TACはズバリ的中!
TAC講師陣が徹底分析
税理士試験を振り返り、傾向を語る
第72回税理士試験を振り返る
本年も真夏の3 日間、税理士試験が行われました。TACでは今年度も対策を行った多くの論点で「ズバリ的中」を実現することができましたが、ここで今年度の本試験を振り返り、その特徴点や傾向についてTAC講師陣に伺いました。今回は簿記・財表・法人・所得・相続・消費の6科目の講師にインタビュー。税理士受験生の方は必見です!

【簿記論】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 | 全国公開模試 〔第二問〕 1⃣ |
実力完成答練 第4回 〔第一問〕 1⃣ | |
〔第一問〕 問2 (5) | 直前対策テキスト P.137 |
〔第二問〕 問1 | 実力完成答練 第2回 〔第二問〕 問2 |
〔第三問〕 【資料2】 3 (1) | 全国公開模試 〔第三問〕 【資料2】 1 (1) |
〔第三問〕 【資料2】 3 (2) | 実力完成答練 第3回 〔第三問〕 【資料3】 1 |
〔第三問〕 【資料2】 3 (3) | 実力完成答練 第3回 〔第二問〕 問1 |
〔第三問〕 【資料2】 3 (4) | 実力完成答練 第1回 〔第二問〕 問1 |
〔第三問〕 【資料2】 4 (1) | 実力完成答練 第3回 〔第二問〕 問1 |
【簿記論】寺島 加奈子 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 それでは、簿記論の寺島先生に今年の本試験について伺います。全体の印象はいかがでしたか?
寺島 今回の本試験は、第一問でキャッシュ・フロー計算書、買付に関する相対取引、収益認識における返品権付の販売、第二問で固定資産の減損処理、売買目的有価証券、満期保有目的の債券、関係会社株式、持分法、第三問で建設業及び不動産賃貸業の総合問題に、部分純資産直入法、キャッシュ・フロー見積法などが絡んでいました。個別問題の比較・相対取引や仕訳問題による勘定科目群からの選択は近年の本試験の出題傾向として継続されていますね。論点としても多岐にわたるので、やはり時間配分を意識しつつ、取捨選択・解答手順が合否を分けると思います。
「個々のポイント」
塚田 では、各問について伺います。第一問はいかがでしたか?
寺島 問題のボリュームが多く、解答要求も33箇所ありました。解答金額の算定が大変だったと思います。キャッシュ・フロー計算書の集計が多く絡まない論点(法人税等や退職給付、固定資産、有価証券など)を中心に解答していき、売上などの時間がかかる項目を避ける・後回しにすることがポイントかと思います。
塚田 第一問は後回しにする箇所で時間を使わずに、解くべき箇所で確実に得点していくことが大事ということですね。では、第二問はいかがでしたか?
寺島 第二問は、比較的解答しやすい問題でした。特に、問1の減損会計は完答していただきたい論点でした。また、問2の有価証券についても、精度高く解答していただきたい内容でした。
塚田 第二問は問1を中心に得点を積み上げていく感じですね。第三問はいかがでしたか?
寺島 第三問は、建設業及び不動産賃貸業を題材とした決算整理型の総合問題でした。見慣れない論点もありましたが、その分、取捨選択はしやすかったと思いますので、答練での練習通り正解しやすい箇所を中心に、精度高く解答できたかどうかがポイントとなります。
「合格ライン」
寺島 第一問は6~9箇所程度、第二問は17~19箇所程度、第三問は15~19箇所程度です。このぐらいできていれば合格レベルに達していると思います。得点で言うと、TAC予想配点での個々の問題の合格ラインは、第一問が8~11点、第二問が20~22点、第三問が27点~31点です。これを基準にするとボーダーラインが55点ぐらいになり、合格確実ラインが64点ぐらいになるかと思われます。
【財務諸表論】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 (1) | 実力完成答練 第1回 〔第二問〕 設問2 1 |
〔第二問〕 問1 | 上級演習 第1回 〔第一問〕 問1 |
〔第三問〕 問1 1 (2) ② | 実力完成答練 第6回 〔第三問〕 1 (3) |
〔第三問〕 2 (1) | 直前予想答練 第2回 〔第三問〕 2 (3) |
〔第三問〕 2 (3) | 実力完成答練 第5回 〔第三問〕 3 (1)② |
〔第三問〕 5 (2) | 上級演習 第6回 〔第三問〕 6 (1) |
〔第三問〕 5 (3) | 実力完成答練 第4回 〔第三問〕 6 (1) |
〔第三問〕 5 (4) | 実力完成答練 第1回 〔第三問〕 6 (2) |
〔第三問〕 6 | 実力完成答練 第3回 〔第三問〕 7 |
〔第三問〕 8 | 直前予想答練 第3回 〔第三問〕 9 |
〔第三問〕 9 | 直前予想答練 第3回 〔第三問〕 10 |
【財務諸表論】的場 宏大 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 的場先生、財務諸表論の本試験問題の難易度とボリュームはいかがだったでしょうか?
