技能試験って難しい? 第二種電気工事士 技能試験の勉強法

第二種電気工事士で苦戦するのが技能試験です。でもご安心ください。技能試験にはコツがあります。
ここでは技能試験(実技)の合格を目指す皆さんに効率的に合格していただくためのポイントと勉強法をお伝えします。

第二種電気工事士 技能試験概要

第二種電気工事士の技能試験

技能試験合格のために、まずは試験の概要から確認していきましょう。

問題数 13課題のうち1課題出題
出題形式 課題用のケーブル・器具が配布され、作品を仕上げる実技試験
時間 40分
試験範囲 (1)電線の接続
(2)配線工事
(3)電気機器及び配線器具の設置
(4)電気機器、配線器具並びに電気工事用 の材料及び工具の使用方法
(5)コード及びキャブタイヤケーブルの取付け
(6)接地工事
(7)電流、電圧、 電力及び電気抵抗の測定
(8)一般用電気工作物の検査
(9)一般用電気工作物の故障箇所の修理
持ち物 筆記用具、時計、作業用工具(電動でないもの)

事前に課題が公表される=しっかり練習すれば合格できる

試験概要から少し考察してみます。
技能試験は13課題の単線図が試験前に公表されます。単線図というのは、実際に電気工事士が作業にあたる際の電気系統の設計図で、試験で出題されるのはその一部です。その図面を元に、与えられたケーブルと器具を加工し単線図通りに作品を作っていきます。

試験時間の40分は長い?短い?|第二種電気工事士の技能試験

40分という時間は慣れた人でも25~30分かかる場合が多いので、初学者としては短いと考えたほうがよく、練習で効率よく作業進めて時間を縮める努力が必要になります。合格基準に「欠陥が一つもないこと」とあるように、電気工事は危険を伴うため、ミスが許されません。作業でもミスをなくすため、練習はたくさんしていくことが重要なようです。逆に、13課題の単線図が先に公表されているということは、半分答えが出ているようなもので、練習した分だけ結果もでやすいということが言えそうです。

やまかけしても大丈夫?|第二種電気工事士の技能試験

13課題は全国で満遍なく出題されます。どの課題番号の問題がどの都道府県で出題されるかは分からず、同じ都道府県内の地域により課題番号が違う場合もあるようです。このような性質から、ヤマをかけるのが大変難しく地道に13課題練習していったほうが合格に近くなることが分かります。 持物に作業用工具とあるように、工具は持参します。作品を作るにあたり、手に馴染んだものを使用することが早く作るコツにもなるようです。

施工条件も想定しながら|第二種電気工事士の技能試験

ちなみに、単線図だけではどのような作品を作るかの全貌は見えません。もう一つ、施工条件というものがあります。これはケーブルの中にある導線を覆う色のついたゴム状の部分(この部分を総じて絶縁電線といいます)の色の指定や、導線と導線をつなぐ器具(リングスリーブという金属の輪っかに導線を入れて潰して導線接着させるものや、差し込みコネクタという絶縁電線を差し込んだ先が電気を通す金属になっていて、導線同士が触れていることで電気が流れるもの)の指定があります。その条件をすべてクリアして欠陥がない状態を目指すために、単線図だけでは正解は分からないものの、ある程度推測しながら何パターンか出題予測をして作業練習を進めることになります。

第二種電気工事士の技能試験は気の抜けない試験

  • このように、13課題が事前公表され、事前練習も可能、自分の工具を使用して40分以内で1つもミスなく作成する、というハードルは意外と高く、練習が不可欠であることがよく分かります。
    合格率は高めとはいえ、気の抜けない試験であることは筆記試験と変わりません。

