特集 2020年度国家総合職試験合格者にインタビュー

 

誰もが誇りに思える国、
誰もが取り残されることのない社会を作るために働きたい

 国家総合職とは、国家行政の中枢を担う幹部候補。政策の企画立案、法案の作成、予算編成などで活躍することが期待されます。今回は、2020年度国家総合職試験に合格したTAC・Wセミナーの内定者3名に、官僚をめざしたきっかけやTAC・Wセミナーの活用方法、これから実現したいことなどをお聞きしました。

※WセミナーはTACのブランドです。

左から

■島村 純一郎(しまむら じゅんいちろう)さん
埼玉県出身
慶應義塾大学法学部(在学中合格)
受講コース:2年法律本科生 地上併願Type(教室講座)
受験区分:法律(2位合格)
内定先:内閣府

■後藤 聡子(ごとう さとこ)さん
東京都出身
早稲田大学政治経済学部(在学中合格)
受講コース:経済本科生(教室講座)・教養区分対策パック・官庁訪問対策ゼミ
受験区分:教養
内定先:農林水産省

■太谷 慧(おおや けい)さん
福井県出身
東京大学法学部(在学中合格)
受講コース:政治・国際コンパクト本科生(Web通信講座)
受験区分:政治・国際(1位合格)
内定先:外務省

「困っている人」がいない社会を作るために、何ができるか

──国家総合職をめざした理由を教えてください。

後藤 人と接するのが好きで、中学3年生の頃から東日本大震災の被災地支援ボランティアに参加していたのですが、就職活動の時期に差し掛かり、「なぜ働くのか」を考えたとき、今までに自分が受けてきた恩恵や大学でのボランティア経験などを振り返ってみて「社会に恩返しするために働きたい」という答えに行き着きました。そこで、大学のキャリアセンターのすすめで国家総合職の説明会に足を運んだところ、「国家総合職は、社会や人のために全力で働ける仕事だ」ということがわかったのです。すっかりこの仕事に魅了され、めざすことを決めました。

島村 私も困っている人を助けたいという気持ちがあり、大学に入ってからは児童養護施設にいる子どもの学習支援や、難病や障害をもつ人たちへのボランティア活動を行っていました。そこで感じたのは、現場で困っている人を直接助けることも重要だけれど、そもそも「困っている人」が生まれないような社会を作ることはもっと重要だということです。社会問題を根本的に解決できるのは国家総合職しかないと思い、めざすことにしました。

太谷 日本のプレゼンスを向上させ、その平和と繁栄を守りたいからです。「失われた二十年」の中で育ちつつ、幼少期から人一倍社会に関心を持ってきた人間として、日本のプレゼンスの将来に問題意識がありました。その解決に自分こそが当たるという志を立て、国家総合職として外務省で働くことをめざしました。

合格実績と信頼できる仲間の存在が TAC・Wセミナーを選んだ決め手

──受験勉強を始めた時期やTAC・Wセミナーを選んだ理由を教えてください。

後藤 TAC・Wセミナーの申し込み手続きをしたのが大学2年生の3月で、大学3年生に進級した4月から教養区分と経済区分の勉強を始め、試験には教養区分で合格しました。様々な受験指導校を調べましたが、TAC・Wセミナーはその中でも特に実績があるので信頼できると思いました。また、長い受験期間を乗り越えるためには情報交換ができる同じ志を持つ仲間がほしく、TAC・Wセミナーならそれが叶いそうだとも感じました。

島村 受講申込をしたのは大学2年生の春頃ですが、アルバイトや短期留学、ボランティア活動、ゼミのプロジェクト、民間企業のインターンシップなどがあり、本格的に勉強を始められたのは夏頃でした。TAC・Wセミナーを選んだのは、合格実績があることももちろんですし、国家総合職に内定していた大学の先輩方も皆さんTAC・Wセミナーに通われていたので親近感を持っていたということもあります。また、官庁訪問などに向けた面接対策が手厚いことにも惹かれました。

太谷 大学4年生の8月から、政治・国際コンパクト本科生のコースを受講しました。大学4年生の5月までアメリカの大学に留学し、その後1ヵ月ほど在外公館でインターンシップを行ってから帰国して、外務省本省でのインターンシップも終えたタイミングでした。TAC・Wセミナーを選んだ理由は、政治・国際区分対策の充実度と国家総合職試験の合格実績が他の受験指導校よりもよかったからです。

