賃貸不動産経営管理士の過去問は解くべき?入手方法や活用方法は?例題も紹介!
あらゆる試験で一度は触れるであろう「過去問」。
賃貸不動産経営管理士にももちろん過去問はあります。
出題傾向や難易度を知るためにも過去問は重要です。
賃貸不動産経営管理士は国家資格化したばかりで過去問が少ないと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、国家資格化する前から試験は行われていたので過去問はけして少ないわけではありません。
しかし、大学受験用の赤本のように書店にずらりと並んでいるわけではないので、どうやって入手すればいいのかわからない方も多いでしょう。
また、入手できたとしても令和元年までは問題数が40問だったのに対して、令和2年以降は50問と問題数も増えているため、どのように過去問を活用していけばいいのかわからない人もいるのではないでしょうか。
ここでは過去問の重要性、そして入手方法と活用法から例題までを解説していきます。
賃貸不動産経営管理士の過去問は重要?
国家資格化したのは2021年からですが、国家資格化以前の過去問があることは冒頭でお話ししました。だからといって、国家資格化前の過去問は解かなくていいのかというと、そうではありません。他の資格や試験と同様に、賃貸不動産経営管理士も過去問に触れておくことは重要です。
賃貸不動産経営管理士の過去問が重要な理由
賃貸不動産経営管理士の過去問が重要な理由として、「問題に慣れること」があげられます。
知識を習得しただけでは問題は解けません。
実際に出題された問題を解くことで、「知識がどう問われるか」に慣れる必要があります。
それから、過去問を解くことにより本試験の時間配分も考えることができます。
50問を120分(2時間)で解くことになるので、単純計算では1問2分程度で解答していかなければなりません。
しかし、苦手分野や長文の問題はやはり時間がかかってしまうものです。
その対策を立てる意味でも、過去問を解いて慣れておくことは重要といえます。
賃貸不動産経営管理士の過去問入手方法は?
さて、過去問の重要性についてはお分かりいただけたと思いますが、「過去問はどこで入手したらいいの?」という方のために、過去問の入手方法をご紹介いたします。
試験実施団体のホームページから過去7年分の問題を入手可能
まずは試験実施団体のホームページです。
賃貸不動産経営管理士協議会のホームページでは過去7年分の過去問題が入手可能です。
なお、同じページで正解番号の一覧も見ることができます。ただし、詳細な解説は記載されていません。
つまり、自分の間違えた問題について「なぜ間違えたのか」が判然せず、もやもやとしてしまうのです。
TACでは解説付き問題冊子が入手できる!
一方で、TACでは解説付き問題冊子を入手することができます。
メールアドレス等必要事項をフォームにご入力いただくことで入手可能です。
【無料】令和4年度本試験解答解説集をプレゼント!
令和4年度賃貸不動産経営管理士試験の問題に加え、TAC講師陣による全問題の解説を掲載したPDFデータを無料でご請求いただけます。これから資格取得を目指す方や、再度挑戦される方も必見です!以下のフォームにご入力の上、ご請求ください。
お申込いただいた場合、 個人情報の取り扱いにご同意いただいたものとして取り扱わせていただきます。
また、それぞれの問題に対してA・B・Cとランク付けをしています。
賃貸不動産経営管理士の受験生向け無料採点サービス「データリサーチ」をもとに、正答率70%以上のものをAランク、40%以上70%未満のものをBランク、40%未満のものをCランクとしています。
解説もついているため、正解肢だけでなく正解肢である理由もわかって理解力も深まることでしょう。
賃貸不動産経営管理士の過去問の活用方法
次は過去問を入手後の活用方法についてです。
せっかく入手した過去問も活用しなければ意味がありません。
過去問の活用方法について、TACの講師が解説します。
出題傾向を知る
過去問は今後どんなテーマの問題を出題されるのかを教えてくれる出題者側からのメッセージだと捉えましょう。令和3年の賃貸不動産経営管理士でも出題論点の4割程度が直近6年間の過去問から出題されていました。今後の出題傾向を知る上で、過去問の分析・検討は欠かせません。
また、不動産系の資格は他にもありますが、それぞれ出題される分野が重なっている部分とそうでない部分はあります。
特に「賃貸住宅管理業法」は他の資格試験に出題されることはほとんどなく、メインの科目にもなるのでどのように問われているのかを知ることは大切です。
さらに、賃貸不動産経営管理士は敷金等の金銭の問題や、建物の構造なども問われます。試験範囲が広いため、その中でもどの部分が重点的に問われるのか(=どの部分を重点的に勉強すべきか)は複数年度の過去問を解くことで知ることができます。
知識が定着しているかの確認に使う
試験対策を始めた後は、過去問を項目ごと・肢ごとにバラバラに使ってみましょう。学習した知識で過去問題が解けるかを確認します。