的場 本年度の問題は、第一問、第二問の理論問題が8枚、第三問の計算問題が12枚と全体的にボリュームの多い問題でした。
第一問は、「収益認識基準」からの出題でした。解答することが困難な問題も含まれていましたが、答練などで対策をしていた論点も出題されていましたので、ある程度得点を伸ばすことはできると思います。
第二問は、有形固定資産(企業会計原則)及び資産除去債務基準からの出題でした。全体的に難易度の高い論点が出題されており、高得点を狙うのは相当困難な問題であったと言えます。
第三問は、商業が出題されました。個々の論点のレベルは標準的でしたが、ボリュームが非常に多かったため、理論問題に時間をかけすぎることなく、計算問題で時間をしっかり確保した上で、効率的に解答することができたかがポイントとなるでしょう。
塚田 理論問題・計算問題の出題は、どのような傾向となっていたでしょうか?
的場 近年の理論問題は、空所補充問題や記号選択問題が多く出題されており、従来と比べて論述問題の出題割合が少ない傾向にあります。また、計算の知識を使って解答しなければいけない問題も多く出題されています。
計算問題は、内容的には近年の本試験の傾向を踏襲した論点が出題されていましたが、従来と比べてボリュームが増えています。難しい論点に時間をかけることなく、効率的に解答していくことが合格するためのポイントとなります。
「個々のポイント」
塚田 具体的な出題論点は、「出題論点・難易度表(下記参照)」のようになるわけですが、各論点のポイントについて簡単に説明してください。
的場 第一問について、問1(1)は解答できた受験生が多かったようですが、(2)及び(3)は解答できている受験生は少なかったようです。問2は、全体的に解答できた受験生が多かったようです。問3(1)a、(2)及び(3)①は解答できた受験生が多かったようです。(3)②の論述問題は解答できている受験生は少なかったようです。
第二問について、問1(1)は解答できた受験生が多かったようですが、それ以外は解答できなかった受験生が多かったようです。また、問2(1)及び(3)は、解答できた受験生が多かったようですが、それ以外は解答できなかった受験生が多かったようです。
第三問については、ボリュームが多かったため、十分な解答時間を確保した上で、効率的に解答する必要がありました。特に、有形固定資産、ソフトウェア、退職給付引当金、ストックオプション、役員退職慰労金、諸税金等は比較的平易な問題であったため、解答できている受験生が多かったようです。
「合格ライン」
塚田 受験生の方の出来具合を考慮した上で、合格ラインをお聞きしたいと思います。先ほど挙げていただいた論点のうち、どの程度できていれば合格レベルに達していると考えられるでしょうか?
的場 第一問については、問1で4~5点、問2で5点、問3で3~5点、合計で12~15点程度を得点することが必要と思われます。
第二問については、問1で2点、問2で5~6点、合計で7~8点を得点することが必要と思われます。
第三問については、30~34点を確保することが必要でしょう。
上記内容を踏まえると、本試験問題での合格ラインは、第一問が12~15点、第二問が7~8点、第三問が30~34点程度になると思われます。ボーダーラインが49~57点程度、合格確実ラインが58点程度になると思われます。
【法人税法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 | 実力完成答練 第4回 〔第一問〕 |
〔第一問〕 問2 | 全国公開模試 〔第一問〕 問2 |
〔第二問〕 | 直前予想答練 第3回 〔第二問〕 問2 |
〔第二問〕 【資料1】 | 直前対策補助問題 第3回 問6 |
〔第二問〕 【資料2】 | 直前予想答練 第3回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 【資料3】 | 合格情報補助問題 【資料】 |
〔第二問〕 【資料6】 | 全国公開模試 〔第ニ問〕 問1 |
【法人税法】松田 好孝 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 次に、法人税法について松田先生に伺いましょう。本年度の問題のボリュームと難易度はどうでしたか?