合格者数や採用実績、勉強の方法から受験区分を選択

──秋の教養区分では後藤さんが他の皆さんに先立って合格、春の試験では島村さんが法律区分で2位合格、太谷さんが政治・国際区分で1位合格されました。それぞれの受験区分を選んだ理由について教えてください。

後藤 教養区分で受験しようと思った理由は2つあります。1つ目は、計算が好きで数的処理などが楽しく勉強できていたため。2つ目は、早期に合格を決めることで民間企業の就職活動もしやすくなるという安心感があったためです。もし教養区分が不合格だった場合は、経済区分か政治・国際区分のどちらかで受験しようと考えていましたが、暗記よりも計算が得意なので、経済区分で受験していたと思います。

島村 9月に教養区分で受験はしたのですが、数的処理が苦手だったこともあり合格することができませんでした。すぐに切り替えて法律区分の勉強に集中しましたね。法律区分を選んだ理由は、他の区分と比べて合格者数や採用予定数が多かったことや、試験内容が自分に合っているように感じたことからです。大学で法律を詳しく勉強したわけではないのですが、各科目の背後にある価値体系を踏まえれば、すべての知識を完全に暗記していなくても問題を解くことができるようになりました。私個人の考えですが、暗記が得意な人は政治・国際区分が、論理的に考えるのが苦でない人は法律区分がいいのではないかなと思います。

太谷 教養区分は受験するだけしましたが、準備不足で不合格となってしまいました。本命として政治・国際区分を選んだ理由は、大学と留学先で政治学を専攻していたからです。また外務省の門を叩く以上、外交との関連がある政治・国際区分で結果を残しておきたいとも思っていました。

──受験勉強中のモチベーション維持方法を教えてください。

島村 2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、国家総合職試験が2度も延期になったり、一部の試験種目がなくなったりと、イレギュラーな事態となりました。特に、試験日程が未定だった時期は落ち着かない人も多かったと思いますが、私の場合は「この逆境も楽しんで乗り越えられるメンタルがあれば、きっと立派な官僚になれるはず」と考えるようにしていました。また、健康な体作りも大切ですので、毎日3〜4㎞のランニングをしたり、動画を見ながら自宅トレーニングをしたりなど、運動するようにしていました。

太谷 散歩が趣味なのですが、自粛期間と受験期間が重なったこともあり、気分転換の意味でいつも以上に歩いていました。ちょうど自宅から霞ヶ関までが徒歩で往復1時間半という適度な距離なので、週2、3回は「外務省詣で」をしてモチベーションを維持していました。

後藤 教養区分の2次試験は12月までに終わってしまうので、合格後から官庁訪問が始まるまでの間に少し気が抜けてしまうというか、スピード感を保って進めないという焦りがありました。そこで、民間企業への就職活動をがんばっている友人の話を聞いて刺激をもらうということはよくやっていました。また、私自身の民間企業の就職活動が本格化し、TAC・Wセミナーでの官庁訪問対策も始まると、再びトップギアに戻れたので、自然にモチベーション維持ができていたと思います。

──受験勉強を通して心がけてきたことや、おすすめの勉強法、書籍などがあれば教えてください。

太谷 質より量を確保するようにしていました。過去の試験問題を分析したところ、少なくとも専門試験についてはインプットとアウトプットを地道に反復しさえすれば点が取れると思ったので、とにかく講義を受け過去問題集を解くことを繰り返しました。

島村 直前期以外は、通学時間などの隙間時間は読書に充てるようにしていました。大学の専攻である近代日本政治史や、これから仕事で考えなくてはならない社会保障についての本が多かったですね。受験勉強ももちろん必要ですが、面接の場では、日本社会の今の課題は何かを常に考えて、どのように解決していきたいか伝えることも重要ですので、意識してインプットしていました。また、朝の通学時間には、必ず紙の新聞を電車に持ち込んで読んでいました。

