特集 公務員試験合格者に聞く、合格の秘訣
第1部 国家総合職編

  

国民の幸せにつながるダイナミックな仕事をしていきたい

 央省庁の幹部候補として、政策の企画立案、法案の作成、予算編成など行政の中枢を担うことが期待される国家総合職(官僚)。今回は、2018年度国家総合職試験に合格したTAC・Wセミナーの内定者3人に、官僚をめざしたきっかけやTAC・Wセミナーの活用方法、今後どんな仕事に関わっていきたいかなどをお聞きしました。

※WセミナーはTACのブランドです。

左から
■福田 広樹(ふくだ ひろき)さん
神奈川県出身、慶應義塾大学 法学部(在学中合格) (法律2年本科生/教室+個別DVD講座) 受験区分 : 大卒教養
内定先 : 総務省

■永井 恵見(ながい えみ)さん
東京都出身、上智大学 外国語学部(在学中合格)
(法律本科生/教室+個別DVD講座) 受験区分 : 大卒法律
内定先 : 農林水産省

■原 健人(はら けんと)さん
熊本県出身、東京大学 教養学部(在学中合格)
(法律本科生/教室講座)
受験区分 : 大卒教養
内定先 : 外務省

経済成長だけでなく社会的課題の解決にも貢献したい

──国家総合職をめざした理由を教えてください。

福田 国家総合職を意識したのは、大学1年生から2年生に変わる春の「霞が関OPENゼミ」への参加がきっかけでした。それまでは将来の選択肢の1つとして考えるに留まっていたのですが、実際にお話をうかがってみると、政策のスケールの大きさに魅力を感じました。これまでの人生に外せないキーワードが2つありまして、それは「国際」と「情報」です。高校2年生の夏に英国へ交換留学したこと、私が通っていた中高一貫校が情報教育に力を入れていたこと、大学時代に国際交流事業で米国シリコンバレーの企業訪問をしたこと、こうした実体験から、情報通信の利活用によって我が国の経済成長だけでなく、社会的課題の解決にも貢献したいと思うようになりました。

永井 新聞記者である父の影響で、社会問題についてよく話し合う家庭で育ちました。その中でも、貧困や過疎化という問題に対して、何か自分にできることはないかと考えていました。留学やインターンなどを経験し、様々な人と話をしていく中で、法案作成や政策立案を通じて課題解決に直接関わることのできる国家総合職の存在を知り、受験勉強を始めました。

 小学生の頃、父の仕事の関係で外国で暮らしていました。父は英語が苦手だったのですが、異国で奮闘する姿がかっこいいなと思っていました。その時、父は大使館で仕事をしていたので、外交官の方と会う機会もあり、憧れを抱くようになりました。国家総合職を志したのは、大学に入ってからです。世界の中で、日本がどんな立ち位置にあるのかを注目するようになったのですが、当事者意識を持つと、TPPの合意や貿易の促進も、まるで自分のことのように嬉しく感じたんですよね。そこで、自分もこのダイナミックな仕事に関わっていきたいと官僚をめざすことにしました。

官庁訪問まで対策が手厚いのはTAC・Wセミナーだけだった

──受験するにあたってTAC・Wセミナーを選んだ理由をお聞かせください。

永井 私がTAC・Wセミナーを選んだのは、高校の同級生で省庁に内定した友人に勧められたからです。他の受験指導校に通った人からも話を聞いてみたのですが、対策のほとんどは筆記試験がメインで、面接や官庁訪問までケアしてくれるのはTAC・Wセミナーだけでした。TAC・Wセミナーのガイダンスも受けたのですが、この先生なら信頼できると感じ、迷わず選びました。

 TAC・Wセミナーを含めて3つの受験指導校のガイダンスを受けたのですが、TAC・Wセミナー以外は囲い込みが激しく、余裕のない印象を受けました。TAC・Wセミナーは合格者数にも内容にも自信があるので堂々としていて、ここなら安心して勉強ができると思えました。

福田 大学の生協で国家総合職講座のパンフレットを見かけて、行ってみようと思いました。大学の先輩で省庁に内定された方からも、TAC・Wセミナーを勧められました。合格者数と情報量にも安心感がありました。

──TAC・Wセミナーのどんな制度を活用しましたか。よかった点も教えてください。

永井 カリキュラムや教材が優れているので、講義を聞いて復習し、答練(答案練習)をやっていくことで自然と力がつきました。私は大学3年生から留学をしていて、勉強を始めたのが4年生の9月と遅く、かなり焦っていました。毎日校舎に通って9~10時間勉強していたのですが、11月くらいからみんなに追いついて教室で講義が受けられるようになりました。この時期に模試を受けて受講生の中での自分の順位や弱い部分がわかってきたので、実力に沿った目標設定ができました。TAC・Wセミナーの講義や教材には知識の漏れや偏りがないので、繰り返していくことで確実に力がつくと思いました。