松田 今年の本試験は、理論・計算ともにボリュームが多く、2時間の試験時間の中で解ききるのは難しい問題であったという印象を受けました。また、難易度も近年の本試験問題の中では高い印象を受けましたので、難易度の高い論点で考え込んでしまうとさらに時間がなくなってしまうため、完答することは難しかったと思います。
そして、理論の印象ですが、配当や解散に関する事項など近年の改正や未出題論点からの出題がある一方で、子会社配当に絡む租税回避防止規定や解散に関する欠損金の繰戻し還付など、難易度の高い論点も出題がされています。さらに、金額の計算や事業年度の特例なども出題されており、単なる条文の暗記だけではなく、幅広い知識と正確な理解、そして問題に対応する能力が問われる、大変質の高い問題という印象を受けました。
計算については、昨年の大問2題の個別問題形式と異なり、久しぶりの別表4、別表1形式の出題がされ、これまでの2年間と全く違うものでした。論点としては暗号資産というこれまで未出題だった論点が出題されていますが、それ以外では法人税の基本論点とも言える、租税公課、外貨建取引等、役員給与、減価償却、寄附金などを中心とした問題で、受験指導校でしっかりと学習を進められていた方であれば、ある程度対応ができる日々の努力が反映される問題であったと思います。ただし、事業年度が一年未満となっていたことから、この点に気がつかず、若しくは忘れて解答すると、多くの部分で得点できないことになるので、その点については一番注意を要する問題となっていました。
塚田 そうですか、それでは今年の本試験の合否を分けるとすると、どのあたりがポイントとなりそうですか?
松田 そうですね、理論・計算とも基本論点をしっかりと覚えていれば解答できる箇所もあり、まずその箇所を落ち着いてミスなく確実に得点できることが大切で、その上で応用的な論点、注意を要する論点でどれだけ得点を積み重ねられたかが合否を分けるポイントになると想定されます。具体的には、理論では配当関連の基本項目、欠損金の繰戻し還付、清算中の事業年度、中間申告・確定申告、未処理欠損金の取扱い、解散した子会社の株式の譲渡損益などでできるだけ得点し、その他の論点でどれだけ得点を伸ばせたかがポイントになります。また、計算は基本的な加算、減算項目を漏らさず調整した上で、役員給与や減価償却、寄附金でいかに獲得できたかがポイントとなります。
「個々のポイント」
塚田 では次に、個々の論点についてポイントを挙げながら伺いたいと思います。「出題論点・難易度表(下記参照)」を参照しながら、説明をお願いします。
松田 まず理論ですが、今年は2題出題されましたが、記載を求められた規定の中では問1の自己株式等の取得、みなし配当、有価証券の1単位当たりの帳簿価額の計算以外は解答時間との兼ね合いもありますが、ある程度、正確な記載が求められるでしょう。特に、上記に挙げた規定以外の配当に関する理論はSランク理論、解散に係る未処理欠損金額に関する理論は全国公開模試で出題したことからも、かなり正確な記載が求められると思います。なお、問2の事例については還付請求書の提出期限や欠損金の繰戻しによる還付税額、清算第1期の確定申告期限などは難易度が高めのため、これらの論点で得点ができていると有利に働くと思われます。
計算については、暗号資産に関する調整は非常に難易度が高いため、解答ができなくても殆ど影響はないと思います。これに対して、減価償却や寄附金、別表1の記載などは正解できた受験生と計算ミスをした受験生、時間不足により未記載としてしまった受験生と差がついてしまう論点だと想定されます。その他の租税公課や外貨建資産等では確実に得点をしてほしいところです。
塚田 講師としてぜひ解答して欲しい論点と実際の受験生の解答で、異なっている論点はありますか。
松田 そうですね、理論の問1では短期保有株式等に関する規定が正確に書けなかったとか、みなし配当に関する論点に手をつけられなかったことから外国子会社配当に関する規定や有価証券の譲渡損益の原則などが書けなかったなどの声を聞いています。また、問2の未処理欠損金額に関する規定や株式の譲渡損益の額に関する規定も重要理論だったはずですが、本試験独特の雰囲気に圧倒されて結果的に正確に書けなかったという声もありました。計算については、事業年度が1年未満であったことを失念して減価償却や寄附金、税額の計算をしてしまったなどの声を聞いています。普段の答練では解答できる論点でも、本試験でミスなく解答して実力を発揮することは、やはり難しいものなのだなと感じました。
「合格ライン」
塚田 最後に、合格ラインをお聞きしたいと思いますが、出題論点のうち、どの程度できていれば合格ラインに達していると言えるでしょうか?
