特集 「相続事業承継ならランドマーク」と言われるまで

資産相続に悩む農家支援からスタートして10年、相続問題・不動産問題の総合コンサルティングで拠点展開を進めた10年。今、ランドマークは業界全体の底上げに注力しています。

青山 巖氏、中村 久夫氏
Profile

清田 幸弘氏

代表社員 税理士 行政書士

清田 幸弘(せいたゆきひろ)
1962年、神奈川県横浜市生まれ。明治大学農学部卒業。卒業後、横浜農協(旧:横浜北農協)に9年間勤務。在勤中、宅地建物取引主任者(現:宅地建物取引士)、農協監査士取得。退職後、実家の家業である農家のかたわら、税理士受験スタート。資産税専門の会計事務所勤務後、1997年、清田幸弘税理士事務所設立。2008年、アグリコンサルティングに税理士法人化。その後、ランドマーク税理士法人へ組織変更し、12拠点を展開。丸の内相続プラザの開設、丸の内相続大学校を開校し、現在に至る。

 『TACNEWS』2009年2月号の「日本の会計人」第288回に登場した開業11年目の税理士は、経営不振や後継者問題、相続問題に悩む都市近郊農家の現状を目の当たりにして、「農家を救おう」とがんばっていた。横浜市緑区の自宅の庭にプレハブを建て、清田幸弘税理士事務所の看板を掲げてから20年。総勢29名だった事務所が、150名近くの人員をそろえ、東京駅を一望にできる丸の内にオフィスを構えるようになるとは誰が想像できただろう。ランドマーク税理士法人の代表社員、税理士・清田幸弘氏率いる税理士法人の20年間の成長の軌跡をたどってみた。

東京・丸の内へと進出

──前身の税理士法人アグリコンサルティング時代に「日本の会計人」で取材させていただきました。その2009年当時、総勢29名、うち税理士4名だった事務所は、この10年で大きく成長しましたね。

清田 私が税理士をめざしたのは、農家の息子として農業を経験してみて、都市農家や地主・経営者の経営支援や相続の悩みを、身をもって体験したからです。こうして実家の敷地にプレハブで清田幸弘税理士事務所(現:横浜緑事務所)を設立し、税理士としてスタートしたのが1997年のことでした。「日本の会計人」に出させていただいたのは、拠点展開を始め、「アグリコンサルティング」として税理士法人化を図った頃のことですね。当時はまだ農家の支援と相続対策を中心として展開していました。  税理士法人アグリコンサルティングを設立してからちょうど10年。当時は50名の組織が目標でしたが、現在では総勢150名、税理士約20名が集う大型事務所、ランドマーク税理士法人に成長しています。

──ランドマーク税理士法人と名称変更し、大型の組織へと転換されたきっかけとは何だったのですか。

清田 当時、支店としてJR中山駅前に中山事務所を開設し、地域でもかなり名前を知られた事務所になっていました。そのままずっと地域中心でやっていくと、周囲の同業とのバランスが取りにくくなります。当時はJA(農業協同組合)とのタイアップのイメージもとても強かったので、その影響も考えなければならない時期にきていました。そこで活動エリアを広げていこうと、横展開を図ったのがその後の10年間です。

──拠点展開によって活動エリアを広げる方向に転換したのですね。

清田 まず川崎市麻生区に現在の多摩川崎事務所を開設しました。同時に横浜市内中心部にも事務所を作ろうということで場所を探している時に、ちょうど横浜ランドマークタワーに空きができて、「ここにしよう」となりました。
 そのタイミングで名称もランドマーク税理士法人に変更し、タワー事務所を開設しています。この頃から「相続事業承継だったらランドマーク税理士法人」と横浜ではかなり知っていただけるようになりました。

