税理士ブログ 記憶のメカニズムから効果的な復習法を考える。

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■記憶のメカニズム「エビングハウスの忘却曲線」

「なかなか覚えられない」「何度やってもすぐ忘れてしまう」と嘆いている人は多いと思います。しかし、記憶のメカニズムの視点から考えると、この「覚えられない」「忘れてしまう」というのは、仕方のないことなのです。

ドイツの実験心理学者エビングハウスは、人が記憶したことをどのくらいのスピードで忘れていくか(もう一度覚えるのにどれだけの労力が必要か)という実験を行い、グラフに表しています。これが有名な「エビングハウスの忘却曲線」です。これによれば、1時間後にはだいたい50%を忘れるという結果が出ています。それが24時間後には約70%、そして、1ヵ月経った段階では、ほとんど記憶に残っていないという結果になっています。

ですから、2ヵ月前に勉強したことをすっかり忘れてしまった、というのは無理からぬことなのです。また、「暗記は得意」という人と「暗記は苦手」という人がいますが、意外なことに、この忘れていくスピードにはほとんど個人差がないそうです。

受験勉強をしていると、「暗記したことをずっと忘れずにいられたら最高なのに」と思いますが、人間の脳というのは次から次へ忘れるようにできているのです。もし、経験したことをすべて記憶したとすると、脳はあっという間に限界に達してしまうそうです。そうならないように、脳は入ってきた情報のほとんどを忘れるようにプログラムされているのです。

したがって、「忘れる」ということを前提に勉強する必要があります。

■繰り返すことで記憶は強化される

人間の脳が覚えたことをすぐ忘れるようにできているなら、勉強での暗記はどうすればいいのでしょうか。

方法は1つしかありません。何度も何度も繰り返すことです。つまり復習です。昔から、「勉強は繰り返しである」と言われてきましたが、税理士試験の勉強においても何ら変わるところはありません。

たとえば、今日、財務諸表論の理論1題を完璧に暗記したとします。暗記してもその後、全く復習しなければ、時間の経過とともにだんだん忘れていって、いずれは全部忘れてしまうでしょう。しかし、何日かあとにもう一度暗記してみると、1回目より記憶は強化されます。さらにまた、何日かあとに暗記してみると記憶はより強固なものになります。また、暗記に要する時間も、2回目、3回目となるごとに短縮されていきます。

要するに、覚えたことを忘れてしまっても、いちいち気にしないで、また覚えればいいのです。忘れたら覚える、忘れたら覚える、の繰り返しです。人間の脳はすぐ忘れるようにできています。しかし、繰り返すことで記憶は強化されます。勉強においては「何度も繰り返す」ことが大切なのです。

■復習のタイミングが重要

復習を行う場合、回数も重要ですが、もっと重要なのがタイミングです。5回復習する場合であっても、そのタイミングによって記憶の定着率に雲泥の差がつきます。

「エビングハウスの忘却曲線」によれば、1ヵ月経つとほとんど忘れてしまう(覚えなおすのに最初に記憶するのと同等の労力が必要)ということですから、1回目の復習が1ヵ月後、というのでは復習の効果は期待できません。脳神経科学の専門家によれば、忘却曲線に基づいて、1回目が翌日、2回目がその1週間後、3回目がその2週間後、4回目がその1ヵ月後、5回目がその2ヵ月後、とするのが理想的な復習のタイミングと言われています。理想ではありますが、現実的にこれを実践するのはかなり難しいことですし、仕事をしている人にはほぼ不可能です。しかし、この原理を有効に使えれば、記憶の定着率が格段に上がることは間違いありません。 ではどうするかですが、「できる範囲内で忘却曲線を利用する(復習のタイミングを考慮する)」「優先順位をつけて復習する」ことで解決できます。具体的には次の点に注意して復習を行います。

①復習回数の少ないものを優先する


学習後、丸一日何もしないとその大半を忘れてしまうのですから、1回目の復習は最優先で早く行います。このタイミングを逃すと格段に記憶の定着率が下がります。時間がない場合であっても、「5分で理論を確認する」「15分でテキストを速読する」、これだけのことでも記憶の定着率が格段に上がります。これに対して、4回目や5回目の復習など、日数が進んだものについては後日に回して構いません。