松田 合格ラインの検討としては、理論については問1、問2ともに基本的な規定の正確な解答が必要となります。また、事例については、問2の事業年度や中間申告の提出義務などについては正確な解答が求められ、さらにそれ以外でどれだけ正解できたかが合否を分けるポイントになると思います。
計算については、暗号資産などの難しい部分にはあまり時間をかけず、それ以外で取れる部分をしっかりと見極め、ケアレスミスなく確実に得点できたかどうかがポイントとなります。具体的には、次頁の表の◎、○を取れたかどうか、ということになるでしょう。
最終的には、理論・計算とも、得点できるところをミスなく解答し、合計点で64点以上ならば合格可能性があり、76点以上ならば合格可能性が高いと考えます。
【所得税法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 | 実力完成答練 第1回 〔第一問〕 問1 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅰ】 4 | 実力完成答練 第2回 〔第二問〕 問1 【資料Ⅰ】 5 |
実力完成答練 第6回 〔第二問〕 問1 【資料Ⅰ】 3 | |
〔第二問〕 問 【資料Ⅰ】 7 | 全国公開模試 〔第二問〕 問1 【資料Ⅰ】 8 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅱ】 4 | 直前予想答練 第3回 〔第二問〕 問1 【資料Ⅰ】 5 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅱ】 7 | 実力完成答練 第5回 〔第二問〕 問2 【資料Ⅲ】 1 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅱ】 8 ・ 【資料Ⅲ】 1 | 全国公開模試 〔第二問〕 問1 【資料Ⅱ】 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅳ】 1 ・ 2 | 実力完成答練 第2回 〔第二問〕 問2 【資料Ⅴ】 |
〔第二問〕 問 【資料Ⅳ】 2 | 全国公開模試 〔第二問〕 問1 【資料Ⅳ】 2 |
【所得税法】信澤 奈津美 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 所得税法については、信澤先生にお話しいただきます。本年度の試験問題のボリュームと難易度はいかがでしたでしょうか?
信澤 まず、ボリュームについてですが、昨年に比べると少なかったと言えますが、それでも理論・計算ともに決して少なくなく、全体的にはボリュームの多い問題でした。
次に、難易度についてですが、こちらも昨年に比べると若干抑えめでしたが、易しい問題というわけではなく、理論・計算ともに難易度は高かったと言えます。特に、理論の問1は理解力の問われる問題でしたので、解答を迷った受験生も多かったようです。
計算に関しては、総合計算問題1題の出題でしたが、難易度は高く、基本論点をケアレスミスなく解答できたかどうかがポイントになりそうです。
塚田 ボリューム・難易度ともに昨年よりは抑えられていたが、全体的にボリュームは多く、難易度も決して易しい問題ではなかったということですね。次に出題傾向の変化はあったのでしょうか。
信澤 理論に関しては、昨年と同様2題形式でしたので、出題の形式に変化はなかったと言えます。出題傾向については、問1は応用理論で、問2は個別理論でしたが、改正論点や近年のトピックからの出題はありませんでしたので、傾向としては、昨年と比べ変化があったと言えます。
計算に関しては、総合計算問題が1題という出題でしたので、昨年からは変化がありました。
「個々のポイント」
塚田 では続きまして、個々のポイントについてお聞きします。実際に出題された論点は、「出題論点・難易度表(下記参照)」のようになるわけですが、その論点のポイントについて簡単に説明してください。
信澤 第一問の問1は、所得税の納税義務者について、理解力が試されている問題でした。理論を覚えるだけでなく、いかに理解しながら暗記ができていたかがポイントになります。
また、第一問の問2は、純損失の繰戻し還付についての個別理論でしたので、こちらは暗記ができていたかどうかがポイントになります。
次に、第二問の計算については、一見解きやすそうに見えますが、難易度は高かったです。判断に迷うところや計算が複雑なところを後回しにして、基本的な論点をいかにケアレスミスせずに解答することができたかどうかがポイントになりそうです。
塚田 理論については、理解をしながら学習ができていたか、1題でも多く理論を暗記できたかがポイントになり、計算については、得点できる基礎的な論点をいかにケアレスミスなく解答することができたかがポイントになりそうですね。
「合格ライン」
塚田 最後に、合格ラインをお聞きしたいと思いますが、どの位できていれば合格レベルに達していると言えるでしょうか?
