一級建築士 設計製図試験 課題発表
7月21日(金)に令和5年一級建築士試験「設計製図試験」の課題が公表されました。
課題から読み取れることを、どこよりも早くお伝えさせていただきます。
公表課題
令和5年 設計製図の試験の課題
課題名
図書館
要求図書
・1階平面図・配置図(縮尺1/200)
・各階平面図(縮尺1/200)
※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。
・断面図(縮尺1/200)
・面積表
・計画の要点等
昨年からの変更点①
以下の具体的な法令に関する記載がなくなりました!
(注1) 建築基準法令等に適合した建築物の計画 (建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設 等)とする。
(注2) 「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に規定する「建築物移動等円滑化基準」を満たす計画とする。
【建築物の計画に当たっての留意事項】
敷地の周辺環境に配慮して計画する。
バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
構造種別に応じた架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。
【注意事項】
「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。
昨年からの変更点②
建築基準法だけでなく、関係法令についても厳しい採点がされることが読み取れます。
令和5年7月21日(金)(公財)建築技術教育普及センターホームページにて公表
令和5年度 一級建築士 設計製図試験
TACの分析
課題の分析
「図書館」の出題は、過去の類似の課題として平成24年「地域図書館(段床形式の小ホールのある施設である。)」、平成9年「緑豊かな吹抜け空間のある地域図書館」、平成4年「アトリウムと小ホールをもつ地域図書館」、昭和48年「集会施設をもつ市立図書館分館」等があり、過去にも比較的多く出題されています。
また、今年の建築設備士試験の第二次試験(設計製図)の用途も「図書館」であり、用途が同じであることは非常に稀です。
なお、今年も近年の傾向どおり副題のない建物の用途だけのシンプルな課題名でしたので、図書館の計画として、設備、構造、法規に関する幅広い知識が必要となるでしょう。
1.図書館
図書館は、大きく以下のように分類されます。
(1) 国立(国会)図書館(国が設置)
(2) 公共図書館(主に地方自治体が設置)
→さらに「広域参考図書館」と「地域図書館」に分けられる。
(3) 学校図書館(高等学校以下の学校に設けられる)
(4) 大学図書館(大学に設けられる)
(5) 専門図書館(公的機関、公益法人、企業等が設置)
過去の試験の出題からは、(2)公共図書館が出題として可能性が高そうです。
公共図書館の計画上の留意点としては、
①建物やアプローチは親しみやすく、気軽に立ち寄りやすいようにする。
②地域住民の徒歩圏内に計画し、十分な収容台数の自転車置場を設ける。
③利用者用と管理・事務用の通路・入口を分離し、動線が交差しないようにする。
等が一例として挙げられます。
さらに、「出納方式(書籍の貸し出し方式)」、各室の計画としては「閲覧室(一般・子ども)」、「書庫」、「貸し出し・返却カウンター」、「レファレンスルーム(調べものをする室)」、「ブラウジングコーナー(新聞・雑誌等を気軽に読む空間)」、書籍の持ち出し防止のための「ブックディテクションシステム(BDS)」、移動図書館としての「ブックモビル」等、様々な要素の学習が必要となります。
2.図書館以外の用途
課題名は「図書館」ですが、他の要素の併設も十分に想定できます。過去の試験では、レストラン、カフェ、集会機能としての小ホール、会議室、温室、アトリウム等の併設の出題がありました。
3.法規について
前述した発表内容において吹き出しで示しましたが、昨年までは■要求図書の項目の最後に、適合させなければならない具体的な法令が示されていたのですが、今年はその記述がなくなりました。
これは「図書館」を計画する上で、建築基準法上、適合させなければならない法令は受験者が各自で判断して学習しておくことが求められていると言えるでしょう。当然、これまでの建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画、避難施設等についての適合はマストとして考えておくべきです。なお、「図書館」という用途については、建築基準法上の法的な「採光」については基本的には不要となります。
さらに、バリアフリー法の「建築物移動等円滑化基準」を満たす計画とするといった記述もなくなりましたが、図書館は特別特定建築物に該当するため、床面積の合計が2,000㎡以上の場合は、「建築物移動等円滑化基準」に適合させる必要があります。なお、課題文の条件によっては「建築物移動等円滑化誘導基準」を満たす計画についても求められる可能性もあるので、知識として知っておきましょう。
4.要求図書
要求図書は、昨年と同様に「各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。」と示されました。これは、計画建築物の階数が試験当日の「課題文で示される」または昨年のように「課題文にも示されない(階数自由)」ということです。建築物の階数が試験当日まで分からないというのは、令和2年から4年続いて示されているので、近年の定番です。
また、平面図は3面求められることが多いので、このような要求の場合、次のようなパターンが考えられるでしょう。
①「1階平面図・配置図」「2階平面図」「3階平面図」
②「地下1階平面図」「1階平面図・配置図」「2階平面図」
③「1階平面図・配置図」「2階平面図」「基準階平面図」
5.「建築物の計画に当たっての留意事項」について
発表内容は昨年と全く同じでした。
「建築物の計画に当たっての留意事項」は抽象的な内容ではありますが、採点に大きく関わる非常に大事な部分です。「注意事項」にあるとおり、「十分に理解したうえで」試験に臨まなければなりません。
なお、昨年から「二酸化炭素排出量削減」という項目が新たに加わりましたが、世界的にも温室効果ガスの排出量の削減が掲げられている背景から、設計製図の試験でも省エネに関する様々なシステムや高性能設備の導入、材料等の多様な学習が求められています。
6.「注意事項」について
建築基準法令等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合(=失格)」と判断されます。
昨年と異なる部分としては、今年は建築基準法だけではなく、「関係法令についても厳しく採点される」と示されたので、バリアフリー法等の関係法令も遵守した図面の作成が必要となります。
以上、課題発表の内容から読み取れることを速報としてお伝えしました。
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