電験三種 合格発表! 合格基準点・合格率・講師による試験傾向分析
令和3年度 電験三種試験の
合格基準点・合格率
電気技術者試験センターより、令和三年度(2021年度)第三種電気技術者試験の試験結果が発表され次第公開します。
受験者数・合格者数・合格率・科目合格者数・科目合格率
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 科目合格者数 | 科目合格率 |
---|---|---|---|---|
37,765人 (昨年39,010人) |
4,357人 (昨年3,836人) |
11.5% (昨年9.8%) |
12,278人 (昨年11,686人) |
32.5% (昨年30.0%) |
科目別 合格基準点・合格率
科目 | 合格基準点 | 合格率 |
---|---|---|
理論 | 60点 (昨年60点) |
10.4% (昨年24.6%) |
電力 | 60点 (昨年60点) |
32.6% (昨年17.7%) |
機械 | 60点 (昨年60点) |
22.8% (昨年11.4%) |
法規 | 60点 (昨年60点) |
24.1% (昨年21.3%) |
※科目合格率は4科目合格者含む
TAC講師による試験傾向分析
講師による分析とコメント(令和3年度)
今年の試験結果が、本日(10月22日)公表されました。
日々取り組まれた成果が発揮されたことと思います。本試験、お疲れ様でした。
来年度試験に向けて準備を開始する方は、電験三種の知識が残っている今から学習を開始してください。開始が早いほど忘れにくく、学習効果が大きくなります。今回見事電験三種に合格され、電験二種を目指す方もこのメソッドは同じとなります。
さて、本年度の合格基準点は、全科目、100点満点で60点以上で、合格率は11.5%でした。
科目合格率は、理論が10.4%、電力が32.6%、機械が22.8%、法規が24.1%でした(※合格率は4科目合格を含む)。
特に理論は難しいとの声も多かったですが、結果としては予想通り公表基準点である60点となりました。知識問題の多い年ではありましたが、引き続き計算がカギとなります。他の科目が残っている方は、理論がベースとなりますのでぜひ学習は続けてください。電力は合格率が4科目合格者を含む数値で32.6%と科目合格率の一番高い試験となりました。機械は昨年よりも例年に近い問題となり、科目合格率も上がりました。法規は昨年に引き続き標準的な問題が多い傾向となりました。
今年は近年で一番受験者数が少なく逆に合格者数が上がり、今年受験された方は少々有利だった年かと思います。来年以降どのような試験体制になるかはまだ分かりませんが、学習することは変わりませんので、今まで通りしっかり基礎を理解することを中心に練習を積むことを忘れないでください。
それでは、改めて科目別にみていきましょう。
令和3年度電験三種|理論
今年の理論は例年よりも知識問題が多く、計算を中心に学習してきた方は少々戸惑ったのではないでしょうか。難易度は得意分野により易しい・難しいの印象が分かれる試験かとは思いますが、全体的には難易度は高めと想定されます。特に問12,13は過去問で目にしたことがあるようで、解いてみると難しく躓いた方も多いように思います。計算は似たテーマで全く違う問題が出ていたため、分野的に不得意な方はとても苦しい試験だったように思います。一方で、問5、問11はTACの予想全国公開模試を受験された方は、同じような問題が出ましたので周辺知識も含め復習をしていれば解答できたのではないでしょうか。選択問題は問17を選択された方が多いと思いますが、B問題の対策をしていればある程度は解答できるレベルの問題でした。総じて皆が落とさない問題をしっかり取ったうえで、余った時間でどれだけ計算問題を確実に解答できたかが合格ラインに達するかの分かれ目となりそうな試験でした。
特に印象に残ったのは、問1と問17でした。問1、問17(a)と、『コンデンサ内の電界の大きさ』に関する問題で、この手の問題は苦手とする方が多く、理解して解けるようになるまでかなり時間のかかる範囲だと思います。ただでさえ難しい『コンデンサ内の電界の大きさ』についての問題に、さらに『コンデンサ極板間に異なる誘電体を挿入する』という非常に難しい形になっており、試験中に混乱した方も多かったのではと思います。
また、問9の共振回路に関する問題では、理論では珍しく回路図が与えられませんでした。こうした問題では、文章で書かれた回路を正しくイメージできる必要があります。頭の中だけで解き切ろうとすると混乱することがあるので、問題用紙の空白に直列・並列それぞれの回路図を描いた方が、確実かつ結果的に早いこともあります。
令和3年度電験三種|電力