信澤 まず、第一問の問1については、納税義務者の種類を正確に判定することができたか、その上で異なる種類ごとの課税関係を正確に書けたかどうかがポイントです。
問2については、純損失の繰戻し還付について、理論マスター通りに書けたかどうかがポイントになると思います。
計算については、先程、塚田先生がお話された通り、基本項目で確実に得点をし、基礎点を確保することが必要でしょう。
塚田 それを具体的に点数でいうと、何点となるのでしょうか。
信澤 ボーダーラインが第一問34点、第二問28点、合格確実ラインが第一問42点、第二問36点程度になるのではないでしょうか。
【相続税法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 | 上級演習 第2回 〔第一問〕 問2 |
上級演習 第7回 〔第一問〕 問2 | |
〔第二問〕 【資料1】 2 | 直前対策補助問題 第7回 〔第二問〕 【資料1】 2 |
〔第二問〕 【資料1】 3 (6) | 実力完成答練 第6回 〔第二問〕 【資料1】 3 (1) |
〔第二問〕 【資料1】 3 (4) ・ (5) | 直前予想答練 第2回 〔第二問〕 【資料1】 3 (1) |
〔第二問〕 【資料1】 3 (8) ・ 【資料2】 6 | 直前予想答練 第1回 〔第ニ問〕 【資料1】 3 (1) ・ 【資料3】 1 |
〔第二問〕 【資料1】 3 (10) ヘ、チ | 直前予想答練 第2回 〔第二問〕 【資料1】 3 (5) ト、チ ・ 【資料2】 3 |
〔第二問〕 【資料1】 3 (11) | 直前予想答練 第1回 〔第二問〕 問1 【資料1】 3 (7) |
〔第二問〕 【資料1】 5 (5) ・ 6 (3)、(5) | 直前予想答練 第3回 〔第二問〕 問1 【資料1】 5 ・ 6 |
〔第二問〕 【資料1】 7 | 上級演習 第1回 〔第二問〕 【資料1】 9 |
【相続税法】阿部 史生 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 次に、相続税法の阿部先生にお話しいただきます。本年度の試験問題のボリュームと難易度はいかがでしたか?
阿部 理論は二問形式、計算は総合計算問題一問と、例年通りの出題でした。
理論は二問とも事例理論であり、昨年・一昨年からの傾向が続いています。解答量から考えると、50点満点中、問1が25点、問2が25点の配分でしょう。解答量は決して多くないのですが、二問とも自分の言葉で解答しなければならない部分があり、また、解答要求事項が何かが読み取りづらい問題文であったため、不要な規定まで記述したり、解答を考えるのに時間がかかってしまった受験生が多かったのではないでしょうか。
計算は、一見すると平易な問題のように見えますが、いざ解いてみると未学習論点が含まれていたり、問題文をちゃんと読まないと正しい算定ができなかったりと、難易度は高かったですね。計算力のある人でも、平常心で解かないとついミスしてしまうというか、最初から最後まで気の抜けない問題だったと言っていいでしょう。
また、毎年申し上げていますが、理論と計算をどちらかに偏ることなく、バランスよく解答することが、今年も合格するために欠かせないと思います。
塚田 試験傾向に何か変化はありましたか?