──その後、都内に拠点を構えますが、きっかけは何だったのでしょうか。

清田 当時、横浜で発生する相続案件に対して、銀行は本店で提携している税理士法人を都内から連れてきて顧問に据える傾向がありました。私は以前から多くの相続セミナーで講師を務め、税理士を対象としても多くの講演会を開いていました。都内からやってきた税理士法人のメンバーを見ると、私のセミナーを受講した生徒たちだったのです。彼らは都内から銀行が連れてきたというだけで、相続のプロフェッショナルとしてのブランドがつき、報酬も私たちの数倍でした。
 そこで私も「それなら私たちのほうから東京に出よう!」と東京・丸の内に進出を決めました。最初は三菱ビルの中部屋に事務所をオープンしたのですが、1年間は鳴かず飛ばずで、とりあえず事務所があるという状態でした。
 「このままでは仕方がない、何かやろう」と考えていた時、ちょうど同じフロアの東京駅が一望できる景色の良い角部屋が空いたので、そこに増床して「丸の内相続大学校と丸の内相続プラザを仕掛けよう」と決めたのです。日本経済新聞にも掲載されましたが、丸の内相続プラザオープン時のこけら落としは竹中平蔵氏を招待してセミナーを開きました。こうして丸の内相続大学校、丸の内相続プラザの立ち上げに至ったのです。
 その後、町田駅前、池袋駅前、川崎駅前、湘南台駅前に事務所を開設し、今年は朝霞台駅前と新宿駅前の2拠点をオープンし、1年に2ヵ所のペースで支店を増やしています。

──丸の内相続大学校ではどのような方を対象に、セミナーや講座を開いているのですか。

清田 士業、特に税理士対象の研修を行っています。私が横浜で初めて研修をやり始めた当時は、他に追随するところもなかったので1回に100人以上が集まりました。特に東日本大震災直後に東京でセミナーを開いた際は、いろいろなセミナーにほとんど人が集まらなかった中、私のセミナーだけは60人も集まったんですね。そこで「これはいけるな」ということで、東京で本格的にやってみようと考えました。このように「士業のためのセミナーの先駆け」となったのが丸の内相続大学校です。

──丸の内相続大学校を創設されたのはどのような目的だったのでしょう。

清田 セミナー講師をしていると、アウトプットばかりで自分のインプットがなくなってしまいます。そこで、私も誰かのセミナーを聞いてインプットしたいと考え、いろいろな先生に講師をお願いしているうちに仲間ができました。こうして先生方を集め、お話しを聞きたい先生だけに来ていただいて始めたのが丸の内相続大学校です。いろいろな先生に来てもらい、実務でも難しい相続案件が来ればそうした先生たちと相談しながらやるのもいいなと思い、趣味と実益を兼ねていたんですね。
 ただ、今は類似研修がとても増えてきてしまったので、社員等の内部研修の一環として相続関係で著名な先生をお呼びして研修を開くという目的が色濃くなり、当初とは変わってきています。

──ランドマーク税理士法人の成長のきっかけとなったのは、ずばり何だったと思われますか。

清田 横浜ランドマークタワーにオフィスを構え、ランドマーク税理士法人として再スタートしたことと、東京・丸の内に進出して丸の内相続大学校と丸の内相続プラザを開設したことでしょう。それらがシナジーとなり神奈川県と東京都で徹底的なブランディングができました。そこがそれ以前との大きな差になったと考えています。

──これから全国展開は考えていらっしゃいますか。

清田 今は関東圏一都三県での展開だけで、次は千葉県の市川市、あるいは東京の立川市あたりを考えています。拠点展開だけでなく、組織内の人材採用も営業もしなければならないので、すべてを俯瞰的に眺めながら進めています。

経営計画に基づく徹底した組織体制構築

──現在の業務内容をお聞かせください。

清田 実績を活かし、農家・不動産経営者の相続対策、中小企業の経営、マーケティングなど、総合的なコンサルティングを行っています。業務比率でいえば、全体の半分が相続税・資産税系が占め、相続税申告件数は2,500件を超えています。残りの半分は法人・個人の月次顧問・申告業務等になっています。これらの業務は各拠点でエリア内の相続税・資産税業務から一般事業会社・個人対象の業務まですべてを行っています。

──相続税・資産税系の仕事は、銀行とタイアップされるケースが多いのですか。

清田 銀行、各JAと農業委員会、ハウスメーカーだけでなく、税理士、弁護士といった士業からも依頼があり、そちらでも私は多数のセミナーを行っています。

──2015年の相続税法改正で納税対象となる方がかなり増えましたが、影響はいかがでしょうか。

清田 私たちのお客様はJAや銀行が多いので顧客層でいえばピラミッドの上の方、資産規模が1億円超の比較的大型案件の層になります。逆に言えば、新たに対象となられた方たちが意外と獲得できていないということです。今回、納税者が増えた資産規模5,000~8,000万円の層は、これから開拓していかなければいけないですね。