今年の電力は、計算問題は少々時間が取られるものが多かったものの、全体的に標準的な問題が多かったように思います。特に知識問題については過去問に見られるような標準的な問題が出ました。ここはテキスト等で知識を入れ、過去問を解く…ということを繰り返してきた方ほど解けたのではないでしょうか。計算問題は、難しいと感じた方もいるかもしれません。過去問とは問われ方の違うものもあったため、問題を読めるかがポイントでした。ちなみに理論同様、TACの公開模試を受験されていた方には、問3はボーナス問題でしたね。選択肢までほぼ一緒でした。総じてボーダーラインも下がりにくいと考えられ、解ける問題をしっかり取れていれば合格には近くなる試験でした。
特に印象に残った問題は、問15の火力発電の問題でした。問15(a)では、送電端電力量を求めるために ×(1-所内率) をするのに対し、(b)では、発電端熱効率を求めるために発電機出力をそのまま使う形となっており、「送電端」「発電端」というワードに惑わされた方も多かったのではないでしょうか。
問17の『線路の電圧降下』の問題についても、立式が非常に大変で、そもそも解き方が思い浮かばなかったという方も少なくないのではないでしょうか。特に(b)では、変圧器2次側との接続点をS点からS’点に変更するため、正しく式を組み立てるには、どれだけ計算問題を解いてきたか、相当の演習量が必要だったのではないでしょうか。
令和3年度電験三種|機械
今年の機械は、難易度の高い問題と低い問題が二分される科目となりました。標準的な問題を確実に正解することで合格点に達することができる作りから、基礎固めをしっかりできた人ほど得点できる試験でした。知識と計算のバランスもよく、一時期難しいと言われた機械から少々例年に戻った印象で、今までの3科目の中では比較的ストレスを感じにくい科目であったと思います。また、電験受験で特有の他科目の知識を使って解く問題も見られませんでした。TACの公開模試では問1、5がほぼ同じ内容が出題されました。復習して確実に取れた方は大きくリードできたと思います。来年受験される方はまた難易度が上下に振れる可能性がありますので、他科目も含めバランスよく勉強するようにしてください。
問2の直流機の計算問題は、毎年出題される定番問題ですが、今年は特に答えのトルクを求めるまでの道のりが非常に長く、計算量(式の数)も多かったため、混乱した方も多かったと思います。直流機の計算問題では基本的に、一気に答えを求めることができません。回路図を描いて情報を整理し、一つ一つ丁寧に、求められるところから求めていきます。これは慣れていないと難しく、試験時間を無駄にしてしまう危険性もあるため、機械科目では特に、過去問を使っての演習が重要となります。
問15では、『変圧器の銅損と鉄損』の計算問題が出題されました。変圧器の銅損・鉄損、効率に関しては、機械科目以外でも出題されることがあるため、できれば正答してほしい問題でした。(b)は銅損についてきちんと理解しておく必要があり、ここで悩んだ方も多かったのではないでしょうか。
令和3年度電験三種|法規
今年の法規は、全体の印象としては難易度はやや高かったと思います。特に知識問題では問1、2、8は苦戦されたのではないでしょうか。今まで覚えた知識だけでは絞り切れず、2択まで絞ってその先を選択するのに時間を使ってしまった方も多いと思います。計算問題は過去問をしっかり学習している方にはよく似た問題が多かったため、有利な試験でした。初見の問題も多かったと思いますが、TACの模試でも触れた部分がありました。全体的には知識をため込めた方は合格点に達する試験でした。4科目の中でボーダーラインが60点なのか一番悩む科目です。
問12では絶縁耐力試験について出題されました。(a)では、直流での試験電圧が問われ、(b)では交流で試験が行われています。(a)で求めた値を(b)にそのまま流用するわけではないため、「いま何を求めたか」「何を用いて計算しなければならないか」を明確にし、計算を進めていく必要があり、これもまた一筋縄ではいかない問題であったと思います。
問13では『需要率・負荷率・不等率』について出題されました。本試験で出題されるのは少し久しぶりだったような気がします。法規では、理解しておけば解けるような問題だけでなく、式を覚えていないとどうしようもない計算問題も出題されます。「覚えないといけないのはわかっていたけれど」と、なってしまった方も多かったのではないでしょうか。過去問を解いているだけでは式を覚えきれていない場合もあるので、法規では特に教科書や参考書にある式をしっかりと確認しておきましょう。
色々な思いで本日を迎えられたと思います。本当にお疲れ様でした。
私共講師陣としましても、今後も本試験傾向を踏まえた講義内容を行い、みなさまの電験3種合格の栄冠を勝ち取るためのお手伝いを行っていきたいと考えています。
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ご質問・ご相談の受付は2021/10/27(水)12:00までで終了しました。たくさんお寄せいただきありがとうございました。回答編『電験三種合格に向けたQ&A』11/6(土)公開!