阿部 理論・計算とも昨年と同じ試験委員だったこともあって、大きな変化はありませんでした。昨年の傾向を踏襲した問題と言えるでしょう。とは言うものの、問題文をよく読んで、自分の頭で考えないと正解できない問題が多かったので、受験生からするとあまり好ましくない傾向かもしれませんね。
「個々のポイント」
塚田 続きまして、個々の論点のポイントについて説明してください。
阿部 はい。まず、理論の問1についてですが、解答として挙げなければいけない規定はいずれもAランク理論で、しっかり暗記して試験に臨んだ人が多かったはずですが、問題文を正確に読み取るのが難しく、何を記述すればいいのか、かなり迷う問題だったと思います。また、解答スペースも答案用紙2枚分と少なかったことが、余計に解答項目を何とすべきかの迷いに繋がったかもしれません。解答速報を見て、せっかく覚えた規定なのに書けなかったと悔しい思いをしている人は少なくないでしょう。
また、規定のほかに事例に則した取扱いを自分の言葉で説明しなければならなかったのですが、これを苦手とする人が非常に多いですね。しかし、近年続いている出題傾向ですから、丸飛ばしすると非常に印象が良くありません。正解かどうかにかかわらず、とにかく何か書くだけで印象はかなり違うはずです。
理論の問2は、やはりAランク理論の「非上場株式等の納税猶予制度」についてで、問1が難解だった分、この問2でしっかり得点したかったところです。制度の概要を問われて、どう解答すればいいか迷ったかもしれませんが、普段の講義でお話ししている通り、規定の①項をしっかり記述すれば立派な概要になります。制度の趣旨も、「事業承継の円滑化」というキーワードを入れて簡単に作文すれば充分でしょう。
計算については、今年も宅地の評価が難しい問題でした。しかし、そのうち配偶者居住権等の評価については、昨年に引き続き2年連続で出題されたわけですから、今年はぜひ得点に繋げて欲しかったですね。一方で、それ以外の論点、特に取引相場のない株式や公開途上にある株式等は難しいものではなかったので、宅地の評価で部分点を取りつつ、その他のところでミスなく点を拾えた人が栄冠を勝ち取ることができるでしょう。
塚田 受験生の出来と、講師から見てできて欲しい論点に違いはありますか?
阿部 ほとんど違いはないと考えています。毎年同じことを繰り返しますが、取りこぼしを最少限に止めて、できる箇所で確実に点を拾った人が合格に近いと言えるでしょう。
「合格ライン」
塚田 では最後に、受験生の出来を踏まえた上で、合格ラインをお聞きしたいと思いますが、どの程度できていれば合格レベルに達していると言えるでしょうか?
阿部 そうですね。少しハードルが高いかもしれませんが、理論問2の規定をしっかり記述して得点し、理論問1については、事例の取扱いを自分の言葉で解答できていれば、挙げた条文が多少間違っていても合格答案となるでしょう。
計算は、常日頃お伝えしていることですが、最後まで終わったかどうかは合否には影響しませんから、手をつけられなかった箇所があっても構いません。取れる箇所をいかにミスなく拾えたかが合否を分けるでしょう。
塚田 それを具体的に点数でいうと、何点となるのでしょうか?
阿部 合格確実ラインは、第一問(理論)が42点、第二問(計算)が38点、ボーダーラインは、第一問が36点、第二問が32点くらいになるものと考えています。
【消費税法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
---|---|
〔第一問〕 問1 (1) | 実力完成答練 第3回 〔第一問〕 問1 |
〔第一問〕 問2 (3) | 実力完成答練 第1回 〔第一問〕 問2 |
〔第二問〕 問1 【資料】 | 全国公開模試 〔第二問〕 問2 【資料1】 |
〔第二問〕 問1 イ (イ)A (ロ)B | 全国公開模試 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 イ (ロ) C | 実力完成答練 第3回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 ハ (ロ)、(ハ) | 実力完成答練 第4回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 ホ ・ ヘ | 全国公開模試 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 ト | 直前対策補助問題 第1回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 ワ (イ) | 直前予想答練 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 ワ (ロ) | 実力完成答練 第1回 〔第二問〕 3 |
〔第二問〕 問1 ヨ | 実力完成答練 第4回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 レ | 実力完成答練 第2回 〔第二問〕 問1 |
〔第二問〕 問1 レ | 実力完成答練 第4回 〔第二問〕 問1 |
【消費税法】宇津城 卓聡 講師 インタビューをチェック!
