一夜漬けでも合格できる? 第二種電気工事士 筆記試験の勉強法

第2種電気工事士の受験を決めたらテキストと過去問を端からガリガリ学習開始!ちょっと待ってください。その方法は効率的ではありません。第二種電気工事士の筆記試験にはコツがあります。
ここでは筆記試験の合格を目指す皆さんが効率的に合格するためのポイントと勉強法をお伝えします。

第二種電気工事士 筆記試験概要

第二種電気工事士の筆記試験合格のためにまずは試験の概要を確認しましょう。

第二種電気工事士の筆記試験

問題数 120分
出題形式 マークシート方式で四肢択一(イ、ロ、ハ、ニから1つ選ぶ)
時間 50問
合格基準点 60点(60点は公表されていませんが第二種電気工事士筆記試験は従来60点で合格しています)
試験範囲 (1)電気に関する基礎理論
 ① 電流、電圧、電力及び電気抵抗
 ② 導体及び絶縁体
 ③ 交流電気の基礎概念
 ④ 電気回路の計算
(2)配電理論及び配線設計
 ① 配電方式
 ② 引込線
 ③ 配線
(3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具
 ① 電気機器及び配線器具の構造及び性能
 ② 電気工事用の材料の材質及び用途
 ③ 電気工事用の工具の用途
(4)電気工事の施工方法
 ① 配線工事の方法
 ② 電気機器及び配線器具の設置工事の方法
 ③ コード及びキャブタイヤケーブルの取付方法
 ④ 接地工事の方法
(5)一般用電気工作物の検査方法
 ① 点検の方法
 ② 導通試験の方法
 ③ 絶縁抵抗測定の方法
 ④ 接地抵抗測定の方法
 ⑤ 試験用器具の性能及び使用方法
(6)配線図
 配線図の表示事項及び表示方法
(7)一般用電気工作物の保安に関する法令
 ① 電気工事士法、同法施行令、同法施行規則
 ② 電気設備に関する技術基準を定める省令
 ③ 電気用品安全法、同法施行令、同法施行規則及び電気用品の技術上の基準を定める省令
免除制度 初回の試験で筆記試験に合格し技能試験で不合格だった場合、次回の筆記試験のみ免除となり、技能試験から再度受験が可能

試験概要からみる第二種電気工事士の筆記試験

試験概要から少し考察してみます。 問題数は50問と多いですが、マークシートの四肢択一ですので正解肢を選択するだけの知識があれば解答はできそうです。また、合格基準点は60点ということで30問正解すればよいということも分かります。20問間違えてもいいのは大きいですね。
最後に免除制度ですが、技能試験に進めなかった場合でも間を空けず次の試験を受ける場合、筆記試験は免除となります。しっかり学習し正解肢を30問選択することができれば合格でき、しかも万が一技能試験に不合格となっても1回は免除となることが分かると思います。
これは何としても1回で合格したいですね。

では次の章で試験内容についてみていきたいと思います。

第二種電気工事士 筆記試験の出題傾向とポイント

計算問題と知識問題|第二種電気工事士の筆記試験

まず、第二種電気工事士の筆記試験には計算問題と知識問題があります。
計算問題:「基礎理論」「配電理論・配電設計」
知識問題:「電気機器と器具」「施工方法」「検査方法」「法令」「配置図」「複線図」

と分かれ、計算問題は全体の25%程度、知識問題は全体の75%程度となります。

筆記試験の試験範囲は以下の7つでした。
簡単に説明すると、各項目の内容は以下の通りです。
(1)電気に関する基礎理論・・・電気の流れる量や電気を押し流す力の値を求める計算など
(2)配電理論及び配線設計・・・2点間の電気を押し流す力の差の計算や、ケーブルに安全に流れる電気の量の計算など
(3)電気機器・配線器具並びに電気工事用の材料及び工具・・・工具や器具の名称、使用方法など
(4)電気工事の施工方法・・・工事方法
(5)一般用電気工作物の検査方法・・・検査方法
(6)配線図・・・実際に電気工事士が仕事で用いる図面から使用する器具を読み取ったりや配線の本数を求める
(7)一般用電気工作物の保安に関する法令・・・電気工事に関わる法律