その際、問(四肢択一)ごとに答えを出すのではなく、肢ごとにその内容が合っているのか間違っているのかを判断します。肢が間違っている内容であれば、どこが間違っているのか・どう正せば良いのかが分かるようになるまで繰り返し行いましょう。
過去問を使って時間配分に慣れる
先ほども少し触れましたが、賃貸不動産経営管理士の試験は50問120分です。
時間内に解けるようにするために、過去問を使いましょう。
50問を120分で解くのは簡単なように思えますが、人によっては難しく感じることもあります。
時間配分を誤ってしまうことで、解けた問題を落としてしまうこともあるかもしれません。
そういったことを避けるためにも、本番を想定して過去問を使ってみましょう。
具体的には、項目ごと・肢ごとに過去問を解けるようになったら、総仕上げとして年度ごとに問1から問50までを時間を測って解いてみましょう。解答時間はすでに解いている問題なので1時間半ぐらいに設定するとよいでしょう。
賃貸不動産経営管理士の例題
それではここで、令和4年度本試験問題を例にいくつかご紹介します。
賃貸不動産管理に関係する法令の例題
【令和4年 問23】 令和3年10月1日に締結された、賃貸住宅を目的とする賃貸借契約の借主の義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 大地震により賃貸住宅の一部が倒壊し、契約の目的を達することができなくなった場合、賃貸借契約は終了し、借主の賃料支払義務は消滅する。
2 大地震により賃貸住宅の一部が滅失した場合(ただし、契約の目的を達することは未だできるものとする。)、借主が賃料の減額請求をすることで賃料は減額される。
3 賃料債権が差し押さえられた場合、借主は賃料を貸主に支払ったとしてもそのことを差押債権者に通知すれば、差押債権者から取立てを受けず、以後賃料の支払を免れることができる。
4 賃料債権は、時効期間が経過しても消滅時効を援用する旨の意思表示がなければ消滅しない。
TACの解説
正解4 最も適切なものを○、不適切なものを×とする。
1 × 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合、残存する部分のみでは借主が賃借をした目的を達することができないときは、借主は、契約の解除をすることができる(民法611条2項)。したがって、賃貸住宅の一部が倒壊し、契約の目的を達することができなくなった場合、借主は契約の解除ができるのであり、賃貸借契約が終了するわけではない。
2 × 賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合、それが借主の責めに帰することができない事由によるものであるとき(例えば、大地震)は、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される(611条1項)。この場合、賃料は当然に減額されるのであり、借主による減額の意思表示(賃料の減額請求)は必要ない。
3 × 賃料債権が貸主の債権者(差押債権者)によって差し押さえられた場合、借主は賃料を貸主に支払うことが禁止される(481条1項)。借主(第三債務者)は、差押債権者から賃料の支払い(取立て)を求められた場合には、差押債権者に対して賃料を支払わなければならない。もし借主が差押え後に貸主に賃料を払ってしまうと、賃料の2重払いをせざる得なくなる。したがって、差押債権者に通知をしても、差押債権者から取立てを拒むことはできず、以後賃料の支払を免れることもできない。
4 〇 賃料債権は、時効により消滅する(消滅時効、166条1項参照)。ただし、時効期間の経過により当然に消滅するわけではなく、時効の完成によって利益を受ける者による消滅時効を援用する(時効の利益を受ける)旨の意思表示が必要である(145条、判例)。
賃貸住宅管理業法の例題
【令和4年 問3】賃貸住宅標準管理受託契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3年4月23日公表。以下、各問において「標準管理受託契約書」という。)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1 鍵の管理(保管・設置、交換及びその費用負担)に関する事項は、賃貸住宅管理業者が行うこととされている。
2 入居者から代理受領した敷金等は、速やかに賃貸人に引き渡すこととされている。
3 賃貸住宅管理業者は、あらかじめ入居者に通知し、承諾を得なければ住戸に立ち入ることができないものとされている。
4 賃貸住宅管理業者は、賃貸人との間で管理受託契約を締結したときは、入居者に対し、遅滞なく連絡先等を通知しなければならず、同契約が終了したときにも、管理業務が終了したことを通知しなければならないものとされている。
TACの解説
正解1 適切なものを○、最も不適切なものを×とする。
1 × 鍵の管理(保管・設置、交換及び費用負担含む)に関する事項は「賃貸人」が行う(標準管理受託契約書12条1項)。「賃貸住宅管理業者」が行うとはされていない。
