令和7年 二級建築士 設計製図の試験
[シェアハウス(木造)]課題分析を公開中!
令和7年 設計製図試験に関する情報[シェアハウス(木造)]を、随時更新していきます。
令和7年 二級建築士試験
設計製図の試験
課題分析を公開中
[6月18日課題発表]
解説動画をみる(「課題の概要」と「攻略ポイント」を60分で解説)
【速報版】令和7年課題の概要説明会
6月18日に発表された今年度の課題「シェアハウス(木造)」について、課題の概要と攻略ポイントを解説しています。
1.設計製図試験の概要
2.今年度の試験課題について
3.攻略のポイント
4.TACの講座案内
講師:佐藤広明(オンラインライブ通信担任)
試験元から発表された内容[2025年6月18日公表]
[課題名]
シェアハウス(木造)
[要求図書]
・1階平面図兼配置図[縮尺1/100]
・各階平面図[縮尺1/100]
・床伏図兼小屋伏図[縮尺1/100]
・立面図[縮尺1/100]
・矩計図[縮尺1/20]
・面積表
・計画の要点等
(注1)各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定します。
(注2)答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(矩計図については10ミリメートル)の方眼が与えられている。
[注意事項]
試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。
1.課題名について
(1) 「シェアハウス(木造)」から考えられること
この用途では、近年の本試験出題において、令和2年「シェアハウスを併設した高齢者夫婦の住まい(木造2階建て)」があります。
シェアハウスは、近年、若年単身世帯を中心に注目を集めている住まいで、1つの建物に親族ではない複数の入居者が共同で生活する賃貸住宅の一種であります。
20~30代の学生や社会人の入居者が多いですが、低所得者、高齢者、障害者等の住宅の確保に特に配慮を要する入居者も想定されます。
また、一般の賃貸住宅とは異なり、入居者は個室でのプライバシーを確保しつつ、居間・食事室・台所、交流スペース、浴室、洗面等の空間を共有し、入居者同士をはじめ、地域住民やまちとの交流を深めることができることなどが主な特徴としてあげられます。
近年における、単身世帯の増加、経済的制約者の増加、在留外国人の増加、地域交流の希薄化、空き家の再利用、多様な住まい方への影響など、様々な社会問題や構造の変化を捉えた課題テーマとなりました。
●シェアハウスの運営管理方式による分類
●個室について
(2) 想定される要求室等
近年の出題傾向から、敷地周辺の敷地特性や環境要素を十分に考慮した上で、アプローチや屋外施設等の計画・建築物内部のプランニングを行うことが重要となってきます。
想定される要求室については、主なものとして、居間・食事室・台所、パソコンコーナー、和室コーナー、個室、半個室、ドミトリー、ウォークインクローゼット、収納、水廻り諸室、玄関、勝手口、倉庫、納戸、バルコニー、などがあげられます。
また、入居者同士をはじめ、地域住民やまちとの交流を深めることができる交流ラウンジ、多目的室、交流スペースなどのコモンエリアの出題についても十分に考えられます。
●想定できるアプローチとゾーニング(試案)
2.建築物の構造について
(1) 「木造」の指定
今年度課題は「木造」と発表されました。昨年がRC造、一昨年が木造であったので、予想どおりといえます。
(注2)において、「答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(矩計図については10ミリメートル)の方眼が与えられている。」と記されていることから、工法としては、これまで通り「軸組工法」で設計すればよいと判断できます。
(2) 建築物の階数
建物の階数については、昨年に引き続き明確な指定がなく、試験当日にならないと分かりません。
しかし、要求図書を見ると床伏図兼小屋伏図があるため、平家は考えにくいといえます。
また、3階建てにした場合、全ての要求図書を答案用紙のサイズ(A2)に描くには用紙のスペースが足りません。さらに、過去30年の木造本試験を遡っても、2階建て以外の出題が見られないことから、3階建ての可能性は低いといえます。