項目別問題数|第二種電気工事士の筆記試験

試験範囲をみると、結構学習量も範囲も多そうですね。
どこから重点的に勉強を進めればよいかを確認するため、近年の過去問題を元に各項目の問題数を確認してみます。

項目別
問題数
基礎理論 配電理論・
配線設計
電気機器
と器具
施工方法 検査方法 法令 配線図 複線図
2021年
下期午前
5 7 11 3 5 3 10 6
2021年
下期午後
5 6 10 11 4 3 7 4
2021年
上期午前
5 8 11 8 5 3 6 4
2021年
上期午後
6 6 9 6 4 3 10 6
2020年
下期午前
5 8 6 12 3 3 8 5
2020年
下期午後
5 5 6 7 5 3 15 4

上の表をみると「電気機器と器具」「施工方法」「配線図」からの出題で全体の約3割を占めることが分かります。しかも前述のとおりすべて暗記分野ですので、この主要3分野は覚えた分だけ得点できることが分かります。続いて「配電理論・配線設計」「検査方法」「複線図」「基礎理論」が4~6問、逆に出題数が一番少ないのは「法令」です。全体的には計算が苦手でも、暗記を頑張れば合格できる可能性が高いということを表しています。

出題傾向|第二種電気工事士の筆記試験

続いて出題傾向をみていきます。
計算問題が出題される「基礎理論」と「配電理論・配線設計」は数種類の公式を覚え、式の展開が出来れば解答することができる問題が多く、過去問でも同じような出題がある場合があります。電気工事士の試験は電卓や計算尺の使用は禁止されており、難しい計算問題は出されないことも特徴です。よってしっかりパターンを身につけることがポイントとなります。ただし、そのパターンは多く、計算の苦手な人は理解と練習が必要です。

計算問題の出題傾向

計算問題でよく出題されるのは、直流回路・交流回路の問題(電気を流した時の電流の量や使用する機器に電気が流れた時の電流の量の計算)、三相交流回路の問題、電力損失(ケーブルを通った時に逃げる電流の量の計算)、電圧降下の問題(ケーブルを通る2点間で電気を押し流す量の差の計算)、許容電流(ケーブルに安全に流せる電流量の計算)の問題などです。算数のみならず数学の知識も必要となり、筆記試験の学習時間の多くを占めると思ってください。

知識問題の出題傾向

知識問題は他の試験と同様、どれだけ繰り返し力を注ぎ、暗記できたかがカギとなります。正誤問題のほか、写真から名称や使用方法を解答させるもの、図面上の記号から器具を解答されるもの、など、確かに暗記ではありますが、一つのヒントから複数の知識を引き出し、解答させるやや難しい問題も出題されます。また、工事方法や法令は似たようなもの種類の多いものが多数あり、違いを明確にして暗記する必要があることと、その知識量も多いため、計算同様こちらも少々時間がかかります。


さて、ここまで第二種電気工事士の筆記試験の出題傾向を見てきましたが、比較的易しい試験と言われているわりに、結構ボリュームがあり印象が変わったという方もいると思います。実は簡単と周りから聞くからと一夜漬けのような学習の仕方では合格できないのがこの試験の特徴でもあります。