後藤 受験勉強だけに絞りすぎないことが大切だと思います。私はTAC・Wセミナーに入るのと同時に、国際協力のNGOにもインターンとして参加し、世界の飢餓の啓発活動も行っていました。勉強だけに集中してしまうと、試験がうまくいかなかったときに逃げ場がなくなってしまいます。サークル活動や大学の勉強、自分の趣味で気を紛らわせたり、楽しんだりしたほうがいいと思います。

業務説明会や事前面談会の参加で「やりたいこと」が明確化

──業務説明会には参加しましたか。

後藤 かなり参加しました。第1志望の農林水産省の説明会には30回くらい参加しましたし、第2志望と第3志望にも10~20回くらい参加したと思います。私の場合、最初から働きたい省庁があったというよりは、「社会や人のために全力で働ける、国家総合職として働きたい」という気持ちのほうが強かったので、業務説明会や事前面談会を通じて志望先を明確にしていきました。業務説明会に限らず、各省庁の説明会に最低1回は足を運んだので、たくさんの方のお話が聞け、納得して第1志望を決めることができたと思います。

島村 私も参加しました。希望省庁の説明会に参加することで自分のやりたいことはどういったことなのかが整理できますし、勉強の息抜きやモチベ―ション向上にも繋がるのでおすすめです。内閣府の業務説明会は、新型コロナウイルス対策のため1月にオンラインで行われたものに参加したのですが、社会の課題が複雑化する中で、各省庁だけでは解決が難しいテーマを総合調整することで横断的に取り組むことができる点がいいなと思い、志望度が上がりました。

太谷 外務省のみですが、可能な限り参加しました。外交官は高校生の頃から職業として意識し、大学前期にはすでに第1志望だったので、前年度までの説明会も含め、40回は参加しました。

──官僚に必要な要素は何だと思いますか。また、人事院面接ではどんなところを見られていると感じましたか。

後藤 国を背負う覚悟と同時に、謙虚さが求められていると感じました。人事院面接では、簡潔に、でも自分の思いをきちんと伝えることが必要だと思います。細かい知識よりも、今自分がどう考えて、どのように成長していきたいかという点を見られているので、「吸収したい」「学びたい」という成長意欲を伝えられるといいのかなと思います。

島村 後藤さんがおっしゃる通り、政策の細かい知識について面接で問われることはありませんでした。それよりも、自分の人柄が伝わるエピソードや、国家公務員という仕事に対する熱意を論理的に伝えることが大切です。私の場合は、ボランティア活動を通じて生まれた問題意識など、実際の体験と紐づけて子どもの貧困・障害者施策に携わりたいことを強調しました。使命感や責任感は官僚に必要な要素だと思うので、面接などを通じて自分らしく表現していこうと考えました。

太谷 あえて付け加えるとすれば、タフな心身でしょうか。また人事院面接では、人間関係の構築の仕方やリーダーシップの発揮の仕方を最も重点的に見られていると感じました。ただし絶対的な正解があるというよりは、自分なりの方法を理解し身につけているか、そしてそれを端的に説明できるかに焦点が当てられていた気がします。

──官庁訪問攻略のカギはなんだったと思いますか。心に残ったエピソードもあれば教えてください。

島村 必勝法というものはないと思います。官庁訪問にあたっては、面接官の方々との会話を楽しもうと決めていました。時節柄、新型コロナウイルスについての話題もあったのですが、「制限のある状況下でも、困難や逆境をあえて楽しんでいた」という態度を一貫することで、自分自身のポジティブさを伝えられたのではないかなと思います。また、歴史の研究を通じ多くの資料と向き合ってきた経験から、公文書の管理についても関心があり、学生の立場からですが意見を伝えたところ、真摯に聞いてもらえたのがうれしく感じました。

後藤 先ほどもお話ししましたが、官庁訪問中の成長、つまり吸収力が大切だと思いました。私は農林水産省を志望する中で、当初は地域政策に寄った志望動機を持っていたのですが、官庁訪問を通じて産業政策の大切さにも気づいたと最後にお話ししたところ、農林水産省の方に「そこに気づいてもらえてよかった、それならうちだね」と言ってもらえたのが印象的でした。

太谷 業務説明のときは、ただ会話を楽しもうとすれば十分だと思います。面接では、普段通りの自分でいながら、訪問先への想いをわかりやすく伝えることが重要だと思いますね。また私はその上で、いかに「外務省員」として相応しいか、そして「総合職員」として相応しいかもアピールするよう努めていました。