したがって、原則、2階建てに絞って学習を進めていくことが妥当であると考えます。
3.要求図書について
木造本試験では、部分詳細図か矩計図のどちらかが指定されますが、今年度は矩計図の指定でした。
矩計図とは、建物を垂直に切断し、基礎から屋根までの高さ関係と下地や材料の名称や納まりを表した図面であり、部分詳細図の場合に比べより複雑で時間を要することから、十分に練習を行う必要があります。
また、その切断位置については、令和3年および5年の本試験(RC造課題の部分詳細図)において、バルコニーの箇所での切断が連続で指定されているため、標準的な矩計図に加えて、バルコニーの切断位置の矩計図の出題についても十分に考えられます。
4.関係法令について
・注意事項の欄に、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断する、との注意書きがあります。
まず、建築基準法での制約事項である、延焼のおそれのある部分・建蔽率・容積率・高さ制限・避難・採光などについて、十分に注意した設計をする必要があります。
・「シェアハウス」について、国土交通省住宅局により、2013年9月に「事業者が運営するシェアハウスは寄宿舎とする」旨の技術的助言が出ています。建築基準法上にはシェアハウス=寄宿舎と明示した条文はありませんが、この技術的助言により、シェアハウスは「寄宿舎」とみなしてよいと思われます。
過去の設計製図試験での延べ面積の要求は150~250㎡程度であり、さらに2階建てである可能性が高いことを考えると、建築基準法上の規制以外において、法的にはさほど大きな影響を受けないと考えられます。
・脱炭素大改正をはじめ、今まさに社会状況の只中にある建築物省エネ法関連から、建築物の環境負荷低減(省エネルギー等)への配慮等について要求されることが想定されます。設計与条件や要点の記述等に対して十分な対応力が必要となります。
・過去の本試験出題実績から、事前には想定し得ない条件設定等が要求される可能性もあるため、幅広く備え、十分に学習を進めていく必要があります。
●高さ制限(斜線制限)
●建築物の環境負荷低減(省エネルギー等)への配慮等
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令和6年総括[12月5日合格発表を受けて]
試験元から発表された内容について
公益財団法人 建築技術教育普及センターより、合格発表がありました。
合格された皆様、本当におめでとうございます。
【設計製図実受験者数】9,947名(9,988名)
【合格者】4,680名(4,985名)
【合格率】47.0%(49.9%)
【学科からの最終合格率】21.8%(22.3%)
※( )内は昨年の数字です。
ランクⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳのそれぞれの割合は次のとおりで、「ランクⅠ」のみが合格となります。
【ランクⅠ(合格)】47.0%(49.9%)
【ランクⅡ】4.7%(5.7%)
【ランクⅢ】37.1%(37.9%)
【ランクⅣ】11.1%(6.5%)
※( )内は昨年の数字です。
実受験者数は昨年より約40人減少、合格者数は約300人減少しました。
合格率は、昨年より製図試験は2.9%下がり、学科からの最終合格は0.5%下がりました。
総 括
今年の設計製図試験の全国合格率は「47.0%」でした。昨年は「49.9%」でしたので、やや合格率が下がりました。一昨年(令和4年)の合格率「52.5%」と比べても減少傾向にはありますが、おおむね例年並みの難易度だったと言えます。
ランク別の割合では、ランクⅣ(失格)が11.1%と高く(昨年より約4.6%増)、図面の未完成や重大な不適合に該当するなど、即失格となるような大きな失敗をした人の割合が増えたことが分かります。また、ランクⅡ(「知識及び技能」が不足しているもの)は4.7%である一方、ランクⅢ(「知識及び技能」が著しく不足しているもの)が37.1%と高く、設計条件や要求図書の違反など、失格レベルに相当する人の割合がより増えたことも分かります。「合格図面」と「合格レベルではない図面」の差がより顕著に現れた結果、とも言えるでしょう。
建築技術教育普及センターの採点のポイントは以下になります。