──資産規模1億円超と5,000~8,000万円規模のお客様ではアプローチが違いますか。

清田 前者には私たちのブランドも定着していますし、銀行やJA、不動産系との業務提携により、ある程度ブランドで集客できています。ところが後者の場合、Webサイトや様々なメディアからの集客になります。そうなると私たちとのコネクションはできていないので、どこに立地しているのか、有名な事務所なのか、スタッフはそろっているのか、まずそういった入口から誘導しなければなりません。今後はそこを広げていくかたちです。

──残りの半分を占める一般事業法人と個人は、どのように展開されていますか。

清田 こちらも銀行からの紹介とお客様からの紹介で広がっています。お客様数は約3,000件と、かなりの数に上っています。
 その中で、一般事業法人に関しては経営指標や経営計画まで踏み込んだ総合経営コンサルティングまで、個人に関しては従来から不動産オーナーに対して強いので、そちらを引き続き伸ばしていく方向です。

──特化している業種はありますか。

清田 今は多岐に渡って展開していますので、製造業、運輸関係等ほとんどの業種・業態に広がっています。業務としては、特に事業承継に重きを置いていますね。ご存知のように、事業承継は相続プラス経営権のミックスですから、相続税・資産税で培ってきたことを一般事業法人にも活かしながら展開しています。

──メイン業務である相続税・資産税業務の強みとはどのようなものでしょう。

清田 現在、土地評価に関して当社は他社と比べかなり強く、特に広大地評価系は申告ベースで、日本でトップクラスです。件数もさることながら、我々の強みはそのスピードにあります。通常、相続税申告業務の仕上がりは申告期限ぎりぎりが多いのですが、当社は受託して数ヵ月で仕上げています。そのスピードと正確さ、プラス緻密な報告は徹底していますので、我々と業務提携されている企業やお客様からは非常に感謝されていますし、他社との差別化にもつながっています。

──差別化のためにどのような工夫をされていますか。

清田 スピード、正確さ、緻密な報告のために所員の教育はかなり徹底しています。なおかつ現在は新卒者を大量に採用しています。中途採用に関しても未経験者採用を積極的に行っているため、教育が一番要の部分となってきています。

──新卒の採用人数を教えていただけますか。

清田 2016年14名、2017年は18名、2018年の内定者は25名でまだまだ上乗せを考えています。

──従来の会計事務所は中途採用で会計事務所経験者を採用し、底上げを図るところが多かったと思います。新卒者には、どのような教育をしていますか。またあえて新卒採用にこだわる理由とは何ですか。

清田 確かに新卒者は、税務から社会人マナーまで基礎から教えなければなりません。日商簿記すら取得していない人もいるので、内定者については入社前に日商簿記3級を取得するように推奨しています。入社後には外部の中堅研修などを活用し、社内外の研修すべてあわせて年間100時間以上は研修を受けることになっています。
 新卒採用にこだわるのは、やはりこれだけの大型組織になってくるとすべてのメンバーが税理士である必要がなくなってくるからです。今ではランドマーク税理士法人をひとつの企業ととらえ、税理士についても、ひとつの部門としてとらえている状況で、管理系から営業系がいて税理士部門があって、販売・製造部門があって開発部門がある。そんな一般企業と変わらない組織になっています。
 なおかつ新卒が多いのは、以前から私が新卒採用にこだわっているからです。というのは、会計事務所経験者はどうしても前の事務所のイメージが強すぎて、当社のような大型の事務所には馴染みにくい傾向があるからです。組織が大きくなるとどうしても承認など組織としての約束ごとが多くなり、自由にできる範囲が狭まります。すると皆さんの自己裁量部分が減ってしまって、やりにくいと感じる面があるようです。
 もちろん税理士に関しては、合格者も受験生も入ってきていますし、税務署OBもどんどん入ってきています。2017年は中途採用が難航し数名しか採用できませんでしたが、2016年は10名以上入ってきています。受験中の方は働きながら勉強している方も多く、受験を優先するために一時的にアルバイト雇用で働いている方もいます。女性には育児休暇と産前・産後休暇もあります。ですから今、すべての方の働き方のパターンに合わせて、社員の皆さんの夢に寄り添うかたちでやっていると思っています。
 このようにスケールが大きくなるといろいろなことができるようになってくるので、生え抜きを育てることも可能だということですね。