「全体の印象」
塚田 次に、消費税法につきまして、宇津城先生に伺いましょう。本年度の試験問題のボリュームと難易度はいかがでしたでしょうか。
宇津城 ボリュームは非常に多かったと思います。
まずは理論についてですが、問1は、⑴「特定課税仕入れに関する意義及び特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除」、⑵「価格の表示」の各個別理論が問われました。問2では、消費税法令上の適用関係を答える事例理論が5題出題されていました。特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除については直前期の答練にも出題していた問題なので、繰り返し対策をした受験生にとっては十分対応ができた問題だったのではないかと思われます。⑵は近年の改正論点について問われたのですが、理論ドクターの内容に近似しており解答可能なものではありましたが、対策をしていた受験生はあまりいないのではないかと思いますので、ここは解答できた受験生はアドバンテージになるかと思います。しかし、計算問題の量等を考慮すると多くを記載しすぎると他の問題に取り掛かる時間を奪ってしまいかねないので、どこまで解答するかも悩ましい出題でした。問2については、事例問題の難易度はそこまで高いものではなく、答練等で十分対策をしてきたものであり、解答できたと思います。
次に計算ですが、問1が「分割等」の一形態である「事後設立」が含まれた納税義務が特徴的な原則課税の問題、問2は複数税率が適用されている簡易課税の問題でした。問1については、難易度の高い納税義務の判定が出題されており、完答までには非常に時間を要するものであり、ここで時間を浪費してしまうと他の部分の解答が時間的に非常に厳しいものとなってしまうものでした。あまり経験の少ない論点であったため、正確に解答できた受験生は少なかったのではないかと思われます。それ以降の一つ一つの論点は、基本的な内容が多く難易度は平易であったものの、解答量が非常に多く苦労されたのではないかと思われます。問2に関しては、久しぶりに簡易課税の納付税額まで計算する問題でした。内容としては、比較的平易な問題であり、判断には迷わなかったかと思いますが、納付税額まで計算するとこれも非常に時間を要するものであり、何処まで解答するのかの判断が難しかったと思います。
塚田 次に、試験傾向は例年と比べて大きく変わりましたか?
宇津城 理論については、個別理論と事例理論の組み合わせという形式は変わっていません。計算は、近年の傾向であった総合問題と個別問題の組み合わせではなく、以前主流であった原則課税と簡易課税の税額控除の異なる計算方法を両方問われる形でした。
塚田 最近のタイムリーな話題が出題される傾向にありますが、今年はいかがでしたか。
宇津城 タイムリーであった居住用賃貸建物は一切出題されませんでした。軽減税率についても、世の中的にも浸透してきたところで、税理士試験においても、標準税率及び軽減税率の複数税率での出題がスタンダードになっているように思います。
「個々のポイント」
塚田 では続きまして、受験生の出来具合についてポイントを絞って伺います。
実際に出題された論点は、次頁の表のようになるわけですが、それぞれの論点のポイントについて簡単に説明してください。
宇津城 第一問の問1⑴は、実力完成答練第3回目で出題されていた論点でしたので、少しでも点数を確保しておきたい問題でした。基本的な論点であり、日頃から定義や用語の意義は重要であることを伝えてきていますので、精度の高い解答が求められると思います。第一問の問2は、⑴は売上側と仕入れ側の両方が問われていました。また、⑸は、一見、事業者向け電気通信利用役務の提供にも見えますが、問題文の補足事項なども考慮すると消費者向け電気通信利用役務の提供であり、解答に迷った受験生も多かったのではないかと思われます。しかし、全体的な難易度はそれ程高くなかったので、高得点での戦いになるのではないかと思います。
第二問については、問1は原則課税の総合問題でした。難易度の高い納税義務の問題でありましたが、全国公開模試でも対策した特定新規設立法人の納税義務の免除の特例や直前対策テキストでも巻末で取り上げている分割等の事後設立に関する問題であり、分割等があった日の論点も全く知らない論点ではなかったので、対応できた受験生もいたかもしれません。しかし、難易度は非常に高く、時間も多大に要するため、完答できた受験生は殆どいなかったと思われます。基本的な基準期間や特定期間における課税売上高の判定はしっかりやってほしいところですね。納税義務の判定は合否にはあまり影響は無く、その他の部分は平易な問題であったため、多くの受験生が答えられる部分を間違わないことが重要であったと思われます。解答量が多く、売上げも仕入れも適用税率の判定が伴うため、集中力を切らさないことも大切でした。納付税額まで合わせることは難しかったでしょう。問2は、簡易課税による納付税額を計算する問題でした。難易度は平易であったため、精度の高い解答が求められることとなるでしょう。しかし、営む事業の種類も多かったことから、納付税額の算出には非常に時間がかかる問題であったため、完答した場合には他の問題に取り組む時間が無くなってしまうことから、完答した受験生は少なかったのではないでしょうか。