    では次の章で試験内容についてみていきたいと思います。

第二種電気工事士 技能試験のポイント

技能試験の手順|第二種電気工事士

まずは40分の技能試験で何を行うのか、見ていきましょう。 手順としては以下の通りです。

①単線図と施工条件を確認する
②単線図を複線図に書きなおす(この部分を省略する人もいます)
③実際の作業に入る

では順を追ってみていきます。

1

単線図と施工条件を確認する

40分すべてを作業に使えるわけではなく、まずは13課題のうちのどの課題が出たのか、施工条件はどうなっているかを確認する必要があります。そして単線図のままで作業が出来ない方は複線図に書き直してから作業に入ります。前述のとおり慣れた人でも作業に20~30分かかるということは、条件の確認や複線図に書き直す作業時間はできるだけ短く、最低でも5分くらいでこの作業を終えるようにしなければならないことが分かります。
練習してきたときの施工条件と違うこともありますので、注意が必要です。

2

単線図を複線図に書きなおす

複線図を書く時に間違えてしまうと最後までそのまま作成してしまい、合格基準である欠陥に繋がってしまうので注意です。この複線図は苦労する人が非常に多く、作業よりも複線図のほうに勉強時間がかかったという人もいます。複線図を書けるようになるには、配線を理解している必要があり、その基礎は筆記試験の時に学習済みです。ただ、筆記試験の時は技能以上にイメージがわかないため、この分野を理解できないまま筆記試験に合格してしまったり、範囲を捨てている人も多く、技能で改めて勉強しなおすというケースもみられます。

複線図を描くポイントとしては、
①誤配線がないこと
②電源からの白線と黒線を十分に理解して描けるようにすること
③施工条件をよく読み理解した上で反映させること

この三つが重要です。

ケーブルは1本に見えますが、中は2~3本の導線が通っています。電気の流れは一方通行なので同じ線で電流が行って戻ってくることはありません。よって、その電気の一方通行の通り道を描いた図が複線図なのです。ケーブルや器具をつなぐときにはいくつかのルールがあり、このほかに、試験当日に問題に書かれている施工条件も加わり、この2つを満たすように複線図を書くため混乱する受講生が多いのです。誤配線は現場では電気事故に繋がりますので試験でも一発で不合格になりますし、白線・黒線をも違えるのも、ルール違反に加え事故につながる可能性があるため、不合格となります。
これを考えると、絶対に間違えられないので、完璧に練習していくことが重要です。

続いて複線図ができたらいよいよ作業に入ります。

3

実際の作業に入る

作業のポイントは以下の2点です。
(1)欠陥のない作品をつくる
(2)時間内(40分)に完成させる


具体的には、

(1)時間内(40分以内)に完成させるためのポイント

  • 機器との結線で電線の色(白線、黒線)を間違えない
  • 機器との結線方法を間違えず結線する
  • リングスリーブによる接続を技術基準にのっとった接続ができているか
  • 差込形コネクタによる接続を技術基準にのっとった接続ができているか

(2)欠陥のない作品をつくるためのポイント

  • 機器とジョイントボックス間の距離は、問題の表示寸法の50%以下が欠陥となる(つまり50%以下にならなければ欠陥にはならない)、ので寸法の採寸にはあまり時間をかけない。
  • 問題の配線図通りに作品を整理する

その時により、出題される器具もケーブルも違うため、問題と施工条件を見た段階で、この40分をどのように使うのかがしっかりスケジューリングできるくらいまでトレーニングを積んでおくと慌てなくて済みます。

第二種電気工事士 技能試験の勉強法・対策法

さて、技能試験の内容と試験当日の流れが分かったところで、勉強法についてみていきましょう。
ポイントは3つです。

①複線図は完璧に書けるようになるまで手を抜かない
②苦手な器具の取り付けはスムーズにできるまで練習する
③時間を図って1課題40分で仕上げられるかを確認し、最低2回は練習する

1

複線図は完璧に書けるようになるまで手を抜かない

「技能試験のポイント」でもお伝えしましたが、複線図は完璧な作品完成のために欠かせないものです。頭の中で描けるようになれとまでは言いませんが、問題開始から3分~5分で完璧な図が書けるように何度も練習してください。そのために配線のルールをしっかり頭に入れ、ケーブルの白線・黒線の使用方法を理解する必要があります。もう一度、手持ちの筆記試験のテキストで復習しましょう。
勉強法はいくつもありますが、オススメは2つです。

