特集 ダブルライセンスでいく
~「法律」と「会計」で広がる世界~

弁護士と公認会計士、両資格を保有するメンバーのみで構成。
公認会計士のキャリアプランに弁護士を、
弁護士のキャリアプランに公認会計士を加えてほしい。

 資格を持っている人が新たなビジネスを生み出す際の選択肢のひとつに「資格に資格をプラスする」という方法がある。このダブルライセンスの扉を開き、先鞭をつけているのが弁護士法人L&Aである。「弁護士と公認会計士の両資格を有した者のみで構成された事務所」を謳い文句に、法律と会計の知識を縦横無尽に駆使する。三大難関資格といわれる弁護士と公認会計士をなぜ両方取得しようと思ったのか。この2つの資格が交わる部分に、果たしてどのようなマーケットが存在するのか。弁護士法人L&Aの横張清威氏と村上芳文氏に、弁護士と公認会計士のダブルライセンスの世界についてうかがった。

左から
■弁護士法人L&A 弁護士・公認会計士
横張 清威(よこはり きよたけ) 氏
2000年、明治大学法学部卒業。2001年、司法試験合格。2003年、弁護士登録の後、みらい総合法律事務所入所。2012年、公認会計士試験合格、監査法人アヴァンティア入所(非常勤)。2016年、法律事務所VOVAN&ASSOCIES(バンコク)にパートナーとして参画。2017年、弁護士法人L&A設立。

■弁護士法人L&A 弁護士・公認会計士
村上 芳文(むらかみ よしふみ) 氏
2003年、慶應義塾大学商学部卒業。2006年、公認会計士試験合格、大手監査法人入所。2017年、慶應義塾大学法科大学院修了、司法試験合格。2018年、弁護士登録。2019年、弁護士法人L&A入所。

弁護士と公認会計士、両資格保有者だけの事務所

──2017年に「弁護士と公認会計士(以下、会計士)の両資格を有した人のみ」で構成された弁護士法人L&Aを設立した意図を教えていただけますか。

横張 弁護士法人L&Aの「L」は「Law(法律)」を、「A」は「Accounting(会計)」を意味しています。実は弁護士と会計士、両資格を持っている人の存在はあまり知られていません。正確な数字はわかりませんが、両資格保有者の数はとても少なく、100~200人の間と言われています。ましてや両資格があることで何ができるかなどは、社会にもほとんど知られていません。
   そこで、「弁護士・会計士」だからこそできることをもっとアピールしていきたい、私たちにどんなことができるのかを世間に向けて情報発信し、知名度を上げていきたいと考えました。そしてこの目的を達成するため「両資格保有者しかいない」というスタンスで事務所を立ち上げました。弁護士と会計士の両方を保有している人のみで構成されている事務所は、私が知る限り日本ではここだけです。

──両資格を保有しているからこそできる業務とは、どのようなものですか。

横張 最も多いのは、M&Aに伴うデューデリジェンス(買取先の企業に問題がないかどうかを事前に確認すること)です。一般的には、買い手となる企業は弁護士に法務デューデリジェンスを、会計士に財務デューデリジェンスを依頼するのですが、依頼に際して企業が用意する買取先企業についての資料は、法務系の情報と財務系の情報とがはっきり分かれているわけではありません。財務系の資料の中にも法務系の情報が入っていることがありますし、その逆もあるのです。ところが多くの弁護士は財務系の資料を正確には理解できませんし、会計士も法務系の資料を正確には理解できません。同じ企業のデューデリジェンスを担当していても、両専門家同士の情報交換もあまり行われませんので、結果としてクライアント企業には、法務系には財務系の、財務系には法務系の視点が不十分な2種類の報告書が提出されることになります。
 こうした場合に、弁護士と会計士の両資格を保有していれば、法務と財務の両面を理解した上で、財務で気づいた点を法務面で検討したり、その逆の検討も可能になるのです。実際に「法務と財務の両方を分析してほしい」という企業側からの依頼をかなり多くいただいています。