誰もが誇りに思える国、社会を実現したい

──官僚になったらどのようなことを実現したいですか。

後藤 小学生の頃イギリスに住んでいた経験から、改めて日本食の魅力に目覚めたので、食を通じ安心して暮らせる社会、誰もが誇りに思える国を作っていきたいです。ときには異常気象など、食文化を支えている農林水産業の従事者個人の力では乗り越えられない事態が起こることもあります。そこを助けるのが国の役割であり私たちの仕事であるので、制度面から食文化を支えることで、日本を誇れる国にしていきたいです。そして私個人としては、働く上で「伝えたいことをキレイにまとめすぎない」ことに気をつけたいと思っています。官僚になると周囲にお願いすることも増えますが、決して綺麗ごとを言ったり嘘をついたりはせず、荒削りでも「日本が好きで、よくしたい」という思いを大事にしていきたいです。

島村 まず、大学時代に議員インターンシップに参加して興味を持った、国会対応や、大臣秘書官等国政の中枢に関する業務をしてみたいです。そして、ボランティア活動をする中で解決すべき課題が山積みだと感じた、子どもの貧困問題や障害者施策には必ず関わっていきたいと思います。そして何よりも、官僚という立場以前にひとりの人間として、常に目の前にいる相手と誠実に向き合って仕事をしていきたいと考えています。

太谷 特にリベラルな国際秩序のリーダーとしての、日本のプレゼンスを向上させたいです。留学先での経験から、現在の国際関係において、リベラルな価値が「手段」と「目的」の両方として重要だと学び、その旗手としての役割を日本が担うべきだと考えています。また特定の地域や分野に偏らず活躍できるところが外務省総合職の強みなので、外交官としてはもちろん、ひとりの人間としても、視野を広げ視座を高め続けていけたらと思います。

──民間企業との併願はしましたか。インターンシップへの参加の有無も教えてください。

太谷 日系の商社や海運、銀行と併願し、そのうち数社はインターンシップにも参加しました。当初は「日本のために働くなら国家総合職しかない」という思い込みがあったのですが、民間企業の就職活動を通じてあらゆる場所で働く人が日本を支えていることを実感し、社会勉強になりました。その一方で、やはり自分には民間企業ではなく外務省がベストマッチだとも確信しました。

島村 大学3年生の夏頃までは記者職が気になっていて、新聞社のインターンシップに参加しました。社会的意義のある仕事であり、人と一対一で向かい合える点は魅力的だったのですが、問題解決へのアプローチという意味では、一段階遅いように感じられました。例えばいじめ問題。そのいじめが起こってしまった原因や背景、問題点などについて報道することで世の中を変えていくことはできるとしても、すでにいじめにあってしまった当事者の心は傷ついたままです。それならば自分は、そもそも問題が起こらない社会をデザインしていきたい。そう思い至り、自分がめざすべきは国家総合職だと気づきました。

後藤 エントリーシートは40社ほど提出し、インターンシップは5社くらい参加しました。農林水産省との関連性が高い、政府系金融機関などの公的機関や食品関係が中心です。私も、就職活動を通じて国家総合職への志望度が揺らぐことはなく、むしろ、農林水産省で定めた制度によって、どのようなお金の流れが生まれるのかや、どのように制度が運用されていくのかといった現場のイメージを自分なりにつかむことができ、よかったです。

──講師とのやりとりで印象に残っていることや、TAC・Wセミナーで勉強してよかったと思う点を教えてください。

島村 法律系科目担当の郷原豊茂講師が熱心に指導してくださったことが非常にありがたかったです。講義開始前の時間も快く質問を受け付けてくれましたし、コロナ禍で受講生の不安が高まっていたときも、激励してくれたり、みんなが手こずっている過去の試験問題を解説してくれたりなど、たくさんお世話になりました。

後藤 担任制がよかったです。私は秋の教養区分試験で合格したため官庁訪問までに時間の余裕があったので、提出書類である身上書に書く志望理由などを耳障りのいいキレイな文章でまとめようとしてしまう時期がありました。でも担任の先生は、思いの丈を素直に書いていた初期の頃の文章を覚えてくれていて、キレイにまとめようとするあまり、気持ちが伝わってこない文章になってきていることを指摘してくださったのです。最終的には初心を取り戻し、軌道修正して熱い思いを込めた身上書を書き上げることができました。