(1)設計課題の特色に応じた計画
①喫茶スペースの計画
②談話コーナーの計画
③屋外広場の計画
(2)計画一般(敷地の有効利用、配置計画、動線計画、設備計画、各室の計画等)
(3)構造に対する理解
(4)断面に関する知識
(5)要求図書の表現
(6)設計条件・要求図書に対する重大な不適合
①鉄筋コンクリート造2階建てでないもの
②要求図書のうち図面が1面以上未完成
③図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)
④延べ面積が、「250㎡以上、300㎡以下」に適合していないもの
⑤要求室のうち、次のいずれかの室が欠落又は設置階が違っているもの(室名は省略)
⑥著しく非常識な計画(エレベーター、階段の欠落等)
さらに、“解答の傾向”として次の記載がありました。
”「未完成」、「主要室の欠落」、「設計条件の違反(喫茶スペース・談話コーナー等の席数、屋外広場の計画、非常用電源室の配置の計画が不適当なもの)」、「要求図書の違反(防火設備の表示が不適当なもの)」に該当するものが多かった。”
以上の内容が主要な採点ポイントとなります。これらの全てにわたって、大きな欠落や条件違反をすることなくプランニングを行い、時間内に図面を仕上げなければいけません。
設計条件の違反に挙げられている「喫茶スペース・談話コーナー等の席数」や「屋外広場の計画」について、合格レベルの図面をつくるためには、基本をしっかり押さえたプランニング力が必要です。また、要求図書の違反に挙げられている「防火設備の表示が不適当なもの」については、正確な知識を有する製図力が必要です。
今回の課題は、「観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)(鉄筋コンクリート造)」という専用施設ではありましたが、採点ポイントは計画や製図に必要な基礎知識や技能がきちんとできているかが問われた、基本に忠実な試験であったと感じます。
設計製図試験に合格するためには?
さて、本年度試験を分析した上で、設計製図試験に合格するためにどうすれば良いのかを考えると、以下の対策が必要となってくると思われます。
(1)空間構成・構造を理解し適切に図面表現する「製図力の習得」
(2)課題の特色を理解し適切にまとめあげる「プランニング力の習得」
来年の課題は「木造」と考えられます。木造はRC造とは構造形式が異なりますので、作図とプランニングの要領が大きく異なります。また、木造はRC造と比べて作図量が多く一般に難易度は高いと言われます。近年の出題では、専用施設や専用住宅が続き、プランニング力がより重要視される傾向にあります。
課題の発表は来年6月ですので、上記(2)の「プランニング力の習得」については現時点より具体的な学習を始めることは困難ですが、(1)の「製図力の習得」については今からでもスタートすることが可能です。
試験を有利に進めるには、製図力を高めておくことは極めて重要です。短い作図時間で図面を書きあげることが出来れば、その分エスキスやチェックに多くの時間を使うこともでき、有利に試験を進めることができます。
「今年涙を呑んだ方」や「学科合格後、来年初めて設計製図試験を受験する方」は、是非とも早めの試験対策を始めましょう。TACでは、早くに対策のスタートを切れるよう、早期講義や準備開始に向けたセミナーを実施しております、ぜひともご活用ください。
令和6年講評[本試験直後のポイント解説]
全体講評
RC造の設計課題は、過去3回に渡り「狭い敷地に3階建て」のパターンが続きましたが、今年の出題は「2階建て」でした。RC造の2階建ての場合、法的な規制が緩くなり法のチェックは簡単になる一方、1階あたりの床面積が大きくなるため、柱や廊下形状と部屋の配置などプランニングは逆に難しくなる傾向があります。
さらに、今回求められた設計条件は、主題となる「ゲストハウス」の用途に加え「近隣住民との交流」「災害発生時への対応」が求められたため、一層プランニングの難易度が上がっています。これらのことから今回の設計課題の難易度は、「標準的~やや難しい」であったと思います。
しかし、TACでは2階建ての出題を想定した構造グリッドとゾーニングの仕方をしっかり学習しましたので、落ち着いて条件を整理していけば、十分合格レベルに達する図面を書きあげることが出来たのではないでしょうか?