──デューデリジェンスが両資格を活かせる特徴的な業務なのですね。他の業務はいかがですか。

横張 株価や株の評価で訴訟になったり、営業損害が発生した時の損害賠償請求でどのような利益を請求できるのかといった裁判でも、会計的知識が求められます。あるいは民事再生では法的手続きを使って会社を再生していくので、会計の知識と税金の知識が同時に必要です。こうした案件も、1ヵ所で判断できて的確に指示できるほうがはるかに効率がいいわけです。
 会社は、法律だけで動いているわけでも、会計だけで動いているわけでもありません。その両方が必要だと気がついたのが、この事務所を作ろうと思ったきっかけです。そうしたニーズを受け止めてきた結果、徐々に知名度が上がり、あえて「弁護士・会計士」だけの事務所を作った意図が伝わってきていると思っています。

──法律系と会計系とを分けると、どちらの依頼が多いでしょうか。

横張 弁護士法人ですので、どちらかといえば法律に主軸を置いているため、企業法務の法律顧問として依頼されるケースが多いですね。とはいえ会計や税金についての質問が出た場合もスムーズに答えられるという点で、クライアント企業からは、予想外にいろいろなことをしてもらえるんだと感じていただけているようです。それぞれを別の事務所に確認するよりもずっと楽ですし、見解や判断に迷った場合やセカンドオピニオン的にもご利用いただいています。

──海外案件にも対応していますか。

横張 社会的ニーズとして、海外絡みの法律や税務会計案件が増え、海外取引をする会社が日本でも増えてきたので、英文契約書の作成などを依頼されることが増えました。海外案件対応が増えることを予想して、弁護士法人設立よりも前に私がタイ・バンコクの法律事務所「VOVAN&ASSOCIES」のパートナーとなって、東南アジア全域にネットワークを広げてきました。

──法律と会計、両方の知識を持つことが大きなアドバンテージにつながることはわかりましたが、報酬面ではいかがですか。

横張 両方の資格を持っているから報酬も2倍いただく、ということはありません。法務デューデリジェンスと財務デューデリジェンスの両方をご依頼いただく場合も、内容には重複する部分がありますから、効率よく報告書を作成することができ、クライアント企業にも金額的・時間的メリットがあると思います。例えば、法務・財務以外の、会社の成り立ちや抱えている課題などの説明は、別々の事務所に依頼する場合はそれぞれに行わなければなりませんが、私たちに依頼していただく場合は1回の説明で済みます。担当者の方の時間の負担が半分になりますし、連絡も1ヵ所で済むなど無駄を省けますから、お互いにメリットがあると思います。

──弁護士法人L&Aのポリシーは何ですか。

横張 Webサイトに載せている「Beyond the Limits.」という言葉は、「限界を超えろ」という意味です。限界とは、法律面や会計面の限界であったり、英語力の限界であったりしますが、依頼される際に「これはできません」というのをできる限りなくしていこうというポリシーを表しています。ひいては、それが社会の求めているところにつながっていくと考えています。

「法律」と「会計」の交わる点

──横張さんが弁護士と会計士の両資格を取得された経緯を教えてください。

横張 自分には、資格を取得して士業として自由にやっていくほうが向いていると思い、弁護士をめざしました。晴れて司法試験に合格し、弁護士登録をして約8年間弁護士業務をしている中で、企業法務案件でM&Aに関わる機会に多く巡り合いました。M&Aによって買収を決めたあとには、その買収先に法務あるいは財務の観点で重大な問題がないかを確認するためのデューデリジェンスが行われます。先にお話ししたように、通常は法務デューデリジェンスと財務デューデリジェンスが別々に行われます。私は弁護士として法務デューデリジェンスに関わっていましたが、会社は利益獲得を至上命令に置いているので、法律よりむしろ会計や税金といった数値が重要視されるのだと気がつきました。もちろん専門家である会計士に任せればいいのですが、そうなると会社側は2ヵ所の専門家に相談しなければなりません。日程調整や情報の一元化の問題もありますし、費用もかさみ大きな負担になります。
 そこで「もしもひとりの専門家が両方の知識を持っていれば、効率よくスピーディに話が終わるのではないだろうか」と、「法務と財務の一括デューデリジェンス」を考えるようになりました。弁護士として企業間の訴訟を受ける際にも、証拠書類として決算書などの財務資料を用いるケースが多いので、そこでも会計士としての知見を有する弁護士が訴訟対応にあたれば、財務資料の分析検討が可能になります。
 今後弁護士としてやっていくにあたり「何か特徴ある弁護士になりたい」とも考えていたので、会計士をめざそうと決意しました。