太谷 Web通信講座を申込み、自宅で勉強していましたがまったくストレスなく取り組むことができ、しっかりとした設計だと思いました。また官庁訪問等に関する情報の、量の多さと質の高さもありがたかったです。採用選考の都合上、どうしても公式の案内だけでは把握しきれないことがあるので、何年分もの情報が蓄積された分厚いテキストが用意されていたのは心強かったです。

──大学生活を振り返って、「やっておいてよかったこと」や「やっておけばよかったと思うこと」があれば教えてください。

太谷 大学生活の中心だった部活と留学は、どちらもやっておいて本当によかったと思います。特に留学では、それまで一度も海外渡航経験がなかったからこそ、未知の世界に飛び出して大きく成長することができました。それらを始め、大学時代に挑戦したいと思っていたことには概ね挑戦できたので、「やっておけばよかった」と思うことはありません。

島村 ボランティア活動、アルバイト、短期語学留学、議員インターンシップ、ゼミ共同論文など、やりたいことに取り組んできたことで「自分がどう働きたいか」が見えてきたので、やってよかったと思います。やっておけばよかったと思うことは、強いて言えば、省庁のインターンシップ参加と大きな組織でのリーダー経験でしょうか。大学時代は現場の立場での経験が多く、多くの人をまとめるという機会が少なかったので、これからその経験を積んでいければと思います。

後藤 大学1年生の頃は大学の勉強が中心の生活で、時々ボランティア活動をする程度でしたが、2年生になると、授業に力を入れつつもボランティア活動やサークル活動にも本格的に取り組み、3年生の頃にはNGOで半年間インターンをするなど、幅広い活動ができました。海外留学をしなくても、日本が好きで、日本にいるからこそできることを探して活動していたので、大学生活は充実していたと感じています。「将来のため、就職のためになりそうなことをやろう」という考えだと、結局は人と同じことしかできない気がします。そうではなくて、自分の好きなことや興味のあることに関わっていく中で、将来やりたいことを見つけるほうが充実するのではないかと思います。

周りの人の力を借りながら、 目標めざして走り続けよう

──これから取ってみたい資格や勉強してみたいことはありますか。

後藤 日商簿記検定と、防災士の資格に関心があります。あとは、農林水産業への知見を深めるため、関連する資格を取得できればいいかな、と漠然と考えています。

島村 パソコン関係の資格や、英語関係の資格、簿記検定など、実用的な資格を取ってみたいです。

太谷 外交官に必要不可欠な英語力は、引き続き磨いていくつもりです。

──最後に、公務員試験合格や資格取得をめざす方々に、メッセージをお願いいたします。

太谷 2020年度は採用プロセスが変則的でしたが、今後も見通しがつきにくくなることはあるかもしれません。それでも決して環境のせいにせず、その中であげられる限りの成果をあげようとする姿勢を忘れないでください。実際、私は試験が延期を重ねたときも「ただ勉強時間が増えただけ」と捉え、一層の追い込みをかけたことで最終的に首席をとることができました。皆さんもぜひ前向きに努力し続けることで、夢を実現してください。

島村 国家総合職の試験は、民間企業の就職活動より長丁場で試験科目も多いです。また、晴れて官僚になっても、世間からの風当たりが強くなることもありますし、社会情勢もあいまって課題は山積みです。乗り越えるべき壁は高いですが、だからこそやりがいがあると思います。逆境や困難も楽しみつつ、こんな時代だからこそ社会をもっとよくしていきたいですし、同じ気持ちの人が増えるとうれしいです。

後藤 公務員試験に限らず、コロナ禍で外出が制限されたり、試験の予定が変更になったり、不安な気持ちを抱いている方も多いと思います。でも私は採用過程が延期になったことで、自分を見つめ直し、足りない点を克服するために人に話を聞くことができました。悩みや問題をひとりで抱え込むと、ゴールにたどり着く前に力尽きてしまいます。目標に向かって、いろいろな人の力を借りながら走っていてください。応援しています。

──皆さんの各省庁でのご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

[『TACNEWS』 2021年2月号|特集]