教職はやりがいだけでなく福利厚生も魅力なんです! 教員の退職金はいくら?民間と比べてどうなの?
公立学校の教員は公務員になるため、退職金も公務員と同等の金額が支給されます。ただし、単純に年齢や勤続年数だけで金額が決まるわけではありません。等級や退職理由といった条件により、支給される退職金が決まります。
本記事では、教員の退職金の求め方や、民間企業の退職金との比較について解説します。
教員の定年退職金はいくら?
教員の退職金は、自治体や校種によって異なります。公立教員は公務員であるため、他の地方公務員と同様の算出方法で退職金が支給されます。
一方、私立では学校ごとに算出方法が異なるのが特徴です。ここでは、公立教員の定年退職金や、自治体・校種による金額の違いについて解説します。
公立教員の場合の定年退職金
総務省によると、公立教員の定年退職金は2,417万円となっています。公立教員は地方公務員です。そのため、教員の定年はほかの地方公務員と同様に、国家公務員の定年が基準となり、原則60歳を定年としています。
教員の退職金は以下のように計算します。
退職時の月給×支給率+調整額
支給率は勤務年数によって異なり、40年働いて定年退職した場合の支給率は47.709%です。
自治体や校種による差はある?
公立教員の退職金は、自治体や校種によっても異なります。自治体では、兵庫県の支給額が最多となっており、その金額は2,323万円です。
次いで三重県の2,311万円、京都府の2,297万円となっています。ただし、2,000万円を下回る都道府県はありません。
校種では、小学校と中学校の退職金が約2,200万円です。これは、小学校と中学校は同じ自治体に所属しているためです。
それに対し、高校では約2,300万円、大学は約3,000万円となっており、校種で差があることがわかります。
公立教員と私立教員の退職金の違い
教員の退職金は、公立と私立で異なります。前述したとおり、公立教員の定年退職金は2,417万円です。
一方、私立教員の退職金は、約1,800万~2,300万円といわれています。私立教員は就業規則が学校ごとに異なるため、退職金の有無や算出方法に差があります。
一般的に「勤務年数×基本給」で算出するため、基本給が高い私立の進学校では退職金も高くなるでしょう。
教員の退職金は中小企業の約2倍
教員の退職金は、日本国内の平均と比較すると高い傾向にあります。退職金が支給されない企業がある中、大企業と同等の退職金が支給されます。中小企業での平均退職金と比較すると、その差は約2倍です。
ここでは、一般企業の退職金事情とともに、大企業や中小企業との退職金額の差について解説します。
退職金なしの企業はどれくらいある?
退職金が支給されない企業も存在します。厚生労働省の調査結果によると、退職金制度を導入している企業は全体の80%でした。
つまり残り20%の企業は退職金制度を導入していないということです。
調査結果からは、従業員数が少ない企業ほど退職金制度がないことがわかりました。業種別でみると、宿泊業や飲食サービス業は退職金制度の導入率が低くなっています。財源に余裕がない企業は退職金を捻出できないことがわかります。
大企業と中小企業で大きな開きあり
大企業と中小企業では定年退職金に大きな開きがあります。厚生労働省の調査によると、大企業と中小企業それぞれの大卒・高卒での定年退職金の平均は以下のとおりとなっています。
大卒 | 高卒 | |
---|---|---|
大企業 | 2,230万4,000円 | 2,017万6,000円 |
中小企業 | 1,118万9,000円 | 1,031万4,000円 |
大企業と中小企業では、2倍近くの差があることがわかります。
教員の定年退職金は大企業並み
公立教員の定年退職金は2,417万円、大企業の定年退職金が2,230万であることがわかりました。このことからも、教員の定年退職金は大企業と同等であることがわかります。
中小企業の大卒と比較しても約2倍の差があることからも、教員の定年退職金の高さを理解できるでしょう。
退職金シミュレーション
退職金に影響する要素として、以下の4つが挙げられます。
- 勤続年数
- 退職理由
- 退職時の月給
- 調整額
退職金の算出方法は、「基本額×調整額」です。基本額の算出方法は「退職日給料月額×支給率」です。支給率は退職理由と勤続年数で変わります。
調整額は、属していた等級によって決定します。ただし、勤続年数4年以下および、勤続年数10~24年以下の自己都合での退職の場合、調整額は半額です。
ここでは、3つのケースに対する退職金のシミュレーションをします。
25歳教諭(勤続3年)
まずは、大卒で勤続年数3年で退職するケースの退職金についてシミュレーションします。20代で自己都合退職となった場合の平均退職金額は、16万7,896円です。
調整額は勤続年数によって左右されます。勤続年数が10年以下の場合、調整額は半額になります。
そのため、勤続年数が3年の場合の調整額は半額です。勤続年数が4年以下の場合は、退職金が発生しないケースもあります。
勤続年数が短い場合は、退職金に期待できないと考えた方が良いでしょう。
33歳主幹教諭(勤続11年)
次は、大卒で勤続年数11年になる33歳教員のケースを考えてみます。30代で自己都合退職となった場合の平均退職金額は46万5,782円です。
33歳の場合、勤続年数は10年以上経過しているため、調整額が半額になることはありません。退職手当を受け取る条件を満たすことになります。そのため、勤続年数3年の教員と比べても、3倍近くの退職金を受け取れます。
勤続年数10年程度であれば、賞与程度の退職金が受け取れると理解しましょう。
60歳校長(勤続38年)
3つ目は、校長が定年退職するケースです。勤続年数25年以上での定年退職の場合の平均退職金額は2,356万2,000円です。月給、勤続年数ともに上位になるため、教員の退職金額の中で金額が高いケースと考えられます。
この金額は、大企業にもひけを取らない金額です。ほかの2つのケースと比較すると桁が異なることから、定年退職することの重要さが理解できるでしょう。
教員は退職金以外も福利厚生が充実
教員は、退職金以外の福利厚生が充実している点も見逃せません。平均4.4ヵ月の賞与が支給されるだけでなく、夏休みは他の職業と比べても多くの休みを取得できます。
また、人間ドック受診の補助や、宿泊所や博物館といった施設の割引制度があることもポイントです。プライベートで利用できる福利厚生が充実していることは、退職金と並ぶ教員のメリットといえるでしょう。
教員の待遇は大企業と同等
教員の退職金は自治体や職種によって差があります。公立学校の教員は公務員であることから、他の地方公務員と同様に退職金が支給されます。
日本では、退職金が支給されない企業が存在する中、教員の退職金は大企業と同等の金額が支給され、中小企業と比較するとその差は2倍です。
退職金は、給料月額や退職理由、勤続年数、等級によって決定します。自己都合での退職の場合、半額になるケースもあります。現にシミュレーション結果では、勤続年数3年での自己都合退職では、給料の1ヶ月分も支給されないことがわかります。
また、賞与や長期休暇、施設の割引制度など、退職金以外の福利厚生も充実しています。大企業にもひけをとらない待遇は、教員の大きなメリットといえるでしょう。
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