──弁護士として8年間のキャリアを積んだ後に、会計士をめざしたのですね。どのような受験プロセスを辿ったのでしょうか。

横張 知り合いの会計士に「一番多く会計士合格者を輩出している受験指導校はどこか」と聞いたらTACだと言われたので、迷わずTACに申し込みました。働きながらの勉強となると通学はできなかったので、通信メディアを選び、3回目の受験で合格しました。やはり働きながら簡単に合格できる試験ではないし、通信メディアなので受験仲間もできません。すぐに合格すれば辛くなかったと思いますが、2回落ちて受験期間もかなりの時間に及び、最後の年はプレッシャーが大きかったですね。合格後は非常勤で監査経験を積んで会計士として登録しました。

──先に会計士資格を取得した村上さんは、なぜ会計士、そして弁護士をめざそうと思われたのですか。

村上 私は慶應義塾大学商学部に在籍していたので、周囲に会計士受験生がたくさんいました。就職活動の時期に不況だったこともあって、社会に出るためには何か資格があったほうがいいだろうし、特定の分野に特化して勉強するのは将来のためにプラスになると思い、会計士をめざそうと考えたのが大学4年生のときです。そこから受験生活に入り、合計5回受験して2006年に合格できました。
 合格後は大手監査法人に入所し、東京事務所で4年、実家のある福島事務所で3年ほど監査を経験しています。福島事務所に行った約9ヵ月後には、東日本大震災に遭遇しました。その時、原発事故で避難したり、行政の説明会で住民が泣いて訴えているのを見聞きしたりする中で、「何か目の前にいる人たちの助けになることをしたい」と思ったのです。そこで個人の方の役に立つ弁護士に思いが至り、慶應義塾大学法科大学院に入って司法試験突破をめざしました。結果、1回の受験で合格し、司法修習後の2018年12月に弁護士登録を終えて、その後弁護士法人L&Aに入りました。また東日本大震災では、私と同世代の働きざかりで子どものいる方たちが辛い目に遭いました。福島はいまだ復興途中ですし、適切な賠償が行われていないところもあると思います。弁護士登録に際しては、そうした問題の解決にも貢献したいとの思いを強くしました。

──弁護士としてスタートする際に、弁護士法人L&Aを選んだ理由を教えてください。

村上 弁護士業界は業務の幅がものすごく広くて、それぞれの事務所に特色があります。ユニークな考えの弁護士がいる事務所もあり、それは多様でおもしろいのですが、私は監査法人に7年間在籍し、法定監査の主査まで経験しています。会計士資格の取得後に弁護士をめざす方は、監査経験が数年という方が多いのですが、私は7年間監査を経験し監査に精通していると自負していますので、弁護士法人に入るならその会計のスキルや実績を評価してくれるところで働きたいと考えました。その意味では、弁護士法人L&Aのコンセプトが一番自分に合っていました。

──会計士の知識や監査法人で学んだことは活かせていますか。

村上 まだ弁護士実務に就いてから日が浅いのですが、会社の損害賠償請求の案件などでは、決算書など会計上の情報を読むことが必要になりますので、会計士としてのスキルを活かせました。ですから会計士の能力を活かせている実感はありますね。

9割は会計士から弁護士をめざす流れ

──会計士になったあとに司法試験をめざす方は、法科大学院に入るか、あるいは司法試験予備試験をめざすことになると思いますが、仕事との両立は難しいのでしょうか。

村上 私は約3年間専念しましたが、フルタイムで仕事をしながらは難しいと思います。ただ、法科大学院時代は個人の会計士として登録して仕事を行っていましたから、学費や生活費などはその収入でまかなうことができました。