──現在、組織として注力しているのはどのようなことですか。

清田 当社では、すべて経営計画書にのっとって業務を進めています。長期事業計画で数年後の売上についてもすべて計画しています。例えば、2016年度の売上は14億9,500万円だったので、2017年度は18億円、2018年度は21億円をめざしています。一般企業でも、そうやって経営計画に沿って採用計画、教育計画をしっかりやっていない企業は伸びません。成長するステージにいなければ、社員の給料だって上がらないわけです。ですから「目標の数字を達成するために今何をしなければならないか」。それは自動的に決まってくると思います。教育に関する方針、経営に関する方針、朝礼に関する方針等々微に入り細にわたって細かく決め、社員に一生懸命啓蒙し、浸透を図っている段階です。そうすることで一人ひとりの社員が経営計画をきちんと認識するようになります。立案した計画に向けて邁進していくには、社員全員で足並みをそろえなければならないのです。
 そのための社員教育の一環として、内部研修も積極的に行っていますし、外部セミナーにもどんどん出しています。実務的な側面として税務もありますし、教育的な意味合いで幹部はこうすべきであるといった役割づけを意識させる研修も積極的に行っています。

情報共有のための朝礼、整理整頓を実施

──社員一人ひとりに経営計画を意識づけるために、どのようなことをされているのでしょう。

清田 毎朝Web会議システムで全店舗をつなぎ、30分間の朝礼を行っています。以前は1~2店舗だけでやっていたのをWeb会議システムで12店舗すべてに広げ、研修や伝達事項・方針などを私から発信します。そこでは例えば法人税の見解について、外部の専門家の意見をお聞きし、内部の税務署OBから意見を出してもらい、最終的に私が事務所としての見解をまとめて伝えています。おそらく相続税や法人税について日本でも最高の審議が毎朝行われていると言えるでしょう。

──全店舗をつないでの朝礼は、いつ頃から始められたのですか。

清田 多店舗展開を始めてからです。多店舗展開というのは拠点によって考え方が違ってくる可能性がありますので、足並をしっかり揃えるために始めました。

──朝礼以外で社員の意識統一を図るために行っていることがあれば教えてください。

清田 多店舗展開になると社員皆の意識が重要になってくるので、情報共有の一環として環境整備を行っています。これだけの組織になるとすべてのお客様を私が把握しているわけではありません。帳票は見ますが、ある一定のルールに従って、各税理士なり各上司なりがすべてを把握できるチーム体制を構築しなければなりません。
 こうした体制を構築し情報共有するためには、やはり環境整備による帳票類の整理整頓が重要になってきます。そこで各店舗で整理・整頓・清潔項目をチェックし、実行したら実行計画書に記入してもらいます。これは統一事項になっていて、毎月私を含む5人のチームで各店舗を訪問して一個一個の項目を確認して回ります。
 つまりそれぞれが違う方向を向いていたら組織は弱体化してしまうので、それを合わせる作業をしているわけです。それがきちんとできればまた組織として強くなります。そうすることで新卒の社員が入ってきても、すぐに正しい社会ルールを覚えてもらうことができるのです。
 会計事務所は属人的になりやすいので、往々にして担当者が辞めてしまうと何をやっているのか、あとは誰もわからないというようなことが起こります。そのような悪習をなくすために、誰がやっても同じようにできる、書類の順番はそろえる、申告書は一番前に置く、謄本はここ、議事録はここ、それ以外はすべて廃棄というルールを定型的に決めているのです。
 よく「人に仕事がつく」と言いますが、「仕事に人がつく」ような体制を構築できるように一生懸命やっている最中です。

