特集 時代が求める注目資格「社会保険労務士」

 

 今、日本の社会を取り巻く環境は、「働き方改革による労働環境の変化」「少子高齢化と労働人口の減少」「年金問題の複雑化」などにより、急速に変化しています。このような状況の中、これら労働・社会保険問題の専門家である社会保険労務士(以下、社労士)が注目されています。
 今回は、この社労士の仕事や資格を取得するメリットなどについて、実務家や合格者の声を交えてご紹介します。

2020年TAC人気資格ランキングで社労士は第4位!

社労士は「人事・労務管理・社会保険のエキスパート」として今注目されている資格です。

2020年TAC人気資格ランキングで社労士は第4位!

※2019年1月1日~10月31日にTACのWEBサイトの資料請求フォームから依頼された資料請求数を集計しランキング化(公務員試験は除外)

不況に負けない、転職・就職に有利などメリットたくさん

 働き方改革や雇用調整助成金などで注目を集め、ニーズが高まっていることに加え、取得するメリットがたくさんあるのが社労士資格の人気の秘密。働きながら約半年から2年の短期間で合格をめざせるのもいいですね。

社労士資格のメリット

  • 不況に負けない高い専門性がある
  • 独立開業しても企業に勤めても資格を活かせる
  • 企業で高く評価されるので就職・転職時に有利
  • 労働基準法や厚生年金などの身近な法律が多く、ビジネスはもちろん実生活でも役に立つ

「人」に関するエキスパート。
だから社会に求められる

 社労士は、ひと言でいうと「企業が発展するための重要なパートナー」です。なぜなら、企業経営上で重要な4大要素「人・モノ・お金・情報」のうち、「人」に関するエキスパートだからです。具体的には、経営効率化のため、人事・労務管理全般に関する問題点を指摘し、改善策を企業に助言していきます。また、変革する医療保険や年金制度などへの相談にも応じていきます。まさにこれからの時代に求められる資格ですね。

独占業務+コンサルティングを強みとした仕事内容

労働基準法や厚生年金法など、身近な法律を学べる

  社労士試験には全部で8つの学習分野がありますが、どれも社会人にとってはなじみのある内容ではないでしょうか。例えば「労働基準法」では、残業したときの割増賃金や解雇予告に必要な条件、就業規則の作り方などを学び、「健康保険法」では病気や出産時の保険給付、「厚生年金保険法」では老齢、障害、死亡時の保険給付などについて学びます。そして「労務管理その他の労働に関する一般常識」では、2020年4月に改正された労働者派遣法や、近年注目を集める育児・介護休業法などを学びます。

労働関係

  • ①労働基準法及び労働安全衛生法
  • ②労働者災害補償保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • ③雇用保険法(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む)
  • ④労務管理その他の労働に関する一般常識

社会保険関係

  • ⑤社会保険に関する一般常識
  • ⑥健康保険法
  • ⑦厚生年金保険法
  • ⑧国民年金法

試験データから見る、資格取得者の特徴

 社労士の受験者数は約4万人。その8割近くが会社員なので、仕事と勉強を両立しながら学習する方が多いことがわかります。年代は30歳代以上が多いですが、最近は就職活動時の武器としてチャレンジする学生も増えています。また、他資格に比べ女性の割合が多いのも特徴です。

独立しても、企業内でも活躍できる

 社労士試験合格後の進路は大きく分けて、企業内で資格を活かす「企業内社労士」と、独立して自分の事務所を開く「独立開業」の道があります。自分のライフステージに合わせて、柔軟な働き方ができるのも社労士の魅力です。

企業内社労士(勤務社労士)の道

企業の人事部や総務部などで資格を活用し、キャリアアップすることができる

独立開業の道

社会情勢に左右されず、資格と自分の力で生きていくことができる

業務範囲が広がる、他資格との関連性

 社労士と実務で相性がいい資格として、税理士、簿記検定、中小企業診断士、行政書士などがあげられます。資格を活かして独立開業する人も多い税理士、中小企業診断士、行政書士は、それぞれの資格で業務範囲が異なりますが、ターゲットとなる顧客層(中小企業など)が重なっているため、複数の資格を持っていることで、ひとりの顧客に対してできるサービスの幅を広げることが可能です。例えば、社労士と税理士の資格を持っていれば、労務や年金関係の申請とともに税務申請も併せて請け負うことができますし、顧客が小売店なら店舗に関する各種届出は行政書士として同時に対応できます。顧客側から見ても、ワンストップで仕事を依頼できるのは魅力的ですよね。

合格者に聞く、社労士資格の活かし方

 資格は「取ってからがスタート」です。社労士試験にチャレンジして見事合格された皆さんに、今後の資格の活かし方についてお聞きしました。

[TACNEWS 2020年7月号|コラム]