第二種電気工事士 筆記試験の勉強法

いよいよ第二種電気工事士の筆記試験の勉強法です。3つご紹介します。

第二種電気工事士筆記試験の勉強法1:関心をもって楽しく

1

知識問題は得意なところから学習を進める

「基礎理論」「配電理論・配線設計」以外はすべて知識であることはお話したとおりで、過去問を見ていただくと分かる通り、全範囲満遍なく出題されます。よって、いずれにしても全範囲暗記しなければならないのですから、好きなところ、興味のあるところから覚えていきましょう。オススメは2でご紹介した、出題数の多いところから始める方法ですが、イラストや写真のほうが覚えやすければそこから始めていただいてもいいと思います。とにかく、関心を持って楽しく勉強しましょう。また各項目に関連性はあるものの、どこかを勉強しないと他が分からないという分野はありませんので、好きな分野からで差し支えありません。
勉強には必ず第二種電気工事士のテキストを一冊用意してください。カラーで写真が多く、説明も丁寧なものがおすすめです。よく過去問だけを回せばいいという説を目や耳にします。もちろん間違いではありませんが、周辺知識を調べるのに時間がかかることと、同じ問題はさすがに出ませんので、周辺知識も含め、知識をつなげて覚えられる分かりやすいテキストがあると合格が近くなると思います。
それから似たようなもの(器具・工具・工事方法・法令等)は何が違うのかを研究し、違う部分を覚えると効率が良くなります。例えばよく似た特徴の器具のうち片方だけ覚えておいて、覚えておいたものと違う場合はもう片方、など、暗記するものを減らすことも覚える量を増やすコツです。
初学者の方は馴染みのない単語がたくさん出てきたり、イメージが沸かないものも多いですので、内容を説明してくれる講習会などに参加したり授業を受けてみると目と耳から入る情報が整理され、暗記量を増やしていくのに効果的です。

第二種電気工事士筆記試験の勉強法2:苦手なものは後回し

2

計算問題が苦手な場合は後回しOK。でも全捨てはしない!

受験者の中には、計算問題が苦手だからと少し勉強して受験をあきらめる人がいますが、その必要はありません。勉強方法を考え勉強すれば合格できます。そのカギを握るのが過去問です。
計算問題の場合、公式と解法の練習が必要になります。知識問題に比べてパターンが少なく、数値のみを変えた似た問題が出るのも計算の特徴です。よって、計算に関してはどれだけ過去問で練習できたかが解答数に影響してきます。
もう一つ問題なのが数学です。第二種電気工事士の試験では、中学数学を使用します。√2(ルート2)、√3(ルート3) 、π(パイ)等が出てきますので、抵抗のある方は気おくれしてしまうかもしれません。
ですが、それらの値は問題の最初に記載されているので覚える必要はなく、過程の計算さえできれば解答ができるようになっています。一部、交流回路で√(ルート)の計算をさせる部分がありますが√は3,4,5というきれいな数値で簡単に解くことができる問題になっています。√もルールが解っていると簡単に解くことができますので心配はいりません。(例:√(22+32)=5、2倍すると√(42+62 )=10 など)
これらの特徴から、√もアレルギーがあるという方は、まずは知識問題を頑張りましょう。ただし、試験まで2か月前くらいになったらもう一度改めて計算問題を見てください。例えば電流の量の求め方ならできる、ケーブルに安全に流せる電流量の計算ならできる、など、一つか二つは、この程度の計算ならというものがあるはずです。試験でこの問題が出たら確実に正解する、というくらいの気持ちでいくつか用意しておくといいと思います。とても簡単なものも含まれているので、最後まで計算を全部捨ててしまうのはもったいのでやめるようにしましょう。

第二種電気工事士筆記試験の勉強法3:過去問攻略

3

過去問を有効活用する

筆記試験時は、試験問題が5ページ目から始まります。問1~問6又は問10までが計算問題になり、解答を出すのには計算をするので時間がかかります。よって、試験開始になったら6ページ以降から問題を解いていき最後に計算問題を解いたほうが楽、というのが一つのメソッドです。
ただこれを理解するには年度ごとの過去問を実際の時間で解いて体験しなければ、感触がつかめません。
必ず、直前期に2年分は年度で時間を計って解いてみてください。
特に久しぶりに試験を受ける方や完璧主義な方は、問1から解こうとしがちです。
前述のとおり、問1からは計算問題ですので、もし難しい問題にあたったら、時間が足りなくなってしまうため、とにかく出来る問題から解くという作戦を立てなければいけません。
自分にどんな癖があり、どこでミスが多く、精神状態がどうなるのかは試験前にしっかり見極めておくことも、大切な勉強法の一つです。


いかがでしたでしょうか。
第二種電気工事士の筆記試験は傾向を知り、対策を立てれば効率よく1回で合格できる試験です。
そのためには試験研究とイメージをつけ理解することが必要になります。そして情報を少なくして集中して勉強をすることが合格につながります。しっかり勉強した分だけ成果のでる試験ですので、頑張って勉強し確実に合格を勝ち取りましょう。

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