今回の合格ポイントは、
・屋外広場の配置(災害発生時に南側の公園と一体的に活用)
・複数の動線をしっかり整理(利用者の動線、厨房の動線、宿泊客の避難動線)
・図面をしっかり書きあげる(バルコニーの部分詳細図を含めて)だと考えます。
以下、それぞれのポイントを見ていきます。
ポイント解説
(1) RC造2階建て
平成24年から12年ぶりの2階建てです。建築基準法的には3階建てに比べて注意すべき項目はグッと少なくなります。竪穴区画は不必要で、道路斜線もまずかかりません。延焼ラインも不必要になるケースが多いのですが、こちらは設計条件の中で「延焼のおそれのある部分には所定の防火設備を設ける」と要求がありますので、延焼ラインと丸防の記号は忘れずに書き込む必要がありました。
構造グリッドとしては、3階建ての場合は奥行が8mの単スパンで済むことが多いのですが、2階建ては階あたりの面積が大きくなるので、奥行が10m~12m、柱スパンは5m~6mの組合せとなり、建物内部に柱が生じることになります。階高はとくに指定がありませんので、1階3500㎜2階3000㎜程度で設計すれば良いでしょう。すると階段は幅2m×奥行3m程度のスペースで納まります。
(2) 南側の公園(防火上有効な公園)と屋外広場
令和4年・5年に続き、3回連続で隣接地に公園がある敷地条件が出題されました。今回は冒頭の設計条件で「非常発生災害時には地域の支援を行うことができるように屋外広場を南側公園と一体的に活用できるようにする」と示されましたので、これを外すと大きな減点になりると思われます。屋外広場は敷地南側にある程度の大きさを確保して幅広く接するように配置する必要があるでしょう。
また、この公園は防火上有効な公園ですので、建築基準法2条六号によりこの面には延焼ラインは生じません。平面図に南側の延焼ラインをうっかり書き入れないように注意が必要です。TAC生はこの設定については課題の中でしっかり学習済みでしたね。
(3) 通用口のある喫茶スペース
要求室の中で最もキーとなるのは1階の喫茶スペースです。座席総数で16席とそこそこの大きさであることに加えて、災害時にも使用できる厨房や喫茶スペースの従業員用の通常口も求められました。また、駐車スペースは1台分(搬入用)とありますので、この通用口への動線を利用者用としっかり分けて確保するべきと考えられます。
TACでは、厨房への動線確保の必要な類似の喫茶スペースについて課題の中でしっかり学習いただきましたので、これも問題なく対応できたかと思います。
(4) 客室に設けるバルコニーと避難経路
客室は5室、そのそれぞれにバルコニーを設ける条件です。さらにこのバルコニーが道路に面しない場合は、バルコニー前面に空地を設けて避難経路を確保することが求められました。これは、東京都建築安全条例などで定められている内容と同じです。簡易宿所の客室は道路に面するように配置するか、敷地のアキの広い方に面するように配置して避難経路が確保できるようにする必要があります。このため、なるべくゾーニングをシンプルにし、建物の片側に客室ゾーンをつくるようにすればプランニングしやすかったはずです。
TACでは、繰返し構造グリッドとゾーニングの整理については学習しましたので、プランニングしやすかったのでないでしょうか?
(5) 部分詳細図(バルコニーの出入口)
令和3年と同じ、「バルコニーの出入口を含む」出題でした。令和5年の木造の矩計図では「多目的室(土間床)を含む」が出題されたように、近年の流れとして詳細図は標準的なものを単純に暗記すればよいものではなく、ある程度の納まりの知識を問う出題になってきています。
このことからTACでも「はね出しのバルコニー」や「ルーフバルコニーの納まり」などに取り組んでいただきましたので、多くの方が対応できたのではないでしょうか?