2 〇 賃貸住宅管理業者は、入居者から代理受領した敷金等を、契約書の頭書(6)に記載する振込先に振り込むことにより、速やかに、賃貸人に引き渡さなければならない(7条1項)。
3 〇 賃貸住宅管理業者は、管理業務を行うため必要があるときは、住戸に立ち入ることができる(17条1項)。この場合、賃貸住宅管理業者は、あらかじめその旨を物件の入居者に通知し、その承諾を得なければならない。ただし、防災等の緊急を要するときは、その必要はない(同2項)。例外はあるが、原則に関する記述として適切である。
4 〇 賃貸住宅管理業者は、物件について管理受託契約を締結したときは、入居者に対し、遅滞なく、契約書の頭書(9)の記載に従い、頭書(3)に記載する管理業務の内容・実施方法及び管理業者の連絡先を記載した書面又は電磁的方法により通知する(23条1項)。また、契約が終了したときは、賃貸人及び賃貸住宅管理業者は、入居者に対し、遅滞なく、賃貸住宅管理業者による物件の管理業務が終了したことを通知しなければならない(同2項)。
建物・設備の知識の例題
【令和4年 問16】 屋上や外壁からの雨水の浸入に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1 屋上や屋根からの雨水の浸入は、防水部材の劣化や破損によって生ずるものやコンクリート等の構造部材のクラックや破損によるものなどであるが、いずれの場合も部分補修で十分である。
2 出窓からの雨水の浸入は、出窓の屋根と外壁との取り合い箇所やサッシ周りが主な原因となることが多い。
3 外壁がタイル張りの場合は、タイルの剥がれやクラック、目地やコーキングの劣化に起因する漏水は発生しにくい。
4 レンジフード、浴室、トイレの換気扇の排気口からの雨水の浸入による漏水は発生しにくい。
TACの解説
正解2
最も適切なものを○、不適切なものを×とする。
1 × 屋上や屋根からの雨水の浸入は、防水部材の劣化や破損によって生ずるものやコンクリート等の構造部材のクラックや破損によるものなどであるが、いずれの場合も部分補修で漏水を止めるのは難しく、場合によっては、防水の全面修理や排水設備のやり直しに発展することもある。
2 〇 出窓からの雨水の浸入は、出窓の屋根と外壁との取り合い箇所やサッシ周りが主な原因となることが多い。
3 × 外壁がタイル張りの場合は、タイルの剥がれやクラック、目地やコーキングの劣化に起因する雨水の漏水が多い。
4 × レンジフード、浴室、トイレの換気扇の排気口からの雨水の浸入による漏水が発生する。
いかがでしたでしょうか?
このように、TACでは詳細な解説を掲載しています。
全問解説が見たい方はまずは「解答解説集PDF」を請求してみてください。
賃貸不動産経営管理士を知ろう
賃貸不動産経営管理士とは、賃貸住宅管理に関する深い知識をもった専門家で、賃貸借契約後のトラブル対応や設備の維持・点検を行います。2021年からは国家資格としても認められており、注目度が高まっている資格です。賃貸不動産経営管理士資格の概要や仕事内容をご紹介します。詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士試験は年1回、11月中旬に実施されます。受験資格や試験内容、5問免除など試験について詳しく見ていきます。詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士の合格点・合格率は?難易度はどれぐらい?
賃貸不動産経営管理士は2021年度に国家資格になり、不動産業界で注目を集めている資格です。近年の賃貸住宅ニーズの増加もあり、受験者数が急増しています。難易度はどれぐらいなのか、合格点や合格率、他の不動産関連の資格との比較もまじえて解説します。 詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士合格を目指す場合、試験当日まで計画的に勉強を進めることが合格への近道です。ここでは、合格に必要な勉強時間と、勉強スケジュールの立て方を解説します。 詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士は独学でも合格できるのでしょうか。合格のためのテキストなど教材の選択方法についても詳しく説明していますので、ぜひ参考にしてください。 詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士を取得するメリット!実務家の経験談を聞く!
賃貸不動産経営管理士取得のメリットは?どんな人におすすめ?実務家の経験談を交えてご紹介します。 詳しくはこちら »
賃貸不動産経営管理士と宅建士・マンション管理士・管理業務主任者・業務管理者の違い
賃貸不動産経営管理士は、2021年に国家資格になった比較的新しい不動産系資格です。そこで今回は、賃貸不動産経営管理士と関連資格との違いについて、仕事内容や試験・合格率などを比較しながらご紹介します。また、不動産系資格と混同しやすい「賃貸住宅管理業における業務管理者」もあわせて説明します。 詳しくはこちら »