──会計士受験の経験が司法試験に役立ったことはありましたか。

村上 ありました。司法試験の勉強も、会計士試験と取り組み方としては同じです。
 学習内容については、会計士試験で学んだ企業法は、必須科目の商法の勉強に役立ちましたし、会計士試験の選択科目である民法も試験範囲になっています。また、選択科目には、会計士試験の必須科目だった租税法を選びました。おかげで、合格レベルを100%とした場合、租税法については60%くらいからのスタート、学習内容全体としては70~80%くらいからのスタートという感じでした。
 司法試験も会計士試験も、短答式と論文式がありますが、短答式の問題を時間内に処理して一定程度の点数を取れるようでなければ論文式試験を受けても合格は難しい、という点は共通していると思います。その処理能力と一定の適正については、問われる内容が会計なのか、法律なのかが違うだけだと思いますので、どちらかに合格する能力があれば、すぐにもう一方も合格できると思います。

──会計士から弁護士になるパターンと弁護士から会計士になるパターン、どちらが多いですか。

横張 9割が会計士から弁護士になるパターンです。監査法人をやめたあとの選択肢の中に「弁護士になる」という道もあるということです。ただ、会計士の資格を活かせる法律事務所はあまりないのが現状です。両資格保持者は毎年10名ほど誕生していますが、その半数にあたる4、5名は当事務所に「どんな事務所ですか」と聞いてこられるので、相性が合えば採用しています。  弁護士から会計士になる場合は、大変ですが私のように弁護士として仕事を行いながらも受験は可能です。合格後に会計士の登録要件として必要になる監査経験も、非常勤として監査法人に務められるので弁護士業務をやめずに続けることができます。  私自身、両方の仕事をしてみてわかったのですが、弁護士の仕事は、どちらかというとトラブルを扱ったり経営者の戦略立案をしたりといったいろいろなバリエーションがあるので、弁護士業務だけで満足する人が多いようです。一方、監査法人での監査業務は、どちらかといえば事務作業的な部分が多いので、ひと通り監査の仕事ができるようになると、違った仕事もやってみたいというモチベーションが強くなる傾向があるようです。
 世間的にはいまだに弁護士は就職難だと思われていますが、それは2017年頃までのことです。司法試験受験生があまり増えていない影響もあり、就職できないことはありません。しかも今、司法試験が以前に比べ簡単になっていますので、弁護士になるには非常に大きなチャンスの時期といえます。会計士資格取得後のキャリアプランとして、弁護士は「アリ」です。取得後のフィールドは弁護士法人L&Aで事前に開拓しておきますので、挑戦していただきたいですね。

ダブルライセンスで広がる人脈

──現在、弁護士法人L&Aの陣容はどのようになっていますか。

横張 弁護士と会計士のダブルライセンスは私たち2名で、その他にパラリーガルを含めて総勢4名です。人数が増えなければ知名度も上がらないので、両資格の保有者を増やすのが一番の命題ですね。早急に弁護士と会計士のダブルライセンスのメンバーを2ケタにする予定です。

──弁護士法人L&Aの今後の展開としては、どのような動きがありますか。

横張 徐々に知名度が上がるとともに、上場企業のクライアントが増えつつあります。中小企業は税務案件が中心ですが、企業会計基準が基本的に適用される上場企業は、会計士でもある私たちに、税務だけでなく財務の面からもきちんと見てくれることを期待しています。私たちのスタンスは、海外案件含め、上場企業のニーズにマッチしているといえますので、今後も上場企業を中心にクライアントを増やしていこうと考えています。
 また、英語は士業と非常に親和性があると思います。英語の必要性をものすごく感じていて、私も村上も勉強中です。法人内では英語のゼミを開いて、パラリーガル含めて全員がTOEIC® L&R TESTを受け、海外案件にスムーズに対応できるように努めています。すでに半数が900点を超えていますが、少なくとも全員900点は超えることをめざしています。英会話に関しても月12時間の学習をノルマとして課し、各自で学んでいます。

