますか。

谷口 省庁の政策に詳しくなるよりも、「自分が何をやりたいか」を深く考えたほうがいいと思います。実際、官庁訪問中に面接官から「一切の主観的な意見で構わないから、あなたの考えを聞かせて」と言われました。また、受験生同士で議論する機会も多く、様々な意見に触れたり、お互いの成長が見えたりと興味深いことがたくさんありました。自然体で楽しむくらいの気持ちがあっていいと思います。

野里 自分はどんな分野で何をしたいのか、実際の政策はどう進めていくかを考え、自分の意見を持つ練習を日常的にしておくことが官庁訪問攻略のポイントだと思います。私は各省庁の説明会に参加するだけでなく、志望省庁に関するニュースは日々チェックし、自分がもしその省庁にいたらどうするかを考え、友人と話し合っていました。また、官庁訪問では政策以外にも自分のこれまでの経験などパーソナルなことも聞かれます。「なぜその行動をしたのか」「そこから得たものは何か」「それを今後働くときにどう活かせるか」という3点で自分の経験を語れるようにしておくと、面接でもうまく自分を表現できると思います。

髙宮 最低限、民間企業の就職活動全般で聞かれるような質問に対する答えは準備しておくのが必須です。その上で、自身がその省庁で働く未来においてどのような仕事がしたいのか、具体的に描けていることが重要だと感じました。説明会や職員の方との面談などの機会を使って、志望省庁での仕事を自分の中でイメージできるようにしておくとよいと思います。

── 民間企業での就職活動や、他の公務員試験との併願はしましたか。

髙宮 私は併願をせず、国家総合職試験一本でした。

谷口 私は大学3年生の秋頃までは民間企業への就職も考えていましたが、省庁の業務説明会等に参加して公務員をめざす覚悟が決まったので、併願はやめ、公務員のみにシフトしました。公務員試験については、国家総合職だけでなく、国家一般職や裁判所事務官等も併願して受験しました。国家総合職と科目が重複している試験種を中心に、2次試験の練習を兼ねて学習しました。

野里 私は民間企業への就職活動はしておらず、国家一般職と東京都庁の試験を受けましたが、国家総合職の官庁訪問と東京都庁の2次試験の日程が重なっていたため受験できませんでした。

── 国家総合職試験を受けるにあたり、経験しておいてよかったと思うことがあれば教えてください。

谷口 サークル活動のような、大人数で活動した経験です。特に日程調整や意見のとりまとめのような経験は官僚になってからも重要だと思うので、機会があれば積極的に経験しておくべきだと思います。また、専門知識のない人たちに対してわかりやすく説明する能力を鍛えることも大切だと感じました。

野里 高校時代の平和活動と、国会議員事務所でのインターンです。平和活動では街頭で署名活動をしたり、国連でスピーチをしたりしていたため、多少のことでは動じない忍耐力がつきました。国会議員事務所のインターンでは、政治家が地元の方や各種団体、家族や事務所など多くの人の協力を得て活動している様子を肌で感じることができ、政治というものを官僚とは違う視点で見ることができたと思います。

髙宮 進学塾での運営のアルバイトです。裁量が大きかったので、保護者と面談をして契約を取るなど営業の仕事を経験することができました。さらに、「生徒にこんな風に成長してもらいたい」というゴールを設定して企画を考え、プロジェクトを推進したこともあります。幅広く経験させてもらえたので、これからの仕事にもきっと役立つことがあると思います。

私たちの未来は、日本の未来

── 入省後、実現したい夢や目標を教えてください。

谷口 法律の改正や法律を適用する前の、救済・事前抑制をする手段について携わりたいです。また、行政の発信力や情報収集能力の改善についても考えていきたいです。渡辺講師には、「君は理念先行型だから、現実もよく見なさい」とアドバイスをされたのですが、理想の社会を作るためにも、まずは現実をしっかり見据えた政策を作っていけたらと思っています。

野里 各国との安全保障協力や日米同盟の強化に関心があります。様々な国との共同訓練や能力構築支援など、多様なレベルで防衛協力を推し進めたいです。さらに急速に変化する社会の中で、米国との揺るぎない関係を維持しつつも、今後の日米同盟の在り方を検討したいです。将来の日本のあるべき姿を見据えて防衛省・自衛隊が果たすべき役割を様々な角度から議論し、わが国の防衛政策を企画立案したいと考えています。
 他にも、自衛隊の安定的な運用のため、地域協力の推進と広報にも携わりたいですね。積極的に応援してもらえるような防衛省・自衛隊をめざし、地域コミュニティとの連携や基地負担と抑止力維持の両立などの問題に向き合いたいと考えています。

髙宮 地方の環境行政と国の環境行政を強く結びつけていきたいです。地方の政策と国の政策をしっかりと連携させることで、地方創生の進展に貢献できたらと考えています。

── これから身につけたいスキルはありますか。

谷口 足りていないスキルはたくさんありますが、まずはメモを素早く丁寧に取れるようになりたいです。職務上、会議などの場で手早くメモを取ることが多いと思うので、そこから要点を抜き出し相手に確実に伝えるスキルを会得していきたいと思っています。また、語学力は常に求められるので、英語やフランス語を勉強しなければと思っています。

野里 英語力です。入省後は留学することを目標にしているため、留学に必要な英語力を身につけたいと思っています。また、自衛隊の装備品などの知識に乏しいので、実際に見て学んでいきたいです。

髙宮 私も英語のスキルアップは必須だと感じています。以前職員の方に、「国際会議の場でルールを作る際、語学力の差のせいで英語圏の代表に有利に事が運び悔しい思いをした」という話を聞きました。そのような場でも堂々と主張ができるように、語学力を磨いていこうと思います。加えて、法律についても詳しくなりたいです。

── 最後に、公務員試験合格や、資格取得をめざす方にメッセージをお願いします。

谷口 国家公務員は、「人々のためになる社会とはどのような社会か」ということを正面から向き合って議論できる職業です。社会の在り方が変容しつつある中で、その渦中に携われることは、非常に大きなやりがいになります。元受験生として、同志として、皆さんと一緒に働ける日を楽しみにしています。

野里 民間企業への就職と違い、国家公務員になるには試験勉強をしなければなりません。内定が出るのも遅く、不安になることも多いと思います。しかし、そんなときは自分が何をめざしているのか、本当にしたいことは何かをよく考えてみてください。公務員には、民間企業にはない魅力があります。私たちの未来は日本の未来です。一緒にがんばりましょう!

髙宮 受験期間中は大変だと思いますが、「自分が将来どんなことをしたいのか」に全力で向き合える、本当に大事な時間です。これまでは考える機会がなかったり、わかったつもりになっていたりしたことについても、ぜひたくさん考えて、自分なりの答えを見つけてください。また、まとまった時間が取れる学生のうちに、自分の学問分野や仕事には直結しないようなことにもたくさんチャレンジしてみてください。視野と経験の幅を広げることは、将来の大きな糧になると思います。

── 皆さんのご活躍をお祈りしております。本日はありがとうございました。

[『TACNEWS』 2023年2月号|特集]