  • 簡単なものから順番に練習し仕組みを理屈で覚える勉強法
  • 作品の完成写真からイメージを鮮明にし、仕組みを理解する勉強法

理屈でしっかり理解する方法は王道で、電気工事士となった後も基礎がしっかり身についているので応用がきき、仕事がしやすくなります。まずは簡単なものから順番に、単線図と複線図を見比べながら、配線方法を理解していきます。
作品を完成写真からイメージを鮮明する方法は、イメージが湧かず、頭に入ってこない方にオススメです。技能試験用テキストには複線図の完成図と実際に作品の写真が掲載されている場合が多いです。
図だと分かりにくいものも作品をみるとイメージが湧くことも多いので、先に作品の完成写真をみて、ケーブルの配線方法や器具の位置などを覚えていきます。やや試験対策用となり、仕組みをしっかり理解できない場合は、電気工事士となった後に苦労しますので、まずは理屈で覚える方法から取り組んでみてどうしてもダメならこの方法を試してください。
いずれにしても技能試験用テキストは一冊手元に置いておくと安心です。
また、講習会や動画で複線図の書き方を一から教えてくれたり、作品の作成過程をみせているものもあります。初心者で電気工事が身近でなくイメージが湧かない方にはオススメです。

2

苦手な器具の取り付けはスムーズにできるまで練習する

ケーブルの結線と同じくらい欠陥が多いポイントが器具の取り付けです。
具体的にはスイッチやコンセント、照明器具を取り付ける元に使用する器具(ランプレセプタクル・引掛けシーリングなど)の取り付けになります。特にランプレセプタクルは絶縁電線に特殊は加工を施して取り付けるため、欠陥になりやすい器具の一つです。いくら複線図を完璧に作成しても器具の取り付けで切るケーブルの長さを間違えたり、導線同士を接続するためのゴム状の導線カバー(絶縁被覆と言います)を剥く長さを間違えてしまっては元も子もありません。
手が勝手に動くまで何度も練習して間違えないようにしましょう。また間違えてしまう時は、自分にどのような癖があるのかをしっかり見極め、当日も注意ポイントとして把握しておきましょう。

具体的な欠陥ポイントは、試験センターのホームページで公表されている「欠陥の判定基準」および「技能試験の概要と注意すべきポイント」というもので確認ができます。熟読しておきましょう。

3

時間を計って1課題40分で仕上げられるかを確認し、最低2回は練習する

1つ1つの作業ができても全体で40分以内に終わらなければ、それも欠陥です。
作品作りは、最初は1時間程度時間がかかりますが、13問全ての作品を作り終えるころは30分以内に完成させることができます。
必ず40分以内に工程の確認から仕上げまでを終えられるかを何度も練習しておきましょう。
数課題作成すると自分のもたつくポイントが分かってきます。どうしたら縮められるかを検討し効率をよくする工夫をしてみましょう。
1回目はどの課題も40分以内で作成することが難しいと思いますので、試験前練習として最低2回は練習しましょう。なお、練習で使用した工具を使用して実際の技能試験の受験を行うようにしてください。
試験会場で初めて使用する工具を使うと作業が戸惑うこともあるので、試験に使用する工具はしっかり 手になじませておきましょう。

技能試験は独学もできますが、欠陥部分を自分で判断するのは危険です。周りに専門家がいない場合は自分の作品をみてもらえるを環境を整えましょう。

まとめ ~技能試験は怖くない!~

いかがでしたでしょうか。
第二種電気工事士の技能試験は、事前に問題がわかっている試験のため、正しい方法でしっかりと練習をすれば合格できるということをおわかりいただけたと思います。
ただし、一人では自分の作業が正しいかを判断することも大変ですので、効率よく学習し、確実に合格を手にするためにも周りの助けも借りながら、一発合格を目指しましょう。

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