 私は教養区分で受験したのですが、1人ではできない2次試験のグループディスカッションや企画提案を受講生同士で練習できたのがよかったです。大学にも勉強仲間はいたのですが、TAC・Wセミナーでは異なる大学の仲間から刺激を受けられるので、より力を磨くことができたと思います。ライバル同士だけれど「一緒に受かろう」というアットホームな雰囲気も心地よかったです。また、担任の先生には何度も助けてもらいました。恥ずかしい話ですが初回のカウンセリングで、思いを言語化できずに悔しくて泣いてしまったんです。「外務省で国際的な仕事をしたい」と言ったところ、「国際的な仕事は民間企業でもできるよね?」と聞かれ、違いが説明できませんでした。でもそこで先生に「それくらい強い気持ちがあるってことだよね」と受け止めてもらえ、前に進むことができました。自信のない部分や恥ずかしい部分もさらけ出して成長できる信頼関係があったと思います。

福田 私も原さんと同様、教養区分の2次試験対策でTAC・Wセミナーを活用しました。受講生同士がグループを作って行う自主ゼミや勉強会に参加することで自分の考えを深めることができました。

──受験勉強中、モチベーションはどのように保っていましたか。

福田 試験勉強中にモチベーションが下がるということはありませんでした。ただ、志望度の高い民間企業から内々定を頂いたことで迷いが生じました。その時は、省庁の説明会に参加したり、先生方から霞が関で活躍されている先輩方のお話をうかがうことで、初心に帰ることができました。

 外務省で働くのは小学校の頃からの夢だったので、やる気が下がったり、他の進路を考えたりすることはありませんでした。それでも勉強に疲れることはあったので、担任の先生含め講師陣と話をすることがリフレッシュになりました。また、勉強の合間に外務省を初めとした様々な省庁の説明会に通い、省員のみなさんの熱い思いに触れ、政策のおもしろさを感じ取ることができました。

永井 私も「難しい」「不安だ」と感じたら説明会に行っていました。「諦めたらこのダイナミックな仕事をできなくなるぞ」と思えば、自然と勉強に戻ることができました。それと、担任の先生から教わった勉強の心構えも役立ちました。私は勉強を始めたのが遅かったので、少しでも早く学習範囲を終わらせようと無理な計画を立てていました。担任の先生に相談した際に、「焦らず各論点の意義を理解しながら勉強しないと意味がない」という言葉を頂き、ただ闇雲に演習をする無意味さにも気づかされました。

スケジュール管理は必須

──受験期間中に心がけたことやおすすめの勉強法を教えてください。

福田 数的処理を毎日解くことと、1週間のスケジュールを立てること、この2つを守るようにしていました。毎週日曜日にはその週のスケジュールを立てることにしていて、大学の授業やインターン、説明会の合間に勉強の時間を割り振っていきました。週に1日はフリーな日を設け、余裕を持って取り組むようにしました。

 丸1日全く勉強しない日を作るとダレてしまうタイプなので、1日の中で休憩の時間を作るようにしていました。特に人と話すのはおすすめです。また、スケジュールは1日・1週間・1ヵ月・1年と、単位別に何種類か立てていました。やりながら適宜修正していくといいですね。

永井 専門試験の勉強法なのですが、どの問題も確固たる根拠を持って答えられるようにしていました。間違えた問題をできるまで解くのは当たり前ですが、なんとなく正解していた問題も炙り出して、「間違えた問題」の扱いにします。例えば、択一問題で最後の2つまでは選択肢を絞れたけれど、最後はカンで選んで正答した問題。これをそのままにすれば労力的には楽だけれど、きちんと理解していないと試験本番に困ると思ったので、見逃さないようにしていました。

──人事院面接ではどんな点を見られていると感じましたか。

福田 落ち着いて自分の考えを話せるか、相手と会話のキャッチボールができるかなど、基本的なコミュニケーション能力を見られていると思いました。私の場合は、明るく前向きな面を見てもらおうという意気込みで臨みました。

永井 私も会話自体は好きなのですが、とりとめなく喋ってしまうのが悩みでした。そこで、TAC・Wセミナーの模擬面接や受講生仲間との練習の場で簡潔に話す訓練をしました。実は、人事院面接の本番でまったく予想しない質問が出てきたんです。なんとか答えたのですが、終わった後に泣いてしまうほど手応えがありませんでした。それでもいい評価をもらえていたので、会話を止めないことは大切だと思います。

 永井さんのおっしゃる通り、諦めない姿勢は大切だと思います。沈黙は最も避けたいことで、間違っていても思ったことを伝えるのが正解だと思います。また、私の場合は「めっちゃ」など日常会話で使っている話し言葉が出てしまう癖があったので、意識して直すようにしていました。

──官庁訪問はどのように計画を立てて臨みましたか。

福田 私の場合は総務省だけに絞りました。直前まで悩んだのですが、情報通信の分野で専門性を高めながら国際的な業務に携わりたい、それができる省庁は総務省しかないと思ったからです。リスクもありましたが、志望度の高さはアピールできたと思います。先生方に相談に乗っていただいたのですが、総務省一本でいくと決断したとき、先生に「自分自身の個性・才能を一番に活かせ、半生を託すに足りる職場を選ぶことが重要」と後押ししてもらえたのが大きな力になりました。