塚田 受験生の出来具合として、どの部分について、どのような間違いが多かったのでしょうか。
宇津城 第一問については、価格の表示は対策をした受験生は少なかったと思いますので厳しかった印象です。やはり問2の⑴、⑸の出来はあまり良くないですね。第二問については、問1については、納税義務の判定はできていませんね。特定新規設立法人に気がついていない受験生も多いです。問2は税額計算の特例計算まで進んだ受験生は少ないようです。
「合格ライン」
塚田 では最後に、受験生の出来を踏まえた上で、合格ラインをお聞きしたいと思いますが、先程挙げていただいた論点のうち、どの位できていれば合格ラインに達していると言えるでしょうか。
宇津城 第一問の問1、問2各25点の配点と想定して、問1は「17点前後」、問2は「20点前後」、第二問の問1を30点、問2を20点の配点と想定して、問1は「20点前後」、問2は「15点前後」になるかと思います。
塚田 全体の点数でいうと、合格ラインは何点となるのでしょうか。
宇津城 理論と計算どちらもバランス良く解答することが求められるため、先程の単純合計とはいかず、合計で、合格確実ラインが70点前後、ボーダーラインが62点前後になるのではないでしょうか。
【酒税法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
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〔第一問〕 | 実力完成答練 第4回 〔第一問〕 |
〔第ニ問〕 商品A | 実力完成答練 第4回 〔第ニ問〕 商品G |
〔第ニ問〕 商品E | 実力完成答練 第2回 〔第二問〕 商品G |
〔第ニ問〕 商品G | 実力完成答練 第1回 〔第二問〕 商品A |
〔第ニ問〕 商品H | 全国公開模試 〔第二問〕 商品I |
〔第ニ問〕 【資料】 7 | 全国公開模試 〔第二問〕 【資料】 10 |
〔第ニ問〕 【資料】 10 | 全国公開模試 〔第二問〕 【資料】 11 |
【固定資産税】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
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〔第一問〕 問2 | 実力完成答練 第4回 〔第一問〕 問2 |
〔第二問〕 問1 | 実力完成答練 第3回 〔第ニ問〕 問1 |
〔第二問〕 問2 | 全国公開模試 〔第二問〕 問2 |
実力完成答練 第4回 〔第ニ問〕 問2 |
【事業税】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
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〔第一問〕 問1 | 実力完成答練 第1回 〔第一問〕 |
〔第二問〕 問1 | 直前対策講義 第4回 補助レジュメ |
〔第二問〕 問2 | 上級演習 第6回 〔第三問〕 |
【住民税】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
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〔第一問〕 問2 | 実力完成答練 第1回 〔第一問〕 問1 |
〔第二問〕 (1) ①、② | 全国公開模試 〔第二問〕 |
〔第二問〕 (1) ④ | 実力完成答練 第4回 〔第二問〕 |
〔第二問〕 (1) ⑤ | 直前予想答練 〔第二問〕 |
〔第二問〕 (2) ② | 直前対策補助問題 第1回 |
〔第二問〕 (5) ② | 直前対策補助問題 第1回 |
〔第二問〕 (5) ③ | 全国公開模試 〔第二問〕 |
〔第二問〕 (5) ⑥ | 直前対策補助問題 第3回 |
〔第二問〕 (6) | 直前対策補助問題 第1回 |
〔第二問〕 (7) ①、② | 直前予想答練 〔第二問〕 |
【国税徴収法】の的中実績
本試験問題 | TAC予想問題 |
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〔第一問〕 問2 | 直前対策補助問題 第3回 〔第一問〕 1 |
〔第二問〕 問1 | 上級演習 第5回 〔第一問〕 1 |
〔第二問〕 問2 | 直前予想答練 〔第一問〕 問3 |
合格情報補助問題 〔第一問〕 2 問4 |