②覚えにくいもの、出来の悪い問題を優先する

覚えにくいものや苦手なもの、出来の悪い問題は、後回しにしがちですが、後に回せば習得により時間がかかってしまいますので、優先的に復習します。逆に、覚えやすいものや得意なものは後日に回して構いません。 復習のタイミングは想像以上に重要なものです。できるだけ忘却曲線を意識した復習を実行してみてください。

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■計算問題は4回以上解かないと効果が上がらない

「繰り返すこと」は、理論だけでなく計算についても同様です。本当に基本的な問題は別として、計算問題は4回以上解かないと効果が上がりません。しかし、「完璧に解けた問題を繰り返し解く意味があるのか?」という疑問があると思います。これには次のような理由があります。

①記憶を強化する

完璧に解けた問題であっても、時間が経つと記憶がぼやけてきます。2ヵ月後に解いてまた完璧に解けるという保証はありません。記憶を強化するためには反復練習が必要です。

②解答パターンを作る

「もっと効率的な解き方はないか」と考えながら、解答手順を変えたり、別の集計方法を試すなど、いろいろ工夫をしながら解きます。そのなかで、こう解くと一番スムーズに解けるなという「自分なりの解答パターン」ができあがります。「自分なりの解答パターン」が構築できると応用問題にも対応できます。

③解答スピードを上げる

本試験では解答スピードが要求されます。最初は時間のかかった問題も、繰り返し解くと当初の3分の2の時間で(または半分の時間で)解けるようになります。「それは問題を覚えてしまったからだろう」という反論があるでしょうが、スピードを上げるためには反復練習しかありません。ただし、スピードを上げるといっても限度はあります。限度以上のスピードを求めると、問題を読まないで解く(これをやったら100回解いても効果はゼロです)などの悪影響が出るため注意が必要です。

④精度を上げる

簡単な問題でもうっかり間違えることがあります。これは悪い経験ではありません。簡単な問題でも、気を抜くと手痛い目に遭うと気づかされます。しかし、それを本試験でやってしまったら大変です。本試験では、簡単な問題を確実に取るための精度が要求されますから、精度を上げるためには反復練習しかありません。

⑤読解力を養う

繰り返し解いていると、これは重要な資料だけど見落としやすいなとか、見た目はいつもと同じだがこの部分はパターン崩しだなとか、この資料がなくても解けたけど何のために書いてあるのだろう、といったことに気がつきます。このような、問題文に対する敏感な感覚を養うには、反復練習によるセンスの錬磨しかありません。

講師は通常、「計算問題は最低3回解きましょう」と言います。しかし実際には、3回では不足です。効果を上げるためには4回以上が必要です。もちろん、4回解いてもできるようにならないときは、5回でも6回でも解いてください。

■「失敗」が記憶を強化する

記憶を強化するためには、「繰り返すこと」と同時に「失敗すること」もまた重要です。問題の意図を取り違えたり、資料を見落としたり、ケアレスミスをしたり、といった失敗をすることです。

失敗をして「しまった!」という思いが強烈なほど記憶は鮮明に残ります。大失敗したことなどはいつまでも覚えているものです。そうした失敗が多ければ多いほど、記憶はより正確で強固なものになります。だから、失敗は多いほうがいいのです。

テストでは、わからないところをヤマカンで解答して偶然正解することがあります。それで良い点数を取ったからといって喜んではいけません。そのようなことはすぐ記憶から消えてしまいますし、合格するための実力を身につけるという面からみれば、かえってマイナスなのです。ですから、テストで失敗したからといって、がっかりする必要はありません。落ち込んでいる暇があったら、次回失敗しないための対策を考えましょう。


いかがでしたか?
記憶のメカニズムを知り、その上で記憶を強化する学習法を心掛けるだけで、学習効果は大きく高まります。普段の復習が記憶のメカニズムの観点からも効果的かどうか、この機会にあらためて考えてみることをお勧めします。

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