 私は第一志望の外務省を1日目に、安全保障にも興味があったので防衛省を2日目に訪問しました。ここでもやはり、外務省で働きたいと強く思いましたね。外務省でお会いした方からは、所属している省庁単位の話ではなく、国全体を考えてのお話を聞くことができ、スケールの大きさに圧倒されました。また、「どの省庁に入ったとしても、戦うのは世界。各国のエリート層に伍していけるように今のうちから自己研鑽しておきなさい」というアドバイスをいただき、これからどこを見て仕事をしていけばいいのかがよくわかりました。

永井 私は農林水産省、環境省、厚生労働省を回りました。どの省庁でもやりたいことがあり、迷ったのですが、地方で暮らす祖父母との思い出やアメリカへの留学経験から、日本の食文化や農林水産業を守っていきたいと考え、農林水産省を選びました。

進路について相談できる大人を増やしておこう

──官僚になったら成し遂げたいことを教えてください。

 日本という国は他国から信頼されていますが、現状にあぐらをかいていては変動する世界を生き抜くことはできません。外務省で様々なツールを駆使し、さらに信頼を勝ち取るような仕事をしていきたいと思います。国と国との関係は、人と人との関係の延長上にあるので、業務でもプライベートでも、まずは目の前の人との信頼関係を大切にしていきたいです。

永井 食べることと働くことは、安心して生きる上で欠かすことのできないものです。私は、農林水産業を「稼げる産業」にすることで将来にわたる安定した食の供給を確保し、また地域活性化に貢献していきたいと思っています。

福田 総務省は「総てを務める省」と書きます。自治体に関わる仕事、携帯料金、放送、霞が関の働き方改革など、扱う分野も幅広いです。私はその中でも情報通信分野に関心があるので、この分野で身近な国民生活をより豊かにしていきたいと思います。

──大学1、2年生のときはどのようなことをしていましたか。やっておけばよかったと思うことがあれば教えてください。

 小学生の頃からサッカーをやっていたので、大学ではサッカーサークルの代表を務めました。人と会って話すのが好きなので、いい経験だったと思います。また、私の大学では大学1年次の成績で進級先が決まるのですが、どうしても国際関係論コースに行きたかったので一生懸命勉強をしました。30~40人しかいない小規模学科なのですが、優秀な仲間からたくさんの刺激を受けることができました。大学1、2年生のうちは、自分のしたいことをしたほうがいいと思います。勉強したいなら勉強。遊びたいなら遊ぶ。周りに流されてやりたくもないことをやるのはもったいないです。

永井 大学1年生の時は遊びに集中しすぎてしまい、単位も落としました。2年生からは心を入れ替え、関心のある授業をとって勉強するようになりました。そこで教授や講師の方と親しくなり、元外交官の方にお話を聞いたり、農林水産省のOBを紹介してもらったりしました。やっておくといいなと思ったのは、進路について相談できる大人の数を増やすことです。興味のある分野を教えている先生や、働いている社会人の方に話を聞くと、視野が広がると思います。

福田 大学では国際交流サークルでの活動とカフェでのアルバイトをしていました。また、中学・高校時代は体育会水泳部で泳いでいたので、大学に入ってからも趣味で泳いでいました。留学や国際交流事業にも挑戦しましたし、省庁のインターンと民間企業のインターンにも参加しました。民間就活も経験したことで、納得のいく選択ができました。やり残したことはないと思います。

講師や仲間との議論から「本当にやりたいこと」がわかる

──これから挑戦してみたい資格や勉強してみたいことはありますか。

 どの言語の担当になるかはまだわからないのですが、英語は大切なので引き続き勉強して何か資格を取りたいと思っています。また、私は国際関係論コース出身のため法律や経済の勉強が手薄なので、自分で知識をつけていきたいです。

福田 英語とスペイン語に力を入れてきたので、引き続き語学のスコアアップをめざしていきたいです。

永井 TOEFL iBT®テストのスコア100点を目標にがんばりたいです。また、仕事では中国語も使うと思うので勉強したいと考えています。

──最後に、公務員試験合格や資格取得をめざす『TACNEWS』読者に、メッセージをお願いいたします。

福田 国家総合職は業務内容が幅広く、民間企業にはない多様なキャリアを積むことができる点が最大の魅力だと思います。ぜひ霞が関の説明会に足を運んでください。そして、ピンときたらTAC・Wセミナーに来てください。信頼できる講師陣や仲間たちと合格への道のりを歩むことができると思います。

永井 私のような法律の初学者でも、一つひとつやっていけば自然と力がつくようにカリキュラムが組まれているので安心して挑戦してみてください。「大変そう」「難しい」というイメージよりも、「省庁に挑戦してみたい」という気持ちを優先すべきです。

 自分が本当にやりたいことを、自分1人の力で見つけるのは難しいと思います。講師や仲間と議論して初めて気づくことはたくさんあるので、いい環境に思い切って飛び込んでみてください。自分の心に正直であることが大切だと思います。

──みなさんの各省庁でのご活躍を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

[TACNEWS 2019年2月号|特集]