経営支援に役立つコラム

3人寄れば文殊の知恵は本当か?
みんなで良いアイデアを出すための条件

2023.10.11

中小企業支援に役立つテーマでコラムを掲載します。今回は、ブレインストーミングがテーマです。

企業経営アドバイザーコラム


皆様、こんにちは。企業経営アドバイザー検定試験講座講師(担当:企業経営・生産管理)の三枝です。今回はみんなで良いアイデアを出すための条件について取り上げます。

ブレストではよいアイデアは出てこない!?

よく「1人で考えるよりも、みんなでアイデアを出せば良いアイデアが生まれる」といわれます。

みなさんもブレイン・ストーミング(以下、ブレスト)について聞いたことがあるでしょう。ブレストには、「批判厳禁」「自由奔放」「質より量」「アイデアの結合」という4つのルールがあります。要は「とにかく数多くのアイデアを出すために、他人を批判せず、大胆な提案をし、さらにアイデア同士をつなげていこう」というわけです。自由で民主的なミーティング手法として確かに普遍的な魅力があり、今でもとても支持されています。

しかしながら、研究者たちの実証研究によると、ブレストのパフォーマンスは必ずしもよくありません。みんなが一堂に会してブレストするよりも、各メンバーが独立して考え、それを集めてグループの成果とするほうが、アイデアの総数が多く、また独創的なアイデアの数も多かったのです。また、集団のサイズが大きくなるほど、ブレイン・ストーミングの成果は悪くなるということも明らかになりました。

なぜブレストは上手くいかないのか?

なぜブレストは上手くいかないのでしょうか?その理由として、次のようなことが指摘されています。

①生産性の阻害
メンバーそれぞれがアイデアを述べ、それを聞いていなければならず、自分自身のアイデアを練り上げることに集中できなくなります。またメンバーの大勢が理解できる(共感できる)ことのみ遡上に上がり、結果、同じ話題が延々と続くようになり、多様な意見が出てこないのです。

②社会的抑制
グループメンバーが、他のメンバーの目を気にしてアイデアをしまいこんでしまい、大胆なアイデアを述べなくなります。

③社会的手抜き
集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも1人あたりの努力の量が低下します(社会的手抜き)。集団の人数が多くなるほど1人あたりの努力は明らかに低下します。よく神輿を担ぐのは2人、担いでいるふりをしているのが6人、ぶら下がっているのが2人などといわれますが、同じことがブレストでも生じるのです。結果責任はグループ全員に分散されるので、1人1人はさほど真剣にアイデアを考えたり議論したりしなくなります。

集団の知恵を引き出すための条件

ブレストで良いアイデアが出ないのは、実はブレスト自体が悪いのではなく、ブレストを行うための環境が整っていないからです。一般的に個々のメンバーの知恵を引き出して、集団の意思決定の質を高めるためには、次の4つの条件があるとされています。

①意見の多様性
それが既知の事実のかなり突拍子もない解釈だとしても、集団のメンバーが独自の私的情報を多少なりとも持っている。

②独立性
集団のメンバーは他者の考えに左右されない。

③分散性
集団のメンバーは身近な情報に特化し、それを利用できる。

④集約性
個々人の判断を集計して集団として1つの判断に集約するメカニズムが存在する。

つまり、「それぞれ異なる専門性や視野、情報源を持ったメンバーが自律的に判断し、かつ結論を合理的に導く何らかの仕組みが整備されている集団」であってはじめて、個人レベルを超えた優れた意思決定が可能となるのです。 逆に、みんなが似たような考え方で、キャリア背景も同じで、集団の和や雰囲気を過度に慮り、言いっぱなしで結論に至る合理的な仕組みもないならば、いくらブレストしても無駄ということです。

おわりに

メンバーの人選、自由闊達な雰囲気作り、合理的な意思決定の仕組みに気を配り、ぜひ素晴らしいアイデアを生み出しましょう。

企業経営アドバイザー検定試験講座講師
三枝 元(さえぐさ げん)

※当コラムの内容は、執筆者個人の見解であり、TAC株式会社としての意見・方針等を示すものではありません。
※当コラムは、一般社団法人 日本金融人材育成協会ホームページの「ごえんをつなぐコラム」で掲載された内容を一部変更して掲載しております。

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