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令和三年度 重要問題の解説を配信!<電験三種 過去問解説>
今年の本試験の重要問題の解説動画を順次公開!
TAC電気チャンネル-Youtubeでは令和二年度以前の過去問解説も公開中です。
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理論
問1 / 問6 / 問7
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電力
問9 / 問15 / 問17
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機械
問5 / 問14 / 問15
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法規
問11 / 問12 / 問13
今年もズバリ的中!TACの予想全国公開模試

21目標TAC電験三種 予想全国公開模試 で的中しました!
21目標TAC電験三種 予想全国公開模試理論問4が令和三年度電験三種本試験 理論問3に、公開模試理論問14が本試験 理論問5に、公開模試理論問10が本試験 理論問10に、公開模試理論問13が本試験 理論問11に、 公開模試 電力問3が本試験 電力問3に、公開模試電力問10が本試験 電力問11に、公開模試電力問12が 本試験 電力問13に、公開模試機械問2が本試験 機械問1に、公開模試機械問4が本試験 機械問4に、公開模試機械問6が本試験 機械問5に、公開模試電力問16(a)が本試験 機械問6に、公開模試機械問15が本試験 機械問15に的中しました。
科目 | 令和三年度 電験三種本試験 | 2021年TAC予想全国公開模試 |
---|---|---|
理論 | ||
電力 | ||
機械 | ||
合格発表後の進路は?
祝!4科目合格!
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完全合格本科生
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2022年(令和4年度)にむけて、1次も2次も対策するオールインワンコースです。
電験二種
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電験二種の1次試験対策用コースです。理論や2次試験に必要な数学と各科目を学習します。
電験二種
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-
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電験二種の2次試験は苦戦者続出。TACでは過去問傾向を踏まえてしっかり対策します。
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【参考】電験三種 受験者数/合格者数/科目合格者数
実施年度 | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 科目合格者数(名) |
---|---|---|---|
令和2年度 | 39,010 | 3,836 | 11,686 |
令和元年度 | 41,543 | 3,879 | 13,318 |
平成30年度 | 42,976 | 3,918 | 12,335 |
平成29年度 | 45,720 | 3,698 | 12,176 |
平成28年度 | 46,552 | 3,980 | 13,457 |
平成27年度 | 45,311 | 3,502 | 13.389 |
平成26年度 | 48,681 | 4,102 | 14,625 |
平成25年度 | 49,575 | 4,311 | 12,381 |
平成24年度 | 49,452 | 2,895 | 14,741 |
平成23年度 | 48,864 | 2,674 | 13,245 |
平成22年度 | 50,794 | 3,639 | 14,240 |
【参考】電験三種 全科目合格率/科目合格率
実施年度 | 合格率 | 科目合格率 |
---|---|---|
令和2年度 | 9.8% | 30.0% |
令和元年度 | 9.3% | 32.1% |
平成30年度 | 9.1% | 28.7% |
平成29年度 | 8.1% | 26.6% |
平成28年度 | 8.6% | 28.9% |
平成27年度 | 7.7% | 29.6% |
平成26年度 | 8.4% | 30.0% |
平成25年度 | 8.7% | 25.0% |
平成24年度 | 5.85% | 29.81% |
平成23年度 | 5.5% | 27.1% |
平成22年度 | 7.2% | 28.0% |
【参考】電験三種 各科目合格基準点
実施年度 | 理論 | 電力 | 機械 | 法規 |
---|---|---|---|---|
令和2年度 | 60 | 60 | 60 | 60 |
令和元年度 | 55 | 60 | 60 | 49 |
平成30年度 | 55 | 55 | 55 | 51 |
平成29年度 | 55 | 55 | 55 | 55 |
平成28年度 | 55 | 55 | 55 | 54 |
平成27年度 | 55 | 55 | 55 | 55 |
平成26年度 | 55 | 60 | 55 | 58 |
平成25年度 | 60 | 60 | 55 | 58 |
平成24年度 | 55 | 55 | 55 | 52 |
平成23年度 | 55 | 55 | 55 | 55 |
平成22年度 | 55 | 55 | 50 | 55 |
詳細は試験センターHPをご確認ください。
一般社団法人電気技術者試験センター https://www.shiken.or.jp/index2.html