──確かに会計事務所の属人的な側面はマイナスのイメージにつながりますね。

清田 そうなんです。他にも、IT化を進め、チャットアプリで情報を管理し、外回りの社員はスマートフォンとタブレットで移動時間等の空き時間を使って簡単に情報共有できるようにしています。
 こうした情報共有は相続の評価額についても同じです。会計事務所はトップの能力によってすべて決まってしまう側面があります。特に相続評価などは税理士によってまったく違ってきてしまいます。ある税理士が計算したら2億円、別の税理士が計算すると5,000万円になったなどという話は山ほどあります。税理士の不勉強なのか情報量の差なのか、いろいろな理由があると思いますが、5,000万円のほうが良いという発想に立つならば、これを皆が共有し、皆が5,000万円と算定できるようにする。そのレールを敷くのが私の仕事なのです。

税理士業界を「もっと憧れの業界」に

──現在の清田先生ご自身のお仕事はマネジメントが中心でしょうか。

清田 そうですね。例えば経営計画に基づき、毎月整理・整頓・清潔時間の簡略化をチェックし改善することは、すべての分野において私が行っています。経営的部分で言えば、採用もそのひとつです。
 実務に関しては、資産規模10億円を超える案件については私も同席します。またセミナーは年間200回以上、私も同行し講演を行っています。
 割合としては、仕事を10としたら、セミナー研修は5ですね。朝礼も含めて結構な時間を割いています。残りは経営者としてが2、お客様対応が3です。相談対応も含め実務的な部分もかなりありますね。

──税理士になって20年。清田先生にとって税理士としてのやりがいはどこにあるのでしょうか。

清田 税理士は職人技です。専門家として人に頼られる仕事、人の一生を変えていく仕事と言ってもいいかもしれません。そうした部分がやりがいにつながっています。銀行の方も私たちの知識をもって営業に結びつけています。そして税金はこの国の根幹を動かしているので、景気もすべて常に我々の判断が求められるため、税理士のポジションはゆるぎないものだと言って間違いありません。やりがいのあるおもしろい仕事だと思います。

──現在55歳。今後何年、現役でやっていかれるのでしょう。

清田 あと10年はやっていきたいですね。それより、ランドマークの社員にはできれば一生ここで働いていてもらうのが理想だと思っています。ランドマークはお客様のニーズをしっかりと捉えていければ会計業界で必ず生き残っていける組織です。だからこそ税理士という肩書きはさておき、一生この組織で働いてもらう。定年が1回あってもその後は1年ごとの再雇用で更新し、働けるうちは働いてもらう。わざわざ他社に行くより、一生当社で経験を活かして長く勤めてもらいたい。個人的にはそう思っています。

──先生ご自身も、トップを退くことがあっても一生働く方向ですか。

清田 それが理想ですね。ただ、いろいろな会社を見ていると、引退すると言いながら会社を乱している会長さんもたくさんいますから、そういう轍は踏まないようにはしたい。難しいところです。

──現在12拠点、150人規模に成長しましたが、どこまで大きくしたいとお考えですか。

清田 組織は生き物なので、どこまで大きくなるかは私が決めることではありません。お客様とその時の社員が決めることだと思います。
 現在5年ごとにきちんと経営計画を立ててやっていますが、今ある会社で「5年後も売上は今以上でなくていい」などという会社がある訳ありません。売上が決まっていて、これ以上給料が増えないと決まっている会社にいたいと思う人はいませんよね。税理士業界には、そこで自己規制して勝手に壁を作っている事務所があります。ひとりかふたりで収入を得て、それ以上大きくしないでは夢も希望もありません。私は、やはり給料もポジションもどんどん上がる、会社がどんどん伸びると思わないと、社員がいる意味はないと思うのです。そうでなければ、これから税理士になりたい人間が出てこなくなってしまいます。税理士業界をもっと皆が憧れる業界にしていきたい。だからこそ私は「こんなところに会計事務所があるんだ」と憧れられるような良い立地に事務所を作ります。

──最後に、『TACNEWS』の読者にメッセージをお願いします。

清田 知識やビジネススキルがないと結果的に生き残っていけない時もあるので、合格まで勉強は淡々と続けてください。今はリーマンショック前と一緒で、にわかバブル景気です。異常に景気が拡張しているだけなので、またすぐに氷河期がきます。その時のためにしっかり勉強し、同時に社会に出て社会経験を積んで、一生懸命鍛えておくことが重要です。健闘をお祈りします。

──本日は貴重なお話をありがとうございました。

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