──弁護士と会計士の両資格を取ってよかったと感じるのはどのような点ですか。

横張 業務の幅が広がる話は先ほどしましたが、両資格を持っていると実は両方の人脈をものすごく広げやすいことも大きな利点です。弁護士をめざす場合、司法試験に合格すると弁護士の知り合いが大勢できます。けれども弁護士の状態で会計士の知り合いを増やしたいと思っても、限界があるんですね。ところが弁護士と会計士のダブルライセンスを持つと、今度は会計士の知り合いが一気に100~200人単位で増えるんです。すると、お互いの仕事がバッティングしないので、会計士からは法務デューデリジェンスを、弁護士からは財務デューデリジェンスを紹介してもらえるといったように、財務と法務のハブ的役割として営業的にも非常に良いポジションが築けます。この2資格を持っていると人脈とネットワークを拡大しやすいのが最大のメリットだと思っています。

村上 私は弁護士としてスタートしたばかりなのでそのような感覚はまだありませんが、扱う仕事が新鮮でいろいろ経験できるのが楽しいです。司法試験に一発合格したときは、周囲の会計士仲間は「それはすごいね」と驚いていました。会計士仲間のネットワークの中に突然弁護士の知り合いができたということで、会計事務所を開業した仲間は法律問題などがあるとすぐ私に相談してくれます。それはとてもうれしいことです。

会計士のキャリアプランに弁護士を、弁護士のキャリアプランに会計士を

──弁護士と会計士に限らずに、複数資格をうまく組み合わせた場合に、仕事の需要はありますか。

横張 今持っている資格にプラスして、何か他の資格や英語力があれば、単独で開業が難しい資格でもニーズは広がります。その中でも、弁護士と会計士の資格を取得された方は、3大難関資格と言われている中の2つなので、想像以上に役に立つようになります。

村上 一方に合格できる能力があれば、もう一方も合格することができると思います。司法試験も以前に比べて受かりやすくなっていますから、勉強が好きな方は挑戦してみるのもいいと思います。私の場合、福島の実家から法科大学院がある東京まで新幹線で通っていました。新幹線代に学割がきくので東京で暮らすよりもよい選択でした。また、先にお話ししたように司法試験の受験時代は個人で会計士事務所登録をしていましたので、資格を持たずにアルバイトをするのとはまったく違います。そこも資格の強みですね。今でも福島で少し会計士の仕事をやりながら、弁護士法人L&Aに軸足を置いている状態です。こうした自由な働き方ができる点も、資格の大きな魅力です。

──「弁護士・会計士」の育成に関して、尽力されていることはありますか。

横張 まだ事務所として「弁護士・会計士」を育てたことはありませんが、会計士をめざしている弁護士や、弁護士をめざしている会計士の方からかなり相談を受けるので、アドバイスしています。キャリアプランとして、会計士受験生で弁護士も考えている方はかなりいますね。どうしようかと迷っている方に、今回の記事でイメージを持っていただければと願っています。

──最後に、資格取得をめざして勉強している方々に向けてメッセージをお願いします。

村上 目標を定め、それに対して工夫を積み重ねていくのが試験勉強なので、会計士試験で使った頭は司法試験にも通用すると思います。会計士試験自体、科目が多様で電卓を使うものもあれば法律もあり、経営学や税法もあります。一つひとつの科目は大変かもしれませんが、全部をやり通せば、どんな職種、どんな仕事、どんな勉強にも使えます。大変さに見合った価値のある勉強だと思ってがんばってください。

横張 資格はそれぞれ独立していますが、うまく組み合わせるとおもしろい分野ができるので、両方持っている人は活躍できるマーケットを切り開いていくことができます。中でも一番汎用性が高いのが英語だと思います。例えば行政書士の資格一本だけでは開業するのに不安があっても、「英語ができる行政書士」となれば独立開業しても引く手あまたです。また英語ができる社会保険労務士についても、英文就業規則や英文給与計算ができる人材はむしろ不足している状態ですので、ニーズがとても高いです。そういった組み合わせを考えるのもキャリアプランのひとつになりますね。
 会計士の方がもうひとつキャリアプランを考えるなら、ぜひそこに弁護士をいれていただきたいと思います。晴れて「弁護士・会計士」になられたら、弁護士法人L&Aで一緒に新しい資格の世界を切り開いていきましょう。

[TACNEWS 2019年7月号|特集]

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